パワーポイントデータ - 鈴木政浩(西武文理大学)

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Transcript パワーポイントデータ - 鈴木政浩(西武文理大学)

リメディアル教育における
音声指導を中心にした英語授業実践
-英検3級リスニング問題からCNNシャドーイングにいたるまで-
Teaching Practices of English Instruction Classrooms on the Remedial Approach
- From easy texts to the Transcript of CNN-
鈴木政浩 (西武文理大学)
外国語教育メディア学会(LET)関東支部 121回(2008年度) 研究大会
10月18日 関東学院大学関内メディアセンター
プロフィール

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



公立中学校教諭(10年)
修士課程在籍、看護専門学校非常勤講師
私立中高専任教諭
武蔵野女子大学非常勤講師
西武文理大学専任講師
JACET授業学研究委員会
授業風景と学生のパフォーマンス
衝 撃 の 事 実
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/
/
/
コ
カ
オ
タ
メ
メ
ネ
ケ
/
/
/
/
come
came
one
take
•アルファベット読みができればまだ良い方
•現状としては中学2年生の検定教科書がなかなか読めない学生が多数存在
自己補正能力の確認からパフォーマンスまで
– イントラネット内のホームペ
ージを使った学習
(英検3級リスニング問題)
– パソコンソフトSpeaK!を使っ
た音読の基礎練習
– 音読速度を上げる練習・シャ
ドーイング
– 学生のパフォーマンス・・・
CNN・洋画
– 練習→録音・ビデオ収録
→鑑賞と評価
学習支援用自作ホームページ
パラレルリーディングのページ
シャドーイングのページ
取り組み点検表
活用法
1. 学生が個別に練習
2. できると思った部分のテスト
3. 合格者にはスタンプ
個別指導対象者の洗い出し
(No. 5までなかなか終わらない学生)
なぜスタンプか?
音読指導が徹底しないのは、学習者の怠惰だけが原因
とは限らない
鈴木 (2008a)
250
上下を繰り返すだけで、ほとんどス
コアの伸びが認められない学生
200
150
モデル音声を聞くだけでは、
正しく再生できない学生
100
50
自己補正能力の著しく低い学生の存在
0
1回 目
2回 目
3回 目
4回 目
5回 目
図1. 伸びのみられないデータ
鈴木(2008)より
コンピュータ
ソフトウエアの可能性
SpeaK!(ライトハウス社)
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
どんな英文でも取り込み可
取り込んだ英文の読み上げ
単語ごとに発音を確認
単語の意味を表示
学習者の音読を録音
音読のスコアを提示
その他
リピーティング
動画や音声ファイル貼り付け
Autonomous learners育成
音読の動機づけ維持
SpeaK!の音読測定画面
効果測定





4月授業第1回目:英検3級第1回テスト(pretest)
学習支援ホームページでパラレルリーディング
の練習
5月英検3級第2回テスト(interim test)
SpeaK!を使った独習(英検3級リスニング+筆
記試験問題の音読
7月英検3級第3回テスト(post-test)
3回のテストの分布
16
Pre-test
度
数
Interim test
4月実施
Post-test
5月実施
7月実施
14
12
10
8
6
4
2
得点
0
0~6
~12
~18
~24
図2. 3回のテストの得点分布推移
~30
21
分散分析(反復測定混合計画)
19
17
15
平均点の伸び
13
11
鈴木・阿久津(2008)より
9
7
Pre-testとpost-testで
上位群・下位群のデータに交互作用あり(有意傾向)
下位群平均
上位群平均
5
Pre
Int
Post
図3. リスニングテスト スコアの伸び
(上位群 下位群の比較)
表1. 分散分析表(上位群下位群Pre-testとPost-testの交互作用)
要因
平方和
自由度
平均平方
F値
有意確率
L
459.27
1
459.267
38.31
0
L x 熟達度
45.067
1
45.067
3.759
0.063(†)
誤差 (L)
335.67
28
11.988
† p < .10
上位群と下位群の平均点の差
鈴木・阿久津(2008)
21
ほぼ全員が合格ラインに!
19
17
下位群が追いつきそうな勢い
15
下位群のこの部分の伸びが
上位群よりも顕著・・・
13
11
表2. 上位群・下位群平均の推移
9
7
下位群平均
上位群平均
5
Pre
Int
Post
Pre
Int
Post
下位群
10.47
14.40
17.73
上位群
17.07
19.40
20.87
図4. リスニングテスト スコアの伸び(上位群 下位群の比較)再録
上位群下位群平均点の差の意味
表 3. 上位群下位群 平均点の差の検定
(I)熟達度
(J)熟達度
平均値の差(I-J)
Pre-test
上位群
Interim test
下位群
標準誤差
p値
6.600(*)
1.455
0
5.000(*)
2.009
0.019
3.133
1.651
0.068
Post-test
* p < .05
Decoding skillsの習得でリスニングにおける上位下位の差は解消された
表 4. 多重比較
熟達度
(I) Listening
下位群
Pre-test
上位群
Pre-test
(J) Listening
平均値の差 (I-J)
標準誤差
p値
Interim test
-3.933(*)
1.368
0.008
Post-test
-7.267(*)
1.264
0
-2.333
1.368
0.099
-3.800(*)
1.264
0.006
Interim test
Post-test
* p < 0.5
下位群はテストのたびに有意な伸びを示した
アンケート内容
表5. アンケート項目
4月の授業開始時期と比べて、もっとも自分の気持ちに近
いものの番号に○を付けなさい。
(2008年7月、Post-test終了後の調査)
Q1. リスニングテストはやさしかった
きわめて簡単だった
5
4
3
2
1
きわめて難しかった
Q2. リスニングテストを日常的に受けたい
かなり受けてみたい
5
4
3
2
1
かなり受けたくない
Q3. リスニングテストは英語力を高めるのに役立つ
役立つと思う
5
4
3
2
1
役立たないと思う
Q4. 授業を受けてみて英語が好きになった
好きになった
5
4
3
2
1
嫌いになった
Q5. 音声を聞いて音読できるようになった
かなりそう思う
5
4
3
2
1
かなりそう思わない
Q6. 英単語の発音がしっかりできるようになった
かなりそう思う
5
4
3
2
1
かなりそう思わない
Q7. 英文の音読がしっかりできるようになった
かなりそう思う
5
4
3
2
1
かなりそう思わない
Q8. 音読が重要だと感じるようになった
かなりそう思う
5
4
3
2
1
かなりそう思わない
Q9. 音読が好きになった
かなりそう思う
5
4
3
2
1
かなりそう思わない
Q10. リスニング力が付いた
かなりそう思う
5
4
3
2
1
かなりそう思わない
Q11. 英語を読んだり聞いたりすることに対する抵抗感が
減った
かなり少なくなった
5
4
3
2
1
かなり増えた
Q12. 授業以外でも音読やリスニングの練習をした
かなりやった
5
4
3
2
1
まったくやらなかった
アンケート 結果1
アンケート平均(5段階法)
3
4
5
Q1. リスニングテストはやさしかった
2.88
Q2. リスニングテストを日常的に受けたい
3.24
4.2
Q3. リスニングテストは英語力を高めるのに役立つ
Q4. 授業を受けてみて英語が好きになった
3.68
3.92
Q5. 音声を聞いて音読できるようになった
3.88
Q6. 英単語の発音がしっかりできるようになった
3.92
Q7. 英文の音読がしっかりできるようになった
4.2
Q8. 音読が重要だと感じるようになった
Q9. 音読が好きになった
3.72
Q10. リスニング力が付いた
3.72
Q11. 英語を読んだり聞いたりすることに対する抵抗
感が減った
Q12. 授業以外でも音読やリスニングの練習をした
3.68
3.56
図5. アンケートの平均
アンケートの結果2 項目ごとの相関
表6. アンケート項目相互の相関例
項目
相関係数
項目
リスニングの力が付いた
.657(**)
音読が重要だと感じるようになった
.746(**)
英語を読んだり聞いたりすることに対する抵抗感が減った
.828(**)
英単語の発音がしっかりできるようになった
.629(**)
英文の音読がしっかりできるようになった
.723(**)
音読が重要だと感じるようになった
.747(**)
リスニングテストは英語力を高めるのに役立つ
音声を聞いて音読できるようになった
**1%水準(両側)で有意
•Q1とQ12を除き、その他の質問項目間についても.556~.840(**)と比較的高い相
関が認められた。
•音読の活動によるメタ認知の形成
Q1. リスニングテストはやさしかった
Q12. 授業以外でも音読やリスニングの練習をした
音読指導を中心に下リメディアル教育のプロセス
自己補正能力の確認
個 別 指 導
基礎テキストのパラレルリーディング
単語の意味調べと訳
効果測定
基礎テキストのシャドーイング
応用テキストのシャドーイングと録音
→ 朗読シャドーイング
コンピュータソフトウエア
を使った独習
応用テキストのシャドーイングとビデオ収録
→ なりきりシャドーイング
シャドーイングまでの音読訓練
音声試聴
挑戦!
再試聴
1. 単語ごと
→単語一息3回(5回)
誤解とやる気
2. 語句ごと
→語句一息3回(5回)
3. 一文ごと
4. 一文一息3回(5回)
5. 5分(3分)読み
6. 語数計測(5分間で何語読めたか)
学習支援用自作ホームページ
洋画を使った教材のページ
Let’s Try!
聞きやすさの判定:
5・4・3・2・1
A change is sweeping through the
agriculture industry. Alongside traditional
food crops, a new trend is emerging. A
countess in England hopes that her non-
food crops will eventually provide a cheaper,
greener alternative to oil-derived plastics.
Let’s Try again !
 A change is sweeping
through the agriculture industry.
Alongside traditional food crops,
a new trend is emerging.
A countess in England
hopes that her non-food crops
will eventually provide
• Words & Phrases
sweep through: さっと広まる
the agricultural industry: 農業
alongside: ~と平行して
traditional: 従来の
food crops: 食用作物
emerge: 現れる
countess: 伯爵夫人
eventually: いずれは
provide: ~を与える
cheap: 安い
green: 環境に配慮した
oil-derived: 石油から生成された
a cheaper, greener alternative
to oil-derived plastics.
Listen again !
聞きやすさ:5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
英語リメディアル教育の一視点

Decoding skillsの育成でかなりの学習者を救える

リメディアル教育と特別支援教育の両方の視点を持つ

授業開始直後の強力な指導が必要・・・しかし

自信をつければかなり前向きに学習に取り組む

学習意欲と教材の難易度とのバランスの取り方が難しい

長期に渡る指導が必要だが劇的な進歩は期待しない(個人差が大きい)

ゴールを明確に示すことによる、集中度の高い練習ができる

テストや暗記行為をいやがらないところまで引き上げる

その他の小技を活用すること
音読指導研究会ホームページ
プレゼン資料はこちらのホームページからダウンロードできます!
http://langedu.dip.jp/or/
学生からの ビデオレター
Speak!の印象Best 3!
• 話す力が付くと思う・・・(4.6)
• 楽しい・・・(4.5)
• 操作性のわかりやすさ・・・(4.1)
• 評価の妥当性・・・(4.1)
学習者の意欲を高める音読指導の
一時例
26
その他の反応
•テキストの作成作業はスムーズにできた。(4.0)
•SpeaK!のモデル音声は聞きやすかった。(4.0)
•評価の中で誤りと判断された単語などの発音を集中して練習した。(3.9)
•録音を何度もしてみることで音読の評価はあがった。(4.0)
学習者の意欲を高める音読指導の
一時例
27
海外における先行研究から・・・音読に関するQ&A
The position-of-irregularity effect
次の3つの単語を、音読の反応速度順に並べてみよう!
( 3 ) chef
( 2 ) pint
反応速度:
( 1 ) blind
文字を見てから発音するまでの速度
Coltheart & Rastle (1994)
Perry, C., Ziegler, J.C., & Zorzi, Marco. (2007)
音読のモデル
Coltheart, M., Curtis, B., Atkins, P., & Haller, M. (1993)より
(Print) pint
Visual Feature Units
Letter Units
Orthographic
Input Lexicon
Semantic
System
Grapheme-Phoneme
Rule System
Phonological
Output Lexicon
Phoneme System
/paint/ (Speech)
音読能力と熟達度
(r= .608, p<.01)
• グラフ3 音読能力と熟達度の相関
阿久津・飯野・鈴木・大澤 (2006) より