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MEG II実験液体キセノン検出器のための
大型MPPCの性能試験1
家城 佳, 他MEG IIコラボレーション
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MEG実験: μ+  e+γ search
SMを超える物理の探索
• BSMの予言: BR(μeγ) =10-12 ~10-14
γ
• 現在の上限値: 5.7×10-13 (90% CL)
(MEG実験, 2009~2011年のデータ)
μ+
信号とBG
信号: μeγ
Back to back, Ee=Eγ=52.8MeV
γ
e+
𝜇
μ+
𝑒
eγの位置、エネルギー、時間で区別
e+
新物理の寄与
(ex. SUSY)
BG:
- Radiative Muon Decay (RMD)
μeννγ
- Accidental BG
e (μeνν) +γ (e+対消滅 or RMD)
MEGMEG II にアップグレードし、5×10-14の感度を目指す。
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MEG II ~ Upgrade of MEG ~
γ: 液体Xe検出器
本発表
e+: Drift chamber
+ Timing counter
検出器の
性能向上
ビーム強度>2倍
γ
位置、エネルギー、
時間の分解能2倍
検出効率2倍
μ+
BGの更なる削減
2016年より物理ラン開始予定!
e+
RMD BG検出器
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液体Xe検出器のアップグレード
変更①: 内壁のPMTをMPPCに交換
PMTサイズによって
光子の検出効率が制限
光子検出効率の
一様性を改善
2inch PMT 216個
12x12mm2 MPPC~4000個
変更②: PMTのレイアウトを変更
γ
Energy leak減少
均一なレスポンス
1m
世界最大の液体Xe検出器(900𝑙)
846個のPMT
wider
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期待される分解能の向上
MPPC+PMT
PMT
イメージング能力が格段に向上!
γ エネルギー分布 (depth<2cm)
MEG II
MEG I
エネルギー分解能:
2.41.1% (depth<2cm)
1.71.0% (depth>2cm)
γ 位置分解能
MEG II
MEG I
log scale
位置分解能:
52.6mm (depth<2cm)
52.2mm (depth>2cm)
更に、MPPCは物質量が小さいので、γ検出効率も増加。 6369%
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液体Xe用 MPPCの開発
Hamamatsu S10943-3186(X)
要求される性能
• Xeの真空紫外光(VUV)に有感
• 大型(12×12 mm2)
• 速い応答(fall time<50ns)
- 50μm pitch pixel
- 4つの独立したchip
- metal quench resister
(抵抗の温度変化が小さい)
これまでの開発
2.5mm
• 保護膜を除去、VUV光を通すクォーツ窓で保護。反射防止膜を変更。
 VUV光に対し>15%のPDEを達成
• 大型化capacitanceの増大時定数が増加してしまう
 4分割したチップを基板上で直列接続
 Fall time<50nsを達成
液体Xe検出器に必要な性能を持つMPPCが完成!
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次のステップ
• Prototype検出器による試験
約600個のMPPCが納入された。
実装前に室温(20℃)・低温(液体Xe中)で動作試験する。
室温試験
- 全数動作試験と基礎特性の確認
- 3mm角crosstalk抑制サンプルの
性能確認
Prototype検出器
(~100𝑙 Xe)
本講演
低温試験
- 液体Xe中での動作試験(少数サンプル)
小川
- VUV光でPDE, 波形(fall time)の測定
• 実機の開発(今後)
 約4000個のMPPCを大量試験
手法の確立
MPPC×576個 (1面)
PMT×180個 (5面)
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室温における大量試験
試験の目的: 新しいMPPCの全数動作試験
実機用MPPC大量測定の手法確立
新しいMPPC
~6mm
TypeA
TypeB
TypeC
本番の検出器では更に
crosstalk抑制の仕様が
追加される予定(開発中)。
Chip間のギャップとchipの大きさが
若干異なる3種類を用意。
600個×4chips = 計2400 chips の各々について
① Gain, ② breakdown voltage (Vbd),
③ noise rate, ④ crosstalk + afterpulse 確率 (CTAP)
を測定。基礎特性に問題が無いことを確認した。
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大量試験セットアップ
読み出し基盤(PCB)
恒温槽
リレースイッチ
LED
16MPPC (=64 chips)
3段のリレースイッチによって
読み出しchipを切り替え可能。
8 読み出しch.×23 リレー設定 = 64chip
• T = 20℃
• LED trigger
• Vhama - 1.2V ~ Vhama+ 0.6Vの
10点の電圧で測定
Vhama: 浜松推奨電圧
(Vover~2.5V@20℃)
約2週間で全2400chipを測定。
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測定データの例と、問題点
全chipについて、測定不能なchipが無いことを確認した。
解析ではgainなどの特性をpulse height分布やcharge分布から算出。
1p.e. 波形の例
Pulse height分布の例
1p.e.
2p.e.
~5mV
@V=Vhama
・・・
~200ns
gain
≡ 1p.e.と2p.e.の
波高の差と定義
問題点
本測定で用いたPCBは、リレースイッチのon/offに依存して
gainが変化してしまうことが測定後に発覚した。(V=Vhamaのとき0~10%程度)
本発表の測定結果には、その影響は補正されていない。
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Breakdown voltage (Vbd)
Vbdは gain vs. Vbias のグラフを内挿することで算出した。
Vhama と Vbd
Gain vs. Vbias の例
Vhama
波の構造は、ウエハーの切り出し方に由来。
Vbd: Gain=0まで外挿
したときのVの値
Vbd
一部のchipではノイズが大きく
測定のエラーが大きい。
Vbdの値はT=20℃のとき約64V。
全2400個中19個のchipではdark noiseが多く1p.e.ピークの分別が
できなかった。しかし、液体Xeの低温(165K)ではdark noise rateが
5桁小さくなるので問題無いと考えられる。
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Noise rate
Noise rateの測定にはLED offの波形データを用いた。
2.5mV以上の信号を、dark noiseとしてカウントした。
Noise rate @ Vover=3.0V
(全chip)
※浜松におけるアセンブリの手違いにより、
noiseの多いchipが混入している。
(実機では無くなる)
Noise rateは室温で1~3MHz程度。一部4~10MHzのchipがいるが、
液体Xe中では5桁減るので問題は無いと考えられる。
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Crosstalk + Afterpulse確率 (CTAP)
測定される1p.e.信号数 = 期待1p.e.数(Poisson統計)からCTAP分減ったもの。
CTAP = 1 – (観測された1p.e.の数) / (Poissonで予想される1p.e.の数)
Charge分布の例
CTAP vs. Vover (全データ点)
CTAP
1p.e.
0p.e.
2p.e.
3p.e.
Vover=3.0VでCTAP~50%。Voverが大きいとCTAPが非常に大きくなり、
MPPC信号の測定が難しくなる。
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Crosstalk抑制サンプルの性能確認
3×3mm2のcrosstalk抑制サンプル2つを入手し、crosstalkの測定を行った。
(pixel size: 50μm)
Crosstalk抑制機構
photon
by H. Nagashima
Crosstalk確率 vs. Vover
crosstalk
pixel間の溝でcrosstalk抑制
通常サンプル(3mm角, 50μm pixel)
Crosstalk suppressed A
Crosstalk suppressed B
Crosstalk確率は通常サンプルと比べて大幅に減少している。
高いover voltageでの運用が可能。
液体Xe検出器には12mmのMPPCにcrosstalk抑制の仕様が追加される予定。
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まとめ
• 大型でVUV光に有感なMPPCが開発し、prototype液体Xe検
出器用の約600個のMPPCの動作試験を行った。
• 室温での全数試験の結果、使用不能なchipは無かった。
実機用4000個のMPPCを大量試験する手法を確立した。
• 一部のchipはdark noise rateが非常に高かったが、液体Xe
中ではrateが5桁落ちるので問題は無いと考えられる。
• Crosstalk+Afterpulse確率はVover=3.0Vで約50%であった。
これはMEG IIで問題となる大きさではないが、crosstalk抑制
サンプルでは更に約15%に削減されている。
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Backup slides
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全データ histogram
1p.e. charge @ Vover=3.0V
1p.e. pulse height @ Vover=3.0V
Breakdown voltage
Noise rate @ Vover=3.0V
CTAP @ Vover=3.0V
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全データ (vs. chip ID)
1p.e. charge @ Vover=3.0V
Noise rate @ Vover=3.0V
1p.e. pulse height @ Vover=3.0V
CTAP @ Vover=3.0V
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MPPCごとのchip間Vbdばらつき
ChipごとのVbd – そのMPPCの平均Vbd
※Relayの問題がなければ
ばらつきはもっと小さいはず。