情報発信ネットワークを利用したサイエンスEネットの実践 川村研究室 B4
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川村研究室 B4
河野 公貴
1999年9月に、「サイエンスEネット」MLというメーリ
ングリストが開設された。
MLでは電子メールを通じて、理科教育に限らず、環
境教育や科学技術など、広く「サイエンス」について
情報交流している。
地球温暖化防止京都会議(COP3)をきっかけに、
京都の理科教師が、サイエンスや理科の視点から
みて、地球環境問題に関して何か有用なことを、ボ
ランティア精神ではじめようと集まったのがはじま
り。
京都には、京都理化学協会をはじめ、日常、教師同
士が顔を合わせて行われる、理科教育についての
研究会は盛んに運営されていた。
しかし、それらは高等学校の教科の枠組みの中で
のみ運営されているため、生物や地学の教師との
交流が希薄であることなどの問題があった。
さらに、小・中学校の教師との交流にまでは広がら
なかった。
それらの問題点を補うべく、日本理科教育学会が大き
な役割を果たしているが、日々頻繁に情報交流が可
能というわけではない。
そこで、理科教師が日々、授業の疑問などを
解決できる場として、情報交流を行うことがで
きる、「サイエンスEネット」MLが立ち上がった。
①
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⑤
⑥
子どもたちへの実験教室
例会
出版
やってみよう実験
公開講座
青少年のための科学の祭典・京都大会への参加
など
実験教室の実施に向けて、実験メニューや内容の提
案が行われる。
それらが、個人の経験と蓄積に照らし合わせれて議
論され、より洗練されていく。
このような経緯を経て、本番で行われる実験教室の
内容が決定していく。
また、ここで生み出された実験の多くが、参加した実
験講師自身の授業に取り込まれていく。
サイエンスEネットの実験教室で開発された実験が、実
際の学校現場などで有効に活用されている。
例会報告のページでは、例会で発表された実験が
紹介されている。
例会では、メンバーの自信作が発表される。
また、実験機の自作開発のレベルに達していないメ
ンバーの場合、様々な研究会で学んだ実験教材な
どが発表される。
さらに理科教育用の教材に関する相談や理科教育
教材会社のモニターの結果についての報告を例会
で行う。
教科書の通りに実験しても、授業で上手くいかずに悩
んでいる教師のために、そのような実験で、メンバー
の中で上手く成功した事例や、そのための工夫などを
集めて発表している。
また、実験のちょっとしたコツなども盛り込まれてい
て、実際に授業を行う際に有益な情報が蓄積されて
いる。
個人の自由意思で参加や辞退の表明ができる。
研究者の方々で、理科教育や科学関係の教育に関
心がある方に、専門家の立場として、質問などに対す
るアドバイスを行う、
アドバイザーとして参加していただく。
以上のようにメンバーを募り、日々、学校現場におけ
る理科授業に関する情報交流を行っていく。
素早い情報交換ができるインターネットを活用するこ
とによって、様々な情報を入手することができる。
インターネット上では動画を配信できるため、そのまま
授業で活用することができる。
また、サイエンスEネット・ホームページやメーリングリ
ストを活用することで、教師が日々悩んでいることを、
身近でかつ、大勢の教師や研究者に尋ねることがで
きる。
日々、授業や実験において理科教師が抱える悩みや疑
問をメーリング・リストを活用することで共有し、議論を
交わすことで、授業の質を向上させていくことができる。
また、同時に自分自身の知識も深めることができ、授業
のネタを増やしたり、幅を広げることができる。
またサイエンスEネットのようなHPがあることで、ベテラ
ン教師だけでなく、新人教師にとって、授業を作る際に
大変参考になる。
従って、「サイエンスEネット」MLといった、大勢
の教師や研究者が理科教育について議論す
るシステムは有用であり、今後も継続して活用
していくこが必要である。
・参考文献
情報通信ネットワークを利用したサイエンスEネットの実践
2002年
川村 康文