コラム毎のCTI補正を行った

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Transcript コラム毎のCTI補正を行った

X線衛星「すざく」搭載CCDカメラXISの
機上でのチェッカーフラグ電荷注入実験の成果
♪小澤碧、内山秀樹、松本浩典、鶴剛、小山勝二(京都大学)、中嶋大、内野雅広、林田清、常深博(大阪大学)、
森英之、堂谷忠靖(ISAS)、小川和輝、河合秀介、森浩二(宮崎大学)、すざくXISチーム
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要旨
XISには人工的に電荷を注入する機能が備わっている。この機能を用いることにより、我々は電荷転送
非効率をコラムごとに測ることに成功した。この結果を用いて補正した結果、エネルギー分解能が大きく
改善された。このポスターでは機上での電荷注入実験の結果と、現在のXISの較正状況を報告する。
較正線源55Fe照射領域
1、XISと電荷注入
電荷注入構造
♪このポスターのキーワード♪
XIS すざく衛星(05/7/10打上)に搭載されたX線CCDカメラ
0.2-12 keVでの低いバックグラウンド、高い量子効率と
エネルギー分解能が特徴
電荷転送非効率(CTI) CCDの1つのピクセルから
次のピクセルに電荷を転送する際に、失う電荷の割合
←図1:XISの撮像領域の模式図
縦の列をコラムと呼ぶ。X線により
生じた電荷は下方に転送される。
撮像領域
(1024x1024pixel)
転送
コラム
ActX
電荷量
Qref
ピンク :reference電荷
青
:test電荷
XISは軌道上での放射線損傷によりCTIが増加し、
エネルギーゲイン・分解能の低下を招いている。
我々はこれらの問題を解決するため、チェッカーフラ
グ電荷注入を行い、コラム毎のCTI補正を行った。
←図3:チェッカーフラグ電荷注入の概念図。
test電荷は放射線損傷により生じた電荷ト
ラップにより電荷の一部を失うがreference
電荷は既にトラップが埋められているので
電荷を失わない。これらの電荷の読み出し
量(QtestとQref)を測定することにより、トラッ
プにより失われた電荷量を推定出来る。
Qtest
転送
2、チェッカーフラグ電荷注入実験と結果
我々は以下のように、機上で6回の
電荷注入を行った。
↑図2:チェッカーフラグ電荷注入の際の撮像イメージ。注入
電荷による市松模様(checker flag)のパターンが見える。
転送
転送方向
電荷トラップ
コラム毎のCTI
CTIの電荷依存性
CTIの電荷依存は下の式を仮定した。
複数の電荷注入を行った06年6月以降
の実験について、CTIと注入電荷の関
係からβを求めた。
-β
CTI∝Q
チェッカーフラグ電荷注入において
CTIは以下のように定式化出来る。
図3のように各コラムについてQrefと
Qtestを求めることにより、コラム毎に
CTIの値を求めた。
Qtest= Qref
1024
×(1-CTI)
β
↑図4:a) コラム毎のCTIの値。 b) CTIの個数分布。
例として06年7月のXIS 0(注入電荷4.2 keV相当)の結果を示す。
XIS 1
CTIの時間変化
XIS 2
XIS 3
→図5:CTIの時間変化
縦軸は右の電荷依存パラメータ
βを用いて求めた、7 keV相当の
CTIの値。センサー毎の平均値
を示す。
↑図6: 左)βの個数分布。XIS0を典型例に示す。
右)βの時間変化。
有意な時間変化が見られないため、以下のCTI補
正では、βとしてコラム平均かつ時間平均した値を
用いている。
3、CTI補正と結果
上記2、で求めたコラム毎のCTIを用いた補正の結果を報告する。
エネルギースケールの場所依存性
Transfer direction
4
3
XIS 0
Feb.2006
Aug.2006
He-like Fe
Kα
エネルギー分解能の改善
FWHM →
XIS 0
205eV
178eV
セグメント毎のCTI補正
コラム毎のCTI補正
XIS 2
XIS 0
Aug.2006
2
青矢印:
電荷注入を行った日
1
1
2
3
4
図7:ペルセウス銀河団を転送方向に4分割した領域から各々スペクトルをとり、ヘリウ
ム状Feの輝線中心を調べた。場所依存が残っていないことは、CTIの値がきちんと見
積られていることを示している。06年2月と8月の2観測の結果を示す。
4、較正現状
エネルギースケール
セグメント毎のCTI補正
コラム毎のCTI補正
図8:較正線源のスペクトル。黒は従来のセグ
メント毎のCTI補正、赤は今回のコラム毎の
CTI補正の結果。コラム毎にCTIを求めること
により、エネルギー分解能は大幅に改善した。
図9:MnKα輝線FWHMの経年変化。従来の方法に比べ、
ほぼ全ての時期でエネルギー分解能に改善が見られる。
特に、電荷注入実験を行った時期の前後の改善が著しい。
エネルギー分解能
←図10:チェッカーフラグ電荷注入の結果を用
いた現在のライン中心決定精度。
左)較正線源から生じるMn-Kα輝線中心の経年
変化。点線は理論値(5895 eV)。60ksec以上の
観測からの結果を示した。
右)超新星残骸1E0102.2からの水素状O-Kα輝
線中心の経年変化。点線は理論値(653 eV)。
→図11:Mn-Kα輝線のエネルギー分解能の経
年変化。実線は応答関数に取り込まれている
FWHMのモデルを表す。
♪エネルギースケールの不定性 ~ 0.1%@5.9 keV
~0.2%@0.65 keV
♪詳細はOzawa.et.al(PASJ submitted: すざく特集号)をご覧下さい♪