輸血の歴史

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外科手術と輸血
大阪大学輸血部
倉田義之
全身状態良好な患者の術中出血
1.循環血液量の15~20%の出血
出血量の2~3倍の細胞外液系輸液を輸液
2.循環血液量の20~50%の出血
細胞外液系輸液に赤血球濃厚液(MAP)の輸血を
併用
3.循環血液量の50~100%の出血
細胞外液系輸液と赤血球濃厚液(MAP)に加え、適
宜等張アルブミン製剤を投与
4.循環血液量以上の出血(24時間以内に100%以上)
上記の他、凝固系や血小板数の検査値および臨床
的な出血傾向を参考に、新鮮凍結血漿や血小板濃厚
液の投与も考慮
出血患者における輸液・成分輸血療法の適応
手術中の輸血
• 虚血性心疾患や脳血管障害がない症例
– Hb 7g/dlを維持するように輸血
• 虚血性心疾患や脳血管障害合併症例
– Hb 9 – 10g/dlを維持するように輸血
手術時の血液準備
(Type & ScreenとMSBOS)
血液型不規則抗体スクリーニング法(Type & Screen)
・ABO血液型、Rh(D)血液型、不規則抗体の有無を調べておく。
・Rh(D)陽性で、不規則抗体が陰性であれば適合血の準備は容易である。
・術中輸血の可能性が低いと予測される待機的手術では、術前に交差適合試験
を行わない。
・術中に緊急輸血が必要になった場合は、オモテ検査でABO血液型
を確認するか、生食法で交差適合試験の主試験のみ行って輸血する。
最大手術血液準備量(maximum surgical blood order schedule:
MSBOS)
・確実に輸血が必要であると考えられる待機的手術では、その医療機関の術式
の平均輸血量の1.5倍の血液を交差適合試験を行って準備する。
T&S/MSBOS実施方法
手術の3-10日前
T&S対象手術
手術の2日前
手術の1日前
MSBOS対象手術
不規則抗体陽性
Rh(D)陰性症例
検体とともに輸血依頼票提出
血液型、不規則抗体検査
血液型、不規則抗体検査
交差適合試験
血液供給
手術当日
手術
手術
術中緊急輸血の場合
交叉適合試験:生食法
15分以内に血液供給
術中緊急輸血の場合
交叉適合試験:生食法
不規則抗体陽性例:抗原陰性を確認
交叉適合試験:抗グロブリン法
不規則抗体スクリーニングの必要性
万全な準備で安心な医師・患者
阪大病院におけるMSBOS
(2000年11月~2001年10月)
術式
症例数 輸血率 平均輸血 最大輸血 C/T比 MSBOS
(%)
単位数
単位数
胃全摘術
42
42
1.9
26
3.1
4
食道ガン根治術
36
63
2.2
10
3.2
4
肝臓切除術
80
88
5.5
52
2.7
8
膵頭十二指腸切除術
17
76
4.5
14
2.7
8
胃切除術
54
11
0.4
6
6.7
T&S
胆嚢摘出術
19
10
0.2
2
∞
T&S
結腸切除術
71
14
0.7
8
2.4
T&S
摘脾術
1
0
0
0
-
T&S