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・オプション料(プレミアム)の決定要因
• e.g.ドルのコールオプション
– 現在のドルの直物レート:1ドル=79.8円
– 満期日3ヶ月後、権利行使価格:1ドル=80円
– オプション料:2円/ドル
• オプション料は直接には需給(売りと買い)のバランスによっ
て決定される。
• その背後でオプション料の決定に関与する要因
1
○コールオプションの損益
(買手:――、売手:・・・・)
損益
2
-2
82
80
3ヶ月後の
ドルレート
買手と売手の損益は横軸を対称軸として対称
2
◎スワップ
– e.g.
固定金利支払いと
変動金利支払いとの交換
、通貨スワップ
異種通貨建債務の
元利支払いの交換
3
• ○A・B社間の金利スワップの例
• スワップレート:スワップで交換される固定金利
• 変動金利として6ヶ月物LIBORを使う
– London Interbank Offer(ed) Rate:ロンドン銀行間貸
出金利
5%(固定金利)
A社
B社
LIBOR(変動金利)
4
e.g.金利スワップの取引動機の例
• A社:金利低下を見込み固定金利受取り・変動金利支
払いのスワップにより利益を得ようとする(投機)
• B社:元々変動金利の銀行借入(金利:LIBOR+0.8%)
があり、
5%
銀行借入の利払い
B社
A社
LIBOR
LIBOR+0.8%
5
・金利スワップのキャッシュフロー:契約日1996年3月1日
単位:百万ドル
金利の交換は6ヶ月単位で行う:
変動金利の支払いは6ヶ月前のレートで計算した金額
6
・銀行によるスワップ取引の仲介
仲介による銀行の利益:(5.015%-4.985%)×想定元本
銀行はリスクを仲介する業務(cf.金融仲介業務)を行っている。
4.985%
A社
LIBOR
銀行
5.015%
B社
LIBOR
銀行は多くの顧客との間でスワップ取引を行う。
7
○スワップ取引市場の概念図
インターディーラー
(業者間)取引
cf. 外国為替市場
と同じ市場構造
仲介業者
銀行A
銀行B
対顧客
取引
顧客:
a
b
c
d
e
f
銀行は、固定金利支払(変動金利受取)と固定金利受取(変動金利支
払)とがいつも一致している訳ではない。つまり、金利変動リスクを銀
行自体が抱える。その金利変動リスクをコントロールしながら、顧客か
らの金利スワップ取引注文に応じていく(スワップディーリング)。
8
・金利スワップレート(東京市場)2011年7月13日
日経新聞20110714
9
○デリバティブ取引の様式
取引所取引
・取引所に売買を集中
店頭取引
・金融機関と顧客や金融
機関同士が相対で取引
・標準化された商品
(レディメイド型)
・顧客ニーズに応じた柔軟な
商品設計が可能(テーラー
メイド型)
・受渡し期日前の反対
売買による差金決済が
ほとんど
・受渡し期日での原資産
受渡しによる決済が原則
10
・清算機関
・相対取引
買い
A社
B社
売り
・清算機関利用
清算機関
買い
A社
売り
買い
• 金融商品の現物やデリバティブの
取引において、売買契約が成立し
た取引の管理(証拠金の管理や
値洗い)や決済を行う機関
• 取引当事者の取引相手は必ず清
算機関となる
• 相対取引:
• 清算機関利用取引:
•
(証拠金の値洗いと清算機関によ
る保証)
• 取引所取引:必ず清算機関を利用
売り
• 相対取引:清算機関を利用する場
B社 合と利用しない場合がある
11
・デリバティブ取引の拡大
兆ドル
世界のデリバティブ取引残高推移
700
600
500
400
300
200
100
0
1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
店頭デリバティブ
OTC取引:店頭取引
Over the Counter
取引所デリバティブ
資料:BIS
12
○世界のデリバティブ取引のタイプ(2010年末):単位%
・店頭取引:想定元本 601兆ドル
オプショ
ン
先物
スワップ
全体
為替
4.7
1.7
3.2
9.6
金利
8.6
8.2
60.6
77.5
株式:先物にはスワップを含む
0.3
0.6
0.9
商品:先物にはスワップを含む
0.3
0.1
0.5
信用デリバティブ
5.0
全体
13.9
10.6
63.8
・取引所取引:想定元本 68兆ドル
先物
オプション
全体
通貨
0.3
0.2
0.5
金利
30.9
60.2
91.2
株価指数
1.7
6.7
8.4
全体
32.8
67.2
・取引所取引残高:
店頭取引の 11.3%
13
○新しいデリバティブ商品の登場
• デリバティブはこれまで
(マーケットリスク:為替、金利、株価等)を扱ってき
た。
• ⇒新しい動き:
–
:
(債務不履行による
損失を保証する)
クレジット・デフォルト・スワップCDSが代表的クレジット・
デリバティブ商品
:
天候異変に伴う企業収益の減少リスクを扱う
気温、降雨・降雪量、台風等
14
・天候デリバティブの例
エアコンメーカーが冷夏によるエアコン販売不振リスクを
天候デリバティブでヘッジする
土方薫『総論 天候デリバティブ』シグマベイスキャピタル p.38
15
○クレジット・デリバティブ
信用リスクを扱うデリバティブ(債務不履行による損失を保証する)
クレジット・デフォルト・スワップCDSが代表的クレジット・デリバティブ商品
・CDS取引の仕組み
貸出
・参照組織の破綻等(クレジット・イベント)が発生した場合
プロテクションの売り手が買い手に損失額(参照組織の債務
の額面-時価(清算価格) )を支払う
・企業の債務だけでなく、証券化商品を対象とするCDSも
近年活発に取引が行われていた。
16
岩田規久男『金融危機の経済学』 p.67
200
4
n.2
005
De
c.2
005
Ju
n.2
006
De
c.2
006
Ju
n.2
007
De
c.2
007
Ju
n.2
008
De
c.2
008
Ju
n.2
009
De
c.2
009
Ju
n.2
010
De
c.2
010
Ju
De
c.
兆ドル
CDS取引残高推移
70
60
50
40
30
20
10
0
BIS
17
・米国金融機関のCDSスプレッド(対価)の推移
FRB, Report to Congress, Feb. 2010, p.22
18
IMF Global Financial Stability Report, April 2008 p.79
19
CDSによる損失の保証の例
– 2008年10月:米国住宅金融公社
• 清算価格:ファニーメイ:元本の91.51%、フレディマック:94%
• CDS残高:5000億ドル
– 2008年10月:リーマンブラザーズ
• 清算価格:8.6%
• CDS残高:4000億ドル、実際に損失の保証で支払われた金
額:60~80億ドル( 4000億ドル×0.914 の 1.6~2.2%)
– 2009年6月:GM
• 清算価格:社債:11%、ローン:97.25%
• CDS残高:20億ドル
– 2010年4月:日本航空
• 清算価格:20%
20
・American International Groupの
CDS取引
– CDS保証の提供(プロテクションの売り)
• 2008年6月末時点で、4000億ドル超(AIGの自己資
本の5倍以上)
– CDS保証の履行に伴う損失増大、CDS契約に
よる追加担保の提供
– AIGの経営危機
– 2008年9月:米国政府はAIGを救済
• AIGを破綻させると、CDSで保証を受けていた多くの
金融機関等で大きな損失が発生し、金融システムが
大混乱に陥る可能性があった。
21
・ CDS取引(より広くは店頭デリバティブ
取引全体)規制の動き
• 相対取引(店頭デリバティブ)の問題点
–
• 解決策
• 全ての取引は中央清算機関を相手とする
• 取引参加者に取引内容に応じた証拠金を積ませる
– 清算機関の利用ができない非標準的なデリバティブ取引
に関しては、取引銀行に追加的な自己資本の保有を求め
る
– 取引参加者は店頭デリバティブ取引の情報を取引情報
集積機関に報告しなければならない
22
De
c.2
Ju 000
n.2
De 00
c.2 1
Ju 001
n.
De 200
c.2 2
Ju 002
n.2
De 003
c.2
Ju 003
n.2
De 00
c.2 4
Ju 004
n.
De 200
c.2 5
Ju 005
n.2
De 00
c.2 6
Ju 006
n.
De 2007
c.2
Ju 007
n.
De 200
c.2 8
Ju 008
n.2
De 00
c.2 9
Ju 009
n.
De 2010
c.2
01
0
・金融危機後:商品、株式関連、信用デリバティブの落ち込みが激しい
金利、外国為替関連デリバティブは回復傾向
各種店頭デリバティブの取引残高動向
ピーク=100とする指数
120
100
80
60
40
20
0
外国為替
BIS
金利
株式
商品
CDS
23
○第3章(2)の参考文献
• ジョン・ハル『フィナンシャルエンジニアリング』第1章 金
融財政事情研究会1998
• 大村敬一『現代ファイナンス』第8、9章有斐閣1999
• 野口悠紀夫・藤井真理子『金融工学』第9、10章ダイヤモ
ンド社2000
• 渡辺茂『ファイナンス』第2部中央経済社2008
• 井手正介・高橋文郎『ビジネスゼミナール:証券投資入
門』第11章 日本経済新聞社2001
• 水野裕二・河合祐子『信用リスク商品』ISコム2002
• 竹森俊平『資本主義は嫌いですか』第Ⅱ部 2.金融新技
術発展の功罪 日本経済新聞社2008
24