(Point) と - 地理空間的思考の教育研究プロジェクト
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Transcript (Point) と - 地理空間的思考の教育研究プロジェクト
2011-02-15
第1章 実世界のモデル化と形式化
4.空間スキーマ
太田守重
[email protected]
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
ここで学ぶこと
ほとんどの地物は空間的な性質をもつ。例えば、建物はその外形を示す多角
形をもって、空間的な性質とするかもしれない。また台風は、時点毎の勢力範囲
をもって、空間的な性質とするであろう。さらに、国境線のように、その場にいっ
ても見えない地物もあるが、その線形は国境線の重要な性質となる。これらの
空間属性は地球上の位置で示される幾何属性である。
ところで、あなたが道案内をするとき、どのように説明するであろうか。「この道
をいくと、十字路があるので、右に曲がって3ブロックいくと、目的地です。」と
いった言い方をするかもしれない。この説明には、位置はないが、道、十字路、
ブロックといった地物同士の関係で経路を示している。つまり、地物同士の空間
関係が、経路の属性になっている。このような、位置を伴わない空間的な関係
は、位相属性と呼ばれる。
ここでは、地物のもつ、幾何及び位相属性について学び、その形式表現及び
インスタンスのXML表現について学ぶ。
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
空間スキーマとは
地物の空間属性を記述し、操作するためのスキーマ
初期の地理情報システムでは、典型的な空間属性は、地物の形状を表現する
点、折れ線及び多角形であった。
今日では、これらを含む幾何及び位相を合わせて、空間属性と呼ぶ。
折れ線
多角形
点
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
地物の空間的な性質
位相(空間関係)
“n” と “e” は地物同士の位相
(空間関係)属性.
配電線は電柱に接続する
- n は e の開始点及び終了点
- e は nから始まり、nで終わる
地物
電柱
配電線
n1 – e1 – n2 – e2 – n3 – e3 – n4
幾何
“p” と “c” は電柱と配電線
の幾何属性
p1
p2
p3
c2
p4
c3
p には位置がある
c はpから始まり、その形状を示す
点列をもち、pで終わる。
c1
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
2種類の空間属性
幾何属性
次元、位置、サイズ、形状及び方向を含む、地物の空間的な特性。幾何属性の
データ型は幾何オブジェクトと呼ばれ、地物の位置及び形状を表現する座標の
組み合わせを含む。
位相属性
空間が弾性的かつ連続的に変形しても不変性を保つ幾何オブジェクトの特性。
位相属性のデータ型は位相オブジェクトと呼ばれ、境界及び双対境界を含み、
オブジェクト間の内側、外側関係を含む。
ここでは2次元までの空間を対象とする。
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
応用スキーマに見られる幾何属性
ランドマーク
建物
種類: String
道路網
交差点
公園
道路
信号機あり : Boolean
応用スキーマ
幾何スキーマ
場所
Point
中心線
Curve
位置
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
応用スキーマに見られる位相属性
道路網
交差点
名称:String
道路
延長:float
応用スキーマ
位相スキーマ
リンク
交差
Node
Edge
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
幾何プリミティブ
幾何プリミティブとは?
点
曲線
曲面
幾何プリミティブ
これらは、単純な幾何プリミティブではない。
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
幾何プリミティブとは
幾何プリミティブ:
幾何的な構成を表現する、不
可分な幾何形状.
GM_Primitive
Point
Curve
点に境界はない
曲線の境界は二つの
端点
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
Surface
曲面の境界は、閉じた曲線
を構成する、向きをもった曲
線の列
点 (Point) と、そのインスタンス
GM_Primitive
Pointは位置 (position)をもつ. 位置は座標
id: String
(coordinates) で表現する. 座標成分
(components) の数は次元 (dimension) と
呼ばれる。境界はもたないので、境界を求
Point
める操作 boundary() は、常にnullを返す。
position: Coordinate
boundary(): Null
点のインスタンスのXML 表現
<<DataType>>
Coordinate
component: Sequence<Number>
dimension: Number
<Point id=“p001”>
<position idref=“crd01”/>
</Point>
<Coordinate id=“crd01”
component=“345.2,230.5” dimension=“2” />
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
曲線 (Curve)
GM_Primitive
Curveは形状 (shape) 及び、始点
(start) と終点 (end) への関連をも
つ。
id: String
start
Point
Curve
position: Coordinate
shape: CoordinateArray
属性“shape” の型は座標の配列で
あり、曲線の内側を表現する。
end
shape
<<DataType>>
CoordinateArray
start
element: Sequence<Coordinate>
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
end
Curveのインスタンス
(15,5)
p001
(5,2)
p002
(18, 6)
(10, 3)
<Curve id=“c1”>
<association>
<start idref=“p001” />
<end idref=“p002” />
</association>
<shape idref=“sh01”/>
</Curve>
<Point id="p001">
<position idref=“c001”/>
</Point>
<Point id="p002">
<position idref=“c002” />
</Point>
<CoordinateArray id=“sh01”>
<sequence>
<element idref=“c003” />
<element idref=“c004” />
</sequence>
</CoordinateArray>
<Coordinate id=“c001” component=“5,2” dimension=“2”/>
<Coordinate id=“c002” component=“18,6” dimension=“2”/>
<Coordinate id=“c003” component=“10,3” dimension=“2”/>
<Coordinate id=“c004” component=“15,5” dimension=“2”/>
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
曲面 (Surface) とは?
c3
c2
r2
c1
r1
向きがついた曲線は有向曲線といわれる。
曲面は外側と、もしあれば内側の境界を示す、始点と終点が連結する有向曲線の
列(輪)で記述できる。輪自体は必ず反時計まわりとする。上記の例では、外側境界
は+ (+c1, –c2) 、内側境界は-(-c3)で示される。
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
Surface の境界
もともと曲線は、始点から終点への方向
をもつ。
曲面の境界を構成する曲線は、異なる方
b
+
a
ー
向をもつ場合がある。そこで、曲線に向
きの記号をもたせることで、方向をそろえ
ることができる。
この曲線は、有向曲線-aと+bの列で表
現できる。
S1
+C
C
-C
S2
曲面S1にとっては、Cは正方向、
曲面S2にとっては、反方向
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Surfaceの構造
GM_Primitive
Surface
s1=(+r1, -r2)
s2=(+r2)
id: String
Curve
Surface
p1
shape: CoordinateArray
c1
original
s1
p3
0..1 exterior
OrientableCurve
orientation: Sign
c2
s2 c3
Ring
element
1..*
orientation: Sign
interior
0..*
OrientableCurve
oc1=+c1
oc2=-c2
oc3=+c3
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p2
Ring
r1=(oc1, oc2)
r2=(oc3)
SurfaceインスタンスのXML表現
c1
s1
c2
s2 c3
Surface
s1=(+r1, -r2)
s2=(+r2)
Ring
r1=(oc1, oc2)
r2=(oc3)
OrientableCurve
oc1=+c1
oc2=-c2
oc3=+c3
<Surface id="s1”>
<association>
<exterior idref="r1" />
</association>
<association>
<interior idref="r2" />
</association>
</Surface>
<Surface id=”s2">
<association>
<exterior idref=”r2" />
</association>
</Surface>
<Ring id="r1” orientation=“+”>
<association>
<element idref="oc1" />
<element idref="oc2" />
</association>
</Ring>
<Ring id="r2” orientation=“-”>
<association>
<element idref="oc3" />
</association>
</Ring>
<OrientableCurve id="oc1" orientation="+">
<association>
<original idref="c1">
</association>
</OrientableCurve>
<OrientableCurve id="oc2" orientation="-">
<association>
<original idref="c2">
</association>
</OrientableCurve>
<OrientableCurve id="oc3" orientation="+">
<association>
<original idref="c3">
</association>
</OrientableCurve>
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
曲線の記述は省略
位相(Topology)とは?
位相:空間が弾性的かつ連続的に変形しても不変性を保つ幾何オブジェクト
の特性。位相属性のデータ型は位相オブジェクトと呼ばれ、境界及び双対境
界を含み、オブジェクト間の内側、外側関係を含む。
不変な特性
2 領域、 1 全体空間
3 境界
2 交差点
各交差点は3つの境界線が交わる
各境界線は2つの交差点を端点とする
各領域は2つの境界で構成される
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位相プリミティブ
位相プリミティブ:連続的かつ弾
性的な変形を受けても不変の
空間特性を示す、単純な不可
分の空間オブジェクト
TP_Primitive
id: String
start
Node
end
out
0..*
0..*
in
点、曲線、曲面,有向曲線、
輪の位相はノード、エッジ、
フェイス、有向エッジ、サイ
クルと呼ばれる。
right
Edge
Face
left
original
exterior 1 0..* interior
DirentedEdge
orientation: Sign
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1..*
element
Cycle
orientation: Sign
位相プリミティブのインスタンス表現
n4
e1
n1
f2
e4
n2
e5
e2
f3
f1
e3
n3
<Node id="n1">
<assoication>
<out idref="e1"/>
</association>
<association>
<in idref="e4"/>
</association>
</Node>
<Node id="n2">
<association>
<out idref="e4"/>
<out idref="e5"/>
<out idref="e3"/>
</association>
</Node>
<Node id="n3">
<association>
<in idref="e3"/>
<in idref="e2"/>
</association>
</Node>
・・・・・・以下省略
<Edge id="e1">
<association>
<start idref="n1"/>
</association>
<association>
<end idref="n4"/>
</association>
<association>
<left idref="f3"/>
</association>
<association>
<right idref="f2"/>
</association>
</Edge>
<Cycle id="cy1" orientation="+">
<association>
<element idref="de31"/>
<element idref="de22"/>
<element idref="de52"/>
</association>
</Cycle>
<Cycle id="cy2" orientation="+">
<association>
<element idref="de51"/>
<element idref="de12"/>
<element idref="de42"/>
</association>
</Cycle>
・・・・・・以下省略
・・・・・・以下省略
<Face id="f1">
<association>
<exterior idref="cy1"/>
</association>
</Face>
<Face id="f2">
<association>
<exterior idref="cy2/>
</association>
</Face>
<Face id="f3">
<association>
<interior idref="cy3"/>
</association>
</Face>
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
<DirectedEdge id="de11" orientation="+">
<association>
<original idref="e1"/>
</association>
</DirectEdge>
<DirectedEdge id="de12" orientation="-">
<association>
<original idref="e1"/>
</association>
</DirectEdge>
・・・・・・以下省略
まとめ
地物の空間的な特性を空間属性という。空間属性には幾何属性と位相属性
がある。幾何属性は点、曲線及び曲面などが最も基本的な要素、つまり幾何
プリミティブである。位相属性は、弾性的な変形があっての変らない性質を示
すが、これはノード、エッジ及びフェイスなどで、表現することができる。
幾何属性は座標及び座標列をもつが、この講義では、2次元までの位相空
間を対象としている。つまり、平面に写像できる三次元空間までが、対象とな
るので、三次元座標を扱うこともできる。
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
参考文献
1. 有川正俊、太田守重監修(2007)『GISのためのモデリング入門』ソフトバ
ンククリエイティブ
2. 村山祐司,柴崎亮介監修(2008)『GISの理論』朝倉書店
3. (財)日本規格協会、JIS X 7107:2005 地理情報ー空間スキーマ
地理情報科学教育用スライド ©太田守重