素粒子実験研究室紹介 - 筑波大学素粒子実験室
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素粒子実験研究室紹介
平成15年12月5日
素粒子物理学とは?
物質の究極の構造(=素粒子)
素粒子の性質、素粒子間に働く相互作用
素粒子の時空での振舞い、あるいは時空の
構造そのもの
を研究するもの
物質の階層構造
水の分子10-7cm
原子核10-12cm
クォーク≤10-16cm
?
酸素原子10-8cm
陽子10-13cm
?
素粒子と相互作用
物質構成粒子
力の場に伴う粒子
u
c
t
d
s
b
νe
νμ
ντ
e
μ
τ
g
強い相互作用
γ
W+ W-
電磁相互作用
Z
補助場に伴う粒子
H
?
?
弱い相互作用
ヒッグス粒子
(未発見)
基本構成粒子の質量
世代によって質量は
大きく異なっている
トップクォークは非常に
重く、金の原子核くらい
の質量
ニュートリノの質量は
非常に小さい
最近のスーパー・カミ
オカンデなどの観測に
より、わずかな質量を
もっていることがわ
かってきた
標準理論
現在の観測事実は、ゲージ理論に基づく「標
準理論」でほぼ説明できる
しかし、標準理論には問題点がある
重力相互作用を無視している
実験で決定すべきパラメータが多すぎる
クォークとレプトンの世代の説明ができない
ヒッグス粒子が未発見
標準理論を越える、より基本的な理論を目指
した研究が現在なされている
研究方法
(加速した)素粒子を別の(加速した)素粒子・
物質にぶつけて反応を調べる
加速器を利用した実験
大量の粒子を決まったエネルギーに加速できるの
で、精密な測定、低い確率でしか発生しない事象を
観測できる
宇宙線などの自然にある粒子を、地上・地
下・上空で観測する
例:(スーパー・)カミオカンデ
加速器の到達できない超高エネルギー粒子の観
測や宇宙物理学に直接関連した実験
素粒子を観測するための装置:加速器
対象が微小になる程、それを調べるには高い
エネルギー(=短波長)を要する(量子力学、
相対論が必要)。より高エネルギーに加速す
るには、巨大な粒子加速器が必要
加速器での衝突頻度を上げることも重要
加速できるのは安定した(寿命が長い)荷電
粒子
陽子(反陽子)、電子(陽電子)、原子核
次に寿命の長い(2.2ms)m 粒子の加速が現在
研究されている
現在稼動・建設中の主な加速器
HERA (DESY)
電子(30GeV) x 陽子(920GeV)
TEVATRON (Fermilab)
陽子(1TeV) x 反陽子(1TeV)
CESR (Cornell)
電子(6GeV) x 陽電子(6GeV)
LHC (CERN)
陽子(7TeV) x 陽子(7TeV)
PEP-II (SLAC)
電子(9.0GeV) x 陽電子(3.1GeV)
KEKB (KEK)
電子(8GeV)x陽電子(3.5GeV)
テバトロン加速器
米国フェルミ国立加速器研究所に設置
素粒子実験室が実験に参加している
陽子・反陽子を1TeV(光速の約99.99995%)
まで加速し衝突させる
2km
衝突型実験用汎用測定器
例 : CDF測定器
テバトロン加速器に設置
衝突点付近には様々なタイプ
の検出器が置かれ、反応の様
子が観測される
検出器に用いられる技術(例)
プラスチックシンチレータ
光電子増倍管
微弱な光を電気信号に変換
する。
1光子からの検出が可能。
左のシンチレータと組み合
わせて荷電粒子をとらえ
る。
荷電粒子の通過に伴い微弱な光を出す。
シリコンマイクロストリップセンサ
荷電粒子の通過した
位置を数十ミクロン
以下の精度で検出可
能
研究室のアクティビティー
CDF実験(TEVATRON加速器、米国フェルミ国立加速器研
究所)
2TeV 陽子・反陽子衝突実験 現在稼動中
物理解析(トップクォーク、B粒子、強い相互作用、電弱相互作用、
ヒッグス粒子等未知粒子の探索)
検出器開発(シリコン飛跡検出器、カロリメータ、データ収集システム
など)
ATLAS実験(LHC加速器、欧州合同原子核研究機関、スイ
ス)
14TeV 陽子・陽子衝突実験 建設中、2007年開始予定
検出器開発(シリコン飛跡検出器)
物理シミュレーション
GLC 実験
0.5ー1TeV 電子・陽電子衝突型線形加速器 計画中
検出器開発(カロリメータ)
CDF実験の主な成果
トップクォークの発見
Bc中間子の発見
読売新聞
研究室メンバー
教授:滝川紘治、金信弘
助教授:受川史彦
講師:原和彦
準研究員:武内勇司
研究員:松永浩之
助手:戸村友宣(FNAL)
D5:鈴木隆史、佐藤構二、津野総司、魚住聖、小林博和
D4:青木雅人(FNAL)、秋元崇(FNAL)、石澤善雄(FNAL)、本橋重信
D3:新間秀一
D2:松本偉史、皆川真実子
M2:恵本健亮、千石大樹、山本澄江
D1:木村直樹、桑野太郎、永野あい
M1:山内伸、吉玉仁
研究生:Jeroen Blok
4年生:中村浩二、中村雄一
4年生がやること
4年生は、素粒子物理や測定器開発の基礎
を学びながら、決まった課題について研究を
行います。例年、検出器の開発・テスト(ハー
ドウェア、ソフトウェア)を行っています
昨年度:GLCカロリメータの開発
今年度:CDFシリコン飛跡検出器、CDFカロリメー
タ用PMTの研究
おわりに
素粒子実験、特に高エネルギー加速器を
使った実験
ハードウェア(検出器開発、エレクトロニクス
など)
ソフトウェア(特に、Unix/Linuxや、C++などの
オブジェクト指向プログラミング)
に興味がある意欲的な学生の来訪を期待し
ています