Transcript 高付加価値製品戦略
6月24日
小川雄大
筆者曰く日本はコストカットなどによる
生産性向上や価格競争から魅力ある製品を
生み出す「高付加価値製品戦略」と付
加価値を維持する「非価格競争戦略」
に転換すべき。この2つの戦略には、お互
い重なる部分があり、その重なりを活かし
た戦略を具体化していけばよい
1 魅力ある商品
2 ニッチ製品開発や知財戦略
3 生産技術の革新
イノベーションによって新しく開発された新製品で
は、機能や仕様が随時改善されるため追随者はつい
ていけない。そしてなにより、製品開発の方向や意
図がわからないため追随者は何に取り組めばよいの
か分からない。製品機能が安定すると、成長期に移
行し生産技術に優れた追随者が参入してくるが、開
発企業はブランド力や累計生産量があるのでその後
も優位を保ち続けることができる
Ⅰ
シーズ主導・・・大企業にとってニッチ市場は市場規模が小さ
い。しかし部門を分社化してニッチ市場を開拓することで、新たな
ニッチ市場が育ち、製品の複合化などの基盤ができ、大きな市場の
開拓につながるもある。もしくはニッチ市場をいくつも持つことで、
全体として大規模になることもある。
Ⅱ ニーズ主導・・・顕在化していないニッチ・ニーズを発掘で
きれば、市場開拓者になることができ、先行者利得を獲得できる。
ニッチ・ニーズが浮かべば、次はそのニーズを持つものが代用して
いる既存製品を探し、そこで本来のニーズに合った新製品の開発が
進む。市場規模が小さく、大規模な開発投資はできないから、既存
製品をニーズに合うように単純に修正するまたは別の製品との組み
合わせする程度の製品になるかもしれない。そのため開発に必要な
技術力が高くないように見え、他社の参入の可能性があるかもしれ
ない。しかしそれは市場のサイズに合ったものであり、開発者は先
行者として人々に支持され先行者利得をえることができる。
ニッチ分野であるが市場規模がある程度大きい場合に競争優位を維持するに
は技術革新、製品開発・改善を続けるだけではなくデザイン、ブランドなどの知
財戦略との組み合わせに取り組むことも重要
成長期の製品分野で生産技術上の優位を持っている
企業は非価格競争上の優位を保つことができる。日
イノベーションを持続するためには高い技術・
本企業の国際競争上の優位は高い生産技術によるも
技能を継承できる安定した人材育成の仕組み
のでありこの生産技術は暗黙知・ノウハウのかたま
と組織が必要。しかし途上国の技能向上や機
りである。これは現場組織に蓄積されるが現在、経
営の短期志向化や過度の効率性追求で失われつつあ
械で容易に代替可能になった場合は少量高
る。
付加価値製品への生産品目へ転換するべき
日本の高い生産技術と他の非価格競争手段との組み合わせが必要
ここでいうニッチ市場とは市場規模が小さく、買い
手のニーズ・必要性が強いという2つ性格を持つ製
品の市場のことをいう
さまざまな非価格競争手段の中で、重要になってくるのが
「ニッチ市場戦略」だと筆者は述べている。ではニッチ市場は
なぜ重要なのか?
多様で豊かなニッチ市場の存在こそがイノベーショ
ンの促進に重要な役割を果たしており、このニッチ
市場こそ、先進国経済の発展にかかわってくる
生産が少量であるために、
専用機械を使うと高コス
トになる製品の場合、熟
練工の手作業の方が低コ
スト
技能の中心は手作
業であるため少量
生産
技能と少量生産
は親和性が高い
少量で採算が維持できな
ければ、多品種少量生産
となる
ニッチ市場は市場
が小さいため少量
の生産で十分
技能の活用は
ニッチ戦略と親
和性がある
つまり高い技能を活用してニッチの
ニーズに対応した製品を開発でき
れば、強い非価格競争力を持つ
独占的競争の中では各企業の製品は少しずつ他と差別化されて
いる。差別化された製品間では価格競争は弱まるから先進工業国
は差別化の程度をあげることが戦略となる
ブランド・イメージ
優れたデザイン
高品質の製品を長期間作り続けたことで形
成されたブランド・イメージは品質への信
頼を生み、買い手にその製品の高価格を許
容させる。先進工業国企業は将来にわたる
高付加価値獲得のポテンシャルを失わない
取り組みが求められる
新機能の追加には、製品1台ごとに部品や人
件費などのコストが必要になるがデザインは
一度デザインすればほぼ追加コストなしで何
千、何万台に無限に使える。優れたデザイン
な新しい機能よりも高付加価値を生む
豊かな社会は多様なデザインを受け入れる消費者を
育む面で、その国のデザインのレベルに重要な影響
を与えている。優れたデザインを選び出す消費者市
場がなければ、デザイン・ブランドは発展しない。
こうした文化を振興する取り組みは主に政府にしか
できない。
日本の国際競争