Transcript ヘビになったマメのサヤ
み へび 巳(蛇)にまつわる民話 ヘビになったマメのサヤ(千葉県) むかしむかし、ある村の役人のところに、 はるばる京の都から清滝姫(きよたきひめ)と いう美しい娘が嫁入(よめい)りして来ました。 清滝姫は新しい生活に慣れてくると、すで に亡くなっている両親を供養(くよう)する為 (ため)に、村に立派(りっぱ)な ヘビになったマメのサヤ(千葉県) 1 なお寺を建てました。 ところが、お寺の完成が近づいて来ると、 村の南東の方角からお寺に向かってエノキ の小枝が飛んで来る様になったのです。 「これは何か、悪い事が起こる前ぶれではな いか?」 村人たちは気味が悪いので、都から有名 な占い師を呼び寄せて占って貰(もら)いまし た。 すると、 ヘビになったマメのサヤ(千葉県) 2 「これは南東の方角にあたる、染井(そめい) の峰(みね)の仕業(しわざ)である。染井の峰 のこの寺にエノキの小枝を投げつけるの じゃ。染井の峰は、ここに寺が出来るのをよ く思わず、こんな悪さをしておるのじゃろう」 と、言うのです。 そして占い師は、お寺にエノキの木を植え ればよいとつけくわえました。 村人たちは占い師が言葉通りに染井の峰 からエノキの木を持って来て、境内(け ヘビになったマメのサヤ(千葉県) 3 けいだい)に植えました。 すると、おかしな騒ぎも治まって、お寺は立 派に完成したのです。 それから長い年月が過ぎて、清滝姫が建 てたお寺は朽(く)ち果ててしまいましたが、そ のお寺の跡地(あとち)で不思議な事がお こったのです。 お寺の跡地の近くの高台に畑を作ってい た村のお百姓(ひゃくしょう)が、大角豆(ささ げ)というマメをまいたところ、 4 ヘビになったマメのサヤ(千葉県) とてもたくさんの収穫(しゅうかく)があ りました。 お百姓は喜んで取り入れをすると、このマ メを煮(に)て食べる為(ため)にサヤをむきま した。 するとむいた後に捨てたサヤがもぞもぞと 動き出して、何十匹もの金色のヘビになった のです。 「な、な、なんじゃ。これは?」 お百姓は、ビックリです。 お百姓は急いで 袋(ふくろ)にヘビを詰め込むと、 ヘビになったマメのサヤ(千葉県) 5 マメをとれた畑へ持って行って土の中に 埋めてしまいました。 後から調べたところ、畑のある高台は清滝 姫のお墓(はか)があったところで、あのヘビ は清滝姫を守っていたという事です。 おしまい 福娘童話集許可転載<http://hukumusume.com/douwa/> ヘビになったマメのサヤ(千葉県) 6