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物理学実験3(高エネルギー原子核実験)
http://utkhii.px.tsukuba.ac.jp
物理学系・三明康郎
1)大型加速器を用いた実験の特長
2)クォーク・グルオンプラズマ探索実験
3)衝突型加速器
4)高エネルギー原子核・原子核衝突の様子
5)衝突型加速器を用いた実験
6)測定技術
7)今までの主な発見
筑波大・三明
1
・出席をとります。
1)大型加速器を用いた実験とは
筑波大・三明
2
世界の大型加速器
加速器
研究機関
ビーム種類
名称
KEKB
エネル
電子・陽電子
加速器研究機
8 + 3.5
素粒子現象の精
GeV
密測定
構(日本)
レップ
欧州共同原子
フェルミ研
電子・陽電子
陽子・反陽子
(米国)
リック
ブルックヘブン
研(米国)
•
研究目的により、ビームの
種類やエネルギーが異なる
•
核研究機構
テバトロン
世界の主な衝突型加速器
主な目的・成果
ギー
高エネルギー
•
金・金など
55 + 55
電弱相互作用の
GeV
精密測定
500 + 500
トップクォーク、
GeV
ヒッグス探索
100 + 100
GeV
探索実験を行う加速器は世
界に何カ所もいらない。
•
同様な実験形態
–
多国間国際協力
クォーク・グルオ
–
1国で負担するのは困難
ンプラズマ探索
–
加速器;数百億円〜数兆円
–
測定器;約10%
•
多国籍・他研究機関の研究
者の国際協力・共同
筑波大・三明
3
大型加速器実験の典型的経過と特徴
CDF実験の例
1981 報告書提出
1985 加速器完成
•
1986 検出器完成
提案〜建設〜測定のサイクルが長期
間(5年〜20年)にわたる
1988 第1回目測定
検出器増強
1992 測定
•
1-a
の繰り返し
トップクォーク生成の証拠
1993 測定
1-b
トップクォーク生成の決定的立証
検出器増強
加速器増強
1998 第2回目測定
トップクォークの性質
検出器増強
加速器増強
筑波大・三明
4
長期間の測定と検出器・加速器増強
•
信号が増強とともに蓄積されていく
–
それぞれのプロジェクトのタイムライン
と各自の生活プランがどう接していくか
2)クォーク・グルオンプラズマ
(QGP)探索実験
筑波大・三明
5
物質の階層構造とクォーク・グルオンプラズマ
•
原子核
–
–
陽子
中性子
クォーク
–
•
核子
–
–
–
•
6
クォーク・反クォークからなる複合粒子
クォークの種類により多くの組み合わせ
QCDの特徴
–
–
筑波大・三明
クォーク3個からなる複合粒子
クォーク間力;グルオン交換
量子色力学(QCD)
中間子
–
–
•
陽子と中性子の集まり
核子(陽子と中性子)間力;π中間子交
換
4000種類
クォークの「閉じ込め」
漸近的自由度
クォーク・グルオンプラズマ(QGP)とは
•
ハドロンの構造;
–
ハドロン(陽子、中性子や中間子)は、1fm程度
の大きさを持ちクォークと媒介粒子グルオンか
ら構成されている。
–
3つのクォークかクォーク・反クォーク対
–
量子色力学(QCD)の世界
• クォークの閉じ込め
• 漸近的自由度
–
•
バッグ模型によるハドロンの構造の理解
大きさを持つハドロンを狭い空間に多重
発生させると(高温・高密度状態)、ハ
ドロンが連結状態した状態が起こる?
–
クォーク・グルオンが比較的大きな体積中を自
由に飛び回る状態が実現する。
– クォーク・グルオンプラズマ状態
筑波大・三明
7
Big BangとLittle Bang
•
相転移
•
QuickTim eý Dz
GIF êL í£ÉvÉçÉOÉâÉÄ
ǙDZÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈÇ…ÇÕïKóvÇ­Ç•
ÅB
•
ビッグバン宇宙論
–
3次元的膨張
–
ビッグバンから10マイクロ秒後にQGP相か
らハドロン相への相転移
–
1次の相転移であれば以降の宇宙の進化に影
響か
“リトルバン”
–
“再現”実験
–
高エネルギー原子核・原子核衝突
–
1次元的膨張
CERN(欧州共同原子核研究機構)と米
国ブルックヘブン国立研究所
ほぼ5年おきに新しい加速器
筑波大・三明
Machine
Beam+Target
Ecm [GeV]
1987 -
AGS
Si+Au
5A
1987 -
SPS
S + Pb
20A
1992 -
AGS
Au + Au
4A
1994 -
SPS
Pb + Pb
17A
2000 -
BNL•RHIC
Au + Au
130A - 200A
8
QGP探索実験の中心施設
•
CERN・SPS
‘94〜
Pb+Pb衝突
静止標的型実験
√s〜17 AGeV
筑波大・三明
9
欧米
BNL・RHIC
‘00〜
Au+Au衝突
衝突型加速器
√s<200 AGeV
3)衝突型加速器
(RHICを例にして)
筑波大・三明
10
Relativistic Heavy Ion Collider (RHIC)
•
1周約3.8km
•
右回り用と左回り用それぞれの
ビームライン
•
計864個の電磁石
•
実験室中央で右回りと左回りの
ビームが衝突
筑波大・三明
11
複合加速器RHIC
100 GeV/u
78 MeV/u
10.8 GeV/u
RHIC
= タンデム型Van de Graaf 加速器
× ブースターシンクロトロン
× AGSシンクロトロン
× 衝突型加速器
筑波大・三明
12
1 MeV/u
RHIC(加速と衝突の様子)
QuickTimeý Dz Animation êLí£Év ÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóv Ç­Ç•
ÅB
筑波大・三明
13
6つの衝突地点
筑波大・三明
14
衝突のLuminosity
衝突頻度
[ T-1 ]
[ L-2T-1 ]
N  L  tot
断面積[
N1
L-2
•
衝突型加速器の性能を与える量;L
•
多くの衝突頻度を得るためには、
]
•
–
多数のビーム粒子
–
細く絞られたビーム;〜mm
–
2本のビームの位置の制御
–
タイミング制御
→
L
S
15
N 1N 2
S
N2
筑波大・三明
高度な加速器技術が必要
データ量の増加の様子
•
RHIC加速器の例
•
建設直後からのビーム衝突回数の増加の様子
–
なかなか衝突が起こらない
–
調整経験を積み上げていくとともに増加していく
Run
Year
Species s1/2 [GeV ] Ldt
01
2000
Au-Au
130
1 mb-1
10M
02 2001/2002 Au-Au
200
24 mb-1
170M
03 2002/2003
筑波大・三明
16
Ntot
0.15 pb-1 3.7G
p-p
200
d-Au
200
2.74 nb-1
p-p
200
0.35 pb-1 6.6G
5.5G
p-p Equivalent Data Size
0.04 pb-1
3 TB
1.0 pb-1
10 TB
0.15 pb-1
20 TB
1.1 pb-1
46 TB
0.35 pb-1
35 TB
4)高エネルギー原子核・
原子核衝突の様子
筑波大・三明
17
衝突のMovie(Simulation)
QuickTimeý Dz
Animation êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ
ǙDZÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇ­Ç•
ÅB
•
(高エネルギー)×(原子核・原子核)→
–
筑波大・三明
18
数多くの粒子が発生(数千個)
高エネルギー重イオン衝突の様子
•
筑波大・三明
19
衝突の極めて短時間の間に何が起こっているのか!
–
10 - 20 fm/cの間に多数の衝突
–
運動学的熱平衡・化学平衡が起こっているらしい
–
クォーク・グルオンプラズマの生成も?
Minkowski空間における粒子発生の様子
•
固有時間
•
粒子生成時間の違い
• 遅い粒子は早く
• 速い粒子は遅く
QuickTimeý Dz
TIFFÅiLZWÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ
ǙDZÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇ­Ç•
ÅB
筑波大・三明
20
高エネルギー重イオン衝突の様子
•
筑波大・三明
21
衝突の極めて短時間の間に何が起こっているのか!
–
10 - 20 fm/cの間に多数の衝突
–
運動学的熱平衡・化学平衡が起こっているらしい
–
クォーク・グルオンプラズマの生成も?
高粒子密度
Beam
√s
dNc/dy
for
Au+Au
AGS
12 A GeV
4.8 GeV
150
SPS
150 A GeV
17 GeV
270
RHIC
100+100 A
200 GeV
700
GeV
•
測定技術上のチャレンジ
–
検出器における粒子密度が高い
• 2粒子識別分解能
–
多くの情報量
• 読みだし回路の性能
筑波大・三明
22
• 計算機能力
5)衝突型加速器を用いた実験
(PHENIX実験を例に)
筑波大・三明
23
PHENIX実験
筑波大・三明
24
PHENIX実験
筑波大・三明
25
•
磁場を中心に多くの検出器
PHENIX実験;2種類の磁石
B
BEAM
BEAM
B
筑波大・三明
26
PHENIX実験;
多くの検出器
•
飛跡検出器
•
粒子識別装置
筑波大・三明
27
PHENIX実験(写真1)
筑波大・三明
28
PHENIX実験(写真2)
筑波大・三明
29
国際共同実験PHENIX
筑波大・三明
30
6)測定技術
筑波大・三明
31
飛跡検出器
MWPC中の電場の様子(PRC66(2002))
•
荷電粒子がチェンバーガスを電離
•
アノード細線周辺の高電場によりガ
ス増幅
•
アノード細線の位置や誘導電荷によ
り飛跡位置を測定
•
Drift Chamber中の電場の様子(Frontier in Physics 64))
筑波大・三明
32
典型的位置分解能
–
Multiwire Proportional Chamber
(MWPC);〜mm
–
Drift Chamber;〜0.2 mm
–
Time Projection Chamber;mm
Time Projection Chamber
筑波大・三明
33
運動量解析とその精度
p t [GeV / c ]  0.3  B[T ]  r[ m ]
Curvature;
k  1/r 
0.3  B[T ]
[m ]
p t [GeV / c ]
( k )  ( k mult )  ( k pos )
2
 k mult  0.016
2
Z
L
Lp [GeV / c ]  
L radiation
Uniform Nth readout;
筑波大・三明
34
2
 k pos 
t
L
2
720
N 4
PHENIX実験の磁場の様子
•
磁場中による飛跡の曲
がり方から運動量を決
定する。
筑波大・三明
35
ハドロンの粒子識別;電離エネルギー損失
Bethe  Bloch formula ;
筑波大・三明
36

dE
dx

z
2

2
ln(  )
ハドロンの粒子識別;飛行時間測定法

t
Time of Flight;
L
c

L
p m
c
p
2
2
 t 2

m  p ( )  1
 L

2
  L 2
 t 2 
(
)  ( )   ( )  ( ) 
 L
m
p
t 
m
筑波大・三明
37
2
2
p
2
4
ハドロンの粒子識別;チェレンコフ放射
荷電粒子速度 > 媒質中の光速伝搬速度
Nd 
dx


1
d


 z  1
2

  n  
 c
2
 
 N pe  90 sin  [cm ]
PMT
•
2
閾値型チェレンコフ検出器


 threshold 
•

筑波大・三明
38
1
n
リングイメージ型
r  f tan(  )
-1
Lepton Pair Spectrometer
 typ  2 cos
•
pt
1
M  pt  4 m
2
2
m
–
2
•
•
M
2 2
 M c   p˜ A  p˜ B    p˜ A  p˜ B 
2
筑波大・三明
2
39
2
2
1
c
2
EAEB)
Φ中間子;50fm/c
検出器まで崩壊前に届かない
–
m
  m A c  m B c  2( p A  p B 
短寿命で崩壊するハドロン;
崩壊生成粒子の検出が必要
例;
–
Φ→K+K−
–
Φ→e+e−
RHIC実験と計算機
•
高多重度事象
–
巨大なデータ量
•
–
粒子の飛跡解析に多くの計算が必要
•
筑波大・三明
40
4ヶ月間 x 12MB/s=140TB
1200個のCPUの並列化
7)今までの主な発見
筑波大・三明
41
方位角異方性とは
•
非中心衝突の反応関
与部は方位角異方性
Side View
Beam View
•
平均自由行程が十分長
い場合;
b ; Imp act param
–
•
b
平均自由行程が十分短
い場合;
λ<<R
λ>>R
–
圧力勾配は短軸方向が大
きい
–
短軸方向に多くの粒子
R

 coll 
2R
•
c
筑波大・三明
座標空間の方位角異方
性が生成粒子の運動量
J.Y. Ollitra u lt , P.R.D48 ('93 )11 32
N 
一様な方位角分布
空間異方性に転換
  N 1  2 v cos      2 v cos  2 (   ) 
0
42
1
0
2
Elliptic Emission
0
QGPを示唆する結果;2)大きな方位角異方性
•
SPSに比べて、おおきな方位
角異方性が観測された。
–
–
•
流体力学的効果
–
–
–
•
43
衝突後0.6fm/cで熱化成立を仮定
すると良く再現。
Hard Scattering の領域で流体
は考えにくい
>2.5 GeV/c で振舞の変化
いかなる反応が衝突後、0.6
fm/cで熱化出来るのか?
–
筑波大・三明
SPS; 約4%
RHIC;約6%
• より速やかな熱化
• より短い平均自由行程
QGP!
高横運動量抑制効果の発見
荷電粒子
中性パイ中間子
•
荷電粒子、中性パイ中間子
共に高横運動量で抑制
•
周辺衝突(60-80%);
–
•
•
Nbinaryで規格化したpp衝突の結
果と良い一致
中心衝突(<10%);
–
Nbinaryで規格化したpp衝突より
全般的に小さい
–
特に>3GeV/c
陽子・陽子衝突に比べて高
横運動量領域で粒子生成が
少ない!
•
今まで全く見られなかった
現象!
筑波大・三明
44
Phys.Rev.Lett.88,022301(2002)
高運動量領域の粒子生成とは
•
高横運動量領域では指数関数から
ずれた成分が現れる
•
–
陽子・陽子衝突ではπー より多くのπ+
–
Valence Quark散乱のLeading Particle
高エネルギーの衝突ではより顕著に
–
•
Phase Space の制限が効かなくなる
2成分;
–
第1項;Exponential;Soft Component
–
第2項; Power Law ; Hard Component
• Perturbative QCD
d 
3
E
筑波大・三明
45
dp
3
 C 0 exp( 
mt
T0
)
C1
( pt  p 0 )
n

ジェット・クエンチとは
+Ze

dE Bohr
dx
•

Ne

2

ln(    )
2
高速荷電粒子が物質中を通過する際に、
dE
GLV
dx
•

Ng
ln(
f (E )
E
m
)
パートンがQGPなど高密度物質

原子電子とのクーロン相互作用によっ
中を通過する際に、グルオン放射
てエネルギー損失
によりエネルギー損失
–
Bethe-Bloch Formula
–
物質の電子数密度に比例したエネルギー損失
筑波大・三明
46
–
グルオンの数密度に比例した損失
QGPを示唆する結果;4)ジェット・クエンチ
エネルギー損失が無い場合の予想
R AA 
 AA
N binary   pp
d+金衝突
金+金衝突
•
金・金衝突では高横運動量領域で抑制
•
重陽子・金原子核衝突では抑制効果が見られなかった
–
金・金衝突で出来た高密度物質をパートンが通過する際のエネルギー損失によるもの
筑波大・三明
47
QGPを示唆する結果;4’)正反相関の消失
pedestal and flow
subtracted
•
金・金衝突では正反対方向に期待されるジェットが消失した。
筑波大・三明
48
まとめ(所長挨拶)
QuickTimeý Dz
Sorenson Video 3 êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ
ǙDZÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇ­Ç •
ÅB
筑波大・三明
49