スライド(ppt) - 京都大学 大学院経済学研究科・経済学部

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日本の情報通信産業 2
-21世紀のテレコム産業のグローバル・トレンドと日本-
2004年11月2日(火)
京都大学経済学部 「情報通信産業論A」
(株)情報通信総合研究所
政策研究グループ シニアリサーチャー
神野 新(かみの あらた)
In foC om R esea rch
最近の通信産業の概観- ブロードバンドとワイヤレスが主導する21世紀のテレコム産業 -
現在のテレコム産業では、10年程度前から「100年に1度」級の構造変化が進行中
(1) 通信市場の全面自由化と競争の激化
(2) 固定電話市場の縮小(料金競争と代替サービスへの移行が主因)
(3) ブロードバンド、ワイヤレス通信(携帯電話など)の急速な普及拡大
(4) 技術の融合化の流れ(通信と放送/固定と移動 etc.)
21世紀のテレコム産業の将来像はどうあるべきか?
In foC om R esea rch
1
テレコム産業の構造変化と大手キャリアの対応策
構
造
変
化
固定電話市場の縮小
1990年頃~
固定電話競争への対応
料金競争
通信自由化
【市場開放】
《民営化》
縮小する
固定電話
(日本)
通話回数(億分)
移動体投資の積極化
海外投資
1984年
【英国】
《BT》
通話種別
インターネット市場の拡大
移動体市場の拡大
競争の激化
対
応
策
変
化
す
る
環
境
1995年頃~
インターネット投資の積極化
(ブロードバンド投資)
海外投資
3G投資
1985年
国内投資
1995年
【日本】
《NTT》
《ドイツ・テレコム》
1998 年
1999 年
2000 年
1997年
1998年
《フランス・テレコム》 【EU(独仏等)】
2001 年
2002 年
固定→固定
8 6 6 .5
8 5 8 .0
8 6 1 .1
8 0 3 .7
7 2 9 .8
固定→移動
1 0 4 .9
1 0 5 .1
1 1 2 .2
1 0 1 .6
9 7 .4
移動→固定
1 2 8 .6
1 3 5 .5
1 4 9 .0
1 5 4 .6
1 5 6 .8
移動→移動
1 7 0 .0
2 4 4 .5
3 2 5 .3
3 2 4 .0
3 3 9 .9
(出典)総務省統計
In foC om R esea rch
2
世界のワイヤレス(移動体通信)の普及状況
【携帯電話 加入者数 上位20カ
国】
(2003年12月末)
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
国名
中国
米国(*1 )
日本(*2 )
ドイツ
イタリア
英国
ブラジル
フランス
スペイン
ロシア
韓国
メキシコ
トルコ
インド
台湾
フィリピン
タイ
インドネシア
ポーランド
オーストラリア
加入者数
2 6 8 ,6 4 9 ,0 0 0
1 5 5 ,2 1 3 ,0 0 0
8 5 ,0 1 1 ,0 0 0
6 2 ,7 8 0 ,0 0 0
5 5 ,1 9 8 ,0 0 0
5 3 ,2 0 2 ,0 0 0
4 6 ,1 6 4 ,0 0 0
3 9 ,7 9 1 ,0 0 0
3 7 ,0 2 0 ,0 0 0
3 6 ,1 5 0 ,0 0 0
3 3 ,5 9 2 ,0 0 0
2 9 ,3 9 8 ,0 0 0
2 9 ,0 1 8 ,0 0 0
2 8 ,4 4 4 ,0 0 0
2 5 ,2 8 9 ,0 0 0
2 2 ,7 3 2 ,0 0 0
2 2 ,4 1 4 ,0 0 0
1 8 ,2 7 8 ,0 0 0
1 7 ,3 2 2 ,0 0 0
1 5 ,1 7 0 ,0 0 0
【携帯電話 普及率 上位20カ国】
(2003年12月末)
2 0 0 3 .6 末順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
13
10
11
12
18
14
16
15
19
17
20
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
↑
↓
↓
↓
↑
↓
↓
↑
↓
(*1)プエルトリコ含まず
(*2)PHS含む
ルクセンブルグ(*3)
台湾
イスラエル
ポルトガル
UAE
香港
ギリシャ
イタリア
スウェーデン
チェコ
アイスランド(*3)
スペイン
オーストリア
英国
フィンランド
デンマーク
アイルランド
ジャージー(*3)
スイス
スロベニア
普及率
2003.6末順位
117.35%
111.88%
103.75%
100.20%
97.93%
97.29%
96.83%
95.17%
94.85%
93.86%
92.95%
92.05%
89.84%
88.53%
87.66%
86.87%
86.70%
84.30%
82.46%
67.90%
2
1
3
4
5
10
9
8
7
12
6
15
16
17
11
14
19
18
20
13
↑
↓
↑
↑
↓
↑
↓
↑
↑
↑
↓
↓
↑
↑
↓
(*3)人口100万未満
※日本は66.82%〔携帯+PHS〕(順位は不明)
携帯のみでは62.72%
(出典)各種資料より、情報通信総合研究所が作成
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国名
3
ワイヤレス(移動体通信)に大きく依存する世界の大手キャリア
NTTグループの連結売上高(H16年第1四半期業績)に占めるNTTドコモの割合
〔営業収益(売上高)〕
〔営業利益〕
46% (NTTドコモ〔12,211億円〕、NTT東〔5,313〕、NTT西〔5,228〕、NTTコム〔2,571〕、NTTデータ〔1,950〕)
66% (NTTドコモ〔2,766億円〕、NTT東〔234〕、NTT西〔232〕、NTTコム〔249〕、NTTデータ〔110〕 )
ドイツ・テレコム
BT
T-Online
3%
その他
6%
BTグローバル・
サービス
19%
2003年度
営業収入
【内訳】
ほぼ0%
T-Systems
15%
T-Com
43%
BTリテール
45%
フランス・テレコム
他の国際事業
3%
TPグループ
8%
Equant
5%
Wanadoo
5%
33%
BTホールセール
36%
T-Mobile
33%
国内固定網事業
44%
35%
オレンジ
35%
移動体事業は存在せず!!
国内固定
インターネット
BTホールセール
BTリテール
企業向けIT
BTグローバル・サービス
T-Com
FT
T-Online
Wanadoo
T-Systems
Equant/TPグループ(ポーランド)
T-Mobile
オレンジ
グローバル
移動体
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mmO2 (2001年に資本分離)
4
(出典)各キャリアの財務諸表より、情報通信総合研究所が作成
拡大するブロードバンドの普及(日本のブロードバンドの構造と特徴)
FTTH
特徴1
■日本は世界最大の光インターネット(FTTH)大国
160万(10%)
◇米国は2-3万程度、欧州はイタリア、スウェーデンで10数万。英独仏はほぼゼロ。
ケーブル・
インターネット
日本はアンバンドル・ローカル・ループの利用、FTTHの普及、
ブロードバンド型IP電話の普及で世界最大の国である。
277万(16%)
■日本は既存の大手電話会社のDSL市場シェアが低い
特徴2
NTT東西
◇米国は約95%、英(40%)、独(88%)、仏(51%)
466万(37%)
DSL
イーアクセス他
1,255万(74%)
346万(44%)
他の事業者
789万(63%)
■日本は世界最大のローカル・ループ・アンバンドル大国
(競争的DSLは、ほとんどNTTのアンバンドル・ループを使用)
◇米国は20-30万、英(1.4万)、独(65万)、仏(73万)
Yahoo!BB
BBフォン加入者
443万(56%)
418万
特徴3
■日本は世界最大のブロードバンド型IP電話大国
日本のブロードバンド加入数と競争の構図
(2004年8月末現在)
In foC om R esea rch
◇米国は数10万(最大手で30万)、欧州は不明
5
ブロードバンド競争の構図-サービスベースか施設ベースか?
◆日本では、競争的なDSL(800万回線、シェア63%)の大半が、NTTのアンバンドルされたローカル・ループを利用して
おり、世界最大の「LLU大国」となっている。(2004.6末のLLUは、仏73万、独65万、英1.4万、日本は約760万)
◆EU加盟国(下図)においては、再販売ベースの競争が盛んであり(特に、英国)、今までLLUは余り利用されて来な
かった。そのため、欧州委員会及び加盟国の規制当局は、LLUベースの競争への移行を積極的に推進している。
DSL market
欧州のDSL市場
既存の大手電話会社が小売しているDSL
UK
Sweden
Spain
Slovenia
Slovakia
Portugal
Poland
Netherla
Malta
Luxembo
Lithuania
Latvia
Italy
Ireland
Hungary
Greece
Germany
France
Finland
Estonia
Denmark
Czech
Cyprus
Belgium
Austria
0%
サービスベースの競争
ISPが再販売しているDSL
(既存の大手電話会社の製品を卸売で購入)
設備ベースの競争
20%
40%
Retailed by incumbent
60%
80%
Retailed by indep. ISP
100%
LLU
既存の大手電話会社のアンバンドルされた
ローカル・ループを借りて、競争事業者により
提供されているDSL
真の設備ベースの競争?(非現実的?)
(出典)欧州競争通信事業者協会(ECTA)
“ECTA Broadband scorecard end of June 2004”
競争事業者が自前で敷設したローカル・ループ
を通じて提供しているDSL(世界的にも住宅向けは稀)
(注)日本では、DSLの卸売制度は利用(導入)されていない。
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6
EUの新通信規制の枠組み(新通信規制パッケージ)
EU(欧州連合)は、「メディアの融合化」、「通信産業における競争の進展」を踏まえて、従来の
通信規制を大幅に見直す新通信規制の枠組み(新通信規制パッケージ)を2002年4月に採択した。
現在、加盟国は法整備(新通信法の策定等)や、
下記③の市場レビューを実施中である。
新通信規制パッケージのポイント
①電子的通信ネットワーク/サービス
EUは、21世紀における技術、ネットワーク、サービスの融合化を睨んで、従来は規制面で個別に取り扱ってきた、
電話、ケーブルTV、放送、無線通信などのネットワークを「電子的通信ネットワーク(ECN:Electronic Communications
Network)」として概念的に統合し、その上で提供されるサービスを「電子的通信サービス(ECS:Electronic Communica
tions Services)」と総称している。
②免許制度の廃止(一般条件と個別条件)
EUは、新通信規制パッケージを構成する「認証指令」において、加盟国における免許制度の廃止を命令し、市場への
参入を完全自由化した上で、事業者はレディメイドの「一般条件」を遵守することのみを義務付けている。ただし、SMP
(Significant Market Power)事業者(市場支配的事業者)など、一部の事業者については、オーダーメイドの「個別条件」
を適用される場合がある。
③市場レビュー(有効競争レビュー)の実施 ⇒ 日本の総務省が実施している競争評価
EUは競争が進展する通信分野においては、競争の度合いに応じて「事前規制」から「事後的な取り締まり」に移行する
ことが望ましいとして、ある市場における競争分析を行い、市場支配的な事業者(SMP事業者)が存在する場合にのみ、
事前規制を課すように加盟国に命令している。(SMP事業者が不在の場合は、事前規制を撤廃する)
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7
メディアの融合化の流れ(EUのフレームワーク)
◇最近になり、ネットワーク、サービスの統合化/融合化の流れが加速している。
(具体例)
■ケーブルTV電話/ケーブル・インターネットによるVoIP(通信と放送の融合)
■インターネットによるストリーミング(通信と放送の融合)
■屋外では携帯電話、屋内ではコードレスホンとして使える電話機(BTが商用化予定)
(固定と移動の融合) ※BT、NTTコミュニケーションズなどの世界6大キャリアは「固定移動融合連合」を形成
電子的通信サービス
(electronic communications
service)
固定電話
携帯電話
ケーブルTV
E
U
の
フ
レ
ー
ム
ワ
ー
ク
(融合)
固定ネットワーク
移動体ネットワーク
電子的通信
ネットワーク
衛星ネットワーク
電力ケーブル・システム
(統合)
放送用ネットワーク
ケーブルテレビ・ネットワーク
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8
伝送ネットワーク
の種類に係わら
ず、基本的には、
同様の規制が課
される(“理想”)
通信と放送の融合の局面
インターネットの普及、アクセスの高速化と多様化、パソコンの高速化、放送のデジタル
化等を背景に通信と放送の融合現象が顕在化してきた。
(出典)総務省資料
例.TV放送を受信・録画できるパソコン
TVでインターネット接続できるSTB
例.CATV事業者の通信事業参入
ISPの放送参入
事 業 体
端
電気通信事業と放送事業の兼営
末
通信・放送双方に利用できる端末
融合の起こる局面
最近のトレンド-Broadband Triple Play
伝 送 路
サービス
同じ伝送路を通信と放送が共用
通信と放送の中間領域的サービス
例.CATV網を利用したインターネット接続サービス
光ファイバを利用したCATV
例.インターネット放送,データ放送
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9
EUの新通信規制の枠組みにおけるサービス分類と規制
新通信規制の枠組みにおいて、従来の通信サービスは「ECS」、「PATS」などの全く新たな定義・分類を付与される
こととなった。ECSと分類されれば一般条件が適用される。
無料サービスなどは、通常
「ECS」の定義に該当せず、
非規制。
電子的通信サービス(ECS)以外
プライベート
プライベート利用のECS
利用機器の他N
Wとの干渉回避
など軽微な規制
公衆向けのECS
消費者保護など
追加的な規制
PATS(電話)
緊急サービスへ
のアクセスなど
追加的な規制
固定拠点
PATS
公衆向け
データ
音声
ECS:電子的通信サービス(Electronic Communications Services)
PATS:公衆が利用可能な電話サービス(Publicly Available Telephone Service)
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10
一般条件
が適用
される
21世紀のテレコム産業の制度・規制のトレンド
独占
移行期
完全競争
・複数の事業者が競争
・しかし、支配的事業者
(SMP事業者)が存在
1事業者のみが存在
(独占事業者=
SMP事業者)
【事前規制】
・多数の事業者が競争
・SMP事業者は存在せず
【事後的な取締まり】
×
SMP事業者に対する事前規制
を設定
一気に移行は無理
不正、不当な行為を行なった
事業者を事後的に取り締まり
【移行期(現在)】
・市場ごとに競争状況を分析
・その市場にSMP事業者が存在
する場合のみ、事前規制を設定
SMP:Significant Market Power
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11
・市場レビュー(有効競争レビュー)
・競争評価
EUにおける光ファイバー・ループの開放義務付けの詳細
◇現在、EU加盟各国の通信規制は移行期にあり、光ファイバー・ループの開放義務付けも各国が検証中である。
市場レビュー実施以前の規制
移行中
市場レビュー実施後の今後の規制
従来の規制の枠組み (現在も移行期として有効な規制)
加盟国
開放義務
の有無
対象事
業者
理由(規定文書)
なし
ー
EU「ローカル・ループ・アンバンドリング規則」は、ループを「銅線ループ」と
定義している。
EU
英国
フランス
ドイツ
イタリア
スウェー
デン
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なし
ー
なし
あり
あり
あり
ー
DT
テレコム・
イタリア
新しい規制の枠組み
開放義務
の有無
理由
なし
-
未決定
市場レ
ビュー
未完了
「ローカル・ループへのアクセスに関して郵電法典を改正する2000年9月
12日付け政令no.2000-881」は、ローカル・ループを、ネットワークの銅線部
分と定義している。
〃
〃
光ファイバー・ループは、「1996年7月25日付け修正電気通信法(TKG)」
第33条により、市場支配的な事業者(DT)が、「不可欠」サービスとして、
競争者に提供しなければならないローカル・ループに含まれる。
〃
〃
〃
〃
〃
〃
( 「1984年電気通信法第7条に基づき、BTに付与された免許の免許条件
83」 )
「2000年3月16日付けAGCOM決議No.2/00/CIR(その後、2001年7月25日
付けAGCOM決議No.15/01/CIRにより修正)」
テリアソネ 「1999年12月29日付けテリアソネラに対して発行されたPTS決定99-18766」、
ラ、Stokab、 「1999年12月29日付けStokabに対して発行されたPTS決定99-18771」、「1999年
Banverket
12月29日付けBanverketに対して発行されたPTS決定99-18767」
12
米国のFTTHループのアンバンドリング義務(2003.8.21発表のFCC規則)
更地(Greenfield)
既存開発地(Brownfield)
既存の地域電話
会社の交換局
銅線を残置
重複敷設
新規敷設
アンバンドル義務なし
アンバンドル義務なし
(注)
銅線撤去
音声サービス用の64Kbps
伝送パスの提供義務あり
FTTHループ
■FCCがFTTHループのアンバンドリング義務を撤廃、緩和した理由(FCCの説明)
〇FTTHループの展開は未だ揺籃期にある。FTTHの広範な展開を享受しているのは、全米のわずか47コミュニティだけである。
〇住宅市場向けのFTTHは、ほとんどすべてがブロードバンド・サービス提供のために利用されており、ナローバンド・サービスのため
だけの利用は無い。
〇FTTHループは、銅線ループと比較すると、いくつかの経済面、運用面での参入障壁を示している。しかし、FTTHループ展開の潜在
的な見返りは相当なものがある。
〇従って、FCCは、FTTHループ展開による相当な収入機会は、参入障壁の多くを改善する助けとなると考える。
■米国のFTTHループの普及状況(日本と大きく異なる現実)
FTTH加入数(2003.12末現在) : 米国(2万加入)×日本(89万加入)
※米国ではほとんど普及が進んでいないため、既存の大手地域電話会社に投資(敷設)へのインセンティブを与える必要があった。
※また、ケーブルTV会社のBBサービスがDSLの2倍と支配的なため、大手地域電話会社を対抗勢力として育成する必要があった。
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13
米国のVoIP規制議論における主な論点
連邦通信法上の定義(電気通信
サービスか情報サービスか?)
そもそも規制すべきか否か?
緊急通報サービス(911/E911)
への接続を義務付けるか?
規制管轄権は誰が有するのか?
(連邦 or 州)
VoIP
アクセス・チャージを課すべきか?
ユニバーサル・サービス基金に拠出させるべきか?
公衆通信事業者の一般的義務(通信法第Ⅱ編)
を課すべきか?(非差別的アクセス、公正・妥当
な料金 etc)
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14
連邦盗聴法への協力を義務
付けるか?
その他の多くの課題
(サービス品質/番号計画 etc)
米国におけるVoIPの規制上の定義-「電気通信サービス」か「情報サービス」か、それとも...
基本サービス(Basic Service)
高度サービス(Enhanced Service)
コンピュータ裁定(1996年以前)
1996年電気通信法で改正された1934年通信法
電気通信サービス
(Telecommunications Service)
情報サービス
(Information Service)
「使用される設備に関係なく、公衆が効果的に
利用可能となるように、公衆もしくはそのような
一群のユーザに対する、有料による直接的な
電気通信の提供」
「電気通信を通じた、利用可能な情報の創出、
取得、蓄積、加工、処理、検索、使用、もしくは
作成」
○従う(通常)
?
VoIP
?
×従う必要は無い
同法の第Ⅱ編「公衆通信事業者」(に対する規則)
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15
EU/加盟国と日本のVoIP規制への取り組み
■現在、欧州においては、EU及び複数の加盟国が、VoIP規制に関連するガイドラインや規則を制定中。
EU ⇒ 欧州委員会のスタッフ作業文書において、VoIP規制に関する諮問を実施中。将来的には
ガイドライン文書に昇格させる予定。
英国 ⇒ VoIP規制問題の議論に熱心であり、オフテル時代から通算で4回のガイドライン文書を
公表して来た。
ドイツ ⇒ 規制機関のRegTPは、現在、VoIP規制に関する正式な規則制定の諮問手続きを行って
いる。(他に、オランダも実施している模様)
VoIP規制の議論のポイント
◆ VoIPは従来の電話サービス(PATS)の代替物か補完物か?
◆ 代替物であれば、PATSと同様の規制を課す可能性がある。
◆ 換言すれば、VoIPとPATSの市場は同一の関連市場であるのか?
* PATS:Publicly Available Electronic Communication Services
■日本のVoIPの規制議論
◇VoIP事業者が使用する電話番号(一般番号か、050番号か)により、規制の義務付け(緊急通報等)を変えている。
◇総務省は、2004年9月に発表した「電気通信事業分野の競争状況の評価に関する平成16年度実施細目(案)」の
中において、平成16年度の競争状況評価(有効競争レビュー)の分析対象として、「ブロードバンド、携帯電話及び
IP電話の三つのサービスの今後の関係に注目する」として、IP電話を取り上げることを明らかにしている。
In foC om R esea rch
16
英国の規制機関オフコムが開始したテレコム産業の戦略的見直し
●オフコムは2004年4月から12月にかけて、電気通信の戦略的見直し(Strategic Review of Telecommunications)(「テレコム・レ
ビュー」)
を行っている。テレコム・レビューは、13年ぶりの電気通信分野の広範な見直しであり、電気通信規制に対するオフコムのアプローチ
を定めるための諮問作業である(3段階のフェーズに分けて実施。現在はフェーズ1の諮問作業中)。
◇テレコム・レビュー実施の背景◇
〇EUの新通信規制パッケージの採択、それに基づく英国の2003年通信法の成立、新通信規制機関オフコムの発足により、新しい観
点から規制を見直す機会が生じたこと。
〇分野特殊な事前規制は競争が進展するまでの暫定的な措置であると考えられてきたが、現在まで、事前規制を撤廃するほど十分
に競争は進展していないと、規制当局は考えてきたこと。
〇技術や消費者の行動の基本的な変化により、既存の規制アプローチは時代遅れのものとなるかもしれないこと。
音声サービス競争
オフコムによる21の質問(諮問事項)のうち、ワイヤレスやブロードバンドに関連するもの。
質問7:固定ネットワークと携帯電話ネットワークは、どの程度の速度で、またどの程度の範囲で、相互に代替物となるであろうか?
質問8:電気通信市場に対してVoIPはどのような影響をもたらすか?
ブロードバンド・IP
質問9:ブロードバンドは、どの程度の速度で、またどの程度広い範囲で、英国において普及するであろうか?また、このような成長の
規制上の意味はどのようなものか?
質問10:展開される、新しい競合プラットフォームの範囲はどのようなものか?また、どの技術が最も利用されそうか?
質問11:事業者は何時、「オールIP」アーキテクチャーに向けて動きそうか?
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17
BTのオールIP化構想:21CNの概要とスケジュール
◇BTは2000年初頭の経営危機からの再建過程において、2001年11月に移動体事業
を資本分離し、現在は、世界の大手電話会社の中では稀な「固定専業事業者」と
なっている。
◇固定電話市場が縮小を続ける中で、それを相殺する移動体収入を持たない
BTは、財務状況は大きく好転しているものの、「戦略的事業」が見当た
らないとして、投資家やアナリストからの評価は厳しく、株価は長期的な
低迷傾向にある。
◇BTは、それらの批判に対抗するために、固定移動融合
サービスとブロードバンド事業(“New Wave”と総称)
に熱心に取り組んで来たが、2004年6月、
同社の大半のネットワークを2008年まで
2006
にオールIP化する「21世紀ネットワーク構想」
を発表し、業界を驚かせた。
2005
2004
ブロードバンド・ダイヤルトーン
がほとんどの顧客で利用可能に
PSTNの大規模な移行が顧客の50%以上で完了
大規模な非PSTNサービスへの移行を開始
PSTNからの大規模な移行を開始
17の新製品を開始/再使用可能な機能(re-usable capabilities)上での高度化
新たな運用・サービス管理機能を開始
ブロードバンドの利用可能性を99.6%に
戦略的提携のベンダーを発表
MSAN/combo cards上でのブロードバンドの発展
再使用可能な機能(re-usable capabilities)上での最初のサービスを開始
PSTNの転換のトライアル
ディープ光ファイバーのトライアル(Deep fibre trial)
融合化されたネットワーク
サービスの創造
Experience development centre
In foC om R esea rch
2007
2008
2009
18
BT’s 21 Century Networkは大手電話
会社による世界初のオールIP化構想
の実現のはずであった、が....
KDDIのオールIP化構想
◇KDDIは2004年9月15日、「固定電話網のIP化推進について」と題する報道発表を行なった。
(http://www.kddi.com/corporate/news_release/2004/0915/pdf/p_index_01.pdf)
■BTの21CN構想よりも完了が1年早く、「世界に先駆けて固定網のIP化を完了」と主張。
■その目的は「ブロードバンドをご利用にならない利用者にもより低廉なサービス提供が可能」と
しており、アナログ音声サービスにおける競争の高度化と競争優位の確立にある。
KDDIの報道発表
資料より
In foC om R esea rch
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まとめ-21世紀のテレコム産業の課題(中短期的な課題)(私見)
■ 融合化が進むネットワーク、サービスへの対応
■ 競争の進展に応じた政策、規制のあり方
■ オールIP化、デジタル化への移行のタイミング
■ 施設(インフラ)ベースの競争か、サービス・ベースの競争か?
■ 顧客(エンドユーザー)、通信事業者の双方にとっての利益の
もたらされる競争
→ 社会的効用の最大化(最適な競争を通じた業界規模の拡大)
In foC om R esea rch
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(参考1)欧州のブロードバンド競争の構図 1
Retailed
Retailed by
by indep.
incumbent
ISP
249,400
71,300
747,875 160,763
0
0
LLU
Total
Retailed by incumbent Retailed by indep. ISP
Austria
35,018
355,718
Belgium
7,433
916,071
Cyprus
0
0
Czech Rep.
0
0
Denmark
427,322
56,788
78,002
562,112
Estonia
50,780
0
4,206
54,986
Finland
277,100
29,500
93,400
400,000
France
2,270,407 1,489,360 730,720 4,490,487
Germany
4,700,000
0 650,000 5,350,000
Greece
10,245
11,600
1,082
22,927
Hungary
97,400
41,100
0
138,500
Ireland
44,955
10,545
1,380
56,880
Italy
2,435,802 519,198 337,258 3,292,258
Latvia
0
0
0
0
Lithuania
31,825
2,249
0
34,074
Luxembourg
18,101
1,651
741
20,493
Malta
6,008
8,100
0
14,108
Netherlands
1,086,536
3,054 330,110 1,419,700
Poland
133,732
0
0
133,732
Portugal
260,339
32,525
4,290
297,154
Slovakia
16,656
0
0
16,656
Slovenia
52,929
911
0
53,840
Spain
1,535,179 508,549
42,444 2,086,172
Sweden
434,000 153,200
98,767
685,967
UK
1,123,600 1,670,400
13,850 2,807,850
Total/Average 16,010,191 4,770,793 2,428,701 23,209,685
Austria
Belgium
Cyprus
Czech Rep.
Denmark
Estonia
Finland
France
Germany
Greece
Hungary
Ireland
Italy
Latvia
Lithuania
Luxembourg
Malta
Netherlands
Poland
Portugal
Slovakia
Slovenia
Spain
Sweden
UK
70%
82%
20%
18%
10%
1%
76%
92%
69%
51%
88%
45%
70%
79%
74%
10%
0%
7%
33%
0%
51%
30%
19%
16%
14%
8%
23%
16%
12%
5%
0%
2%
10%
93%
88%
43%
77%
100%
88%
100%
98%
74%
63%
40%
69%
7%
8%
57%
0%
0%
11%
0%
2%
24%
22%
59%
21%
0%
4%
0%
23%
0%
1%
0%
0%
2%
14%
0%
10%
(出典)欧州競争通信事業者協会(ECTA) “ECTA Broadband scorecard end of June 2004”
In foC om R esea rch
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LLU
(参考1)欧州のブロードバンド競争の構図 2
Key statistics
Numbers referred to in factsheet
Incumbents DSL
LLU
total DSL
Cable broadband
Other broadband
Total
20,808,128
2,428,701
23,236,829
5,705,878
660,003
29,602,710
Inc retailed DSL lines
Bitstream: DSL interconnect
Bitstream: Wholesale
End-to-end resale
Total
Total wholesale products
16,010,191
1,636,747
2,751,444
382,606
20,780,988
77%
8%
13%
2%
23%
Inc. retailed cable TV connections (est)
Inc. retailed
% of totals other calcs
70%
90%
8%
10%
78%
19%
2%
250000
55%
Analysis of access based connections ERG option
No. of connections
4
3
This quarter
382,606 2,751,444
Prev quarter
240,604 2,217,995
Growth
This quarter
142,002
533,449
Prev quarter
59%
24%
Shares
This quarter
8%
58%
Prev quarter
8%
74%
In foC om R esea rch
LLU
Line sharing
1,253,448 1,175,253 2,428,701
885,301
526,831 1,412,132
368,147
42%
648,422
123%
52%
63%
48%
37%
2
Total
1,636,747 4,770,797
534,206 2,992,805
1,102,541
206%
34%
18%
(出典)欧州競争通信事業者協会(ECTA)
“ECTA Broadband scorecard end of June 2004”
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