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環境社会学
3.環境NPO/NGO・ボランティア・市民活
動を考える
フランス:ネオニコチノイド系農薬に反対する養蜂家の農民団体の運動/AFP通信
2013年12月から,EU全体で3種のネオニコチノイド系農薬が使用禁止になった.
1
蜂群崩壊症候群
(Colony Collapse Disorder,CCD)
1990年代からヨーロッパ,北米,日本
で,ミツバチの大量死が起きている。
蜂群崩壊症候群(CCD)と呼ばれる。
CCDの原因は未確定だが,フランスで
はネオニコチノイド系殺虫剤イミダクロ
プリドの主としてヒマワリ種子への使用
(浸透性と残留性が高いので種子をイ
ミダクロプリドの溶液に浸すと発芽して
成長した後でも殺虫効果を維持してい
る)との因果関係が疑われ,予防原則
を適用して1999年から使用禁止となっ
た。2014年6月に国際自然保護連合
(IUCN)の「浸透性農薬タスクフォー
ス」が報告書を公表し,ネオニコチノイ
ド系農薬を含む浸透性農薬が,ミツバ
チだけでなく生態系の広範な生物に悪
影響を及ぼしていると結論づけた。
2
社会運動とは何か?
社会に対して不満を感じている
人々が,社会を変えようとして
集団で起こす行動
3
社会運動を説明する
新しい社会運動論
変えよう
集合行動論
不満
資源動員論
集団
集合行動論
社会の病理的機能不全状態(アノミー)
に対する不満が,人々を集合的行動に
向かわせる.
個人的な剥奪感を解消するために.
新しいアイデンティティを確立するために.
集団の権利や利益を確保するために.
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新しい社会運動論
体制ではなく文化や意識のレベルで社
会を変えようとする.
若者,女性,マイノリティが担い手.
運動すること自体に価値を見いだす.
民主主義と市場経済の枠内での自己決
定.
6
2012年,池袋
3.11後の反原発運動
7
資源動員論
社会運動が活発になったのは,運動組
織に人的・知的・経済的資源が利用でき
るようになったから.
「フリーライダー問題」は解消可能.
資源を動員するリーダーシップの重要性.
社会運動は職業的組織になる.
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フリーライダー(ただ乗りする人)
大集団における合理的な個人は,
集合利益の達成に向けて自発的に
は貢献せず,他者の努力に「ただ
乗り(free ride)」するという問題.
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社会運動を説明する
新しい社会運動論
変えよう
フレーミング
政治的
機会構造
集合行動論
資源動員論
不満
集団
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フレーミング
―参加主体の主観的意味づけ―
• 問題についての「状況の定義」を意
識的・戦略的に行う.
• 公共的アリーナ(議会,裁判所,マス
メディアなど)を活用する.
• 参加主体の自己アイデンティティを
確立する.
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政治的機会構造
―外部社会の構造―
• 社会運動がどのように展開できるか/
活動の場を与えられるか/抑圧される
か,を規定する制度的・非制度的な機
会.
– 制度的政治システム
– 政策当局の政策遂行能力
– 支援するエリート側の同盟者
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環境に関する社会運動
環境運動と環境政策
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
公害被害者運動
開発反対の住民運動
アメニティ運動
地域環境の共同管理・教育
自然保護運動
生活環境運動
有機農業・産直運動
環境
政策
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環境運動と環境政策形成の連動
とその変化
• 公害開発告発期(1964~1974)
経済政策への批判
• 生活環境期(1974~1986)
環境・経済政策の争い
• 地球環境期(1986~1996)
環境政策の形成
• 環境リスク期(1996~現在)
環境公共圏の形成
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告発期~生活環境期
経済政策優先は変わらない
• 告発期:運動の高まり→四大公害裁判勝
訴、公害国会→環境庁、公健法、排ガス規
制
• 四大公害裁判
熊本県水俣病訴訟(1973年勝訴)
富山県イタイイタイ病訴訟(1971年勝訴)
新潟県新潟水俣病訴訟(1971年勝訴)
三重県四日市公害訴訟(1972年勝訴)
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運動の
高まり
問題
提起
「抗議サイクル」説
政策の
軌道修
正
(Tarrow)
政策の
形成
抗議の
減退
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「ゴムまり」理論
環境政策
環境政策の
有名無実化
環境運動に
よる抗議
=空気
抗議の減退
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告発期~生活環境期
経済政策優先は変わらない
• 新しい運動の出現:生活環境をめぐる公共政
策形成を目指す
アメニティ運動(街並み維持、事前規制)→「環
境」定義の拡大 「生活環境主義」
生活型公害に取り組む運動(加害者認識)→「公
害問題から環境問題へ」「加害型から自損型へ」
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地球環境期~環境リスク期
環境政策が形成可能になる
国際化
• 「公害輸出」への自覚 〔日本から世界へ〕
• チェルノブイリ原発事故→反原発運動:立地点と都市のネッ
トワーク 〔世界から日本へ〕
• 1988年~1992年
サミットでの「地球環境問題」提起
=「地球環境ブーム」「環境バブル」
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NPO・NGOとは何か?
• NPO(non profit organization)
非営利組織
• NGO(non governmental organization)
非政府組織
• NPO=NGO
• 社会運動の1形態
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←
規
模
大
広い意味でのNPO(民間非営利組織)
財団法人
学校法人
社会福祉法人
社団法人
生活協同組合
市民活動団体
狭い意味でのNPO
特定非営利活動法人
ボランティア
団体
ボランティアグループ
規
模
小
←他益性
地縁組織
(町内会等)
共益性→
→
レスター・サラモンによるNPOの定義
① 正式に組織されたものであること(=法人格と
有給職員の存在)
② 政府と別組織であること
③ 営利を追求しないこと
④ 自己統治組織であること
⑤ ある程度自発的な意思によるものであること
⑥ 宗教組織でないこと
⑦ 政治組織でないこと
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Lester Salamon
• 帰納的な定義なので、欧米の現状を反映して
いる。
• 日本はNPOの歴史が浅く、単なるボランティア
と混同されて理解されてきた。
• 世界の非営利市民部門について
http://ccss.jhu.edu/
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NPO・NGO
ボランティア
組織/個人
組織
個人
収益・報酬との関係
収益はあげるが非営利。
報酬を受けるスタッフがいる
団体も多い。
原則的に無報酬 。
自立性・自発性
自発的に、民間の立場で活
動する団体なので、自立性・
自律性が問われる。
自発的だが、行政のためのボ
ランティアもあるので、必ずし
も自立的とはいえない
対象・目的との関係/
評価
目的達成を第一義とする。
目的の達成度が評価になる。
自己実現や自己満足のた
めの活動も可。
マネジメント
必要かつ重要 。
個人としてみたときは不要。
ボランティアグループには必
要となる場合もある。
収益活動の必要性
組織維持のため必要な場合
が多い。重要である。
原則としてない。あっても付
随的。
参加に関して
参加を促す側。
参加する側。
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なぜNPOが必要か?
• 「市場の失敗」
• 市場は資源配分のための最も効率的なシステムであ
るが、経済的価値の少ない事業は切り捨てられる。
• 「政府の失敗」
• 政府による計画は少数の官僚によって立案されるが、
官僚は地域の複雑な状況を考慮することが出来ない。
• 市場と政府の失敗を補完するものとして、地
域の自主的な活動が期待されている。
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特定非営利活動促進法 1998年
「市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の
健全な発展」→ 法人格の付与
1.認証基準:特定非営利活動に係る事業の支出規模は、設立
当初の事業年度及び翌事業年度ともに総支出額の2分の1
以上であること。
2.報告徴収等の対象となり得る監督基準:特定非営利活動に
係る事業の支出規模が、2事業年度連続して総支出額の3
分の1以下である場合。
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NPO法人
• https://www.npo-homepage.go.jp/
「NPO(NonProfit Organization)」とは、様々な社会貢献活動を行い、団体
の構成員に対し収益を分配することを目的としない団体の総称です。
1998/12/01~2012/02/29累計
受理
認証
30260
29077
288
1222
110
内閣府
2744
2504
107
120
24
全国計
33004
31581
395
1342
134
都道府県
不認証
解散
認証取消
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平成16年度市民活動団体基本調査報告書より
2004
2000
1996
0
20
40
60
80
%
社会福祉
地域社会
その他
教育文化スポーツ
環境保全
無回答
国際交流協力
保健医療
平成20年度「市民活動団体等基本調査報告書」
→ネットワークドライブ「環境社会学」フォルダ
28
100
サービスの提供
③事業・サービス
②自助・利他的
提供
活動
自然体験学校,エ
コツーリズム,自然
エネルギー,社会
企業
楽しみながら行う自
然保護運動,生活
公害防止の運動
メンバー
間接的
メンバー
直接的
④議会・行政に
①抗議活動
代表を送る
ロビー活動,代理
人運動,政策受益
団体
抵抗・告発型の住
民運動・市民運動
行政や企業への働きかけ