Transcript 随伴性
大阪樟蔭06行動分析実習 (2)行動分析学の基礎 その2 望月昭 [email protected] HP: http://www.ritsumei.ac.jp/kic/~mochi/ ブログ http://d.hatena.ne.jp/marumo55/ 1 本日の課題 1. 前回示した行動の分類の中の「オペラント行 動」はどう記述するのか 2. オペラント行動を成立させる随伴性関係の 「恣意性(arbitrary)」とは? 3.そのような行動の(恣意的)特性を確認するこ とは、対人援助作業をする上で、どのような意味 を持つか? 2 オペラント行動 • 後続する刺激がその前の行動の消長に影 響を与える。 1)結果が、その行動を増やす場合 例を挙げてみよう 2)結果が、その行動を減らす場合 例を挙げてみよう 3 オペラント行動のABC分析 • 先行する刺激(A)はなんだろう。 • 行動(B)はなんだろう。 • 結果(C)はなんだろう。 • この3つの要素で行動を考える習慣をつけ よう。 4 行動をどういう単位として扱うか 先行事象(刺激) 古い行動主義 認知心理学 反応 後続事象(刺激) S → R S→ O→ R SD ・・・ R ・・・ RFT(強化) A B C 3点セットで「行動」(オペラント) 行動を、先行刺激(弁別刺激)と後続刺激(強化)と いう2つの事象との「機能的関係」で表現する =三項(強化)随伴性とよぶ (Three Term Contingency) 5 三項随伴性 SD ・・・ R ・・・ RFT どのような反応群が特定の結果を生むかどうか、ま た、どのような先行刺激が当該の反応を生み出すか どうかという機能も、後続事象(強化刺激)が決定す る(結果が「機能」を決定)。 反応とその後続事象の関係は、必ずしも物理的必然 性を持たなくてもよい。 (dependency vs. contingency) 行動(オペラント)の恣意性(arbitrary) 6 随伴性(反応と結果の関係)の種類 自然的随伴性 背伸びをすると(B)遠くが見える(C) これは、物理的必然性あり 社会的随伴性 日本語を話すと(B)日本人は理解して判 事をくれる(C) そもそもは物理的必然性なし 偶発的随伴性 左足から外へ出ると(B)良いことあり (C) 必然性なし 行動(オペラント)とは、きわめて脆い危い存在 「行動は風」(東正) ← 「 言葉は波 」(ソシュール) 7 社会的な生活を営む人間の行動: → その大部分が社会的随伴性のもとに 支配されていると考えられる。 「恣意的」な随伴性で維持されている事が多 い もともと「危い」ものが多い どんな行動が維持されるか:習慣・文化による 8 SD ・・・ R ・・・ RFT 方法としての行動分析の特徴 ●行動の形成・般化・維持の原因を「環境」の中に見い だそうとする。 ●文化(社会)の中での、もともと“恣意的”な 随伴性の配置によって、成立・不成立(維持か消去)は、 実にあやうい(脆い)ものである。 対象となる被援助者の行動だけが問 題になるのではない(!) 「対人援助」の実践・研究を行うわれわれの 9 行動も同じ原理で常にふりかえれ! 援助・実践・研究をする側の行動も 同じ原理で考えることになる。 ★行動を強化する(治療・教育などの場面で)その行動 自体もその時点での強化の随伴性に従う。 ★行動を記述・分析する行動も、三項随伴性による。 → 「障害」「遅滞」「発達」といった概念を使用すること も、一つのオペラント行動(言語行動)であり、同様の社 会的随伴性に影響をうけるものである。 10 随伴性から考える社会現象 • 発達や健康に関する対応も、その対応を するすることの随伴性を考える必要あり ・河口堰、ダムを作る(ほんとうに自然的随 伴性の対応?) ・戦後の給食にパンを食べたのは? (本当に栄養価の問題?) ・ 「血液型」で性格の判断をするのはなぜ? 11 例題: ●「障害」という言葉の持つ意味は時代によって変 化している。それはどのような社会的随伴性の 変化によるものと考えられるか? ●心理学は大学でしか教えないのはなぜかについ て、大学の運営に関する随伴性という見方で解 釈せよ。 ●臨床心理と社会福祉は「仲が悪い」と言われる その理由を上記2)の随伴性を生み出す文脈か ら考えること。 12 例題解説 • 障害:これは次回の授業を参照 • 制限された反応は、別の行動に随伴させ ると強化力を持つ • 臨床心理学は個人を治してナンボ。 社会福祉は環境をよくしてナンボ。 13