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A-3
うず電流探傷法を用いたプリント基板検査
のデータ処理時間の短縮に関する研究
自然科学研究科 電子情報工学専攻
山中 亮史
指導教員
山田 外史,上野 敏幸
目次
1章 研究目的
2章 研究対象および計測手法
・検査対象とするプリント基板
・うず電流探傷法,検査原理
・周波数解析による高速化
3章 計測およびデータ処理
・基本的な計測
・計測に要する時間
・データ処理時間の低減
・断線部分の抽出
4章 まとめ
1. 研究目的
プリント基板の欠陥は電子
機器全体の不具合に直結
CCDカメラを用いた光学的検査
光学的検査は導通性の検査が不可、
電気的導通検査は接触する必要がある
非接触で導通性検査が可能なうず電流
探傷法を用いてプリント基板検査を行う
プローブを用いた電気的導通検査
1. 先行研究について
うず電流探傷法によるプリント基板検査は、
先行研究で成功している。
ただし高速な検査が不可能であった。
検査手法\長所
非接触での検査
電気的な導通の検査
高速な検査
光学的検査
電気的導通検査
ECTによる検査
可能
接触する必要有
可能
極小傷は検出不可
可能
可能
可能
全配線に接触が必要
現状では不可能
うず電流探傷法によるプリント基板検査の高速化を
目指す。
2.1 検査対象とするプリント基板
200mm 200mm
200mm
200mm
PCB conductor
PCB conductor
PCB conductor
200mm PCB conductor 200mm
・対象は配線幅100mm~200mm程度の高密度な配線
・検査には1インチ四方に約25万点の計測点が必要
・構造は単純だが生産数が大きい
2.2 うず電流探傷法について
うず電流
磁界
交流磁界
(y軸方向)
Bx
Bx
均一な金属導体 y
傷のある金属導体
x
z
不均一な箇所
がある場合
のみx軸方向の
磁界が発生
2.3 うず電流探傷用プローブを用いた検査原理(1)
200
10mm
Magnetic Field
SV-GMR sensor
2.45mm
50
PCB conductor
Unit:mm
50mm
SV-GMR
sensor
z
Meander coil
y x
Meandercoil
46.5mm
Eddy-currents
平行な配線の電流と磁界分布
z
y
断線部分を出力
x
プローブに対して垂直に流れる電
流により発生する磁束を計測
200
Magnetic Field
Eddy -currents
SV -GMR sensor
50
Meander coil
z
PCB conductor
y
Unit :mm
x
平行な配線
断線部分で出力
垂直な配線の電流と磁界分布
垂直な配線
配線部分で出力
配線部分を出力
2.3 うず電流探傷用プローブを用いた検査原理(2)
走査
磁界
振幅
うず電流
水平方向の配線に断線があった場合の信号
2.4 周波数解析による高速化(1)
先行研究のシステム
PCB
Magnetic Field
by Eddy Current
Exciting Current
Meander Coil
Exciting
Magnetic Field
Synthesizer
Measurement System
Magnetic Sensor
Lock in Amplifier
Multiplier
Reference Signal
Lock inLPF
Amplifier
Output
計測点1点ごとにLPFによる時間が不可避のため、
計測点ごとにプローブを停止しており、時間が必要となっていた
2.4 周波数解析による高速化(2)
今回のシステム
Exciting Current
Meander Coil
Exciting
Magnetic Field
PCB
Magnetic Field
by Eddy Current
Software
Magnetic Sensor
A/D Converter
ホワイトノイズの除去
Averaging
sin/cos wave
Multiply
Synthesizer
不要な周波数成分の除去
Measurement System
Output
不可避の時間はA/Dコンバータの信号取得時間のみとなる。
2.4 周波数解析による高速化(3)
数百~数千の周期
数百から数千の周期を取得し同位相
の点ごとに平均化
平均化
ホワイトノイズの除去された1周期の
信号を取得できる。
・
・
・
ただし励磁周波数の整数倍とサンプ
リングレートが一致する必要がある。
1 m1
an   f (n  dc) (n : 1~c)
m d 0
m:計測点ごとの周期数
c:1周期ごとの計測点数
2.4 周波数解析による高速化(4)
sin成分とcos成分を計算
Multiply
周波数成分の抽出
Amplitude
Multiply
1 c
As   an sin( 2πn / c)
c n 1
1 c
Ac   an cos(2πn / c)
c n 1
A  As2  Ac2
2.5 多重励磁
ノイズ除去手法
周波数 1 周波数 2 周波数 3
励磁波形として用いる
加算
計測
周波数成分抽出
周波数 1 の計測結果
周波数 2 の計測結果
公約数周波数に
周波数 3 の計測結果
ついての1周期
計測プログラムの変更のみで多重励磁の計測が可能と
なり、1回の計測で複数の計測結果が得られる。
3.1 基本的な計測(1)
配線情報
5mm
5mm
計測結果
垂直方向配線では配線
に対して出力が変化
3.1 基本的な計測(2)
断線
配線情報
5mm
断線
5mm
計測結果
水平方向配線では断線に
対して出力が変化
ゆるやかな振幅の変化が
オフセットとして存在
3.1 基本的な計測(3)
オフセット除去
(1)計測結果
(2)計測結果の1ドットシフト
(1)と(2)の差
隣の画素との差を取る
ことでゆるやかな変化
を除去
3.1 基本的な計測(4)
オフセット除去
断線
計測結果
断線
オフセット除去結果
3.2 計測に要する時間
(1)
(3)
計測点
t
(2)
(4)
(1) ADボードによりデータを取得する時間
(2) 励磁波形の1周期の信号を計算する処理時間
(3) 必要な周波数成分を抽出する処理時間
(4) 次の計測開始点までの移動時間
データ量を減らすことで(1)(2)の時間が短縮可能
3.3 データ量の低減による高速化(1)
4周期
データ量を低減することで
データ取得時間、データ
処理時間が短縮
ただしノイズ除去量も低下
取得する周期の数を検討
データ量の低減
2周期
3.3 データ量の低減によるデータ処理時間の低減(2)
断線
断線
断線
断線
640周期
320周期
160周期
配線情報
断線
1280周期
断線
2560周期
3.4 多重励磁によるデータ処理時間の低減(1)
多重励磁による計測は複数の計測結果を取得可能
n個の周波数を重層し、n個の計測結果を取得すれば
データ量をn倍にした計測と等価
n個の周波数を重層し、データ量を1/nとすることデー
タ取得、処理時間を短縮できる
→使用できる周波数の検討
3.4 多重励磁によるデータ処理時間の低減(2)
断線
配線情報
断線
断線
3MHz
2MHz
2~5MHzの範
囲は計測可能
断線
4MHz
断線
5MHz
3.4 多重励磁によるデータ処理時間の低減(3)
断線
配線情報
断線
断線
6MHz
8MHz
計測可能範囲は2~6MHz
断線
10MHz
重層する周波数は互いに倍数で
無いことが好ましいため、
2,3,5MHzの3個の周波数を重層し、
データ量を1/3とすることが可能
3.5 画像処理によるデータ処理時間の低減(1)
本研究では断線検出が可能であればノイズ量は無関
係
データ量を減らすことでデータ処理時間を低減し、増
加したノイズを画像処理によって低減する
3.5 画像処理によるデータ処理時間の低減(2)
当計測箇所では配線幅200mmに
対して計測点間隔が50mm
断線が存在する場合は必ず数
ドット連続して傷信号が発生する
:計測点
1ドットで発生している振幅の変化
をローパスフィルタにより除去する
3.5 画像処理によるデータ処理時間の低減(3)
使用するローパスフィルタ
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1 ×1/25
1
1
平準化フィルタ
1 4 7 4
4 20 33 20
7 33 55 33
4 22 33 22
1 4 7 4
1
4
7 ×1/331
4
1
ガウシアンフィルタ
データ量を減らした計測結果に適用
3.5 画像処理によるデータ処理時間の低減(4)
平準化フィルタ
を適用した結果
断線
断線
フィルタリング結果
640周期
断線
断線
1280周期
フィルタリング結果
3.5 画像処理によるデータ処理時間の低減(5)
ガウシアン
フィルタを
適用した結果
2560周期のみで
確認可の断線が
640周期で確認
断線
断線
640周期
データ量を1/4と
することが可能
フィルタリング結果
断線
断線
1280周期
フィルタリング結果
3.6 断線信号の抽出(1)
断線信号の抽出手順
(1)オフセットの除去
(2)複数の計測結果の平均化
(3)像のフィルタリング
以上の操作で断線部分が強調される
(4)閾値を与えて二値化
3.6 傷信号の抽出(2)
2MHz
5MHz
3MHz
平均化した結果
3.6 傷信号の抽出(3)
平均化した結果
フィルタリングした結果
以上の操作で断線抽出が可能
二値化した結果
4 まとめ
(1)ロックインアンプの代わりに周波数解析を使用
プローブを停止しない計測が可能となった
(2)多重励磁によるデータ処理時間の短縮
3個の周波数を用いて3個のデータを同時に取得
データ量を1/3とすることが可能となった
(3)画像処理によるデータ処理時間の低減
ローパスフィルタによりデータ量を1/4とした
先行研究で30分程度必要であった計測と同等の計測
が2分程度で可能となった