DNA複製フォークでの二量体形成

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Transcript DNA複製フォークでの二量体形成

細胞分裂に
伴うDNA複製
ゲノムとは
細胞
核ゲノム
ミトコンドリアゲノム
遺伝子 (gene)
ゲノム (genome)
染色体 (chromosome)
ゲノムとは1つの核内の染色体に含まれる全DNAのこと
ヒト細胞1つに含まれるゲノムDNAの
全長は 2 m (30億 bp, 塩基対)に達する
増殖中の細胞は,全ゲノムDNAを正確に複製し,複製したDNAを
核分裂,細胞分裂の過程を経て次世代細胞へ均等に分け伝える
1)細胞は細胞分裂の前の細胞周期の適当な時期にゲノムDNAを正確に
2倍にコピーする.この過程をDNA複製とよぶ.
2)真核細胞では,DNA複製は細胞周期の特定の時期のみに起こり,
ほかの細胞周期の事象と連動している
3)忠実なゲノムの複製は,個体と種の保存に必須であると同時に,
複製中に起きる変異は進化の原動力(分子進化molecular evolution)
となる(分子系統学)
4)この制御機構の破綻は,細胞死あるいは異常増殖につながる
二重らせん構造と半保存的複製機構
ワトソンとクリックにより提唱されたDNAの二重ら
せん構造は,DNA複製の基本原理と
なった(1953年)
その遺伝子の複製とは,DNAはそれぞれの
鎖を鋳型にして相補鎖を形成することで
親鎖とまったく同じ塩基配列を持つ
2本のDNAが正確に合成される
この合成機構では次世代二重らせんDNAの
片方の鎖に親DNA由来の鎖が保存されて
行くので半保存的複製 (semiconservative
replication)と呼ばれる
DNA複製に関する3通りの仮説
1)分散型複製
親二重らせん
親DNA
新生DNA
2)半保存的複製
3)保存的複製
ゲノムDNA複製における半保存的複製機構の証明
半保存的複製は,メセルソン-スタールの実験により証明された(1958年)
15N標識DNA
14N標識DNA
等間隔
1:1の割合
ゲノムDNA複製に関わる3段階
I )開始 (initiation)
DNA分子上の複製開始位置の確認
II )伸長 (elongation)
親ポリヌクレオチドのコピーが作製される際に
複製フォークで起きる反応
III )終結 (termination)
親分子の複製の完了過程
様々な細胞種を用いた分子生物学の進展過程
大腸菌
原核生物
DNAが細胞質に散在
線虫
酵母
真核生物
DNAが核に収納
哺乳類細胞
ヒト細胞
I. ゲノムDNA複製における開始 (initiation)
DNA分子上の複製開始位置の確認
1)DNA合成は細胞の増殖に合わせて開始されるように
調節されているが,これはゲノムDNA上の複製起点
領域に存在する複製装置において行われる
2)細菌などの原核細胞ゲノムでは1カ所の,
真核細胞ゲノムでは多数の複製起点がある
DNA複製の開始モデル;レプリコン仮説
ジャコブ,モノー,クジンらのレプリコンモデル(1961年)
DNA複製: DNA replication
1)レプリコンとは複製の単位
2)レプリコンは,イニシエーターと
レプリケーターという2つの
遺伝子座を持つ
大腸菌
3)イニシエーターは正の制御因子
としてレプリケーターに
働きかける
複製起点領域
塩基配列
DNA複製における開始場所
・DNA複製は,複製起点 (origin of replication)とよばれる特定領域
から開始される
・複製は,ゲノムに2つの複製フォークが現れ,DNA上を互いに
反対方向に向け,両方向に進行する
複製フォーク
(Y字型複製点)
細菌の環状染色体の複製
複製起点は1つ
真核生物の線状染色体の複製
複製起点は多数
ヒトでは150kbあたり1つ存在する
大腸菌の複製起点(oriC)における複製開始(1)
oriC 領域
二重らせんの開裂
5’-GATCTNTTNTTTT-3’
複製開始タンパク質, DnaA結合部位
5’-TT(A/T)T(A/C)CA(A/C)A-3’
大腸菌の複製開始に必要な最小DNA領域, oriCの構造(245bp)
大腸菌の複製起点における複製開始(2)
二重らせんの開裂
複製開始タンパク質, DnaA結合部位
oriC 領域にDnaAが結合した後に,二重らせんの開裂が起きる
この開裂を引き金として,複製機構の中の伸長反応が起きる
真核細胞の複製起点における複製開始(1)
二重らせん
の開裂誘導
タンパク質
結合部位
二重らせん
の開裂領域
複製起点認識複合体
(ORC)の結合部位
(ORS)
酵母の複製開始に必要な複製起点配列
自律複製配列(autonomously replicating sequence; ARS)の構造(200bp以下)
酵母の ARSは4種類知られ,領域Aと領域B1は,
複製起点認識配列(origin recognition sequence; ORS)と呼ぶ
* ORC ; origin recognition complex
真核細胞の複製起点における複製開始(2)
B3
ABS1結合による開裂の誘導
B2
B1
A
複製起点認識複合体
複製起点認識複合体 (ORC; 6種のタンパク質)は,DNA複製の開始と
細胞周期のタイミングを合わせる調節シグナルとの仲介を行う
ヒトをはじめとする高等真核生物の複製起点の解明は進行中である
* ORC ; origin recognition complex
II. ゲノムDNA複製における伸長 (elongation)
親DNA鎖のコピーの際に複製フォークで起きる反応
1)細胞は非常に早く,かつ正確に全ゲノムDNA鎖の合成(伸長反応)
を進めるDNA複製の中心舞台
2)DNA複製が開始されると,複製フォークがDNAに沿って移動し,
既存のポリヌクレオチド鎖に相補的なDNA新鎖を合成する過程
複製フォーク
2本鎖のDNAが分離し,
そこにデオキシリボ
ヌクレオチドが付加されて
新たに2本鎖DNAが形成される
領域を複製フォークという
伸長反応の最前線
大腸菌のDNA複製過程に見られる複製フォーク
真核細胞のDNA複製は直鎖状で,かつ複製フォークが多数存在する
二重らせんの開裂とDNA複製
DNAトポイソメラーゼ
複製
フォーク
(Y字型
複製点)
DNAトポイソメラーゼIが
複製フォークの進行方向に
ある片方の鎖に切れ目を入れる
複製が進行
DNA合成が継続
二重らせんは分子そのものを旋回させることなく,ジッパーを開けるがごとく
二本の鎖が左右に引き離され,DNAが合成されて行く
DNA トポイソメラーゼ II の活性にはATPが必要
DNAの二重らせんがねじれて絡まり合った領域
(DNA超らせん)の数や位相を調節する酵素
I 型 DNAトポイソメラーゼによるDNAトポロジーの解消(1)
1)IA 型トポイソメラーゼ(一本鎖DNA)
一方のポリヌクレオチド鎖を切断し,生じた裂け目を,他方のポリヌクレオ
チド鎖に通過させる.その後に切断鎖の両端が再び結合される酵素反応
2)IB 型トポイソメラーゼ(一本鎖DNA)
IA 型トポイソメラーゼと同様の作用を示す.進化の過程で違いが生じた酵
素反応
II 型 DNAトポイソメラーゼによるDNAトポロジーの解消(2)
3)II 型トポイソメラーゼ(二本鎖DNA)
二重らせんの両端を切断し,第二のらせん断片が通り抜ける入り口を形成
する
DNAトポイソメラーゼ自体が二重らせんを”巻き戻す”わけではなく,
複製の進行により生じる”分子のねじれ応力”を是正する働きをする
伸長反応におけるDNAポリメラーゼ(1)
5’→3’ DNA合成
DNAポリメラーゼが触媒する化学反応は,DNAポリヌクレオチドの5’→3’
方向の合成である
DNAポリメラーゼによるDNA伸長反応
プライマー鎖
DNA伸長にはDNAポリメラーゼを必要とする
DNA伸長反応
1)鋳型DNAを要求する
DNAポリメラーゼ反応
2)基質にデオキシリボヌクレオシド
5’三リン酸(dNTP)を用いる
3)脱ピロリン酸反応によりdNMPとし,
プライマー鎖の3’-水酸基末端に
リン酸ジエステル結合により付加する
( 5’ →3’伸長)
4)DNAポリメラーゼのDNA伸長反応は,
5’→3’方向の一方向合成( 5’ →3’伸長)
ピロリン酸
鋳型鎖
伸長反応におけるDNAポリメラーゼ
エキソヌクレアーゼ活性
酵素
機能
3’→ 5’
5’→3’
あり
あり
あり
あり
なし
なし
DNA修復,複製
なし
なし
なし
なし
複製時のプライミング
DNA修復
DNAポリメラーゼ δ
なし
なし
あり
あり
DNAポリメラーゼ ε
あり
なし
DNA複製
細菌のDNAポリメラーゼ
DNAポリメラーゼ I
DNAポリメラーゼ II
DNAポリメラーゼ III
DNA修復
主要DNA複製酵素
真核生物のDNAポリメラーゼ
DNAポリメラーゼ α
DNAポリメラーゼ β
DNAポリメラーゼ γ
ミトコンドリアDNA複製
主要DNA複製酵素
PCNAとともに機能する
PCNA;proliferating cell nuclear antigen増殖細胞核抗原
DNA ポリメラーゼ
一本鎖のDNA鎖を鋳型
として相補的に5’→3’
方向にデオキシリボ
ヌクレオチドを付加して
新しい2本鎖DNAを
形成する酵素
付加反応開始には,
DNAやRNAの
プライマー鎖を
必要とする
DNAを右手に
つかんでいるか
のような構造を
している
不連続複製機構と岡崎フラグメント
複製フォークでの娘鎖の伸長方向は,
5’→3’方向と3’ → 5’方向のものがある
DNAポリメラーゼの伸長方向は,
5’→3’方向のみである
DNA複製では,二重らせんの両鎖の
コピーが作製される必要がある
3’ → 5’方向の伸展には,
不連続複製を行う
3’
5’
5’
3’
伸長反応におけるリーディング鎖とラギング鎖
DNAポリメラーゼ
による5’→3’方向の
連続したDNA鎖合成
5’→3’方向に短い
DNA合成を行い,
後にDNAリガーゼ
でつないで新生(娘)
DNA鎖を合成する
(不連続複製)
岡崎フラグメント
1000bp以下
(岡崎令治博士 1969年)
3’
5’
5’
リーディング鎖
ラギング鎖
Leading 先行鎖
Lagging 遅延鎖
3’
伸長反応におけるプライマー
プライマー (primer): 火種,点火装置
鋳型依存性DNAポリメラーゼは,一本鎖DNA分
子からDNA合成ができないので,短い
2本鎖部分(プライマー)を必要とする
リーディング鎖における相補的
合成開始においても,ラギング鎖での不
連続DNA断片の合成においてもプライ
マーが必須である
リーディング鎖
ラギング鎖
DNA複製フォークで働くタンパク群
DNAポリメラーゼが働くため
には親DNA鎖に相補的な
約10ヌクレオチドの
RNAプライマーが必要
二重鎖を
ほどく
5’
1本鎖状態
の維持
3’
RNAポリメラーゼの
ひとつでプライマー
RNAを合成する
DNAポリメラーゼ III
RNA-DNA雑種分子合成
DNAポリメラーゼ I
RNAをDNAに変換
DNA複製フォークでの二量体形成
複製複合体をレプリソームとよぶ
DNAトポイソメラーゼ
超らせんのよじれの解消
Single-strand DNA
binding protein
一本鎖への塩基
結合の阻止
DNA合成が遅延しているラギング鎖では,
複製フォーク部位でループを作ることで
リーディング鎖と合成部位が揃い(同調)二
量体を形成する
helicase
二重鎖の
巻き戻し
プライマーRNAは
RNase Hにより除去
DNA ヘリカーゼ (helicase) の構造と機能
DNA ヘリカーゼは6量体で環状構造
をとる
6量体の中心を片側のDNAの一本鎖が
通り、その5’→3’方向に進むことに
よって2重らせんをほどいて一本鎖と
する
ATP加水分解で放出されるエネルギーを
用いて DNA2本鎖をほどく酵素
線状DNA分子の末端構造の保持
複製を繰り返すたびに起きる線状DNA分子の末端の短縮化が進む
最終の岡崎フラグメントは
合成されないので,複製は
不完全である
ラギング鎖
コピーの複製
RNAプライマー
配列に依存する
末端DNA
3’
5’
3’
5’
リーディング鎖
5’
リーディング鎖
3’
ラギング鎖
5’
5’
3’
3’
ラギング鎖
不連続複製では完全に複製できずに,染色体は複製のたびに短くなってゆく
3’
5’
テロメア telomere
正常培養細胞の分裂寿命は、細胞自身が持つ染色体上のテロメア短縮のた
めに起こる。
真核生物の染色体末端に存在する特殊な塩基の反復配列 (5’-TTAGGG-3’)
テロメアは染色体末端部分に位置し、5’-GGTTAG-3’の6塩基を数千回繰り
返す配列として存在する
がん細胞では、hTERT (human telomerase
reverse transcriptase)
遺伝子から、テロメラーゼ(telomerase)が作ら
れ、5’-GGTTAG-3’を伸長する。
テロメラーゼは,がん細胞と
正常幹細胞にのみ発現している
テロメアDNA合成
テロメラーゼは, RNAと
タンパク質から成り,RNAは伸展
過程での鋳型となり,
タンパク質の逆転写酵素はDNA
合成を司る
転写
新しいテロメアDNA鎖の合成
テロメラーゼ活性の調節は, テロメア
結合タンパク質 (telomere binding
protein; TBP)により調整を受ける.こ
れがなければ,複製に伴う末端短縮と
同様に染色体の欠損を招く
正常細胞
がん細胞や幹細胞
死滅
死滅
死滅
無限増殖・自律的増殖
ヘンリエッタ・ラックス
(1951年、31歳)
HeLa 細胞
(子宮頸部がん, 1951年)
がん細胞における
テロメアの生成
III. ゲノムDNA複製における終結 (termination)
親DNA鎖の複製の完了過程
複製フォークは線状ゲノムに沿って進行して行くが,転写中の領域に
至ると進行が停止する
DNA合成はRNA合成の5倍の速度で行われるが,複製複合体は
DNAポリメラーゼを追い抜くことはなく,複製フォークは
RNAポリメラーゼの後方で転写が終わるのを待つ
しかしながら,真核生物の複製終結についての知見は現在進行中である
DNA複製の終結
細菌のゲノム複製は,一定の起点から開始し,両方向に進行する
×
細菌の環状染色体の複製
細菌のゲノム複製は特定領域内で
終結するのでこのような複製は起きない
複製起点は1つ
なぜならばゲノムにはフォークの進行を停
止する終結配列 (terminal sequence)があ
るため
複製フォークが別の複製フォークを追い抜けない理由
ゲノムの周りを
一方向に移動する
複製フォークは
通過させるが,
その反対方向に
動くフォークは
進行を停止させる
複製フォークが
進行を停止する
領域
ゲノムの複製と細胞周期の連動
1.複製は細胞周期の進行と連動しており,細胞分裂が起こる時点で
ゲノムのコピー2組が準備されている
2.複製過程そのものが,ある条件下で停止することがある.
たとえば,DNAの損傷が生じ,コピー完了前に修復する必要が
ある時などである
体細胞分裂(1)
前期
核の中ではゲノムDNA
が複製され凝縮する.
核外では、紡錘体が
形成される.
前中期
核膜が分散し,
染色体は動原体を
介して紡錘糸に
結合する
中期
2つの紡錘体極の
ほぼ中間付近
(赤道面)に染色体
が並ぶ
体細胞分裂(2)
後期
終期
細胞分裂期
対をなす染色体が
紡錘糸により
二つに分かれ
紡錘体極に移動
染色体が紡錘体極
に到し,核膜を
再形成する.また
細胞質分裂に関係
する収縮管を形成
終期に形成した
収縮管が縮み
細胞が分裂して
細胞分裂を終了
間期
Interphase
前期の終わり
Late prophase
終期
Telophase
セントロメア
体細胞分裂
微小管
後期
Anaphase
中期
Metaphase
染色体の分裂は間期に起き,DNAが遺伝物質として同定されると
間期はゲノム複製の起こる過程として認識され,細胞周期の概念が構築された
細胞周期
1.分裂期 (mitosis)あるいはM期 (M phase)
核や細胞が分裂する過程
2.ギャップ 1期 (Gap 1)あるいはG1期 (G1 phase)
転写や翻訳,その他の通常見られる細胞の
生理活性事象が起こる準備過程
細胞周期
3.合成期 (synthesis)あるいはS期 (S phase)
ゲノム複製が起こる過程
4.ギャップ 2期 (Gap 2)あるいはG2期 (G2 phase)
第二の準備過程
* S期とM期に移行する直前の時期は,細胞周期チェックポイント
(cell cycle checkpoint)であり,DNA損傷などの修復不可能な
傷害があれば,細胞周期はチェックポイントで停止する
細胞周期とサイクリン
DNA複製を調節する
サイクリンの細胞周期
におけるチェックポイント
S期サイクリン
細胞周期
1)細胞周期の制御を担うのは,細胞周期において特異的機能を示す酵素や
タンパク質をリン酸化して活性化するタンパク質キナーゼである
2)同一のキナーゼが細胞周期を通じて核内部に存在するので,キナーゼ活性の
無が細胞周期を制御する
3)このキナーゼ制御には,細胞周期の時期により存在量の異なる
サイクリンやサイクリン依存性キナーゼを活性化する別のキナーゼ,
そして阻害タンパク質が関わる
有
サイクリンと活性のある複合体を形成するCdk
サイクリン
活性化複合体を形成するCdk
A
Cdc 2 (Cdk 1), Cdk 2
B
Cdc 2 (Cdk 1)
C
Cdk 8
D
Cdk 4, Cdk 6
E
Cdk 2
F
不明
G
不明
H
MO 15, Cdk 7
Cdk; cyclin-cyclin dependent kinase
CDK
サイクリン
活性化
不活性化
CDK
分解
サイクリン
CDK
結合
サイクリン
チェックポイント制御とDNA複製の忠実性
1)細胞周期のチェックポイント制御
細胞周期が秩序正しく進行するためには,一つの周期( DNA複製・ DNA
損傷・細胞の大きさ・スピンドルなど)が正常に修了してから,次の周期に
進行しなければならない.
これを可能にしているのがチェックポイント制御である.
2)DNA複製の誤りを制御する機構
DNA複製阻害の解除まで細胞分裂の一時停止
3)DNA修復,組換えとDNA複製
DNA損傷の修復まで細胞周期の進行停止
DNA複製の誤りを制御する機構
DNA鎖伸長を司るDNAポリメラーゼは,重合サブユニット自体の正確さは
10-4程度(100万ヌクレオチドを複製するたびに1度ずつ間違いをおかす)
ヒトゲノムサイズ(30億 bp)を考慮すると間違いの頻度は極めて多い
DNAポリメラーゼは重合活性に付随して,3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を持ち,間違っ
て取り込まれたヌクレオチドは除去される(ポリメラーゼの校正機能)
誤り率は10-8程度(1億回に1回)
ミスマッチ修復システムにより,除去・修復する
最終的DNA複製の誤り率は10-10程度(100億回に1回)
ゲノム不安定性
ミスマッチ修復システム機能の欠損
発がん
修復不可能なDNA複製誤りの集積
10-10程度(100億回に1回)
老化・発がん
生物進化
DNA複製の誤りが制御不能となると,遺伝情報の誤りがゲノムに蓄積し,
細胞および個体の生存を脅かす一方で,生物進化の原動力となる