平成26年3月19日愛媛大学 医療需要予測と医療提供

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Transcript 平成26年3月19日愛媛大学 医療需要予測と医療提供

平成26年3月19日愛媛大学
医療需要予測と医療提供
千葉大学予防医学センター臨床疫学
(兼)医学部附属病院地域医療連携部
藤田伸輔
文化遺産? 未来遺産?
「老舗とは変わり続けること」
「守るのは心、形ではない」BY虎屋
2
第一章
将来は予測できるか?
3
ビジネス:
新たな需要の創出が莫大な利益をもたらす
医療・介護:
新たな需要を創出してはならない
より良いサービスの提供
隠れた需要の発見
4
医療需要の予測方法
1
過去からの線形推測
今日は昨日の続き=明日は今日の続き
第二次世界大戦後医療需要(患者数)は増加
いつか全国民が患者に
医療需要の予測方法
2
医療者数からの線形推測
今日は昨日の続き=明日は今日の続き
医療需要の予測方法
3
受療率から推測
今日は昨日の続き=明日は今日の続き
全国入院患者数・外来患者数予測
全入院
1.2倍
1.04倍
•2010年の状況
に比べて、入院
患者数は1.2倍
に増加、外来患
者数は1.04倍に
増加する。
•2030年以降は
医療需要が低下
する。
50
歳
2010
2020
2030
現在既に沖縄を除く全都道府県で高齢化率は20%を超えている。
2020年までには沖縄を除く全都道府県で25%を超え、東京、愛知、大阪などの人口集中地域
でも2040年までに25%を超える。しかし高齢者人口が増えるのは大都市圏のみである。
2015
+20万人
+40万人
+60万人
2020
+20万人
+40万人
+60万人
2030
+20万人
+40万人
+60万人
2040
2045
2050
2040年には高齢化の峠を越える地域が出現する。埼玉、千葉、神奈川、愛知、大阪、福岡等
では横ばいとなるが、東京だけは高齢化が進行し2050年には38%に達する。
高齢者の実数では東京では100万人の増加となる。
2040
+20万人
+40万人
+60万人
+80万人
+100万人
2045
+20万人
+40万人
+60万人
+80万人
+100万人
2050
+20万人
+40万人
+60万人
+80万人
+100万人
26-11月-12
手術患者の高齢化
•12年間に手術患者は急速に高齢化している
• 胃潰瘍手術や胆石症手術は確実に減少した
• 内視鏡下手術は高齢者の手術を容易にした
• 高齢化に伴い関節手術・骨折手術・眼科手術が急増している
55yo
1996年
2008年
65yo
大正9年を基準
とした人口推移
昭和50年を基準
とした人口推移
医療費と医師数
2006
1996
医師数と医療費は関係ない
介護保
険
1973
千
葉
県
印
東葛南部 旛
香取
海匝
千葉
市原
君
津
安房
全国のデータについてはお問い合わ
せください。
関東地方へ
戻る
関東地方へ
戻る
医療需要
の増減
外来
入院
減少
減少
減少
増加減少
増加減少
増加現行
増加現行
増加微増
増加現行
増加
増加
増加
需要過多の地域を抽出した地図(2015年)
需要が超過する地域はほとんど見ら
れない。
15
千葉大学高齢社会医療政策研究部土井先生作成
需要過多の地域を抽出した地図(2020年)
東葛南部医療圏、千葉医療圏で 超
過地域が発生し始める。
16
千葉大学高齢社会医療政策研究部土井先生作成
需要過多の地域を抽出した地図(2025年)
JR総武線、国道14号線沿線に超過地
域が密集している。
17
千葉大学高齢社会医療政策研究部土井先生作成
需要過多の地域を抽出した地図(2030年)
需要がピークを迎える。赤色のメッシ
ュが目立つようになる。
18
千葉大学高齢社会医療政策研究部土井先生作成
需要過多の地域を抽出した地図(2035年)
需要はやや落ち着くものの、超過地
域に変動はほとんどない。
千葉大学高齢社会医療政策研究部土井先生作成
19
愛媛県
今治
松
山
八幡浜
大洲
宇
和
島
新居浜
西条
宇摩
四国地方へ
戻る
年齢階級別外来受療率の変化
長期処方解禁
年齢階級別入院受療率の変化
長期入院抑制
中間まとめ
• 医療需要は人口構成の変化の影響を受ける
– 高齢化により医療/介護需要が増大する
– 人口減少により医療/介護需要が減少する
• 医療の進歩により医療が変化する
–
–
–
–
高齢者への対応
コ・メディカルの増員
チーム医療の推進
低侵襲医療の開発
• 医療政策によって医療が変化する
– 長期処方の解禁
– 入院日数の短縮
Social Responsibility
• 全県民の健康
• 都会の医療
• 僻地の医療
• 受診中断者
• 未受診者
• 未来の健康
困難度
受診間隔を調べて連絡
スクリーニング
知識普及
30
第二章
新たな医療への対応
職員の意識改革
志気の低い組織は崩壊する
• 品質はプライドで作られる
– 細心の注意が品質を均質にする
– プライドが品質向上を提案する
– 「恥ずかしい」が重要
• 効率はプライドで促進される
– 段取りの良さが効率を決める
– 段取りは個人の頭の中にある
– 機械的な効率化はやる気をなくす
志気はどこから来るのか
• 組織に属することが嬉しい
–
–
–
–
組織の中で居心地が良い
自分の価値を認めてくれる
自分の働きが実感できる
他部署から認めてもらえる
• 組織の評価が高い
–
–
–
–
–
最新の設備
最新の技術
患者の評価
周囲の評価
世間の評価
東京慈恵会医科大学葛飾医療センター
•
2002年11月8日、東京慈恵会医科大学附属青戸病院の医師3人が、前立腺癌の患者に対し、内視
鏡を用いて摘出する腹腔鏡下手術を行った。腹腔鏡下手術は開腹手術と比較して術後の臥床期
間を短縮することができるメリットがあるが、手術の術野が狭くて遠近感がつかみ難いなど技術の
難易度が高いデメリットがあった。医師3人は腹腔鏡手術がうまくいかずに大量の術中出血を起こ
し、それでもより確実な開腹手術をせずに腹腔鏡下手術を続行し、開始からほぼ12時間後により確
実な手法の開腹手術にようやく切り替えた。手術終了後に男性患者は大量出血による脳死状態に
なり、約1カ月後の12月8日に死亡した。
事件後
フレッシュ
プロジェクト
を開始
千葉大(平成17年)退院前カンファレンス
• 主治医
– 早く帰して下さい
自己の関心に集中
• MSW
– すぐに探します
自己の関心に集中
• リハ
– ADL回復がまだです
– もう少し訓練を
自己の関心に集中
• Ns
– お家は可哀想
– リハのある施設では
自己の関心に集中
自宅生
活の意
義
意識改革作戦
医療の意義の再確認
ICFの紹介
退院先見学ツアー
フラットな組織への変革
グループ討論の導入
独善的改革の提示
プライドの醸造
病床稼働率全国1位
ポスター展・連携の会
ICFの理念図
Health Condition
健康
Body Functions &
Structure
身体機能と構造
Environmental
Factors
環境因子
Activity
生活
病院では
社会活動を
回復できない
Participation
社会活動
Personal Factors
個人的な因子
医療の目的は何ですか
• 疾病の治療
• 苦痛の除去
• 疾病増悪の阻止
看取ることは敗北ですか
38
第三章
コミニュケーション
39
医療訴訟と医療の質
Brennann et al. New Eng J Med 324:370-76;1991
通常の結果:96%
入院医療
正当な診療:72%
良くない結果:4%
係争無し:98%
不良な診療:28%
訴訟・調停:2%
医療機器・2重確認
医療費の高騰
過誤無し:80%
医療訴訟
過誤有り:20%
医療訴訟された医師は患者評価によると医療の質が低い
コミュニケーションの得点が特に低い
Hickson et al. JAMA 272:1583-87;1994
聞くとはどう言うこと?
• 傾聴:
• 社会的弱者は本音を語りにくいので、言葉にできないので、言葉にできない声を聞き出す作業。ソー
シャルワークで特に重要。
• 尊聴
• 人生経験を貴重なものとして尊敬の念をもって聞き出す作業。認知症や終末期で特に重要。
• 順聴
• 時系列を重視して聞き出す作業。物事の因果関係、感情の変化、病状の推移を探る際に特に重要。
• 関聴
• 聞き手の関心事項を中心に聞き出す作業。物事の本質をつかむために専門家の視点から効率よく
情報を引き出す。
• 然聴
• 語り手の言葉を脚色を交えずにあるがままを聞き取る作業。時に冗長となるが、その冗長さも情報と
なる。
• 流聴
• 語り手が話す内容よりも、話の流れに着目してその関連性・論理性を評価する作業。心理学や精神
科で特に重要。
こばなし
•
「師聴」って言葉を思いつきました。
•
どういう意味だい?
•
いや、医師だとか、師長だとか、師がつく人は、人のいうこと
には耳を傾けずに、命令だけするんです
バスケットボール
•
今からビデオを見ます。
•
白いシャツの人と黒いシャツの人がいます。
•
白いシャツに人たちは何回パスしたでしょうか?
http://www.theinvisiblegorilla.com/video
s.html
視覚のパラドクス
•
•
見たいものを見る
•
注意を集中するとそれだけが見えます
•
網膜の中心部にはたくさんのカラー細胞があります
•
周辺部はカラー細胞が少なく白黒で歪みもあります
連続して動く気がします
•
遮断機の信号が動いて見える
•
ボールが落ちてくるように見える
情報のパラドクス
•
•
情報を扱おうとする人に情報が集中する
•
情報は財産です
•
お金がない人には情報が必要だけど届きません
•
専門家には専門情報が集中します
日本では情報が溢れています
•
新聞にはたくさんの情報があります
•
経済に関心のある人は経済欄だけ見ています
•
夕食を作る人はスーパーの広告を見ています
•
患者さんは多くの情報を発しています
•
自分の知りたい情報以外に相手の伝えたい情報を受け取りましょう
二人一組で非言語化情報を試そう
•
喜びを伝えてみましょう
•
口を動かさずに喜びを伝えてみましょう
•
悲しみを伝えてみましょう
•
口を動かさずに悲しみを伝えてみましょう
•
目は口ほどにものを言う
•
本当でしたか?
コミュニケーションとは
•
一方向性の情報伝達
•
双方向性の情報伝達
•
一方向性の感情・意思伝達
•
双方向性の感情・意思伝達
•
言語化情報30%、非言語化情報70%
•
説得する、悟らせる、自分で思いついたと思わせる
新聞を読む
事務連絡をする
読者の声
質疑応答
演劇や演奏など
しゃべれない人の看護
会話
質疑応答
コミュニケーションの勉強は?
• 接遇セミナーではダメです
• 気持ちを込めたコミュニケーションを
コミュニケーションカルテ
•
•
•
•
主治医用カルテ: SOAP
多職種協働アウトカム型カルテ: パス
目標設定型カルテ
気持ち志向型カルテ
49
BPSD:物盗られ妄想からの攻撃的態度
Aさん。78才女性。夫は7年前に他界。子供は3人。趣味は音楽鑑賞、編み物。
平成21年3月にアルツハイマー型認知症と診断され同5月から有料老人ホーム入所中。
食事・排泄・更衣は自立。リクリエーションは「バカみたい」と好まない。
同じ服の着用を続けるため職員が着替えを勧めたが、「毎日コーディネートしている」と立腹。
平成22年7月「お気に入りのCDを男子職員Bさんに取られた」と騒いだ。「すぐ見つかるよ。探してごら
ん。」と施設では取り合わず。翌日は騒がなかったため問題視していなかった。
10日後再度「CDを盗られた」と騒ぎ出した。以後ほぼ毎日のように物盗られ妄想が出現したが、しば
らくたつと収まるため様子を見ていた。
8月になり、「CDを盗られた」と騒いだ際に、最初に犯人とされた男子職員Bさんが、ショールにくるま
れたCDを発見し、「ここにあったよ」といった。Aさんはただちに「ほら、やっぱりあなたが犯人じゃな
い!」「みなさん、泥棒ですよ!警察を呼んでください!」と大騒ぎした。その後も「Bさんは泥棒よ!」
と騒ぎ、Bさんを見かけるたびに殴りかかろうとするようになった。
BPSD:物盗られ妄想からの攻撃的態度
心身機能・構造
アルツハイマー型
(平成21年3月診断)
活動
ADL自立
同じ服を着る
CDの置き場所を失念
環境因子
職員の態度
「すぐ見つかるよ」
「探してごらん」
取り合わない
Bさんの態度
ショールにくるまれたCDを発見
「ここにあったよ」
参加
リクリエーションは好まない
「バカみたい」
CDを盗られたと騒ぐ
Bさんを泥棒と断じる
「ほら、やっぱり犯人」
「警察を呼んでください」
個人因子
78才女性
夫と死別
3人の子供と別居中
有料老人ホーム入所中
趣味:音楽鑑賞、編み物
職員Bさんの気持ち
主治医の気持ち
早くCDを見つけてあげたい
認知症薬の増量・変更を検討
患者さんの気持ち
私も何かしたい
なんだかとても不安
患者さんの目標
役に立つ自分の再認識
できるだけ安寧に過ごして欲しい
{不明}
他の職員の気持ち
家族の気持ち
ケアマネの目標
主治医の目標
患者さんの目標
家族の目標
訪問看護師の目標
在宅と病院
在宅
医療
介護
生活
病室内でできる医療
はほぼ可能
点滴
輸血
人工呼吸器
検査は限定的
ヘルパー
福祉用具
家族
訪問看護師
自分のルール
施設・主治医に
よって大きな差
病院
施設の能力全て
看護師等
病院のルール
寝起き
食事
入浴
面会
在宅と病院
医療
在宅
病院
介護
生活
介護保険
1割負担
食費
レンタル用品
福祉用具、介護用品
の購入
医療保険
1-3割負担
3-7万円/日
なし
食費
寝具費
個室代
お見舞い交通費
高額療養費
医療費控除
生命保険
認定介護度による
サービス利用限度額
訪問診療費
訪問看護費
往診料
医療保険
1-3割負担
ケースバイ
ケース
在宅と病院
• 一番の差は主人
在宅
病院
ホスト
医療及び生活
患者さん
(家族?)
全ては患者の意思
在宅診療の継続
主治医の交代
入院診療への切り替えも可
医師
全ては主治医の許可のもと
食事・睡眠・治療
在宅医療は満足を目指す医療
医者の態度が気に入
らない
治療に納得できない
玄関に鍵をかける
患者さんとご家族が満足しないと
クビになります。
望みの医療機関を
受診する
雑誌で見た治療はどう
か
在宅医療は自由です!
人口超密集地
人口密集地
過疎化都市
過疎集落
特徴
100万人以上 高齢
化率28%以下
40歳以下30%以上
30万人以上
高齢化率35%以下
40歳以下20%以上
その他
5000人以下
大病院(400-)
・高度専門医療
・教育病院
中病院(-400)
ー
・高度専門医療
・教育病院
ー
小病院(-200)
・単科専門医療
・療養型
大診療所
・在宅拠点
・複数専門診療
救急・在宅拠点
一人診療所
・専門診療
・GP
・在宅・往診
・GP
・専門診療
GP
出張診療所
ー
ー
救急・在宅拠点
ー
近隣の中核
・救急拠点
・在宅拠点
予防医学データ解析システム
病名
システム
DWH
システム
調達の範囲
検査
システム
病院情報
システム
手術
システム
薬剤
システム
病名
システム
医事
システム
診療情報(DWH)と医事データか
ら必要なデータを収集
遺伝子データを付加
データ抽出
システム
抽出データを標準化(HL7)する
匿名化・監査しデータを保存
クラウドシステムにデータをアップ
ロードする
データ加工
システム
Firewall
遺伝子解析
システム
クラウドサーバにてデ
ータ解析する
データ解析
システム
医療の心を守って何をするか
•
•
•
•
科学医療
診療をエビデンスに
思い込みの排除
科学の追求
•
•
•
•
コミュニケーション医療
患者とのコミュニケーション
多職種コミュニケーション
ヒューマンサイエン
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