バスマップ - 豊木研究室

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2010.4.23 山梨県情報化推進協議会 講演会
Webバスマッププロジェクト
-地域交通総合情報サービスを目指してー
豊木博泰
山梨大学
医学工学総合教育部工学系学域
持続社会形成専攻/循環システム工学科
1
BusMapの実用化例 山梨バスマップ
停留所名検索
(停留所数3500)
路線一覧(階層表示)
(現在270路線掲載)
他にも住所検索などの機能がある
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Webバスマップ開発の経緯
2005年より携帯バスマップ
のWeb版を作ろうと計画(大
学の地域貢献+学生の卒
論テーマ)
2007年12月: 山梨交通
ホームページよりリンクが
張られ最初の公開サイト
がスタート
08年2月: 山
日新聞に掲
載されアクセ
スが増加
08年9月: 自治体コミュニ
ティバス情報などを加え
た新バージョン公開。
同時期に、産学官共同で
の開発計画が練られはじ
めて今日に至る。
09年度からは「バスマッ
プ研究会」
2006年の試作版
産学官の共同開発と持続的運営にむけて「歩きながら考える」試み
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H21年度からの進展
• 総務省「戦略的情報通信研究開発推進制度」
(SCOPE)に採択(2年間) → 梨大の教員チーム
中心に「バスマップ研究会」と連携して開発
• 山梨バス協会とも実証実験における連携
• 地域情報通信技術利活用推進交付金事業
「富士の国やまなし観光コンシェルジェシステ
ム事業」にて、バスロケーションシステムと観
光情報の連携を推進
• 現在のサービスサイト
http://busmaps.jp/yamanashi/
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SCOPE採択プロジェクトスタート時(H21.4)の計画概要
目的:公共交通利用促進に役立つ次のようなWebサービスを開発・提供する
いつでもどこでも即座にアクセスできるバス情報サービスの開発
位置に基づく観光情報等の選択的付加システムの開発
複数のバス事業者等が共同でシステム管理でき、全国どこでも使えるオープンソースソフトウェアとして開発
山梨の全バス情報を提供するサービスとして開発成果を逐次公開し反応を把握する実証実験
バス利用に関する環境情報付加による環境配慮行動としてのバス利用の促進。その効果の評価検証
リアルな地図上にバス
路線情報とそれに連動
した環境情報と観光情
報などを提供
(左図は2008年9月時点
のテスト公開サイト)
通勤、通学者など利
用したいときその場
で情報確認するには
携帯端末が有用
GPS位置情報、住所
入力による近隣バス
情報表示
リモコンなどの簡単操
作で閲覧できFLASHを
用いたリッチコンテン
ツの開発
自治体、バス事業者、
開発者の協力による
データ管理。データ
管理は各事業所から
•コンテンツ管理システムXOOPSのモジュールと
してバスマップを開発
•データ入力、編集等の管理機能(操作はWebブ
ラウザ経由)
•地名、停留所名、路線名など各種検索機能
•Google Maps APIを利用したクライアントサイ
ドスクリプトからのリクエストに応えXML形式で
路線等データを送出
•地名に即した催し情報など検索、提供
•公共交通に関する環境情報の提供
社会的な意義
•地球環境保全と社会・生活基盤の充実という観点から公共
交通の利便性向上と利用促進が求められている。本開発は期
間中から効果が期待できる。
•赤字路線が多い生活路線の利用促進には低経費で効果を現
れる方策が必要。本システムは適合的。
•大都市地域からの転入者から公共交通充実が期待されてい
る。産業誘致政策としても重要。
•エコツーリズム推進策として、県外へ公共交通情報を地理
情報と組み合わせて提供するのは効果的。
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開発の成果:今月から開始した新しい機能1
携帯電話へのサービス
•
•
•
•
•
バス停留所検索
バス停留所時刻表表示
バス便時刻表表示
乗換案内機能
マイリスト機能
http://m.busmaps.jp/
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乗換案内の詳細
人間の現実行動にぴったりな選択にする
には、もう一工夫必要
7
停留所検索
GPS機能による現在位置
周辺のバス停検索
8
時刻表表示の工夫:行き先
別案内の仕方
ルート案内
詳細表示
バス停等での表示には、発着時刻は書いてあるが、
行き先への到着時刻の情報は今まで提供されていな
かった。 → この機能だけでも大いに役立つはず。
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トップページ
検索
住所から
停留所検索
停留所情報へ
停留所名称から
停留所検索
携帯電話
サービス機能
の構成
乗換案内
ルート案内
停留所検索
現在地周辺の
停留所検索
停留所情報へ
住所から
停留所検索
停留所名称から
停留所検索
時刻表閲覧
停留所時刻表へ
マイリスト表示
停留所情報
乗換案内へ
停留所時刻表
到着時刻表示
ルート案内
マイリスト登録
周辺の停留所
停留所時刻表へ
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バスマップ上での経路検索表示
歩行とバス乗車移動との組み合わせは、距離スケールが同程度
なので、電車と歩行の組み合わせに比べて難しい。
→ 実用的にするには、もう一段、研究が必要。
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山梨バスマップへのアクセス状況
日経新聞
報道
18000
16000
14000
12000
山日新聞
報道
JCOMMなど
での講演発表
携帯電話サービス等
を含む新サイト公開
富士急バス
データ公開
10000
8000
コミバスデー
タ公開
6000
4000
2000
0
2008/01
2008/07
2009/01
2009/07
2010/01 4月は最初の10日間
トップページへの訪問数を表示
(ページビューはほぼこの10倍)
「バスマップ」で検索すると数番目にでてくる
で、約5000件
携帯電話サイトへの
アクセスはまだトップ
ページの1/10
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BusMap2の概要
• 山梨バスマップは、バスマップ作成・サービスソフト
BusMap2を用いて作成。BusMap2は全国どこでも利用
可能
• BusMap2は、Webページを作成・管理するパッケー
ジソフト(CMS)の一つXOOPS(ズープス)のモジ
ュールとして動作
• 各種モジュールと組みわせてサイト構築
• ユーザ登録、認証、各種編集・管理権限はXOOPSが行
う
• モジュールの多くは、オープンソース
– BusMapはオンラインで配布
– BusMapモジュールは、現在のところ山梨大学が著作権
を承継
– BusMap2は、開発途中のため、未公開 (近く公開)
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地図基盤はGoogle Maps API
• Google Maps APIはAJAXと呼ばれるリッチク
ライアントのさきがけ
– 本研究室にて地域情報共有システムとして地
図掲示板作成を行っていた2005年に公開され
た。
– 電子国土の利用を考えていたがGoogle Maps
API利用に変更 ブラウザに制限が少ないこと
が魅力だった。
• Googleの他のサービスとの連携が可能
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BusMapモジュールの管理機能
• バス路線データの管理はすべてWebブラウザの
画面から行える
– 地図上で位置を確認しながら停留所を登録
– 停留所をつないで路線系統を作成
– 停留所間の道筋を地図上をクリックしながら作成
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BusMapの山梨以外での利用例:
鹿児島市交通局のページ
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今年度の企画
• バスロケーションシステム
– 「富士の国やまなし観光コンシェルジェシステム事
業」の一部として今年度前半に実施 → 7月ころ公
開 (県の委託事業に協力)
• デジタル簡易無線をつかったコミバスのバスロケ
もテストしてみたい。
• コミバスも含めた乗換案内の実用化
• 利用者拡大のためのシステム作り ー トラベル
フィードバックシステムの開発
• 携帯サイトの利用促進。高齢者に使ってもらえる
仕組みの追加
• 来年度以降の運営組織の確立 (現在は実証実
験としてSCOPE助成にて運営)
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同様なシステム(競争相手)も出現
那覇バスのバスロケ
基本的には、バスロケシステム
時刻案内は現在のところ山梨バスマップの方が豊富
経路案内のユーザインターフェイスは優れている。
那覇バスが直接運営
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各地のWebバスマップ
•
バスマップ沖縄
– 観光情報を入れた丁寧なサイト
– 21年度JCOMM賞受賞
– 個人事業主が運営
•
バスネット(鳥取) http://www.torip.jp
– 日本初の携帯電話への乗り継ぎ情報提供
– 2009年度産学官功労賞、2008年度u-Japan大賞受賞
– 日本トリップLLPが運営
•
えきバスねっと http:// www.ekibus.net/
– 阪神地域・鉄道駅からのバス情報
– 阪神都市圏公共交通利用促進会議(事務局:兵庫県阪神北県民局)が中心と
なった社会実験から持続的な運用へ
– えきバスびじょん(駅のデジタルサイネージ)、 阪神地域えきバスまっぷ(マップ
リーフレット)など多様な媒体
•
洛ナビ(京都市交通局) http://www.city.kyoto.jp/kotsu/rakunavi/
– わかりやすい乗換、料金情報
– CO2削減量の表示など環境意識にうったえる情報も
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経路情報サービスは急速に発展
Googleマップ, NAVITIMEなど
Googleの道路経路探索サービス
(「カーナビ」技術のWeb版)
しかし、路線バスを含むものはない!
(データ管理が困難、採算性の問題も)
中間的なまとめ
• 大学の地域貢献
– オープンソースソフトの開発
– 産学官連携
• 利用されるシステムにする
– 早めの公開、頻繁なバージョンアップ(免責条項つきで公
開)
– とにかく利用してもらう
– 情報が集まるサイトに(今後の期待)
• しかし、大規模化は、大学主体では難しい
• NAVITIME など全国的な情報サイトには鉄道、高速バ
スは載っているが生活交通までは当面手が出ないだ
ろう。 → データ自体及び集積方法は依然課題。地
方ごとでやるべきことはある。
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これからの発展のために:シナリオに基づくシステム設計
バスマップ利用が想定されるのいくつかの場面
自家用車を持たない高齢者
• 病院へ行き、その帰りにショッピングセンターに寄り、ゆっくりすごしたあと帰宅したい。
近くのバス停に何時にバスが来るかどうやって調べればよいだろうか。できるだけ近くにバス停があってほしい。
最近都会から引っ越してきた人
• 都会では電車と地下鉄で移動に不便はなかった。地方都市へ引っ越してきて車がない不便さを実感した。行きたい所があって
も近いバス停や路線を探さねばならないのだが適当な情報源がない。駅の観光案内などで聞いたりしたがよくわからなかった。
自転車通学している高校生
• 雨の朝、ちょっと歩いてバスに乗っていけばと親にいわれたが、時刻がわからない。親が車で送ることに。すぐに調べる方法が
あればと思った。
自由気ままにゆっくりと田舎を旅したい旅行者あるいは長期滞在型旅行者
• 観光バスでの団体旅行ではなく、個人でゆっくりと田舎を旅したい。自家用車やレンタカーではなく、公共交通の乗継だけでプ
ランニングしたい。それに適した情報源がほしい。
環境配慮活動として、ノーマイカーデーを実施しようとしている企業
• 企業の地域環境改善への貢献活動の一環として全社的に公共交通による通勤を奨励したい。そのプランニングに役立つ情
報がほしい。
環境配慮行動の一つとして交通手段に関心がある市民
• できる範囲で環境に配慮した行動をとりたい。その一つとして、無理のない範囲で公共交通を利用したいが、その行為がどの
程度環境によいものかを知りたい。よりよい行動のために公共交通を用いた行動のシミュレーションをしてみたい。
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BusMapの開発の方向性
地域交通情報に関するユビキタス時代の統合的なサービス
旅行計画などにはコンピュータ用Webページを
(本プロジェクトでほぼ実用化)
家庭ではテレビを見る感覚でリモコン操作により検索
• テレビをつけたらすぐに身近なバス情報が得られる(自宅の位置を記憶させておけば、簡単に実
現できる)
• 病院などの地域情報も併せて提供
• 最近のTV内蔵のブラウザはJavaScriptが実行できるので、Google Mapsは閲覧できるだろう。(テ
スト未実施)
路線に近い範囲ではWiMAXでのアクセス
(GPSを搭載した「カーナビ」の歩行者版+Web接続)
どこでも利用できる携帯電話アクセス
(本プロジェクトで進行中)
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地域ICT活用における位置づけ
• u-Japan施策(H20年度ICT政策大綱より)
– 「ICTの恩恵を全ての国民が受けられるユビキタス社
会の実現」、特に、「地域活性化に向けたユビキタス
ネットワーク整備」が課題として挙げられている
– 「少子高齢化や環境問題、教育改革等、今後、我が
国が直面する様々な社会的課題の克服」にICTを役
立てることが特記されるようになった
• インフラ整備だけでなく、上記課題に応えるコン
テンツの充実が大事 → その一つとしてのバス
マップを中心とした地域交通情報システム
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ICTを活用すべき「地域」課題
u-Japan政策パッケージ(2)に掲げられた4つの分野
本当に役立っているサービス(実用化されアクセスが増大しているもの)は多くない!
BusMapおよび「山梨バスマップ」とその周辺の取り組みは、実用される地域情報サー
ビスを目指している
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Webバスマッププロジェクトの周辺
• 交通政策
– モビリティマネジメントにおけるICT活用
• 環境情報
– 地図情報を活用した環境データの蓄積及び閲覧
サービス
– 民間団体のデータと公共団体のデータの相互補
完
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モビリティマネジメント(MM)における
ICTの役割
• モビリティマネジメント … 交通工学における新
しい分野
「ひとり一人のモビリティ(移動)が、社会的に
も個人的にも望ましい方向に自発的に変化す
ることを促す、コミュニケーションを中心とした
交通政策 」(土木学会の手引書より)
• 2006年より日本MM会議(JCOMM)が毎年開催
され、官産学の技法・経験交流が活発化
http://www.jcomm.or.jp/
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モビリティマネジメント:地域での取り組み例
(21年度の日本モビリティマネジメント会議賞より)
• 「名チャリ」
名古屋市内の放置自転車を活用したコミュニティサイ
クルシステム
海外の事例: カナダのBIXI
• エコ通勤
倉敷・水島コンビナート・エコ通勤実証実験(水島コン
ビナート・エコ通勤検討協議会)
• オンデマンドバス
予約運行システムの開発と社会実験(東大人間環境
学専攻)
県内では,北杜市,身延町
MMの試みにはICT利用の可能性はたくさんある
たとえば、ICT活用による、レンタルバイク&バスライドなど…
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環境情報の集積と提供
(本研究室で開発公開したもの)
• 地図掲示板 gisboard
• 環境情報サービス
– Yamanashiみずネット
– 大気常時観測データの表示
(現在未公開)
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大気観測データ公開サービスの構築例
地図表示と時系列表示の
相互参照
小沢恵・修士論文(2009.3)より
データは、山梨県森林環境部より提供された約4年分の常時観測データを利用
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まとめ
• BusMapは、個々の技術としては、独自のものではないが、
技術の統合(マッシュアップ)としての新規性がある。
• 同じ技術(CMS+地図APIなどのリッチクライアントAPI)を用
いて、さまざまな地域の情報集積、公開システムを作れる
– 大学は、そのプロトタイプ作成に貢献(学生、大学院教育に
も有効)
• 自治体、ICT関係者、交通・環境関係の情報サービスを
考えている方々との協力が生まれればさいわい
• 産学官の協力の場として、バスマップ研究会を今年度は
再活性化したい
謝辞:
本プロジェクトは、総務省戦略的情報通信研究開発制度SCOPEの課題に採択さ
れ実施しています。(H21-22年度) (課題番号092303006)
また、日本バス協会・バス活性化事業としての助成も受けました。(H21年度)
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