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消費関数論争
マクロ経済分析
2013.4.11
畑農鋭矢
2つの消費関数
C:消費、Y:可処分所得、 0<a<1
消費関数の型
クズネッツ型 C=aY
(b=0)
ケインズ型 C=aY+b (b>0)
限界消費性向
Yを1円だけ増加したときCの増加は?⇒a円
平均消費性向=C/Y
C
a
クズネッツ型
⇒一定
Y
C
b
ケインズ型
⇒経済成長とともに低下
a
Y
Y
時系列と横断面の比較
300
国民経済計算1955~98年
250
一
人
あ 200
た
り
消 150
費
(
万 100
円
)
50
家計調査1997年
家計調査1997年
国民経済計算1955~98年
0
0
50
100
150
200
250
一人あたり可処分所得(万円)
300
消費関数の推定
消費関数 C=aY+b の回帰分析による推定
C:1人あたり消費、Y:1人あたり可処分所得
国民経済計算
家計調査
1955~98年
1997年
1990年
1980年
変数名
a
b
決定係数
係数
0.863
-3.254
0.993
(t値)
(76.11)
(1.71)
係数
0.564
26.378
(t値)
(35.74)
(9.68)
係数
0.621
18.847
(t値)
(30.66)
(6.36)
係数
0.632
14.127
(t値)
(49.81)
(11.37)
0.994
0.992
0.997
消費関数の謎
クズネッツ型とケインズ型のどちらが
正しいのか?
何故、時系列と横断面で異なる傾向が
観察されるのか?
時系列と横断面の観察事実を整合的
に説明することはできるのか?
⇒新しい消費決定理論
謎を解く鍵
将来の予想が消費行動に影響しないか?
今年の所得 来年以降の所得
Aさん 1000万円 ずっと1000万円
Bさん 1000万円
0円
AさんとBさんの今年の消費行動は異なる。
所得の性質が重要ではないか?
常にもらえる所得か?
⇒恒常所得
今年偶然もらえた所得か?⇒一時所得
恒常所得仮説
Y = YP + Y T
所得 恒常所得 一時所得
[前提①]一時所得は「+」と「-」の繰り返し
⇒長期平均は0
[前提②]消費は恒常所得のみに依存する。
C=kYP
[前提③]金持ちほど一時所得が「+」
貧しいほど一時所得が「-」
平均消費性向
消費Cは恒常所得YPに反応する!
C=k YP =k (Y - YT) =k Y - k YT
横断面の平均消費性向
C
YT金持ちはY の割合が高い⇒C/Y低
 k k
T
Y
Y貧しいとYTの割合が低い⇒C/Y高
ケインズ型と整合的
時系列の平均消費性向
C
 k で一定。
長期ではYT=0だから、
クズネッツ型と整合的 Y
図による説明
クズネッツ型
消
費
C=kYP
C3
K3
A2
C2
C1
O
ケインズ型
A3
K1
A1
Y1 YP1
YP2= Y2
YP3 Y3
所得
まとめ
新しい消費理論のポイント
①将来の予想によって所得の持つ意味は異なる。
②将来を見通した上で人々は消費行動を決定する。
③消費行動にとって重要なのは恒常所得である。
経済政策への含意
・将来の予想によって経済政策の効果は異なる。
・一時所得を変化させる政策は効果を持たず、恒常
所得に影響を与える政策が有効である。