11 カメラの基本操作

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Transcript 11 カメラの基本操作

カメラの基本操作
映像表現の基礎
必要な機材をそろえ、正しく使い、性質をよく知っておくこと
~“とる”は「撮る」と「録る」である~
1 カメラ
2 三脚
3 カメラワーク
4 照明
5 録音
6 編集
1.カメラ
1.1
1.2
1.3
1.4
カメラの何を操作するのか
フォーカス ピント
ズーム 画角とパースペクティヴ
露出 感度(+NDフィルタ)、シャッター速度、絞り
色温度
これらが適正になるよう、オート/マニュアル機能を適宜使い分ける
いつどの機能をマニュアル操作するか、使えるようにしておく
ビューファインダーと液晶パネルを使いわける
液晶パネルは屋外では使いにくい/ビューファイダーは視度調節を忘れない
1.1 フォーカス
ピント
「被写界深度」という概念で理解する
=「被写界深度」とは、ピントがあっているとみなすことができる「深さ」のこと
絞りを絞ると被写界深度は深くなる
絞りを開けると被写界深度は浅くなる
画角が広角だと被写界深度は深い
画角が望遠だと被写界深度は浅い
また、CCDやフィルムが大きいと被写界深度は浅くなる=携帯電話付カメラはほとんどピン
ボケがなく、小型ビデオでも生じにくい。ディジタル一眼レフでは背景をボカした表現がしやすいという違いになる
オートフォーカスを上手に使う
人物の背景に縞模様(レンガ模様の壁や本棚、ブラインド゙等の直線が繰り返すパ
ターン)が背景にあると、そっちにピントが合ってしまうことが多い
マニュアルフォーカスでは、撮りたいものを最大アップにして ピントをあわせてから適切な構図に引く
広角だとすべてにピントがあっているように見える (広角からすぐアップにするとボケることが多い)
1.2 ズーム 画角とパースペクティヴ
画角:画面の見渡している角度(正しくは対角線画角)
広角 ワイド(w) :広く撮れる
望遠 テレ(T)狭角 :遠くのものが大きく撮れる
曖昧な指示:「大きく撮れ」=広く撮れということ?アップにしろの意味?
やや的確な指示:「寄る」「引く」
ワイドコンバージョンレンズ(ワイコン)は必需品
画角の違いで遠近感(パースペクティヴ)が変る
広角 遠近感(パースペクティヴ)が強い
望遠 遠近感(パースペクティヴ)が弱い
ズームで「寄る」のか、カメラ位置が「寄る」のかでは表現が違う
画角(正しくは対角線画角のこと)
広角(広い)
wide
標準
望遠(広角に対して狭角)
Tele
telephotographic
LensWork http://space.geocities.jp/kawananoriyuki001/syouten.html#4tu より
遠近感( perspective)
広角(遠近感が強い)
wide
望遠(遠近感弱い)
Tele
http://www.asahi-net.or.jp/~qb3k-kwsk/3dcg/know/layout/oyaji/oyaji01.htmlより
広角レンズ
カメラの場所から広く撮れる
・被写体を大きく撮るには、
近づく必要がある
・被写体はカメラを意識してしま
う
・躍動感や主体感が生まれる
ピントがボケにくい
手ブレが目立ちにくい
・パースペクティヴが強い
(近くのものは大きく/遠くのも
のは小さく撮れる)
望遠レンズ
離れた場所から大きく撮れる
・カメラを意識させずに撮れる
・静的で突き放した雰囲気が
生まれる
ピントがボケやすい
手ブレが目立ちやすい
・パースペクティヴが弱い
(近くのものも遠くのものも
あまり大きさが変わらずに
撮れてしまう)
LensWork http://space.geocities.jp/kawananoriyuki001/syouten.html#4tu
はじめての3DCGカメラ教室http://www.asahi-net.or.jp/~qb3k-kwsk/3dcg/know/layout/oyaji/oyaji01.html
http://www24.big.or.jp/~antares/photo_gallery/camera/camera18.html より
遠くから望遠で大きくして撮るか
近くに寄って広くして撮るか
広角(背景が広く撮れる)
wide
望遠(対象をクローズアップできる)
Tele
背景や状況との関係をどのように見せるか
広角
望遠
背景の状況がよくわかり被写界深度は深い
被写界深度を浅くし対象を浮き上がらせる
wide
Tele
ズームとフォーカス
マニュアルフォーカスの場合:撮りたいものを最大
アップにし、ピントをあわせてから適切なサイズに引く
広角だとすべてにピントがあっているように見える(広角からアップにするとボケること多)
望遠で撮ると
被写体が大きく撮れる/手ブレが目立ちやすい
ピントがボケやすい/背景がボケて主体が浮かび上がる
カメラが離れていて自然に撮れる/カメラとの間に邪魔が入る
パースペクティブ(遠近感)が弱い)
広角で撮ると
被写体を大きく撮るには、近づく必要がある
ピントがボケにくい/手ブレが目立ちにくい
被写体はカメラを意識してしまう/躍動感や主体感がある
パースペクティヴが強い(近くのものは大きく/遠くのものは小さく撮れる)
1.3 露出
露出=画面の「明るさ」に直接関わる
露出の3要素
感度(ゲイン)+(ここではNDフィルターも)
露出時間(シャッター速度)
絞り(アイリス)
オート露出でいい時もあるが
逆光や明るい背景の時は人物の顔が暗くなってしまう
単に「明るさ」のマニュアル調整だけでも効果あり
いざというときには「逆光補正ボタン」も使える
露出が適正でないと
露出アンダー
露出オーバー
カメラの「オート露出」には限界があるので、マニュアルで操作できるようにしておく
液晶パネルでは露出がわからないことが多い(特に屋外では)ので
ビューファインダーでよく確認する(ビューファインダーの視度調節を忘れずに)
写真はWikipedia Wikipedia:百科事典向け写真撮影のガイド 露出とは何かより
1.4 色温度(単位:ケルビン)
http://www.geocities.jp/hiroyuki0620785/lamp/collortemp.htmより
ホワイトバランス:オートにまかせるか、マニュアルで調整するか
マニュアルでは画面一杯に白紙等を撮り、それを白だとカメラに認識させ
ることで、その場所の光源の色のもとでの正しい発色の撮影ができる
太陽光を白色とすれば、白熱電球(タングステン電球)は赤く、
蛍光灯は緑(ほか)である
白熱電球を白色とすれば、太陽光は青い
晴天の日を白色とすれば、曇天の日は青い
• 現実の多くの場所はカクテル光/状況に応じてWBをとる
1.4 色温度(単位:ケルビン)
ホワイトバランスって何だろう?オリンパスイメージング
http://www.olympus.co.jp/jp/support/cs/DI/QandA/Basic/s0012.htmlより
白熱電球を白色とすれば、太陽光は青い
人間は頭の中で色を補正して認識している
太陽光を白色とすれば、白熱電球(タングステン電球)は赤い
ホワイトバランス(WB)をとる(オートでもマニュアルでも)ということは、
カメラにその場所の色温度を認識させ、人間が頭の中で描い
ているような発色をさせること
2.三脚
2.1 三脚操作の基本
・脚と雲台(ヘッド)
・組み立てと収納、搬送の方法
・石突きの使い方
・カメラとのバランス調整
・振動を伝えないv.s.遊びを持たせ常に微調整
2.2 三脚と手持ちの切り替え
・手持ち時のホールドの仕方
・ビューファインダーに目をつけて安定させる方法
目から放して液晶パネルに移行する方法
・手持ち撮影~さらに移動撮影
カメラの「ふわふわとした」ハンドリングのコツ
腰の入れ方、すり足の仕方、手首のスナップ
3.カメラワーク
カメラ(&画角)が動かないカメラワーク:
フィックス、フォーカス、フレームイン・アウト
その他
カメラが動くカメラワーク:
パン、フォローパン、スィッシュパン、ティルト、ズーム、
ドリー(移動)、クレーン
・・・それぞれの「意味性」を理解する
三脚使用、フィックスが基本(失敗しにくい)
フィックスとフォローが基本 (フィックスが基本、フォローはそれに次ぐ基本)
手持ちで振り回すカベ塗りパンは番組に使えない
下手な例、使えない例を皆で見て教材にする
ビデオカメラは手持ちができるように作られている
しかし、手持ちで作品に使える絵を撮るのは至難・経験が必要
基本はフィックス。ただし、頑迷に固定して撮ればよいわけでもない
カメラを動かしたいときは
なぜここでパンを使う必要があるのか考えて行う
「スタート」と「エンド」の構図を決める
撮影者の体の姿勢を整える
フィックス-サインカーブで加速し減速する-フィックス
“パン”はできるだけ“フォローパン”になるように
歩く人をフォローパンする・人に歩いてもらって状況を説明する
フォローパンは被写体がカメラの前を通り過ぎるとき加速する
(角速度と線速度の違いを理解する)
ズームだけでは使う機会は少ない
特にセンター・ズームは滅多なことでは使わない
パン・ティルト・ズームを同時に行う(カメラワークの腕を鍛える)
「9マス練習法」 黒板に3列3行のフレーム1~9を描き、ある番号から番号へと
パン・ティルト・ズームの練習をする
4.照明
見えるべきものを(自然に)見せる技術
3点照明(キー、フィル、タッチ)+ホリゾントが基本だが
ドキュメンタリーでは、現地にある光源や光の状態を活用
光のある場所で撮る(照明の難しい場所を避ける)が基本
照明の難しさと楽しさを知る
•
•
•
•
•
•
使いやすいハンディライトなどを組み合わせて使う
ビデオでは、ただ煌々と照らしても不自然になりやすい
真正面-トップライト-逆光 それぞれの難しさを知る
バウンス光を活用する(被写体と反対側の壁を照明)
レフ板や白い紙・板はとても有効
蛍光灯や水銀灯のフリッカー(ちらつき:シャッター速度を調整100分の1シャッ
ター速度で多くは解決)
• 暗くするのも照明の仕事
3点照明
1 キーライト
初心者はとりあえず3方向からのライティングと考えてよい
メインとなる光源で形をつくる
3 タッチライト
立体感や質感を出す
2 フィルライト
キーライトの影を和らげる
3点照明の完成
最近ではLED式のハンディバッテリーライトや
蛍光灯照明を使って
ビデオ撮影に適した柔らかくて自然なライティングが可能に
(蛍光灯照明の自作例などがインターネットで紹介されている)
携帯可能な柔い材質のレフ板(本来
は写真用)も役に立つことが多い
*本来のレフ板は剛性でないと動画には使え
ないが、揺れないよう注意深く使えば有用なこ
とが少なくないというほどの意味である
http://www.light-grafica.com/compact_led/index.html?gclid=CO3iopHJhqYCFUmMpAoddD-KpA ほかより
5.録音
5.1 マイクの基本を知り正しく使う
マイクの機能や性能、性質をよく知る
原理と構造の違い エレクトリックコンデサマイクとダイナミックマイク
指向性 無指向性、単一指向性、狭指向性
電源供給方法 電源要不要、ファンタム電源・プラグインパワー
種類・形状 ハンドマイク、ガンマイク、タイピンマイク
有線・無線 有線マイク、ワイヤレスマイク
付属品や録音用品を使いこなす
マイクグリップ、ブーム、ジャマー、ケーブルなど
規格や特性をよく知る
出力、イコライザ、マイク径、マイクスタンド径など
5.2 発言や状況を明瞭に録音する
・カメラ内蔵マイクは使わず、外部マイクを使う
・可能な限り撮影とは別に録音マンが担当する
・ヘッドフォンで聞きながら録る
・マイクはできるだけ近くに置き、音源に向ける
・ノイズの混入や発生を防ぐ
適切な風防:ハンカチ、ジャマ-、ムートン
マイクの握り方:マイクブームは威力がある
スタッフのたてる声にも注意が必要
伊藤敏朗のHPに『マイクの種類とチェックポイント』をまとめましたので、ご参照下さい
http://www.rsch.tuis.ac.jp/~ito/manual/14.htm
6.編集
編集は新たな創造だ
6.1 ノンリニア編集機の機能を使いこなす
シーケンス毎に編集をし、シーンとシーンをつなぎつつ編集することが望ましい
(そこそこのスペックのPCでないとストレスの多い編集になる・・)
6.2 映像の編集
絵とナレーションを一致させながら/ちぐはぐな絵はストレス
• 仮ナレーションを録音し、これに絵を貼っていく作業だとスムース
編集作業に入る前に仮にでも最後までシナリオを書く
設計図(シナリオ)なしに家を建てる(編集する)のは無謀で無駄
• マッチショットとジャンプショットの違いを意識
・ カットの長さ ドキュメンタリではあまり短いカットだと落ち着かない(1.2秒以上は必要)
• 編集ソフトのイフェクトを多用しない
フェードイン(F.I.)、アウト(F.O.)、ディゾルブで十分であることが殆ど
露出や色をフィルターで見やすく修正する
6.3 音の編集
ナレーションとインタビューの‘聞こえ’を第一に考える
ナレーションは1日で録音する(日をかえると調子が合わない)
ナレーションの間やピッチも編集する(スピードコントロールを使ってもよい)
ナレーションもステレオで録音する (まろやかさ、温かさが出る)・・・これは好み
現場の生の音の雰囲気や迫力を活かす
臨場感を失わずに場の雰囲気などを表現をする
音の連続性に注意して編集する
状況がわかる音も録っておく=音を録っているときはスタッフは黙る
現場音と編集で当てる音(ナレやBGM)とのバランスが命
音と絵は「時に一体」、「時に別々」のものとして編集する
音のズリ上げ・ズリ下げ・こぼし: ドラマでは、前のカットの音を、次のカットに
「こぼす」ことでスムースなつなぎができることが多い
オーディオフィルターを適切に使う イコライザ、パンポット、ノーマライズ背景の
音も聞かせるか絞るか考えて調整する
ノンリニア編集機上の絵と音の編集方法
 1本のV&Aトラ
ックで絵も音も
編集する方法が
一般的だが
 複数のV&Aトラックで絵と
音をズラしたり重ねたりし
て編集すると作品としての
完成度が高まる
 むしろこちらが基本である
6.4 音楽の編集
フリー音楽集の活用/BGMでメリハリをつける/盛り上げるところは盛り上げる
音楽そのものを編集し、とくに音楽の尻と番組の尻を合わせるのが効果的
BGMで素材を台無しにしない/音楽はなくても良い
6.5 テロップの編集
字体、色、縁取り、マットなどの工夫、長さ
しゃべり言葉は全部字幕にするのではなく要約で
耳で聴くだけでは判りにくい言葉・専門用語等はテロップで示す
6.6 図表やイラストの作成と利用
必要に応じ図表やグラフ、イラスト等を作成して使用する
小さな文字を詰め込まない/ 「セーフティゾーン」内に収める
6.7 編集に要する時間の管理/工程監理
多くの場合撮影よりも編集のほうがはるかに時間を要する
締切りから逆算して行程を監理する
マシントラブルや、修正のための時間も確保する
必要なスタッフ
必要な機材
1 撮影機材(カメラ)
&三脚
2 録音機材(外部マイク)
&ヘッドフォン
3 照明機材(ハンディライト、レフ板)
その他撮影現場で必要なもの
・ドキュメント類(シナリオ等)
・記録メディア(テープ、カード等)
・付属品:バッテリ、充電器、ワイコン、ケーブル
・搬送用品:カメラバッグ、三脚ケース
・メンテナンス用品等:ヘッドクリーニングテープ、
レンズクリーナー、ブロワー、暗幕
・サプライ用品: 筆記具工具文房具・懐中電灯
・その他プロパティ:傘、ビニルシート、椅子等
・その他、特機・操演・美術・衣装・メイク用品等
4 編集機材
PC+ソフト、TVモニター+スピーカ
1
2
3
4
5
6
7
8
ディレクター (+AD)
インタビュア
カメラマン
カメラ助手
録音マン
照明マン(+照明助手)
記録係
編集
・こう考えると映像制作には8人ぶん以上のスタッフ
の仕事があると考えておいたほうがいい
・実際にはこれらを1人~5-6人でこなすことが多い
ので誰が何の役を兼ねているのかをよく理解する
・自分の担当でなくても、口と手をだし、協力しあう