Transcript プロジェクト概要
再構成モジュラー型太陽発電システム 発表内容 ◆背景およびSSPS概要 SSPSについて ◆プロジェクト概要 プロジェクト概要 モジュール衛星 ◆衛星システム概要 システム構成 サブシステム ◆まとめ 将来のシナリオ 結論 宇宙太陽発電システムの提案 ◆背景 ・現代,電気エネルギーの大部分は石油等による資源を消費 ・長年にわたる大量の化石エネルギー消費はCO2等の増加 ⇒地球温暖化等の環境問題 ◆1968年にPeter. E. Glaserが太陽エネルギーを利用する宇宙太陽発 電衛星(SPS: Solar Power Satellite) 構想を提案 ◆NASA/DOEにより1978年にまとめられた概念設計によると, 5km×20kmの巨大パネルに太陽電池パネルを敷き詰めた発電衛星 を,高度36,000kmの静止衛星軌道上に打ち上げる衛星1基により5~ 10GWの電力を発電するシステム(リファレンスシステム) その他のSPS構想 NASA/DOEの構想 Reference Model 米国エネルギー省(DOE) 航空宇宙局(NASA) 研究開発 1979年 アメリカ 発電出力 5GW 36,000km静止軌道 概要 発電衛星 5km×10kmの太陽電池パネル 地上基地 10km×13km楕円(緯度35度上) 最初の大規模構想.現在でもレ 特 徴 ファレンスシステムとして引用 主な構想 NASA新構想 Fresh Look 日本版SPS構想 SPS2000 航空宇宙局(NASA) 1995年 アメリカ 100MW~10GW サンタワーやソーラーディスクなど 多様なシステム 直径4~6kmの受電基地 アメリカの宇宙開発予算削減後で は初めての新たな研究として注目 NEDO/旧通産省 1991~1993年 日 本 1GW 36,000km静止軌道 3.2km×2kmの太陽電池パネル2枚 10km×13km楕円(緯度35度上) ニューサンシャイン計画の一環とし て,日本版SPS構想を発表 宇宙科学研究所/旧文部省 1991年 日 本 10MW 1,100km周回軌道 135m×336mの太陽電池パネル4枚 直径1km円形(赤道上) 実証試験を目的としたデモンスト レーションモデル ~本プロジェクトのSSPS構想~ ~プロジェクト概要~ プロジェクト目的 ◆静止軌道上に宇宙太陽発電システム(SSPS)を構築する ◆このような大型構造物を静止軌道上に建設するために,互いにドッ キング可能なモジュール衛星を開発し,複数機打ち上げることでこの SSPSを実現する 主要緒元 寸法 4m×4m×6m(打ち上げ時) 重量 4000kg~ 軌道 静止軌道 打ち上げロケット H2A,種子島宇宙センター 姿勢安定方式 3軸姿勢制御方式 アポジエンジン 500N級 ~本プロジェクトの特徴~ ◆大型建造物を建設するためにモジュール型衛星のドッキングという概念を用いる ◆モジュール衛星によって構築されたネットワーク構造をしているため故障に対す る冗長性が非常に高い ◆発電モジュールと送電モジュールと機能を分けることで,月への電力送信などの 応用ミッションに対応可能 ◆新規技術を採用したモジュールに交換可能であり,「進化」させることも可能 ◆技術実証⇒プロトタイプ試験⇒実用化(小規模~大規模)と実証レベルから実用 レベルへの連続性が可能 ◆ドッキング機構を変えることによって平面展開だけでなく,立体的に構造物を建 設することが可能 ~プロジェクト概要~ モジュール衛星の開発 発電モジュール衛星,送電モジュール衛星,補修モジュール衛星 静止軌道投入後,膜面状の太陽電池セルを展開 ⇒直径50mの正六角形状 複数機の衛星がランデヴドッキング ⇒大型の構造物を建設 最終的には数km級の構造物建設を目指す 歩行・詳細作業可能マニピュレータを搭載 ⇒組立て作業/保守/点検作業 展開/ドッキング後は重力傾斜を利用して地球指向 -衛星システム概要- 送電モジュール詳細 ◆マイクロ波を使って地上に送電 ◆フェイズドアレイアンテナを展開 ◆太陽電池セルは最小限 ◆展開後,制御モジュール/ドッキング機構をマニピュレータが設置 ◆衛星全体の制御は中央部のメインバス ⇒スラスタ/大出力リアクションホイール搭載 ⇒各種センサを搭載 姿勢・位置の決定 ◆各制御モジュールとネットワークを介して通信 ◆画像処理によって各制御モジュールを位置を測定 ◆緊急時に他のメインバスと無線通信可能 送電モジュール 発電モジュール 送電モジュールと同形状 本ミッションでは静止軌道面内に配置, 地球指向 ⇒太陽電池セルは両面に搭載 展開後のセル面積は約1300m2 ⇒効率20%のセルを使用 ⇒約300kWの発電 補修モジュール スラスタ燃料 故障した機器 ・制御モジュール ・ドッキング機構 ・マニピュレータなど ⇒SSPSまで輸送・補給 故障したモジュール衛星の離脱用エンジンの輸送 ~制御系~ 外乱トルク s 太陽輻射圧 2 F PA(n s) ( a d )s 2 s (n s) d n 3 x n F y n : 受光面の法線方向,s:フォトンの方向 0.01 a:吸収率,:散乱率 , :鏡面反射率 d s 0.008 x axis y axis 例として s 0.7, d 0.1, a 0.2 F [N] 0.006 0.004 0.002 0 -0.002 0 1 2 -0.004 theta [rad] 1モジュールあたり最大8mN程度の太陽輻射圧を受ける. 3 ~制御系~ 重力傾斜トルク 重力傾斜トルク ピッチ軸周りに働く重力傾斜トルク Torque [Nm] 40 1 module 7 module 19 module 37 module 20 0 1 modue 7 modules 19 modules 37 modules 61 modules 91 modules -20 -40 0 1 2 theta [rad] roll 3 最終形態を3km×4kmの長方形と仮定 必要なモジュールは約6000個 91 module yaw 太陽輻射圧 :最大で約50N 重力傾斜トルク:最大で約130,000N 61 module pitch 衛星の運用形態(1) 太陽指向方式 定常に発電可能(利点) 姿勢の維持が非常に難しい(欠点) 試算では,約 1.8 10 9 Nms の最大角運動量が必要である. 現在建設中の宇宙ステーションで使用し ているCMGの90,000倍の角運動量発生 装置が必要 地球 太 陽 光 衛星の運用形態(2) 重力傾斜安定方式 発電量が周期的に変化(欠点) 重力傾斜トルクを利用できる(利点) 現状ではこの方式を取らざるを得ない 発電量が周期的に変化する欠点に対しては 地上側のシステムでカバーすることを考える 地球 太 陽 光 ~制御機器~ メインバス メインバス搭載アクチュエータ 5kW Hall thruster Reaction Wheel Input power 5 kW Angular momentum 50 Nms Thrust Isp 246 mN 2326 s Torque 0.3 Nm 搭載センサ 地球センサ メインバス 太陽センサ 高性能ジャイロ 高性能加速度計 GPS カメラ⇒メインバスと制御モジュールの相対姿勢検出 ~制御機器~ 制御モジュール 制御モジュール構成 展開した衛星の正六角形の頂点に配置 メインバスと同期をとり展開された衛星の位置姿勢制御 基本構成:スラスタ,スラスタ燃料,通信 形状:φ1mの正六角形,高さが1mの正六角柱 重量:約150kg ・搭載アクチュエータ スラスタ ディジタルマイクロスラスタ(固体燃料) ホールスラスタ モジュール間の通信/制御 ドッキングシーケンス(例) 重力傾斜トルク安定を保持 Power Generation Module #03 #06 #02 #04 #01 Center of Mass Transmission Module #01 #05 #07 衛星モジュールのランデブ・ドッキング ◆ SPSへの接近シーケンス Step1 軌道投入 SPS Module H-IIAによって,GTO軌道へ投入. Step2 軌道変換 GTO アポジキックで,接近軌道(≒静止軌道)へ rp Step3 相対接近 Earth GPS相対航法による接近.膜展開を考慮し, ra SPSとの相対距離30m付近まで接近. GEO Step4 最終接近 CCDカメラを利用した画像航法により接近. ドッキング準備(膜展開,制御モジュール&ドッキングの設置など) Step5 ドッキング 故障モジュールの交換 Step1 軌道離脱用エンジンの設置 マニピュレータにより,メインバスの指定部分に取り付ける. Step2 展開トラスのラッチ解放 マニピュレータにより行う.ドッキング解放後折りたたむためである. Step3 ドッキング機構解放 ドッキング機構故障の場合,マニピュレータにより強引に引き離す. Step4 トラスの折り畳み トラス故障の際,マニピュレータにより行う. Step5 軌道離脱 Step1で取り付けたエンジンを噴射する. Step 6 運用停止 離脱後軌道の決定.バッテリ放電,燃料消費,停波作業行う. ~機構系~ ドッキング機構 再構成・歩行型の作業用マニ ピュレータにより,展開パネル の最外辺中央に配置される ・ ドッキング機構 ・ 電源&通信コネクタ 相手のドッキング機構との相対位置・姿勢 を検知するためにカメラを搭載 1自由度 ~構造系~ 衛星の構造イメージ ~構造系~ 展開トラス 伸展トラスと伸展マストを組み合わせた展開機構 伸展マスト メインバス トラス ~構造系~ 太陽電池セル展開 厚さ数十μmの薄膜太陽セルを想定 ミウラ折りの採用(1フレーム) ~構造系~ 送電アンテナ展開 (例)フレキシブルヒンジ を用いた展開法 (三菱電気開発) 見かけ上 φ50mの送電アンテナ を形成 ~構造系~ 重量管理 送電器本体( アンテナサイズと無関係) : 20g/W 3.2t 電力分配器,位相器など( 電子管重量と同程度以上必要)3.2t アンテナ( 送電電力と無関係) : 1kg/m2 1.1t 構造体 1.0t その他バス機器,燃料など 1.0t 合計 9.4t ⇒現状の技術では実現が厳しい 電子管 位相制御型マグネトロン T W T 増幅器 クライストロン増幅器 効率 本体75%程度,位相制御型60% ビーム回収型60~67% 本体m ax76% 単体出力 数百~数kW 数百W 数百W ~数十M W 重量(電源込み) 35g/W (S帯),20数g/W (C 帯) 20g/W 100g/W (S帯),40g/W (C 帯) 高周波 -55dB ~-75dB (周波数依存) -70 -70 備考 電流制御フィードバック 宇宙用実績多数 マイクロ波電力モジュール M PM 50% 180W 6.4g/W 半導体 40% 14~40W 7~60g/W C バンド Sバンド 参考:信学技報 “宇宙太陽発電所SPSマイク波送電用超大型アンテナ” ~電源系~ SPSSでは大電力を発電するため送電用ハーネスの重量および サイズが問題 ⇒リファレンスモデルでハーネス重量は17t/223t(7.6%)で主構造より も重くなるという推算もある セルの1直列ごとに昇圧回路を設置し昇圧 複数機がドッキングし数百m級になるとハーネス長による電圧ロス が問題 ⇒ドッキング機構に電源制御回路を搭載し,常にドッキング ポートの電圧を一定に保つ ドッキング数の増加に伴って送電ラインの増強が必要になる ~電源系~ 送電ラインの増強 送電ラインの増強 ~電源系~ 太陽電池セル ◆重量・収納効率・収納方法などの点から高効率および薄膜 である太陽電池セルが必須 開発が進んでいる ・アモルファスシリコン太陽電池 ・テルル化カドミウム(CdTe)太陽電池 の低コスト/大量生産の実現に期待 ~通信系~ マイクロ波送電システム 直流電力 マイクロ波電力 セルの発電効率 伝搬 商用電源化 変換効率 送電アンテナ フェーズドアレイアンテナ(PAA) アレイ素子を位相制御することで,ビーム方向を任意に変更 アンテナの省スペース化,軽量化 レトロディレクティブ方式 地上の受信側から位置を示すパイロット 信号を発信し,衛星側が自分の姿勢を 検知し,その信号が来た方向に送電を 行なう 送受電アンテナサイジング 送受電アンテナ径関係式 2 DT DR z 送電アンテナ直径 [m] 50 100 :波長 z :伝送距離(=36,000km GEO) DT :送電アンテナ径 D R :受電アンテナ径 17 (伝送効率95%) 受電アンテナ直径[km] 2.45GHz 5.8GHz 24GHz 238.5 100.9 24.3 119.3 50.4 12.1 ISMバンド 現状では,20~100kmの巨大な地上受電基地が必要 太陽発電エネルギ量 太陽エネルギ: 1.3kW/m2 1モジュールあたり 地上で取り出せる電力 51.7kW maximum 送受電に伴う各種損失 セル貼付面積(1モジュールあたり) 太陽光入射角ロス 有効セル面積比 セル発電効率 回路ロス DC-RF変換効率 エネルギー伝送効率 RF-DC変換効率 1623m2 64% 80% 24% 70% 60% 95% 50% 受電システム案 ①レクテナによって受電 ②レーザを利用して宇宙から地上にエネルギーを送電 ⇒光触媒でレーザ光を受けることにより、高効率で水から 水素を生成(メタノールの生成も可能) 本システムのように常に一 定の電力を送電できない場 合に適応できる可能性あり 安全性,環境問題が厳しい イメージ図 参照:NASDAニュースhttp://www.nasda.go.jp/lib/nasda-news/ 開発スケジュール 将来のシナリオ 将来のシナリオ まとめ ◆新しいコンセプトによる太陽発電衛星システムを提案した ◆本衛星システムは,太陽発電モジュール衛星,マイクロ波送電モ ジュール衛星から構成さるため必要に応じて再構成可能であり,拡張 性・冗長性に優れた太陽発電衛星システムである ◆本システムが実現することで,太陽発電衛星本来の目的のみなら ず,様々な工学的技術の発展が望めると考える ◆本システムコンセプトは太陽発電衛星だけでなく,軌道上宇宙ス テーションなどへの応用・拡張も可能であり,今後の宇宙開発に大き く貢献できると考える END