original MacOSX-PPT版
Download
Report
Transcript original MacOSX-PPT版
セファイド周期光度関係を求める
教材のためのデータ取得
富田晃彦
(Tomita Akihiko 和歌山大学教育学部)
[email protected]
http://www.wakayama-u.ac.jp/~atomita/
FITS画像教育利用ワークショップ
2007年12月23-24日、国立天文台三鷹
天文学の基礎のひとつである測距法
(代表的なもの、近距離向けから遠距離向けまで)
● 年周視差法・・・地球の公転運動を利用
太陽系近傍の世界が対象
(超高空間分解能位置天文が、その限界を押し広げるだろう)。
● セファイド法・・・周期光度関係が確立した変光星を利用
かなり明るい星なので、比較的近傍の銀河でも見つけることができる。
銀河系全体の構造から、近傍銀河、近傍銀河団の世界が対象。
● ハッブルの法則・・・宇宙の膨張を利用
● Ia型超新星の最大光度
遠方の銀河までの距離が測定できる。
宇宙論的な世界が対象。
目的: セファイドの周期光度関係が導ける
ようなデータセットを得る。
WHY: そのようなデータセットが、
なぜか(すぐ入手できる範囲で)
存在していなかったから。
1. 絶対等級があらかじめ求まっているセファイドを対象とする。
→絶対等級はどうやって決まったか? それは年周視差などから。
2. 精度の高い、一連の写真データを新規観測で取得する。
そして…
3. このデータから変光曲線を描く。
4. そこから変光の周期を求め、周期光度関係を得る。
セファイドのデータとして参照したもの:
M. W. Feast and A. R. Walker, 1987
Annual Review of Astronomy and Astrophysics, Vol.25, 356
観測対象
観測対象(星座名)
周期
(日)
実視等級
絶対等級
観測バンド
RU Sct(たて座)
19.7
9.49
-5.16
R
SV Vul(こぎつね座)
45.01
7.14
-6.12
V
DL Cas(カシオペア座)
8.00
8.97
-3.86
V
SU Cas(カシオペア座)
1.95
5.97
-1.98
B
6.53
-3.43
B
SZ Tau(おうし座)
4.03(3.15)
観測の際のバンドは赤い方を優先するが、対象が明るいと、
短時間露出を避けるために、感度の悪い青い方にずらした。
和歌山大学教育学部棟
屋上天文台
三鷹光器製 60cm
カセグレン式反射望遠
鏡
焦点距離 7800mm
または、ペンタックス製
10.5cm 屈折望遠鏡
焦点距離
700mm
カメラ: SBIG社製 ST-9E (512x512,
20μm/pix)
または ST-7E (765x510, 9μm/pix)
Filters: Johnson UBV, Cousins RI
カメラ制御ソフト: CCDOPS v5 on WindowsXP
画像整約: IRAF v2.12.1 on RedHat9 Linux
観測および解析を行ったのは:
久野光輝(2005年3月、和歌山大学教育学部卒業)
観測ログ
OBJECT
観測期間
観測回数/日
RU Sct (たて)
2004年4月2日~2004年11月13日
SV Vul (こぎつね)
2004年4月12日~2004年11月13日
DL Cas (カシオペア)
2004年9月30日~2005年2月22日
SU Cas (カシオペア)
2004年12月13日~2005年2月22日
SZ Tau (おうし)
2004年1月10日~2004年2月22日
1~2
1~2
2~3
8~10
3~5
# of raw frames: 約7000枚
# of reduced frames: 約400枚 (変光曲線の点の数)
2004年4月17日、バンド:R
露出:10秒、画角:4.52’×4.52’
2004年4月14日、バンド:V
露出:7秒、画角:4.52’×4.52’
2005年1月18日、バンド:V
露出:90秒、画角:33.4’×22.5’
2005年1月10日、バンド:B
露出:15秒
、
画
角:50.2’×50.2’
2005年1月10日、バンド:B
露出:15秒
、
画
角:50.2’×50.2’
データは:
Dark-subtracted, flat-fielded*, sky-subtracted**
reduced FITS images
* twilight sky を flat 画像として用いる方法
** imhistogram からフレーム内カウント最頻値を得て、その値を引く方法
Makali`i や IRAF で測光:
- 参照星との等級差を出す。
- 参照星は複数あり、参照星どうしの等級差を見ることで、参照星が
(セファイド変光曲線に影響を与えない範囲で)変光星でないことを
確認できる。
- 複数の、参照星との等級差を平均して、当該セファイドの変光曲線を描く。
- セファイドの変光幅は大きいので、参照星との「色」の違いや、明るさの
(極端な)違いによる測光誤差は、大きな問題にならない。太陽系外惑星
のトランジット観測よりずっと楽(0.1等級の精度で十分)。
縦軸:等級 (零点任意)
SV Vul ïœåÐã»ê¸
6.6
6.4
6.2
6
5.8
5.6
5.4
5.2
5
0
50000
100000
150000
200000
250000
300000
350000
横軸:分 (零点任意)
SV Vul ïœåÐã»ê¸ ê‹ÇËï‘ǵ
6.6
1周期:45.01日
6.4
(64814分)
6.2
6
5.8
5.6
5.4
5.2
0
10000
20000
30000
40000
50000
60000
縦軸:等級 (零点任意)
RU SctïœåÐã»ê¸
6
5.8
5.6
5.4
5.2
5
4.8
4.6
4.4
4.2
0
50000
100000
150000
200000
250000
横軸:分 (零点任意)
RU SÇÉÇî ïœåÐã»ê¸ ê‹ÇËï‘ǵ
6
1周期:19.7日
(28368分)
5.8
5.6
5.4
5.2
5
4.8
4.6
4.4
4.2
0
5000
10000
15000
300000
20000
25000
変光曲線から、変光周期をちゃんと出せるのか?
RU Sct
SV Vul
DL Cas
SU Cas
SZ Tau
28368
64815
11520
2808
4536
実験者 1
27100
68100
12700
2823
4640
実験者 2
26666
62222
12075
2433
4700
実験者 3
30435
67391
12749
2800
5166
実験者 4
30000
70454
10902
2341
4331
実験者 5
28532
63043
10943
2694
4800
実験者 6
30336
62872
11111
2647
4800
実験者 7
30000
68181
11481
3117
4615
実験者 8
28260
63043
11320
2933
3461
実験者 9
28656
64221
11415
2857
5424
実験者10
30769
61538
10754
2941
4535
10人の平均値
29075
65107
11545
2759
4647
既知の周期との誤差
2.49%
0.45%
0.22%
1.75%
2.45%
既知の周期(分)
「生」の変光曲線を折り返し、単一の「山」が見える「折り返し時間」
を試行錯誤で得る。 10人の被験者→できる!
被験者10人が変光曲線から求めた周期と、既知の周期光度関係
光度(絶対等級:Mv)
周期光度関係
SV Vul
-7
RU Sct
-6
DL Cas
SZ Tau
-5
-4
SU Cas
-3
-2
Mv = -3.07 log10P[day] - 1.10
-1
0
1
10
既知の周期
光度関係
100 周期(日)
SZ Tau以外の4天体は既知の周期光度関係の周期と、
求めてもらった周期との相対誤差は数%以内
このデータセットから、セファイドの周期光度関係が正しく再現
SZ Tauは既知の周期光度関係から外れているが、
SZ Tauは他の多くのセファイドとは異なった脈動をしているという報告が実際にある。