法律文の論理表現 ・否定 ・「ならば」

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Transcript 法律文の論理表現 ・否定 ・「ならば」

北陸先端科学技術大学院大学
情報科学研究科
東条研究室
一口に人工知能と言っても
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ゲームの理論
エキスパートシステム
論理プログラミング
機械学習
ニューラルネットワーク
遺伝アルゴリズム
自然言語処理
ロボット制御
マルチエージェント
知能≒計算?
言語≒論理?
ヴォルゴグラード
「母なる祖国像」
216mm = 65m
(剣先まで82m)
5
チョモランマ
(エヴェレスト)
8848m
223mm = 8388m
6
自然言語の文法理論
・チョムスキーの理論
・CFG
・HPSG
楽譜の解析
・パーサ
・ラティス上の演算
・TPS
自然言語の意味論
・イベント,アスペクト
・知識と信念
・含意と否定
法律文の論理表現
・否定
・「ならば」
・義務と権利
・論理性検証
言語の獲得
・言語共有
・言語進化
・言語分化
論理学
・時制論理
・様相論理
・直観主義論理
エージェント
コミュニケーション
・信念修正
・チャネル
・タイムマップ
研究分野
1.
2.
3.
4.
言語の獲得,進化,変化
法律文の論理構造
エージェント・コミュニケーションと信念修正
楽譜の文法
1. 言語の獲得・進化
学
習
学
習
発
話
発
話
学
習
発
話
時間
• 話し手(大人): (一方的)に発話
• 聞き手(子供): 発話を記憶し、文法規則を構築
• 聞き手: 自分の作った文法規則をもとに、次世代の発話を提供
©橋本敬
• 垂直伝達 (注:生物学的な垂直伝達(遺伝)ではない)
• 少数エージェント(2人)
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Mary eats an apple.
John eats an apple.
John swims.
John walks.
X eats an apple.
John Y.
X={Mary, John}
Y={eats an apple,
swims, walks}
S→X Y
Chunk & Merge
• S/read(john, book) → honyajon
• S/read(mary, book) → honyamari
↓chunk
• S/read(x, book) → honya N/x
• N/john → jon
• N/mary → mari
• N/john → jon
• B/john → jon
↓merge
• N/john → jon
• 文法圧縮の効率化アルゴリズム
文字列を集めて生成規則を作るのに,より効率的な戦略
を獲得したい.
• 認知バイアスの導入
まともに文例を集めたのでは規則にするのに追いつかな
い.何か認知科学的要素を導入する.
• 言語分化
どうやってラテン語はイタリア語・スペイン語・フラン
ス語に分離したか.
2. 法律文の論理構造
• 法は整合的でなければな
らない
• 法は改正により整合性が
脅かされる
• 改正は避けることができ
ない
• 改正の検証作業は複雑で
膨大である
• 機械的な手法での補助が
求められる
…
追加
…
削除
…
法律
修正
検証
法律家
これで一文?!
厚生労働大臣は、連続する三保険年度中の各保険年度において次の各号のいずれか
に該当する事業であって当該連続する三保険年度中の最後の保険年度に属する三月
三十一日(以下この項において「基準日」という。)において労災保険に係る保険
関係が成立した後三年以上経過したものについての当該連続する三保険年度の間に
おける労災保険法の規定による業務災害に関する保険給付(労災保険法第十六条の
六第一項第二号の場合に支給される遺族補償一時金、特定の業務に長期間従事する
ことにより発生する疾病であって厚生労働省令で定めるものにかかった者(厚生労
働省令で定める事業の種類ごとに、当該事業における就労期間等を考慮して厚生労
働省令で定めるものに限る。)に係る保険給付(以下この項及び第二十条第一項に
おいて「特定疾病にかかったものに係る保険給付」という。)及び労災保険法第三
十六条第一項の規定により保険給付を受けることができることとされた者(以下
「第三種特別加入者」という。)に係る保険給付を除く。)の額(年金たる保険給
付その他厚生労働省令で定める保険給付については、その額は、厚生労働省令で定
めるところにより算定するものとする。第二十条第一項において同じ。)に労災保
険法第二十九条第一項第二号に掲げる事業として支給が行われた給付金のうち業務
災害に係るもので厚生労働省令で定めるものの額(一時金として支給された給付金
以外のものについては、その額は、厚生労働省令で定めるところにより算定するも
のとする。)を加えた額と一般保険料の額(第一項第一号の事業については、前項
の規定による労災保険率(その率がこの項の規定により引き上げまたは引き下げら
れたときは、その引き上げまたは引き下げられた率)に応ずる部分の額)から非業
務災害率(労災保険法の適用を受けるすべての事業の過去三年間の通勤災害に係る
災害率及び二次健康診断等給付に要した費用の額その他の事情を考慮して厚生労働
大臣の定める率をいう。(労働保険の保険料の徴収等に関する法律12条3項)
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• 「ならば」の意味の多様性
直観主義的否定(二重否定≠肯定)を加えた解析,
`immediately after’オペレータ
• 制限日本語
長文分割と様相のスコープ同定⇒メンタルスペース
• 無矛盾性検証
3. エージェント・コミュニケーション
と信念修正
φ
¬ψ,φ→ψ
Inform(φ)
ψ,φ
𝐾𝑎𝑡 𝜑
𝐾𝑎𝑡+1 𝐾𝑏𝑡+1 𝜑
𝐾𝑏𝑡+1 𝜑
𝐾𝑏𝑡+1 𝐾𝑎𝑡 𝜑
Inform(φ)
𝐾𝑐𝑡+2 𝜑
タイムマップ(時間軸 vs 各エージェント)
• Who knows what at which time?
同期をとって知識共有するエージェント
推理小説の知識モデル
• フェイスブック・ロジック
誰と誰の間に連絡チャネルがあるか.
• 相手のモデル
相手の行動予測
Muddy Children Problem
4. 音楽
W. A. Mozart: Piano Sonata No.11 in A major, K.331
• 音楽の生成理論
和音の支配関係を文法規則に実装する.
• ラティス上のメロディの演算
メロディ間の簡略・装飾の階層,メロディ間の距離・類
似性
• Tonal Pitch Space の改良
和音間の距離と進行規則
テーマまとめ
1. 言語の獲得・進化
文法圧縮の効率化アルゴリズム,認知バイアスの導入,言語分化
2. 法律文の論理解析
「ならば」の意味の多様性,制限日本語,無矛盾性検証
3. エージェント・コミュニケーション
知識共有するエージェント,フェイスブック・ロジック,推理小説の論理構造,相手
のモデル
4. 音楽の数学的扱い
和声の生成規則,ラティス上のメロディの演算,和音の進行制約