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セルオートマトンを用いた多値画像の 混合ノイズに対するノイズ低減 筑波大学 目次 システム情報工学研究科 ■研究の背景と目的 コンピュータサイエンス専攻1年 ■評価手法 201120704 澤田 学 ■実験結果 指導教員: 狩野 均 研究の背景と目的 セルオートマトン(CA)は格子状のセルと単純な状態 遷移ルール(以下、ルール)からなる離散的な計算モ デル. CAは並列性が高いため、近年、画像処理に応 用する研究が行われている. ○二値画像の画像処理(ノイズ低減、細線化など) [Rosin 06] ○多値画像のノイズ低減処理(ごま塩ノイズ、インパ ルスノイズ、ガウシアンノイズ)[佐藤 10] 佐藤らの提案したCAの進化的設計手法を、ストライ プノイズ、混合ノイズの低減処理に適用して、有効な ルールの獲得を目指す 2 対象問題 対象ノイズ ストライプノイズ 評価方法 1 MSE = mn m-1 n -1 ∑∑( xij - y ij )2 i =0 j =0 混合ノイズ 255 2 PSNR = 10 log10 ( ) MSE m, n : 画像のサイズ xij :原画像の画素値 yij : 処理後の画像の画素値 3 二次元CA 二次元格子の一つ一つをセルとした、状態・空間・時間が 離散的な計算モデル 隣接するセルと自身のセルの状態からルールに基づいて、 次の時刻の状態を決定する ○二次元2状態CAの例 状態遷移ルールの例 ●近傍の組み合わせ 2 9 通り 多値画像では 9 255 通り or 4 二次元CAを用いた画像処理 悪いルール 良いルール 入力=多値画像 1ピクセル=1セル 二次元CAの初期形態 CAのルール適用回数 上限まで実行する 得られた画像=出力 5 評価手法のコード化 Gene Expression Programming(GEP)のコード化 近傍状態 表現型 max(ーN-1,0,min(N0,-1,N0,1)) 表現木 max - 1 N-1,0 N0,-1 4 遺伝子型 max - 1 2 3 N0,1 5 6 min N-1,0 N0,-1 N0,1 3 N-1,0 N-1,1 N0,-1 N0,0 N0,1 N1,-1 N1,0 N1,1 評価手法で用いる関数 min 2 N-1,-1 4 5 6 関数名 引数 説明 - 1 画素値を反転させる max 2 大きい方の値を返す min 2 小さい方の値を返す +sat 2 飽和加算を行う -sat 2 飽和減算を行う 6 提案手法のアルゴリズム ①初期個体の生成 ルール ②適応度の計算 適用 ③次世代に残す個体候補の選択 ④交叉、突然変異、転移 次世代候補 交叉 適応度 15(dB) 17(dB) (PSNR) ⑤エリート個体の保存 ⑥ ②~⑤までを一世代とし、世代の上 限まで繰り返し、最良解を出力する 7 実験条件と比較手法 実験条件 集団サイズ ストライプノイズ 混合ノイズ 200 400 世代数 ノイズ率 ルールの適用回数 500 20% 5%, 5% 8 比較手法 ①Median Filter 近傍状態の画素値を昇順に並べ、中央値を出力とする処理 ②Tri-State Median Filter(TSM)[Chen et.al 99] 閾値によって「Median Filterの値」と「中心のセルの重みを増し たMedian Filterの値」と「中心のセルの値」を使い分ける手法 8 ストライプノイズ: ノイズ率10%での学習結果 獲得した最良解:ルールS1 -min( N 0,0 ,-(-sat (max( N 1, 0, N -1,0),+sat (-N 1, 0 , min( N 0 , -1 , min( N 1, 0 ,+sat ( N 0,1 ,-sat ( N -1, -1 , N 1, -1 )))))))) ルールS1はルール適用ごとに画素値を反転させなが らそのときに画素値の高い(白い)ノイズを除去する t=0 t=1 t=2 9 ストライプノイズ: ノイズ率20%で獲得した解 獲得した最良解: ルールS2 max(min(max( N1, 0 , N-1, 0 ) , N 0, 0 ) , min( N1, 0 , N-1, 0 ) ) 中心の列の3つのセルの中央値を出力するルール 学習画像(Lenna) N-1,-1 N-1,0 N-1,1 N0,-1 N0,0 N0,1 N1,-1 N1,0 N1,1 近傍状態 10 評価画像 Boats Barbara 11 画像による比較:Barbara, ノイズ率30% ノイズ混入画像 TSM適用画像 ルールS1適用画像 ルールS2適用画像 12 ストライプノイズに対する評価結果 表中の下線はそのノイズ率での最良値を示している ノイズ率が0.1以下のときルールS1が、0.2以上のとき はルールS2が良い結果を示した 評価実験結果(PSNR 単位: dB) Boats p 0 未処理 TSM 0.1 Barbara 0.2 0.3 0 0.1 0.2 0.3 N/A 19.5 16.4 14.2 N/A 18.9 15.8 13.5 36.0 29.8 27.3 24.6 27.5 25.0 23.5 21.9 ルールS1 41.9 32.5 26.0 21.2 40.1 30.5 25.1 20.7 ルールS2 38.6 33.1 30.6 28.4 34.8 30.0 27.8 25.5 13 混合ノイズ: ノイズ率5%, 5%での学習 進化のグラフ PSNR(dB) 40 30 20 10 学習画像(Lenna) 0 100 200 300 400 N-1,-1 N-1,0 N-1,1 獲得した最良解: ルールM N0,-1 N0,0 N0,1 (min( N 0, 0 , max(min( N 1,1 , max( N 1,0 , N1,-1 N1,0 N1,1 世代数 max( N 1, 1 , N 0, 0 ))), max( N1,0 , min( N 1,0 , N 1, 1 ))))) 近傍状態 14 比較手法 TSM(Tri-State Median Filter) ごま塩ノイズで学習したルール[佐藤 10]とストライプノ イズで学習したルール(ルールS2)を順番に適用する ルール(混合ルール) 15 画像による比較:Boats ノイズ率5%, 5% ノイズ混入画像 TSM適用画像 混合ルール適用画像 ルールM適用画像 16 混合ノイズに対する評価結果 表中の下線は最良値を示している ノイズ率はごま塩ノイズ5%、ストライプノイズ5%とした Boatsに対してはルールMが、Barbaraに対しては混合 ルールが良い結果を示した 評価実験結果(PSNR 単位: dB) Boats Barbara 未処理 17.2 16.9 TSM 30.0 25.1 混合ルール 27.8 26.4 ルールM 31.1 25.5 17 実行時間による解の評価 実行環境: Intel Core2 Quad 2.83GHz, RAM3GB, Visual C++2008 画像は512×512ピクセルを用いた。 表中の下線は最良値を示している。 TSMに比べ、ルールMは4倍程度高速に処理を行うことができ た 実行時間の結果(単位: 秒) 時間 TSM 0.58 混合ルール 0.38 ルールM 0.15 18 まとめ 研究の結論 ○ CAを用いてグレースケール画像のストライプノイズ、 混合ノイズ(ごま塩+ストライプノイズ)に対するノイズ低 減処理を行った ○ ストライプノイズに対しては獲得したルールが良い結 果を示した. 混合ノイズに対してはBoatsはルールMが、 Barbaraは混合ルールが良い結果を示した. ○実行時間はルールMがTSMに比べ4倍程度高速に処 理を行うことができた 19 今後の予定 カラー画像への応用 ○カラー画像処理はRGBのそれぞれのチャンネルを 独立に処理を行っているものが多い ○それぞれの処理の高速化が重要になる 実行時間や式の長さをルールの評価に加える 20 21 Gene Expression Programming(GEP) ○特徴 ・Gene Programmingをもとにした手法。 ・遺伝的アルゴリズムと同じ、世代交代モデル、配列状の染色 体、遺伝的操作(選択、交叉、突然変異)を用いる。 ○転移 ・染色体の一部をランダムに選び、他の遺伝子座へコピーする 遺伝的操作。 ヘッド部からはみ出た部分を削除 挿入点 + - a b x y z a b c + - x y z a b c ヘッド部 転移する配列 ヘッド部 + - a y z a b c ヘッド部 22 比較手法 ○Median Filter 近傍状態の画素値を昇順に並べ、中央値を出力とする処理。 1 2 3 4 1 2 4 3 8 1-1-2-2-3-3-4-4-8 ○Center Weighted Median Filter(CWM) 中心のセルの重みを増した、 Median Filterの改良手法。 1-1-1-1-2-2-3-3-4-4-8 ○Tri-State Median Filter(TSM) 閾値によってMedian Filterの値とCWMの値と中心のセルの値を 使い分ける手法。 23 評価手法のアルゴリズム Step1 : 初期集団としてK個の個体を生成する。 Step2 : 各個体をノイズ混入画像に適用し、適応度を計算する。 Step3 : 個体の中から次世代に残す個体をトーナメント選択に よって決定する。 Step4 : Step3によって決定された個体に交叉、突然変異、転移を 行う。また、適応度の高い個体をエリート個体として保存する。 Step5 : Step4で遺伝的操作を行った個体の適応度を計算する。 Step6 : Step3からStep5までの操作を一世代として世代の上限ま で繰り返し、最良解を解として出力する。 24 ノイズ率20%での学習結果 進化のグラフ PSNR(dB) 40 30 20 10 学習画像(Lenna) 0 0 100 200 300 400 500 世代数 獲得した最良解: ルールS2 max(min(max( N1, 0 , N-1, 0 ) , N 0, 0 ) , min( N1, 0 , N-1, 0 ) ) N-1,-1 N-1,0 N-1,1 N0,-1 N0,0 N0,1 N1,-1 N1,0 N1,1 近傍状態 25 ノイズ率20%で獲得した解:ルールS2 N[-1,0], N[0,0], N[1,0]の中央値を出力するルール 近傍状態 max N-1,-1 N-1,0 N-1,1 N0,-1 N0,0 N0,1 N1,-1 N1,0 N1,1 min max N[1,0] min N[0,0] N[-1,0] N[1,0] N[-1,0] 26 Boats Barbara 未処理 17.2 0.199 16.9 TSM 30.1 0.653 25.1 混合ルール 27.8 26.4 ルールM 30.6 0.706 25.5 27