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物理化学
福井工業大学 工学部
環境生命化学科
原 道寛
物理化学:1章原子の内部
(メニュー)
1-1.
• 光の性質と原子のスペクトル
1-2.
• ボーアの水素原子モデル
1-3.
• 電子の二重性:波動力学
1-4.
• 水素原子の構造
1-5.
• 多電子原子の構造
1-6.
• 元素の諸性質と電子配置との関わり
1-5. 多電子原子の構造
水素原子1s, 2s , 3s・・・軌道 ⇒ 複雑な分子にも適応
A
原子核の電荷が 大きい
内部の電子は核の近くまで引き付けられ
B
軌道の広がりも 小さく
なる
占有する電子のエネルギーは
C
水素原子(1s)より 低く
なる
水素原子
核
占有する電子の
エネルギー
D
>
多電子原子
核
多電子原子は水素とは違い縮退は起こらない。
1-5. 多電子原子の構造
水素原子の軌道=
B
A
主量子数+異なる副殻に属する軌道
同じエネルギー準位の例
E(2s) = E(2p)
縮退
degeneracy
多電子原子
1-5. 多電子原子の構造
多電子原子
A E(2p)
E(2s) <
電
子
核
内部
核
外部
電
子
電
子
有効核電荷
B
遮蔽
効果
C
核電荷による
D
電気的な引力
エネルギーが
E
低くなる
1-5. 多電子原子の構造
各軌道電子
• 内側にある殻 A
(shell)への浸透
B
縮退した軌道
C
• エネルギー差
• 逆転することあり。
1-5. 多電子原子の構造
電子⇒原子核のまわりの軌道に分配される様子
A
電子構造(electronic
structure)
B
電子配置(electron
configuration)
重要な原理・規則①
○パウリの禁制原理(Pauli exclusion principle)
C
D
1つの原子の中の電子
:四種類
の量子数が異なる。
F 個。
E
量子数n,l,mが同じ場合の電子
:スピン量子数の異なる 2
G :2個、スピンは逆向き
H
一つの軌道に入る電子
。
1-5. 多電子原子の構造
電子⇒原子核のまわりの軌道に分配される様子
A
電子構造(electronic
structure)
B
電子配置(electron
configuration)
重要な原理・規則②
○フントの規則(Hund’s rule)
電子が縮退した軌道に入る時:
C
D
E
1.電子(スピン
)は各軌道
に同じ方向
で入る。
G 。
F
2.縮退した軌道に1つずつ
電子が占められるまで続く
なぜならば:安定性より
電子:
I
J になる。
H
平均して互いに離れる
⇒反発が小さく
なる⇒安定
同じ軌道を占める(2つ)
<K
異なる軌道に存在(各1つ)
1-5. 多電子原子の構造
基底状態の中性原子の電子配置の決め方
1
2.
A
• 原子番号(Z):Z個の電子を収容。
正負のイオン:Zから電子数を加減することで適応可能。
B
• 低いエネルギーの軌道に電子を1個ずつ付け加えていく。
軌道のエネルギーの順序は、
1s,2s,2p,3s,3p,4s,3d,4p,5s,4d,5p,6sの順である。
C
• .どの軌道にも二個より多くの電子を入れてはいけない。
3
1-5. 多電子原子の構造
電子配置は?
水素
H
(Z=1)
H
___
A
H 1sB1
1s
ヘリウム He
He
(Z=2)
___
C
He 1sD2
1s
軌道図表(orbital diagram)
1s軌道に2個の電子を置くとき:パウリの禁制原理からスピンが反対方向を向く
1-5. 多電子原子の構造
電子配置は
Li(Z=3)
Li
___
A
Be(Z=4)
Be
軌道図表
(orbital diagram)
___
B
1s
2s
___
E
___
F
1s
2s
D 1
1s2C2s1≒[He]2s
H 2
1s2G2s2 ≒[He]2s
最外殻に注目した表記法
I
[ ]内は芯電子(core
electron)
1s副殻は完全に閉められており、
J
二個の電子は閉殻(closed
shell)を形成しているという。
K
次にエネルギーの低い2s軌道に入る。
1-5. 多電子原子の構造
電子配置は
ホウ素B(Z=5)
B
___
A
D 22p1≒[He]2s
E 22p1
1s22s
___
B
___ ___ ___
C
2s
2p
1s
I 22p2≒[He]2sJ 22p2
1s22s
炭素C(Z=6)
C
___
F
___
G
___ ___ ___
H
2s
2p
___
L
___ ___
M ___
2s
2p
1s
窒素N(Z=7)
N
___
K
1s
N 22p3≒[He]2s
O22p3
1s22s
フントの規則から、五番目の電子が
入っている2p軌道 とは 別の2p軌道 に
スピンが同じ方向に向くように入る。
1-5. 多電子原子の構造
電子配置
酸素O(Z=8)
O
___
A
1s
D 22p4≒[He]2s
E 22p4
1s22s
___
B
___ ___
C ___
2s
2p
___
G
___ ___
___
H
2s
2p
フッ素F(Z=9)
F
___
F
1s
Ne(Z=10)
Ne
___ ___
L
K
1s
2s
1s22sI 22p5≒[He]2sJ 22p5
N 22p6≒[He]2s
O 22p6
1s22s
___ ___ ___
M
2p
フントの規則から、五番目の電子が入っている2p軌道とは
別の2p軌道にスピンが同じ方向に向くように入る。
1-5. 多電子原子の構造
第三周期
sには最大2個A
Na(Z=11)
Ne(Z=10)
+1
C
Ar(Z=18)
Ne(Z=10)
+8
F
副殻と
J3p 副殻を満たす。
I 3s
pには最大6個B
1s22s22p6
3sD1
1s22s22p6
3s2G3p6
[Ne]
3sE1
[Ne]
3s2H3p6
第四周期
1-5. 多電子原子の構造
Ar(Z=18)
+1A
1s22s22p63s23p6
4sB 1
[Ar]
4sC 1
Ar(Z=18)
Ca(Z=20)
+2D
エネルギー
3d < 4s
↓
4s に入る → 3d へ
1s22s22p63s23p6
4sE 2
[Ar]
2
4s
F
K(Z=19)
しかし、
Cr(Z=24)は[Ar]3d5I4s1
Cu(Z=20):[Ar]3d10J 4s1
G
3d:縮退した軌道(5つ)
H
=10個の電子を収めること
が可能
電子が満たされてくると
反発により、
K
エネルギーの順番が変わる。
複雑!!
原子の電子配置
A
第一遷移元素
• Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu
B
第二遷移元素
• Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag
C
ランタノイド元素
• Z=57-71
D
アクチノイド元素(Z=)
• Z=89-103
物理化学:1章原子の内部
(メニュー)
1-1.
• 光の性質と原子のスペクトル
1-2.
• ボーアの水素原子モデル
1-3.
• 電子の二重性:波動力学
1-4.
• 水素原子の構造
1-5.
• 多電子原子の構造
1-6.
• 元素の諸性質と電子配置との関わり
1-6. 元素の諸性質と電子配置との関わり
元素の物理的性質
A
イオン化エネルギー(ionization
energy),
電子親和力(electron
affinity)
B
イオン化エネルギー(ionization energy):
C
D
最外殻にある電子の取れ易さ
L
M
E(g)  E (g)  e (g)
K
F
E
基底状態の気体の中性原子から
G
電子を一つ取り除くのに
I
H
必要な最小限のエネルギー
J
=第一イオン化エネルギーI
1
N
中性原子から電子を奪うために仕事をしなければならないので、吸熱過程
である。
二番目の電子を取り除くのに必要なエネルギー
=第二イオン化エネルギー
I2という。
O
R
EP(g)  E2Q(g)  e (g)
1-6. 元素の諸性質と電子配置との関わり
1-6. 元素の諸性質と電子配置との関わり
A
希ガス型の電子配置を持つ電子の殻
B
=非常に安定
C
第一イオン化エネルギーが大きい
1族元素
第1イオン化エネルギーは小さくても
D
第2イオン化エネルギーは大きい。
E
同じ周期の元素の中でも一番大きい
F
G
s軌道に1個の電子をもつもの⇒一個とれると希ガス型
※そこからさらに電子を取り除くことによる
希ガス構造を壊すのは難しい。
元素の諸性質と電子配置との関わり
A
原子半径の傾向と
B
逆の形で一致
原子半径
C
≒原子核の電荷が増加
D
➣電子を引寄せる。
Ne→Na:イオン化エネルギー減少E
F
=希ガス型+3sのため。
G
核電荷の影響:内部の電子による遮蔽のため。
H
Be vs. B は 2s電子より2p電子のほうが拘束が緩い。
I
N vs. O は2p軌道に2個あり、
J
常に反発いているため取れやすい。
元素の諸性質と電子配置との関わり
族の中では
A
下に行くほど減少。
周期の中では、
B
右へ行くほど増加。
1-6. 元素の諸性質と電子配置との関わり
元素の物理的性質
A
イオン化エネルギー(ionization
energy),
B
電子親和力(electron
affinity)
電子親和力(electron affinity):
基底状態の気体の
中性原子に
C
電子が付加されたときに
D
放つエネルギー


E(g)  e (g)  E (g)
E
エネルギーの面から起こっても差し支えないとき、発熱過程
電子親和力の大きいとき
F
=放出されるエネルギーが大きい。
G
=原子が電子を引き付けやすい。
1-6. 元素の諸性質と電子配置との関わり
元素の物理的性質
A
イオン化エネルギー(ionization
energy),
B
電子親和力(electron
affinity)
ハロゲン原子
付加される電子⇒
C
D
P副殻に入り、⇒核と強い相互作用をもつ
⇒電子親和力は大きい
E
希ガス
付加する電子
F
G
⇒核と離れた所:遮蔽作用のある内殻電子より外側の副殻へ
H
⇒電子親和力は小さくなる。
小テスト7
名列番号__氏名______
採点者_P_ ___
25
1-5. 多電子原子の構造