09.地域保健・公衆衛生(3)
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Transcript 09.地域保健・公衆衛生(3)
8.地域保健・公衆衛生に関する法律(2)
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
予防接種法
検疫法
健康増進法
担当 柳川洋
感染症の予防及び感染症の患
者に対する医療に関する法律
略称(感染症法)
経緯
100年以上の歴史をもつ伝染病予防法では
新興感染症、動物由来感染症などによる緊急
時の対応に不備
性病予防法、エイズ予防法も併せ、総合的な
予防対策を推進する形で1999年に制定
感染症の多様化と発生動向の変化に対応で
きるように5年ごとの見直し
結核予防法の統合により、結核予防法は廃
止
目的と基本理念
感染症の予防と治療に関する措置
を定め、感染症の発生と蔓延の防
止を図る
国際的動向を踏まえ、保健医療環
境を考慮して、新感染症に適切に
対応
患者の人権を尊重した総合的、計
画的な対策の推進
感染症の定義
感染症とは、1類感染症、2類感染症、3類感
染症、4類感染症、5類感染症、指定感染症、
新感染症をいう
1類感染症: 感染力、重篤性を総合判断し
て、「極めて危険」
2類感染症: 同上「危険」
3類感染症: 危険度は高くないが、特定の
職業への就業によって集団発生を起こしうる
4類感染症: 動物、飲食物を介して感染、
国民の健康に影響(人から人への感染はな
い)
感染症の定義(つづき)
5類感染症: 発生動向を調査し、国民、医
療関係者に情報提供を行って、発生、まん
延を防止
新感染症: 人から人に感染すると考えられ、
既知の感染症とは明らかに異なる。感染力、
重篤性を総合判断して、「極めて危険」
指定感染症: 1-3類以外の感染症で、1
-3類に準じた対応が必要となったとき
(1年に限って指定)
[参考] 疑似症患者
無症状病原体保有者
感染症の類型
1類感染症: エボラ出血熱、クリミア・コンゴ
出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マー
ルブルグ病、ラッサ熱
2類感染症: 急性灰白髄炎、結核、ジフテリ
ア、重症急性呼吸器症候群(SARSコロナウ
イルスによるものに限る)
3類感染症: コレラ、細菌性赤痢、腸管出
血性大腸炎、腸チフス、パラチフス
感染症の類型(つづき)
4類感染症: E型肝炎、A型肝炎、黄熱、 Q
熱、狂犬病、高病原性鳥インフルエンザ、マ
ラリア
その他の既に知られている感染性の疾病で
あり、動物又はその死体、飲食物、衣類、寝
具、その他の物件を介して人に感染し、国民
の健康に影響を与えるおそれのあるものと
して政令で定めるもの
感染症の類型(つづき)
5類感染症: 全数把握対象疾患、定点把握対象
疾患(小児科定点、インフルエンザ定点、眼科定点、
基幹病院定点、性感染症定点)がある
全数把握対象疾患: アメーバー赤痢、ウイルス
性肝炎(E型、A型を除く)、急性脳炎(ウエストナ
イル脳炎、日本脳炎を除く)、クリプトスポリジウ
ム症、クロイツフェルト・ヤコブ病、劇症型溶血性
連鎖球菌感染症、後天性免疫不全症候群、ジ
アルジア病、髄膜炎菌性髄膜炎、先天性風疹症
候群、梅毒、破傷風、バンコマイシン耐性腸球
菌感染症、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌
感染症
定点把握対象疾患 (省略)
指定医療機関
特定感染症指定医療機関
新感染症、1類、2類感染症を入院させる医
療機関(厚生労働大臣が指定、医療費は全
額公費負担)
第1種感染症指定医療機関
1類、2類感染症を入院させる医療機関
第2種感染症指定医療機関
2類感染症を入院させる医療機関
(第1種、第2種ともに都道府県知事が指定、
医療費は医療保険、自己負担分は公費)
医師の届出
1類-4類感染症の患者または無症状病原体保有
者、新感染症疑いの者
→ 直ちに最寄りの保健所長を経て都道府県知
事に
5類感染症患者のうち、全数把握対象疾患(後天
性免疫不全症候群、梅毒は無症状病原体保有者
を含む)
→ 7日以内に最寄りの保健所長を経て都道府
県知事に
届出の内容: 病名、患者の氏名、年齢、性、住所、
症状、日時、感染原因など(4類、5類は、氏名を除
く)
獣医師の届出
1類-4類感染症のうち、エボラ出血熱、
マールブルグ病、その他の政令で定めるも
の(ペスト、重症急性呼吸器症候群、細菌性
赤痢、ウエストナイル熱、エキノコックス)に
かかり、またはかかっている疑いのあるサル
その他の動物
→ 直ちに最寄りの保健所長を経て都道
府県知事に
届出の内容: 病名、所有者氏名、住所、動
物の種類、動物の所在地など
健康診断・就業制限
健康診断(新感染症、1類、2類、3類)
かかっていると疑われる者、接触した者に健
康診断の受診勧告、強制
就業制限(1類、2類、3類)
患者及び無症候性病原体保有者
感染症まん延を起こすおそれがある職種へ
の特定期間従事禁止
入 院
応急入院の基準 入院機関
強制力
新感染
症
新感染症の所見 A
ありの者(病原体
消失まで)
勧告に従わない場合強制
10日以内(10日以内の期
間ごとに延長)
1類
A B
患者、疑似症、
無症候性病原体
保有者(病原体
消失まで)
勧告に従わない場合強制
72時間以内(延長は10日
以内、必要に応じて再延
長可)
2類
患者、一部疑似
症(病原体消失
まで)
A B C
A: 特定感染症指定 B: 第1種感染症指定 C: 第2種感染症指定
予防接種法
経緯・目的
経緯
感染症予防対策としての予防接種の役割は大
感染症を取り巻く環境の変化
1994年の改正
健康被害に対する救済措置の充実
対象疾病、実施方法の見直し
2001年の改正
高齢者に対するインフルエンザ
対象疾病の類型化
目的
感染症の発生とまん延の予防
対象疾患
1類疾病
(1) 発生とまん延を予防
ジフテリア、百日咳、急性灰白髄炎、麻疹、風
疹、日本脳炎、破傷風、結核
(2) 発生とまん延予防のために特に予防接種
が必要
政令で定める疾病(痘そう)
2類疾患
個人の発病と重症化防止、まん延予防
インフルエンザ
定期予防接種の対象疾病(1)
疾病
対象
ジフテリ
ア(D)
[Ⅰ期]
沈降精製DPTワク
初回: 生後3月-90月 チン
追加: 初回接種後1か月
以降
[Ⅱ期]
11歳以上13歳未満
[Ⅱ期]はDTトキソイ
ド
百日咳
(P)
ワクチンの種
類
破傷風
(T)
急性灰白 生後3月-90月
髄炎
(ポリオ)
経口生ワクチン
特記事項
百日咳に罹患した
ことが明確な場合
は、DTトキソイドを
用いる
定期予防接種の対象疾病(2)
疾病
対象
ワクチンの種類
麻疹
[Ⅰ期]
生後12月-24月
[Ⅱ期]
5歳以上7歳未満
(小学校就学前1年間)
MRワクチン
(乾燥弱毒生ワクチ
ン)
風疹
日本脳炎 [Ⅰ期]
初回:生後6月-90月
追加:初回接種後1年以降
[Ⅱ期]
9歳以上13歳未満
不活化ワクチン
結核
生後6か月待て
BCGワクチン
インフル
エンザ
[毎年1回]65歳以上の者、
60-64歳の者で、心臓、腎臓、
呼吸器機能の低下、免疫機能障
害のある者
HAワクチン
特記事項
予防接種を行ってはならない者(省令で規定)
予防接種による副反応が発生する高度の蓋然性が
あると考えられる項目
(1) 明らかな発熱
(2) 重篤な熱性疾患
(3) 過去に接種液の成分にアナフィラキシー
(4) 妊娠(麻疹、風疹、ポリオ)
(5) その他の不適切な状態
健康被害の救済
健康被害が予防接種によるも
のと認定した場合(厚生労働大
臣)
医療費、医療手当・障害児養育
基金・障害年金・死亡一時金・
遺族年金または遺族一時金・葬
祭料を給付
検疫法
目的
国内に常在しない感染症の進入防止
検疫感染症
(1) 感染症法による1類感染症
エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、
痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブル
グ病、ラッサ熱
(2) 常在しない感染症の進入防止
(政令で定める)
インフルエンザ、デング熱、マラリア
検疫体制 (1)
船舶、航空機の入国
最初の港、飛行場で検疫
検疫を受けるまでは、上陸、陸揚げ、移
動はできない
検疫所長の任務
必要な質問、診察、検査の実施
汚染船舶、航空機: 患者の隔離、汚
染者の停留、汚染物件の扱い(消毒、廃
棄、移動禁止)、汚染死体の火葬、廃棄
場所・物件の使用禁止、予防接種
検疫体制 (2)
検疫感染症以外の疾病
外国で発生した検疫感染症以外の疾
病が発生し、必要なときは政令で指定
して、検疫を行う(原則として1年以内)
新感染症への対応
外国に新感染症が発生し、厚生労働
大臣が緊急の必要があると認めたとき
は、検疫所長に診察を行わせる