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フレアエネルギー解放領域
の多波長観測
浅井 歩
国立天文台野辺山
Solar-Bと地上太陽観測の連携
2006年2月6日 @京都
太陽フレア
• コロナで発生する太陽
系内最大の爆発現象
• 磁場のエネルギーの
爆発的な解放現象
• 粒子の加速、運動エネ
ルギー、放射などのエ
ネルギーになる
• 短時間のうちにさまざ
まな波長域での増光
が見られる
太陽フレア中のさまざまな波長域に
おけるライトカーブ (Kane 1974)
太陽フレアと磁気リコネクション
• フレアに付随する様々な現象を説明可能
• 磁力線のつなぎ替えにより磁気エネルギーを
解放
エネルギー解放の現場
エネルギー解放領
域の多波長解析
柴田モデル、田沼画伯作
エネルギー解放領域の多波長
観測
• 電波…非熱的放射、プロミネンス、コロナ磁場
• Ha線…リボン、ポストフレアループ、 地上観測は高
(非熱的放射)
時間分解能
• EUV…リボン、ポストフレアループ、 衛星観測は高
プラズモイド
空間分解能
• 軟X線…ループ、プラズモイド、
コロナ温度・密度
• 硬X線…非熱的放射
• 磁場強度(光球など)
• データを組み合わせて多方面からフレアの構造
を探ることが有効
フレアループ
• 軟X線、極紫外線(EUV)、
極紫外線
Ha線
(EUV)
• カスプ形状、ループ形状
• フレアは多くのループの
集合体
Ha線
軟X線
フレアループ
フレアの模式図
柴田モデル
フレアリボン
• Ha線、EUV
• フレアループの足元
• 互いに異なる磁場
極性
Ha線
2001年4月10日に起きた大フレア
ドームレス太陽望遠鏡で撮影
Haフレアリボン
非熱的放射
軟X線ループ
• 硬X線(HXR)、電波、Ha線
• フレアの初期(インパルシブ相)
で観測
• ループの足元付近 & ループの
頂上付近
硬X線
硬X線
c.f.増田さん、高崎くんの発表
マイクロ波
軟X線ループ
粒子加
速
硬X線
その他の現象1(プラズモイド)
• 各々のプラズモイドが硬X線バーストに付随して
噴出
プラズモイドがリコネクション/エネルギー解放に
おいて重要な働きを担っている!?
Time slice image
slit
Yohkoh/SXT
Takasaki et al. (2006)
その他の現象2(下降流)
Time slice image
East
West
RHESSI 50-100keV
その他の現象3(インフロー)
• リコネクション領域への流入
リコネクションの直接的な証拠
Yokoyama et al. 2001
フレアループ、フレアリボン
EUVフレアループはHa
ループの外側に現れる
EUV像
(TRACE)
• EUVリボンはHaリボンと形状がほぼ同じ(外側に
位置する)
• フレアループはフレアリボンをつなぐように形成
TRACEで見えるフレアループ
TRACE (171A)
高空間分解能画像によ
りフレアループ構造が詳
細に分かる
温度域が低く、エネル
ギー解放直後のループ
構造が分からない
Solar-B/XRTでの観測
Ha線画像の利用
East
West
Ha線カーネルの共役性
• 非熱的粒子/熱伝導は
非常に高速に伝播
両足元でほぼ同時に彩
層突入
両足元での時間変化
(ライトカーブ)はそっくり
• 似たライトカーブを示す、
共役な足元を選び出す
?
N極
S極
ほぼ同時に増光
Ha線カーネルの共役性
• Ha線データ: フレア
リボンを細かく分割
し、似たライトカーブ
の組を見つけ出す
• 各々のライトカーブ
に着目し、エネル
ギー解放の時刻を
絞り込む
いつ、どのフレア
ループに点火したか
が分かる
赤は正極性、青は負極性
増光する時刻に注目
• エネルギー解放の起きたループを時間に沿って
追うことができるエネルギー解放の場所
t
フレアリボンの成長
• フレアリボンはフレアループ
の足元
• リボンの成長は次々にリコネ
クションが進行していることを
示唆
• リコネクションはコロナで生じ
ているが、リボンの成長を追
うことで、解放される磁場エ
ネルギー量を見積る
Haフレアリボンとして観測
エネルギー解放率
W 
dE
dt
2
Bc
2
4
v in A
•Bc : コロナ磁場強度
•Bp : 光球磁場強度
•vin : インフロー速度
•vf : フレアリボンの速度
•A : リコネクション領域の面積
観測が容易な物理量を用いて定量的に見積もる
リコネクションレート
ポインティングフラックス
  B c v in  B p v f
W  B c v in  B p v f
↑磁束の保存を仮定
↑さらにBc∝Bpを仮定
2
2
フレアリボンの成長
磁気中性線
vf
Bp
リコネクションレートとしてBpvfを、また、ポインティ
ングフラックスとしてBp2vfを、エネルギー解放率の
指標として計測
フレアリボンの成長
磁気中性線
vf
Bp
リコネクションレートとしてBpvfを、また、ポインティ
ングフラックスとしてBp2vfを、エネルギー解放率の
指標として計測
フレアリボンの成長
磁気中性線
vf
Bp
リコネクションレートとしてBpvfを、また、ポインティ
ングフラックスとしてBp2vfを、エネルギー解放率の
指標として計測
リコネクションレートと
ポインティングフラックス
電波
硬X線
リコネクションレート
W  I HXR
硬X線放射強度を比較
して、見積もりの妥当性
ポインティングフラックス
を議論する
リコネクションレートと
ポインティングフラックス
電波
硬X線
リコネクションレート
ポインティングフラックス
定量的な見積もり
W1
W2
W3
E1
E2
E3
E4 W4
W  I HXR
見積もられたリコネクションレート
とポインティングフラックスを、硬
X線放射源とその他の放射源
(Haカーネル)について比較
非熱的放射
Masuda et al.
(1994)
fast shock
flare loop
リボンやループ構造は比
較的長時間続く緩やか
なエネルギー解放
非熱的放射は特に
強いエネルギー解放に
付随
• HXR
thick-target : 足元
thin-target : ループ頂上
(熱的?/非熱的?)
ようこう/HXT、RHESSI
• マイクロ波
ループ中
野辺山電波ヘリオグラフ
野辺山電波ヘリオグラフ
• プロミネンス(リムでの現象)
• シグモイド
• フレア(非熱的放射)
非熱的放射から分かること
• スペクトルインデックス d, a, g
• a: マイクロ波での放射強度
スペクトルインデックス
F ( )  
F, N, I
(プラスで定義)
a
 E
A
• g: 硬X線での光子スペクトル
インデックス
I HXR ( )  
g
(マイナスで定義)
• d: 電子のエネルギースペクト
ルインデックス
N e (E )  E
d
(マイナスで定義)
E
撮像分光
10-12keV
12-14keV
14-16keV
16-18keV
太陽リム
g~?
18-20keV
20-22keV
22-24keV
24-26keV
26-28keV
28-30keV
30-35keV
35-40keV
g~5.3
I HXR ( )  
g
10keV
34 GHz
12-25keV
25-40keV
50keV
00:20:00 ~ 00:24:30 UTまで積分
• プリフレア相でのフレアループ上空の硬X線放射源は
g~5.3の非熱的放射と考えて矛盾はない
aとgの比較
• 電波でも撮像分光
a~-3.1
• 電子のスペクトルを推測
– g~5.3  d~4.8
(thin-target modelを仮
定)
– a~-3.1  d~4.8
(optically-thin gyrosynchrotronを仮定)
• 同じ電子スペクトルを持
つ!!
d
N e (E )  E
34 GHz
12-25keV
25-40keV
aマップ
a~-3.1
aインデックス
非熱的粒子の見積もり
• さらに電子密度のエネルギースペクトルを求め
ることができる
• マイクロ波(Dulk 1984など)
N(E) = 2.8×1041 E-d [electrons/keV]
Bc = 200 [G], Emin = 10 [keV]
• 硬X線(Sakao 1994; Hudson et al. 1978)
N(E) = 1.8×1040 E-d [electrons/keV]
ni = 1×109 [cm-3]
ピッチ角等方分布の仮定がおかしい?
ただしこの見積もりは、磁場強度、Eminに強く依存
大切なこと
• 多くの波長データを用い、多面的にフレア
をとらえる
– 構造として(現象論的に、定性的に)
– 物理情報も(定量的に)
• 地上観測装置と衛星(特にSolar-B)との
連携
最後に
黒河先生、お疲れ様でした