交通問題解決に向けたチャレンジ

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Transcript 交通問題解決に向けたチャレンジ

武蔵高校54期同期会トークショー
満員電車がなくなる日
( 角川SSC新書 )
(株)ライトレール 代表取締役社長
阿
部
等
http://www.LRT.co.jp
平成20年5月24日
はじめに
• 満員電車をなくすためのイノベーション
– (1)運行のイノベーション
• 供給を大幅に増やし満員電車をなくす方策はある
– (2)運賃のイノベーション
• 商品の値付けを適正にすれば資金調達できる
– (3)制度のイノベーション
• より短期で効果的に満員電車を解消できる
• 本気で取組めば必ずや実現できる
– 本書が満員電車をなくすきっかけに
– 鉄道が社会の発展と人々の豊かさを実現
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第1章
満員電車の現状と歴史
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1.満員電車の現状
• 人類史上まれに見る集住と満員電車
– 国が豊かでも、国民は豊かさを実感できず
• 首都圏の満員電車ワースト20
– 山手、京浜東北、中央快速、総武緩行・・
• 鉄道営業法の厳正適用
– 乗車券ヲ有スル者ハ列車中座席ノ存在スル
場合ニ限リ乗車スルコトヲ得
– 鉄道係員旅客ヲ強ヒテ定員ヲ超エ車中ニ乗
込マシメタルトキハ三十円以下ノ罰金又ハ
科料ニ処ス
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2.満員電車の歴史
• 戦後で最も混雑していた頃
– 戦後の混乱期を除き昭和40(1965)年
• 鉄道路線の変遷と満員電車の概略史
– 1900,1935,1970,2008年の東京圏路線図
• 満員電車と東京圏人口の変遷
– 昭和40年以降は、輸送力増強>人口増
• 満員電車緩和の最近の工夫
– 車両拡幅、シート改良、6扉車、ロング
シート化
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3.満員電車の歴史は運賃抑制の歴史
• 鉄道の運賃設定と経営状況の歴史
– 明治の鉄道開業以来、常に低運賃政策
– 低収益、大量の解雇、国鉄経営の破綻
• 運賃抑制の呪縛からの解放を
– 鉄道の運賃抑制を大衆は歓迎
– 赤字、設備投資の遅れ、要員削減
– ニーズとそれに応える技術がありながら設
備投資できず = 現代社会に残る満員電車
– 利便性が上がれば運賃が高くなっても納得
– 商品価値と生産コストに応じた運賃設定
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第2章
満員電車をなくすための
運行のイノベーション
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1.信号システムの機能向上
• 現行の信号システム
– 閉そく方式(軌道回路による列車位置検出)
• 現行の信号システムの問題点
– 効率性を犠牲にし「過疎」な運行
• 新たな信号システムの提案
– 普及済みの機器・インフラ、実用化された
技術を活用
• 新たな信号システムの機能
– 列車位置検出、データ通信、運転指示
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新たな信号システム
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運転席モニターへの表示イメージ
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2.総2階建て車両
• 現状の2階建て車両と異なる総2階建て車両
– 1階と2階を独立した別々の客室に
• 総2階建て車両に対応した駅の構造
– 大駅は線路両側に1階用と2階用ホーム
– 中小駅は1階用ホームの所々へタラップ等
• 2層構造の駅の例
– 小田急新宿、JR上野、JR東京中央線、
京成青砥、京急蒲田、京成日暮里
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現状の2階建て車両
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提案の総2階建て車両
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総2階建て車両向けの大駅
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総2階建て車両向けの中小駅
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総2階建て車両向けの駅(1層)
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総2階建て車両向けの駅(2層)
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3.3線運行
• 3線運行とは
– 3線の真ん中を朝は上り、夕方は下りに
• 都心ターミナルでの折返し方法
– 上り2本を連結して下り1本にして折返し
• 24時間運行
– 昼は2線で運行し残り1線は保守作業
– 人々の生活様式や健康に悪影響の心配
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2本の電車を1本にして折返す仕組み
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3線運行の都心貫通型の運行パターン
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4.鉄輪式リニア
• 鉄輪式リニアとは
– 荷重支持と進路案内は車輪とレールによる
– 地上と車上間の電磁力で駆動・制動
• 加減速性能の向上
– 空転・滑走なし、運転間隔も短縮
• 総2階建て車両に対応した駅の低コストな実現
– 勾配に強く駅前後の線路上下の距離を短縮
• 架線の不要化による総2階建て車両のスムーズな導入
– 地上一次方式ではパンタ・架線を省略
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在来車両と鉄輪式リニアの勾配比較
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5.実現可能な輸送力増強量
• どこまで輸送力増強できるか
– 本数2倍強×床面積2倍=輸送力4倍以上
• 定時運転のための工夫
– ホームドア、ホームへの流入制限
• 開かずの踏切対策
– 上下部分にエレベーターを設けた横断橋
• 満員電車はなくせる
– 輸送力3~5倍、3線運行ではさらに倍
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第3章
満員電車をなくすための
運賃のイノベーション
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1.運行のイノベーションを実現するために
• 商品価値の向上と値付けの引上げの同期
– 輸送力増強→商品価値向上→値付け引上げ
– 収益向上し経営として成立つ可能性
• 調達可能な資金額と満員電車をなくせる可能性
– 200円/人×250万人×600回/年=3000億円/年
– 30km強×30路線強×100億円/km=10兆円
– 10兆円÷2000億円(年間投資)=50年
– 鉄道開業は2年、新幹線は5年半で達成
– 一致団結して満員電車は10年で解消
– 提案の技術開発に不可能な要素はない
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2.着席と立ち席の値付け
• 着席と立ち席の現実
– グリーン料金で立ち席、通学定期で着席
• 着席サービスのマーケット
– 通勤ライナー、有料特急
• 天ぷらそばとかけそば
– 蕎麦屋では両者に値段差
• 着席と立ち席の値段差に関わる制度
– 鉄道事業法に禁止規定なし
• 着席と立ち席に値段差を付ける方法
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ICカードで座席を引出す仕組み
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3.ICカードを使った戦略的プライシング
• 他のサービスと比較した鉄道運賃のプライシングの問題点
– 繁閑での値段差、固定費と限界費用
• 商品価値と生産コストに応じたプライシング
– ラッシュ時は閑散時より高い値付けに
• 社会的目的の達成と企業の利潤追求とのバランス
– 政府は社会的強者から弱者への所得移転を
• 割高感を感じさせないプライシング
– 時間帯等で運賃変動、多頻度利用等の割引
き、弱者への公的補助のデータ管理、商店
等の運賃負担、会員制
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第4章
満員電車をなくすための
制度のイノベーション
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1.運転士免許基準の規制改革
• 鉄道運転士とバス・タクシー・トラック運転手の比較
– 前者は後者より格段に免許取得が困難
• 鉄道運転士の免許基準の規制改革
– システム・異常時体制を整備の上
• 電車増発経費の大幅低減
– 人件費負担を低減して増発をスムーズに
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2.自動車の適正な費用負担
• 道路特定財源制度の現状
– 道路投資の40%以上が道路特定財源以外
• 道路特定財源制度のあり方
– 自動車の受益と費用負担の関係を明確に
– 自動車関係諸税を引上げるべき
• 自動車が適正に費用負担していないその他の例
– 無料または格安な公共駐車場
– 鉄道事業者が正当な収益を得られるように
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道路財源の構成
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第5章
満員電車のなくなる日を目指して
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1.モノは地下へ、人を地上に
• 現状の地下鉄と道路の関係
– 物流が地上を占拠、人の移動は地下
• 地上と地下の本来の使い方
– 地下鉄を物流へ転換し都市間鉄道と結節
– 地上の道路空間にLRTネットワーク
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2.忘れてはならないこと
• 首都圏直下型地震の際の最悪のシナリオ
– 各所で脱線、正面衝突、ホーム激突、高架
橋転落
– 鉄道関連の死者が最悪なら数十万人
– 本提案を単純に実行すると被害が拡大
• 最悪のシナリオを防ぐ方策
– 車輪フランジを高くして脱線確率を低減
– 鉄輪式リニアで減速度を大幅向上
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3.鉄道が豊かさを実現
• つくばエクスプレスは最先端の鉄道か
– 130km/hは40年以上前の210km/hより低速
• つくばエクスプレスを最先端の鉄道に
– 急行と各停の混在、曲線の高速走行
• 交通利便の向上が社会を活性化
– 40年前までは鉄道、以降は自動車が主役
• 鉄道の能力発揮
• 人口減少から増加への転換
– 同じ負担で広い家、子供を産み育てる
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おわりに
• 35年間の蓄積整理=今後30年間の取組み
– 実行へ向けての基本的方向性は示せた
• 企業は人なり、事業は人なり
– 問題解決の根幹は人材の集結と能力の発揮
– 鉄道や交通への関心を芽生えさせたい
• 交通ビジネス塾
– http://www.LRT.co.jp/kbj
• 満員電車をなくすため
– この本を広めて下さい!!
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