Transcript 中村さやか
経済学入門 第6回 余剰分析 中村さやか 今日やること 1.市場取引の利益 2.政策的介入の影響 市場均衡と社会的余剰 消費者余剰= 生産者余剰= P S 社会的余剰= 市場 価格 D Q* Q 均衡数量 完全競争市場の均衡では総余剰が最大 P S 市場 価格 D Q* Q 均衡数量 均衡点では: 消費者余剰・生産者余剰 (=総余剰)が最大化され ている 需要曲線の高さ=限界的 評価、供給曲線の高さ= 限界費用 ⇒消費者による限界的評 価と生産者の限界費用が 一致している 計画経済 (旧ソビエト連邦など) 中央政府がすべての財の生産量を決定し、国中の生 産拠点に指令を出す 中央政府が価格を決める ⇒適切に生産量と価格を決めるには、すべての消費者 の財への評価とすべての生産者の限界費用がわかっ ていないといけない ⇒不可能! 市場経済と計画経済の比較 市場経済 計画経済 消費者A 企業1 費 価格 評 企業2 用 価 消費者B 企業2 企業1 企業3 費用 評価 費用 評価 消費者C 企業3 消費者A 政府 消費者B 消費者C 市場均衡が効率的であるための条件 1.市場が完全に競争的 2.外部性が存在しない 3.情報の非対称性が存在しない この三つの条件が全て満たされている →政府は介入せずに市場に任せておくべき 条件のうちどれかが満たされていない →政府が介入したほうが良いこともある 外部性とは? 定義:ある経済主体の行動が市場を通さずに他の経 済主体に影響を及ぼすこと プラスの外部性の例: 大学があると町が活性化 マイナスの外部性の例: 公害、授業中の私語 外部性があるときは、市場に任せておくのではなく政 府が介入したほうが良いこともある プラスの外部性がある行動→補助金等 マイナスの外部性がある行動→課税等 情報の非対称性とは? 定義:売り手と買い手の間に情報格差があること 医療保険の例: 健康状態は本人にしかわからない →保険会社は健康状態に関わらず同じ保険料で保険を 販売 →健康な人にとっては割高なので保険に入らない →公的な医療保険制度を作って、国民全員に強制的に 加入させる理由の一つ 今日やること 1.市場取引の利益 2.政策的介入の影響 最低価格規制(価格維持政策、price floor) 影響のある規制 (binding) 合法 影響のない規制 (non-binding) 違法 合法 最低 価格 S 違法 D Q 合法 最低 価格 違法 Q (bindingな)最低価格規制の影響 最低価格の下での需要 量はQ**、供給量はQS QS-Q**だけ超過供給 が発生 均衡で売買される数量は Q** P 超過 供給 最低 価格 S D Q** QS Q 最低価格規制(価格維持政策)のコスト 規制がない場合 規制がある場合 P P S 最低 価格 市場 価格 D Q* Q 余剰の減少分 Q** Q 最高価格規制(低価格政策、price ceiling) 影響のある規制 (binding) 影響のない規制 (non-binding) 違法 合法 違法 違法 最高 価格 S 最高 価格 合法 合法 D Q Q (bindingな)最高価格規制の影響 最高価格の下での供給 量はQ**、供給量はQD QD-Q**だけ超過需要 が発生 均衡で売買される数量は Q** P 超過 需要 最高 価格 S D Q** QD Q 最高価格規制(低価格政策)のコスト P P 余剰の減少分 S 市場 価格 D Q* Q 最高 価格 Q** Q 1単位あたりt円を供給者に課税 1単位あたりt円課税 ⇒企業にとって限界費用 がtだけ高くなる ⇒供給曲線がtだけ上に シフト S’ P t S MC D Q 間接税の影響: 供給者に課税 1単位あたりt円供給者 に課税 生産者が手にする価格 =消費者が払う価格 - t P t Pp 数量はQ*からQ**に減 P* 消費者が払う価格はP* Pr からPpへ上昇 生産者が受け取る価格 はP*からPrへ下落 S’ S D Q** Q* Q 間接税のコスト(税収も余剰にカウント) P P S S’ 税収=t×Q** t Pp S t P* D Q* Q Pr 余剰の 減少分 Q** MC D Q 弾力的なケース vs 非弾力的なケース P S’ D S P S’ t t S D Q Q 間接税の影響は弾力性によって違う 需給ともに非弾力的 ⇒間接税による消費量の 変化が小さい 1. 行われるべき取引が 行われないことによる 社会的損失が少ない 2. 税収が大きい 需給ともに弾力的 ⇒間接税による消費量の 変化が大きい 1. 行われるべき取引が 行われないことによる 社会的損失が大きい 2. 税収が小さい (課税に よって買わなくなる) 食料品の消費税率を下げるべき!? 効率性の観点からは: 需給ともに非弾力的 ⇒間接税による消費量の 変化が小さい 1. 行われるべき取引が 行われないことによる 社会的損失が少ない 2. 税収が大きい 平等性の観点からは: 所得の低い人ほど支出 に占める食費の割合が 高い 消費税が上がっても食 糧は買わざるを得ない ⇒低所得者にとって負担 が大きい(逆進的) 宿題 (提出の必要なし) 50 45 price 価格(万円) S 40 1.市場均衡での消費者余 剰と生産者余剰を求めよ。 2.公定価格が20のときの 生産者余剰と消費者余剰 を求めよ。 35 30 25 20 15 10 5 D 100 200 300 400 500 600 700 800 3.1単位当たり5万円の従 量税が供給者に課税され たときの生産者余剰・消費 者余剰・税収を求めよ。 数量 quantity