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平成26年6月14日
新潟かかりつけ薬剤師育成会
本町調剤薬局
野口
貴之
今回の研修のコンセプト
 調剤薬局が在宅医療に関わる必要性を現状
や市民の意識、エビデンスを用いて伝える。
 在宅訪問のイメージを漠然としたものから、
あたかも自分が在宅訪問に関わったかのよ
うなハッキリしたものへと変える。
 在宅訪問に関する基本的知識を得ていただ
く。
本日の内容
1、調剤薬局が在宅医療に参加す
る必要性。
・医療介護環境の現状と未
来
・高齢者の願いと不安
・在宅訪問のエビデンス
2、在宅訪問スタートストーリー
演劇形式で導入の流れを研
高齢者人口の増加
高齢化率の増加
認知症高齢者の増加
 平成24年時点で65歳以上の高齢者の内15%462万人、
予備軍400万人。4人に1人
高齢者一人暮らし、夫婦のみの世帯増
加
国民医療費の増加
70歳未満・・17.9
万円
70歳以上・・・80.
6万円
これからどうなるのか?
一部 厚労省 地域包括ケア推進指導者研修
 高齢者人口の増加
 認知症高齢者の増加
 高齢者一人暮らし、夫婦のみの世帯増加
 国民医療費の増大
 在院日数の減少、地域で患者を受け入れる。
 介護の人手不足
新潟市アンケートより
平成23年度 在宅医療に関するアンケート調査報告書より
 あなたは、どこで最後を迎えたいと思いますか?
1、自宅・・・・・・・・46%
2、病院・・・・・・・・20%
3、わからない・・・26%
新潟市アンケートより
平成23年度 在宅医療に関するアンケート調査報告書より
 あなたは、脳卒中の後遺症やがんなどで長期の療養
が必要となった場合、在宅医療を希望しますか。ま
た、実現可能だと思いますか。
 希望するし実現可能だと思う・・・9.2%
 希望するが実現は難しいと思う・・・55.1%
 希望しない・・・18.6%
新潟市アンケートより
平成23年度 在宅医療に関するアンケート調査報告書より
 「希望するが,実現は難しいと思う」,「希望しな
い」と答えた方にお聞きします。在宅医療を希望し
ない又は実現が難しいと思う理由は何ですか。
 家族に負担をかけるから・・・54.9%
 介護してくれる家族がいないから・・・15.5%
 急な病変時の対応が不安・・・7.5%
高齢者の願いと不安
 家族に負担を掛けずに、
 住み慣れた自宅で療養したい。
 そして、最後は自宅で迎えたい。
 急な病変時はどうしたら良いのか。
 自分を介護してくれる家族が居ない。
これらの問題の解決に向けて
(一つ目の視点)
医療・介護環境の現状と将来
(二つ目の視点)
高齢者の願いと不安
地域包括ケアシステム
施設中心の医療・介護から、可能な限り、住み慣れた生活の
場に置いて必要な医療・介護サービスが受けられ、安心して自
分らしい生活を実現できる社会を目指す。
地域包括ケアシステムの構築
地域包括ケアシステムに参加
出典:在宅医療・介護の推進について 在宅医療・介護推進プロジェクトチーム(厚
生労働省)
調剤薬局に求められていること
 日常の生活エリアで高齢者の在宅服薬支援
(地域包括
ケアシステム)
 福祉サービスその他の関連するサービスと
の有機的な連携を図りつつ提供されなけれ
ばならない。(第5次改正医療法)
 残薬の解消・医療費抑制
(在宅医療・介護あんしん2012/厚生
労働省医政局指導課在宅医療推進室)
チーム医療の推進に関する検討会
報告書 平成22年3月19日厚生労働省
 在宅医療を始めとする地域医療にお
いて、薬剤師が十分に活用されてお
らず、看護師等が居宅患者の薬剤管
理を担っている場面も少なくない。
 こうした状況を踏まえ、現行の薬剤
師が実施出来るにも関わらず、十分
に活用されていない業務を改めて明
確化し、薬剤師の活用を促すべきで
ある。
医療費削減
在宅医療 薬剤師業務エビデンス
 地域医療における薬剤師の積極的な関与の
方策に関する研究(厚生労働省研究班)
 全国1890薬局参加、5447人の患者
データ
 有害事象の発見と解消の有無
 アドヒアランスの変化
 残薬状況の変化
 問題の是正を意図した処方変更の有無
在宅業務を行っている平均的薬局
 薬剤師数
3名
 一日平均処方箋枚数 55枚
 薬剤師一人当たり平均処方箋枚数 20枚
 訪問実施薬剤師届出数 2名
 平均訪問患者数1か月4名
 薬剤師一人当たり訪問患者数2人
 訪問時間 10~20分
 訪問頻度 月2回
有害事象と改善の有無
 訪問患者の内14.4%に薬剤による有害事象
 睡眠導入剤、抗不安薬、精神神経用剤
 薬剤中止となった患者44.2%
 減薬24.5%
 薬剤変更18.3%
 88.1%の患者で有害事象の改善
アドヒアランスの変化
 全く飲めていなかった患者が訪問開始時は
4.1%だったが、直近の訪問では0.
3%まで減少
 指示通り飲めている患者60.3%から8
3.8%へ向上
残薬状況の変化
 開始時に比べ41.6%の患者で残薬が減
少
 解消された残薬の総額は692万1860
円、患者一人当たり3964円
15,190,000×3,
964円≒
600
億円
問題是正の処方変更の有無
 処方変更が行われた患者の割合は37.
1%
 そのうち92.4%が漫然投与やアドヒア
ランス不良が改善
まとめ
 現状、将来、在宅医療への移行は避
けられない。
 市民も在宅での療養を望んでいる。
 薬剤師の在宅訪問が期待され、実績
が増えている。
 効果があるとエビデンスも出てきて
いる。
 時代が望み、人が望み、能力もある。
 全ての環境が整っている。後は一歩
踏み出すだけ。
調剤薬局が在宅医療に参加する必要
性
第二部の始まり
自分の薬局を実際に訪れている患
者さんで、薬剤師の在宅訪問が必
要と思われる患者さんを思い浮か
べて下さい。
これから、始まるストーリーに
オーバーラップさせてみて下さい。
患者(利用者)
 佐藤ウメさん
80歳 女性
 ご主人と2人暮らし
 円背があり、膝も痛くて歩行困難、最近は
ご主人が薬だけもらいにきている。
処方内容
 アダラートL錠20mg(高血圧)
1日2回朝夕食後
 ムコスタ錠100mg(胃薬)
2錠
3錠
1日3回毎食後
 メバロチン錠10mg(コレステロール)
1錠
1日1回夕食後
 デパス錠0.5mg(安定剤)
1錠
1日1回寝る前
28日分
制度の基礎知識
 ?必要な届出は?
 ?薬局に必要な掲示とは?
 ?医療保険の在宅と介護保険の在宅の違いは?
 ?医師の指示が必要、医師は往診してないけど?
 ?患者さんとの契約?
 ?どんな支援ができるの?
 ?算定要件は?
 ?レセプト請求は?
 ?点数は?
 ?自己負担金は?
届出、申請等
薬局に必要な掲示
訪問薬剤管理指導を行って
いる旨の届出(医療)
介護保険サービス提供事業
者としての掲示(介護)
指定居宅療養管理指導事業
者 運営規程(介護)
日薬ホームページ参照
在宅医療の分類表参照
通院困難者とは・・・
 医師の訪問診療及び往診を受けているもの
 寝たきり状態、自立歩行困難、認知症など
で一人では通院が困難なもの
 要支援・要介護などの介護認定を受けてい
るもの
 徳島県薬剤師会
ジェクトより
在宅医療推進検討プロ
介護保険被保険者証を確認
 介護保険証の確認をさせてもらおう。
介護保険証の確認
 介護度・・・要支援2
 被保険者番号
 認定日・認定期間・・・3か月前に
認定、あと3カ月有効
 居宅介護支援事業所・・・スマイル
サポート
ケアマネージャーの役割
 居宅介護支援専門員
 介護が必要な人・家族と介護職を繋
ぐ人
 支援・介護が必要な人の課題を分析
し
 どのようなケアが必要かを把握し
 ケアプランを作成し
 ケアプランを管理し、再評価する人
状況の確認、問題点
 大量の残薬発見
 飲み残し多い
 期限切れの外用剤
訪問薬剤管理指導依頼書・
診療情報提供書
 必ずしも必要ではない
 患者の既往歴等の情報が
得られる。
 医師にとってもメリットあり
月1回250点の算定可
「保険診療便覧」
B009 診療情報提供(I)注3
 日薬HPにフォームあり
医師へ相談
 一包化してお薬カレンダーに配薬
 訪問指示依頼
 訪問薬剤管理指導依頼書・診療情報
提供書
在宅医療の分類表
 これから始まる「介護予防居宅療養
管理指導費」についてもう一度確認。
在宅医療の分類表参照
流れ
薬学的管理指導計画書
 訪問回数・・・2週間に1回訪問
 医師からの情報
診断名、既往歴・・・高血
圧症、慢性胃炎、高コレステロール血症、睡
眠障害
 患者の心身の特性・・・円背、膝痛、認知面
の低下
 注目すべき点、問題・課題・・・服薬管理
 今月行った主な指導内容
 計画に加味すべき追加項目
処方入力
 薬剤服用歴管理指導料は算定できません。
 介護予防居宅療養管理指導費を算定してい
ることが分かるように、医療保険のレセプ
トの摘要欄に「医師の指示により訪問」と
入力
 医療保険と介護保険の併用のため、医療保
険のレセプトに介護保険算定の回数が表示
されるように入力。
領収書
 介護予防居宅療養管理指導費なので医療保
険と介護保険の領収書が必要
 介護保険の領収書は日薬のHPに見本あり
 今回の介護保険の自己負担金額は
 503円
7、契約
 介護保険を利用のサービスは契約が必要
 契約書
 重要事項説明書
 代理人の署名でも可
 遠方の家族に返信用封筒と一緒に送ること
も。
 日薬HPに見本あり。
8、患者宅で服薬説明
 お薬カレンダーに2週間分を設置。
 食事、睡眠、排せつについて確認。
 しばし、会話、生活状況の確認。
 分かり易くなった。
薬歴記載調剤薬局業務指針より
 訪問の実施日、訪問した薬剤師の氏名
 処方医から提供された情報
 訪問に際して実施した薬学的管理指導の内容(薬剤の保
管状況、服薬状況、残薬の状況、投薬後の併用薬剤、投
薬後の併診、副作用、重複服用、相互作用等に関する確
認、実施した服薬支援措置等)
 処方医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点
 処方医以外の医療関係職種との間で情報を共有している
場合に当たっては、当該医療機関関係職種から提供され
た情報の要点及び当該医療関係職種に提供した訪問結果
に関する情報の要点
報告書作成
 医師に報告
 ケアマネージャーに報告
 フォームは自由です。医師への報告
書のフォームは日薬のHPに見本あり。
9、一般用医薬品も届けて
 御主人から電話がありました。
 ソフトサンティア(第3類医薬品)
 次回の訪問のときに、一緒に届けて
もらいたい。
O.K.?
特定販売の届出が必要
 改正薬事法
 ネット販売
 FAX、電話販売
 薬局の変更届け
 最寄りの保健所
 届出完了しました!
その後の活躍
 コンプライアンス維持。
 認知症の早期発見。
 誤嚥性の肺炎の予防に介入。
 転倒のリスクの減少に寄与。
 患者・家族のQOL改善
 患者ADLの改善
 一般用医薬品も配達販売できるように
なった。
 地域において生活を支えることができた。
地域密着型薬局としての第一
歩
在宅訪問スタートストーリー
全体のまとめ
 高齢者、認知症高齢者、独居高齢者が増え
ます。
 行政は地域包括ケアシステムを構築し対応
します。
 在宅での薬学的管理として訪問する薬局も
徐々に増え、実績も上がりつつあります。
全体のまとめ
 他職種や他の薬剤師に遅れを取らないよう
に、私たちも、今すぐ一歩踏み出しましょ
う。
 一歩目:在宅訪問を必要としている患者の
把握をしましょう。思い浮かぶ患者さんが
いるはずです。
 二歩目:介護保険証を確認して、ケアマ
ネージャーに連絡してみましょう。
 三歩目、四歩、五歩・・・・
 2025年に、地域住民や他職種の期待に
応えられる薬剤師に成りましょう!!
今の状況は
 地域包括ケアを目指すカッターボートがあ
る。
 今にも、岸を離れようとしている。
 ケアマネ、ヘルパー、看護師、医師、歯科
医師はすでに乗り込んでいる。
 薬剤師の席も用意されている。
 今、ボートに飛び乗らなければ、空席のま
ま、もしくは、他の誰かがその席に座り、
ボートは岸を離れる。
ここに残るか?
船に乗るか?
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