Transcript 講義資料
計算工学I
電子情報工学科5年(前期)
8回目(04/6/2015)
担当:古山彰一
([email protected])
チェビシェフ補間
𝑛を0以上の整数として、𝑇𝑛 = cos 𝑛𝜃 (0 ≤ 𝜃 ≤ 𝜋)を考える。
𝑇0 = 1,
𝑇1
= 𝑐𝑜𝑠𝜃,
𝑇2 = 𝑐𝑜𝑠2𝜃 = 2𝑐𝑜𝑠 2 𝜃 − 1,
𝑇3 = 𝑐𝑜𝑠3𝜃 = 4𝑐𝑜𝑠 3 𝜃 − 3𝑐𝑜𝑠𝜃
ここで 𝑥 = 𝑐𝑜𝑠𝜃 とおくと、𝑇0 , 𝑇1 , 𝑇2 , 𝑇3 はすべて𝑥の多項式になる。
𝑇0 (𝑥) = 1,
𝑇1 (𝑥) = 𝑥,
𝑇2 (𝑥) = 2𝑥 2 − 1,
𝑇3 (𝑥) = 4𝑥 3 − 3𝑥
𝑇𝑛 𝑥 = 2𝑥𝑇𝑛−1 𝑥 − 𝑇𝑛−2 𝑥 , (𝑛 ≥ 2) となりそう。
𝑇4 𝑥 = 2𝑥𝑇3 𝑥 − 𝑇2 𝑥 = 2𝑥 4𝑥 3 − 3𝑥 2 − 2𝑥 2 − 1 = 8𝑥 4 − 8𝑥 2 + 1
𝑇5 𝑥 = 2𝑥𝑇4 𝑥 − 𝑇3 𝑥 = 2𝑥 8𝑥 4 − 8𝑥 2 + 1 − 4𝑥 3 − 3𝑥 = 16𝑥 5 − 20𝑥 3 + 5𝑥
𝑇𝑛 𝑥 は𝑥の𝑛次の多項式で𝑥 𝑛 の係数は2𝑛−1 に等しい。この𝑇𝑛 (𝑥)をチェビシェフ(Chebyshev)多項式という。
次ページのような表を書ける。
𝑇2 (𝑥) = 2𝑥 2 − 1
𝑇5 (𝑥) = 16𝑥 5 − 20𝑥 3 + 5𝑥
𝑇𝑛 は三角関数なので積を和に直す公式が仕えて以下のような関係が導かれる。
1
𝑇𝑚 𝑥 𝑇𝑛 𝑥 = 𝑇 𝑚−𝑛 𝑥 + 𝑇𝑚+𝑛 (𝑥)
2
ここで、逆に𝑥 𝑛 をチェビシェフ多項式で表す。
1
1
𝑥 2 = 𝑥𝑥 = 𝑇1 𝑥 𝑇1 𝑥 = 𝑇0 𝑥 + 𝑇2 (𝑥) = 1 + 𝑇2 (𝑥)
2
2
1
1
𝑥 3 = 𝑥 2 𝑥 = 1 + 𝑇2 (𝑥) 𝑇1 𝑥 = 𝑇1 𝑥 + 𝑇2 (𝑥)𝑇1 (𝑥)
2
2
1
1
1
= 𝑇1 𝑥 + 𝑇1 𝑥 + 𝑇3 (𝑥) = 2 3𝑇1 𝑥 + 𝑇3 (𝑥)
2
2
2
以下、𝑥 4 , 𝑥 5 , ⋯ もチェビシェフ多項式で表すことができて、次ページのような表を書くことができる。
𝑛=3
3𝑇1 (𝑥) + 𝑇3 (𝑥)
これに2−(𝑛−1) をかけたも
の。
つまり、
𝑥3 =
1
3𝑇1 (𝑥) + 𝑇3 (𝑥)
22
となる。
チェビシェフ多項式の基本的な諸性質
𝑇𝑛 (𝑥) ≤ 1, −1 ≤ 𝑥 ≤ 1
𝑇2𝑛 (𝑥)は偶関数であり、𝑇2𝑛 1 = 1, 𝑇2𝑛 0 = (−1)𝑛
𝑇2𝑛+1 (𝑥)は奇関数であり、𝑇2𝑛+1 1 = 1, 𝑇2𝑛+1 0 = 0 (𝑛 ≥ 0)
微分と積分に関しては
𝑑
𝑛
𝑇 𝑥 =
𝑇
𝑥 − 𝑇𝑛+1 (𝑥)
𝑑𝑥 𝑛
2(1 − 𝑥 2 ) 𝑛−1
1
𝑇1 𝑥 𝑑𝑥 = 𝑇2 (𝑥)
4
𝑇0 𝑥 𝑑𝑥 = 𝑇1 𝑥 ,
1 𝑇𝑛+1 (𝑥)
𝑛+1
𝑇𝑛 𝑥 𝑑𝑥 = 2
1
−1
−
𝑇𝑛−1 (𝑥)
𝑛−1
𝑇2𝑛 𝑥 𝑑𝑥 = −
,
𝑛 ≥ 2 (積分定数は省略)
1
2
2𝑛
2
𝑛≥1
−1
,
𝑇2𝑛+1 𝑥 𝑑𝑥 = 0 (𝑛 ≥ 0)
−1
最良近似多項式
𝑄𝑛 (𝑥)を𝑥の𝑛次の多項式とする。
区間[-1, 1]において、𝑄𝑛 (𝑥)をチェビシェフ多項式で表したものを、
𝑄𝑛 𝑥 = 𝑐0 𝑇0 𝑥 + ⋯ + 𝑐𝑛−1 𝑇𝑛−1 𝑥 + 𝑐𝑛 𝑇𝑛 (𝑥)
とする。
このとき、𝑄𝑛 (𝑥)から𝑐𝑛 𝑇𝑛 (𝑥)を削除した次の式
𝑆𝑛−1 𝑥 = 𝑐0 𝑇0 𝑥 + 𝑐1 𝑇1 𝑥 + ⋯ + 𝑐𝑛−1 𝑇𝑛−1 𝑥
は区間[-1, 1]における𝑄𝑛 𝑥 の 𝑛 − 1 次の最良近似多項式である。
実際に𝑛次の多項式𝑓 𝑥 の𝑛 − 1次の最良近似多項式を求めるには、𝑇𝑛 (𝑥)を𝑥の多項式
で表した式を0とおき、この式から𝑥 𝑛 の項に代入して、𝑛 − 1次式を作ればよい。
例題) 区間[-1, 1]において、
𝑦 = 2𝑥 4 − 𝑥 3 + 5𝑥 + 1の3次の最良近似多項式を求めなさい。
𝑇4 𝑥 = 8𝑥 4 − 8𝑥 2 + 1 だから、この式を0とおき、𝑥 4 について解くと、
1
4
2
𝑥 =𝑥 −
8
これを𝑦に代入して、
3
3
2
𝑦 = −𝑥 + 2𝑥 + 5𝑥 +
4
だいたいこんな感じで、[-1, 1]の範囲であれば、
4次式を3次式で近似できる。
課題1: 教科書p.94の例題2に従い計算しなさい。マクローリン展開で5次の項まで考慮したもの
と、3次の項まで考慮したもの、1次の項まで考慮したもので近似式を導出しなさい。さらにgnuplot
を用いて、[-1, 1]の範囲で、f(x)=sin x と、5次の近似式、3次の近似式、1次の近似式を重ねて描き
なさい。
変更
課題1: 教科書p.94の例題2に従い計算しなさい。マクローリン展開で3次の項まで考慮したもので
近似式を導出しなさい。さらにgnuplotを用いて、[-1, 1]の範囲で、f(x)=sin x と、3次の近似式重ねて
描きなさい。
チェビシェフ補間
零点
𝑇𝑛+1 (𝑥)の零点は𝑇𝑛+1 𝑥 = 0より、𝑐𝑜𝑠 𝑛 + 1 𝑐𝑜𝑠 −1 𝑥 = 0。
いま、𝑐𝑜𝑠 −1 𝑥 = 𝜃とおくとcos 𝑛 + 1 𝜃 = 0
𝑛 + 1 𝜃 = 𝑘𝜋 +
𝜋
,
2
𝜃=
2𝑘 + 1
𝜋 (𝑘 = 0, 1, ⋯ , 𝑛)
2(𝑛 + 1)
この各𝜃に対する𝑐𝑜𝑠𝜃が求める零点となる。すなわち、𝑇𝑛+1 (𝑥)の零点は、次の𝜁0 , 𝜁1 , ⋯ , 𝜁𝑛 の(𝑛 + 1)個である。
2𝑘 + 1
𝜁𝑘 = 𝑐𝑜𝑠𝜃𝑘 ,
𝜃𝑘 =
𝜋,
(𝑘 = 0, 1, ⋯ , 𝑛)
2(𝑛 + 1)
この𝑇𝑛+1 (𝑥)の零点𝜁0 , 𝜁1 , ⋯ , 𝜁𝑛 において、チェビシェフ多項式は次のような性質を持つ
𝑛
𝑇𝑗 𝜁𝑘 =
𝑘=0
𝑛
𝑇𝑖 𝜁𝑘 𝑇𝑗 𝜁𝑘
𝑘=0
𝑛+1
0
(𝑗 = 0)
(1 ≤ 𝑗 ≤ 𝑛)
𝑛 + 1 (𝑖 = 𝑗 = 0)
𝑛+1
=
(𝑖 = 𝑗 ≠ 0)
2
0 (𝑖 ≠ 𝑗)
チェビシェフ多項式による補間公式
閉区間[-1, 1]で定義された関数𝑓(𝑥)の𝑇𝑛+1 (𝑥)の零点𝜁0 , 𝜁1 , ⋯ , 𝜁𝑛 を補間点とする
補間多項式𝑓𝑛 𝑥 を𝑇0 𝑥 , 𝑇1 𝑥 , ⋯ , 𝑇𝑛 (𝑥) で表し、
𝑛
𝑓𝑛 𝑥 =
𝐶𝑗 𝑇𝑗 (𝑥)
𝑗=0
とおく。このとき各係数𝐶𝑗 は次の式で与えられる。
1
𝐶0 =
𝑛+1
2
𝐶𝑗 =
𝑛+1
𝑛
𝑛
𝑓(𝜁𝑘 )
𝑘=0
𝑓 𝜁𝑘 𝑇𝑗 𝜁𝑘 ,
𝑘=0
𝑗 = 1, 2, ⋯ , 𝑛
𝑓𝑛 (𝑥)を 𝑓 𝑥 の𝑛次のチェビシェフ補間多項式という。
p.98例題3: 𝒚 = 𝒆𝒙 (−𝟏 ≤ 𝒙 ≤ 𝟏)を𝑻𝟔 (𝒙)の零点で補間して、チェビシェフ補間多項式を
求めなさい。また、それより𝒙 = 𝟎, 𝒙 = 𝟎. 𝟓, 𝒙 = 𝟏のときの値を求めよ。
𝑇6 (𝑥)の零点なので、𝑛 = 5
𝜁𝑘 = 𝑐𝑜𝑠
2𝑘 + 1
𝜋
12
𝑇𝑗 (𝜁𝑘 ) = 𝑐𝑜𝑠
𝑗(2𝑘 + 1)
𝜋
12
計算がめんどいので、excelをじゃんじゃん使いましょう。
k
0
1
2
3
4
5
SUM
C
Zk
0.965928
0.707123
0.258856
-0.25877
-0.70706
-0.9659
f(x)
2.627224
2.028148
1.295448
0.772003
0.493093
0.380639
7.596555
1.266092
T1(x)
0.965928
0.707123
0.258856
-0.25877
-0.70706
-0.9659
T2(x)
0.866033
4.63E-05
-0.86599
-0.86608
-0.00014
0.86594
T3(x)
0.707123
-0.70706
-0.70719
0.706992
0.707254
-0.70693
T4(x)
0.500027
-1
0.499866
0.500187
-1
0.499706
T5(x)
0.258856
-0.70719
0.965976
-0.96586
0.706861
-0.25841
fT1
2.537709
1.434151
0.335335
-0.19977
-0.34865
-0.36766
3.39112
1.130373
fT2
2.275263
9.4E-05
-1.12184
-0.66862
-6.9E-05
0.329611
0.814443
0.271481
fT3
1.857771
-1.43402
-0.91613
0.5458
0.348742
-0.26908
0.133086
0.044362
fT4
1.313682
-2.02815
0.647551
0.386146
-0.49309
0.190208
0.016345
0.005448
ところで今、𝑇6 (𝑥)の零点で補間してチェビシェフ多項式を求めるので、補間公式より
𝑒 𝑥 ≈ 𝐶0 𝑇0 𝑥 + 𝐶1 𝑇1 𝑥 + 𝐶2 𝑇2 𝑥 + 𝐶3 𝑇3 𝑥 + 𝐶4 𝑇4 𝑥 + 𝐶5 𝑇5 𝑥
となるが、これを𝑥の多項式で表すと、
𝑒 𝑥 ≈ 𝐶0 + 𝐶1 𝑥 + 𝐶2 2𝑥 2 − 1 + 𝐶3 4𝑥 3 − 3𝑥 + 𝐶4 8𝑥 4 − 8𝑥 2 + 1 + 𝐶5 16𝑥 5 − 20𝑥 3 + 5𝑥
= 1.000041 + 1.000017𝑥 + 0.4992𝑥 2 + 0.166544𝑥 3 + 0.043776𝑥 4 + 0.00864𝑥 5
これより、
𝑒 0 ≈ 1.000041,
𝑒 0.5 ≈ 1.648679,
𝑒 1 ≈ 2.718238
fT5
0.680074
-1.43428
1.251371
-0.74564
0.348548
-0.09836
0.001705
0.000568
ルジャンドル多項式
𝑷𝒏 (𝒙)の基本的な性質
1 𝑑
2 − 1 )𝑛 , (𝑛 = 0, 1, 2, ⋯ )
𝑛𝑃 𝑥
𝑃𝑛 𝑥 = 𝑛
(𝑥
a.
𝑃
−𝑥
=
−1
𝑛
𝑛
2 𝑛! 𝑑𝑥 𝑛
1 𝑑0 2
0
𝑃0 𝑥 = 0
(𝑥 − 1) = 1
0
2 0! 𝑑𝑥
1 𝑑
𝑃1 𝑥 = 1
(𝑥 2 − 1) = 𝑥
2 1! 𝑑𝑥
𝟏 𝒅𝟐 𝟐
𝟐
𝑷𝟐 𝒙 = 𝟐
(𝒙 − 𝟏) =?
𝟐
𝟐 𝟐! 𝒅𝒙
𝑷𝟑 𝒙 =?
b. 𝑃𝑛 1 = 1, 𝑃𝑛 −1 = (−1)𝑛
c.
1 𝑘
𝑥 𝑃𝑛
−1
𝑥 𝑑𝑥 = 0
(𝑛 ≥ 1, 𝑘 = 0, 1, 2, ⋯ , 𝑛 − 1)
C’. 高々𝑛 − 1次の多項式𝑄(𝑥)に
1
対して、 −1 𝑄 𝑥 𝑃𝑛 𝑥 𝑑𝑥 = 0
d. 𝑃𝑛 𝑥 = 0は相異なる𝑛個の実数解
を開区間(−1, 1)内に持つ
課題2: 𝑷𝟐 𝒙 , 𝑷𝟑 𝒙 を求めなさい。
課題
1. 課題1、課題2を行う。
2. 演習問題5、全部。エクセルや場合によってはプログラムで解いても良いです。
計算結果の解の精度を見るために、適宜gnuplotなどを用いてグラフなども入
れてください。
上記課題をレポートにまとめてpdfファイルにしたうえで、6/11(来週の木曜
日)23:59までに古山までメールで提出([email protected])しなさい。
なおファイル名は、08i5??.pdf とする。??は二桁の出席番号。