IAEAによる事故の検討

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IAEAは翻訳文書における誤訳や省略に関して責任を負いません。
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(IAEA). IAEA doesn‘t assume the responsibility for the mistranslation and the omission in
this translation document.
日本語訳版pptファイルへの問い合わせ先:
〒208-0022 東京都武蔵村山市榎1-1-5 武蔵村山病院放射線科
平 栄
Sakae Taira, M.D. , Ph.d.
Radiation Therapy Center, Musashimurayama Hospital,
1-1-5 Enoki, Musashimurayama, Tokyo 208-0022, Japan
Tel: +81/042/566-3111 Fax: +81/042/566-3324
E-mail:[email protected]
http://www.geocities.jp/nekoone2000v/TOP.html
IAEA
International Atomic Energy Agency
IAEA Training Course
Module 2.10: 最新の事故情報
– いくつかの最近の事例
(英, 米, 仏)
IAEA
International Atomic Energy Agency
質問
ここ数年の間に放射線治療事故が発生していないと思いますか?
最先端の施設では事故は発生しにくいようになっていると思いますか?
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
3
概要
•
この暗い会場の中でのプレゼンテーションに例示された施設を振り返ることが目的で
はないことに注意して欲しい。
•
そうではなく、教訓を学ぶことが目的である。
•
多くの事例において、当該施設では品質管理システムが実施されている。
•
事故は一般公開された情報で創りかえられてしまい、そういった情報と実際の事故と
はかけ離れたものとなりうる。
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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概要
2004年から2007年にかけての放射線治療における事故の新たな事例
•
•
•
•
•
•
事例 1 : マニュアル作業によるパラメータの転送間違い (英)
事例 2 : 画像の反転 (米)
事例 3 : 不適切な測定装置 (仏)
事例 4 : バーチャルウエッジでの計算ミス (仏)
事例 5 : IMRT治療計画の誤 り(米)
事例 6 : 詳細情報不明…
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
5
IAEA Training Course
事例 1 :マニュアル作業によるパラメータの
転送間違い (英)
IAEA
International Atomic Energy Agency
背景
• 2006年1月スコットランド、グラスゴーの
Beatson Oncology Centre (BOC)
• 当時、放射線治療に従事する物理士の
職員配置水準は勧告された水準の60%
であった。
• “グラスゴーでは物理士の欠員が多く、
募集が難しい状況であった”
The Beatson Oncology
Centre in Glasgow
IAEA
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背景
• BOCにおける治療計画:
• 正規職員としての14.5名のスタッフが年
間4500件から5000件の新規の治療計
画を行っていた。
• IPEMのガイドラインによれば、職員配置
水準は正規職員18名が適正配置と考え
られる。
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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背景
• BOCにおける治療計画:
• 治療計画担当者と治療計画手技の両方ともが等級化されていた。
• A から C がそれぞれ上級から初級を意味する。
• A から E が単純な治療計画から複雑な治療計画を意味する。
• 表 4に担当者ごとのカテゴリーと主な業務を示す。
Table from: “Report of an investigation by the Inspector appointed by the Scottish Ministers for The Ionising Radiation
(Medical Exposures) Regulations 2000”
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
IAEA
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背景
• BOCにおける治療計画:
• 2005年までの治療計画は目的の線量使用するための正しいMU値を設定
する際には、目的とする線量を照射回数に手計算で掛け合わせた後、治
療計画装置(TPS)で1 Gyに対するMU値を計算していた。
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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背景
• BOCにおける治療計画:
• 2005年5月、記録検証システムがもっと統合されたプラットフォームに更新
された
• 施設はTPSですでに計算されている分割線量を入力することに決定した。
しかし、大多数の放射線治療手段には対応されていたが、一部は対応して
いなかった。
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• 2006年1月5日、15才のLisa Norrisに対して
BOCにおいて全脳脊髄照射が開始された。
• 治療計画は頭部照射野と脊髄照射野に分か
れていた。
• この計画は複雑な治療計画に分類していて、
BOCでは年6回程度施行されていた。
Lisa Norris
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• 治療計画の大部分は初級である“計画者X”により2005
年12月に作成された。
• “計画者X”は全脳脊髄照射の治療計画、もしくはこれらの
訓練を受ける内部での有資格者としてまだ登録されてい
なかった。
• “計画者X”は初期教育を受け、治療計画を作成する際に
は監督を受けることになっていた。
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Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• 全脳脊髄照射治療計画はTPSで1 Gy
に対するMU値を計算し、それから一回
照射あたりの線量に変更を行う“旧シス
テム”で依然行われていた。
• 最終的なMU値計算のために治療技師
に渡される“脳脊髄計画手順書” が用
いらていた。
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Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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Table from: “Report of an investigation by the Inspector appointed by the Scottish Ministers for The Ionising Radiation
(Medical Exposures) Regulations 2000”
何が起こったか?
• しかしながら、 “計画者X”は1 Gyでは
なく一回投与線量線量あたりのMU値を
TPSに計算させた。
• 頭部への分割線量を1.67 Gyとしたた
め脳脊髄計画手順書には、頭部の照射
野それぞれに対して67%過線量の値が
入力された。
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Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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Table from: “Report of an investigation by the Inspector appointed by the Scottish Ministers for The Ionising Radiation
(Medical Exposures) Regulations 2000”
何が起こったか?
• 治療計画を確認したもっと上級の計画
者はこの過誤を発見できなかった。
• 治療チームの放射線技師はこの結果、
分割線量を2度掛け合わせることと
なった。
• 頭部には1回あたり2.92 Gyの照射と
なった。
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Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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Table from: “Report of an investigation by the Inspector appointed by the Scottish Ministers for The Ionising Radiation
(Medical Exposures) Regulations 2000”
事故の発見
• “計画者X” は同種の別の治療計画で同様の過誤をおかした。
• このとき、上級監督者により過誤が発見された (2006年2月1
日)
• 同日、 Lisa Norrisへの計算の誤りも確認された。
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Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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事故の影響
• Lisa Norrisの頭部側方照射野へ
の総線量は55.5 Gy (19 x 2.92
Gy) であった。
• 彼女はこの事故の9ヵ月後死亡し
た。
IAEA
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学ぶべき教訓
• 全スタッフに対してすべきこと
• 安全面で重要となる作業は適切に訓練されるべきこと
• 訓練プログラムに参加させ、必要な限り監督し、訓練記
録は更新し続けること
• 自らの責任を理解させること
• 品質保証プログラムを取り入れる
• 新規の技術と手順の導入後リスクを検証する正式な手順
• 全治療計画の独立したMU値検証
• スタッフの水準と能力を再検討する
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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References
•
Unintended overexposure of patient Lisa Norris during radiotherapy treatment at
the Beatson Oncology Centre, Glasgow in January 2006. Report of an investigation
by the Inspector appointed by the Scottish Ministers for The Ionising Radiation
(Medical Exposures) Regulations 2000 (2006)
•
Cancer in Scotland: Radiotherapy Activity Planning for Scotland 2011 – 2015.
Report of The Radiotherapy Activity Planning Steering Group’ The Scottish
Executive. Edinburgh. (2006)
•
The Glasgow incident – a physicist’s reflections. W.P.M. Mayles. Clin Oncol 19:4-7
(2007)
•
Radiotherapy near misses, incidents and errors: radiotherapy incident in Glasgow.
M.V. Williams. Clin Oncol 19:1-3 (2007)
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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IAEA Training Course
事例 2:画像の反転 (米)
IAEA
International Atomic Energy Agency
何が起こったか?
• 2007年10月、米国ミシガン州デトロイトの中心
部にあるKarmanos Cancer Center (KCC)
• ガンマナイフ治療施設でMRI検査が準備さ
れた。
• 標準的な撮像は“頭側挿入方向”での患者
体位である。
• 患者は頭側挿入方向で位置決めされたが、
“足側挿入方向” の撮像方法がその装置で
は選択された。
IAEA
The KCC in Detroit
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• そのため横断断層像は左右逆転していた
• 物理士はTPSに画像を転送する際に誤り
に気がつかなかった。
• その過誤の結果、アイソセンターは脳正中
部をはさんで18mm偏移していた。
Stereotactic treatment
(image from KCC)
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学ぶべき教訓
• 品質保証プログラムを取り入れる
• 基準マーカーを用いるなど、安全面で重要な画像において
左右を検証できる手段
• 安全面で重要な手順に対しては文章で明記されたプロト
コールを周知、遵守させる
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References
• Gamma knife treatment to wrong side of brain. Event
Notification Report 43746. United States Nuclear
Regulatory Commission (2007)
IAEA
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IAEA Training Course
事例 3:不適切な測定装置 (仏)
IAEA
International Atomic Energy Agency
背景
• フランス・ツールーズ にあるHôpital de
Rangueilから2007年に報告された。
• 2006年4月、施設の物理士がBrainLAB
社のNovalis stereotactic unitを整備し
た。
• この装置は3mmリーフ幅のmicroMLC
が利用可能である。
The Hôpital de Rangueil
in Toulouse
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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背景
• microMLCにより極小照射野が設定可能で
ある。
• 6 x 6 mm照射野への高線量照射が可
能
• TPS は深部量百分率 (PDD)、ビームプ
ロファイル、この照射野の下での散乱係
数比を必要とする。
• 小照射野測定の際には注意が必要であ
る!
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• 物理士は誤った線量計を用いた。
• 測定に用いた線量計は最小照射野を校
正するには適切なものではなかった。
• “…不適切な体積の電離箱…” Nuclear
Safety Authority (ASN) の査察官は述
べている。
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• 不正確なデータがTPSに入力された。
• micro MLCで治療された全例がこの不
正確なデータをもとに治療された。
• 円形コリメータで治療された患者は影響
を受けなかった。
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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事故の発見
• BrainLAB社は全世界的な相互比較研究を施行中に、測定
ファイルが他の類似した施設でのデータと乖離していることを発
見した。
• BrainLAB社は施設での測定や導入に際して確認しなかった、
もしくは責任を放棄したということを注釈しておくべきであろう。
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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事故の影響
• 不正確なデータにもとづいた治療が一年間継続された (2006
年4月-2007年4月)
• microMLCで治療された全例が影響をうけた (定位照射を受け
た172例中145例)。
• 線量計算上の影響はほとんどの症例で小さいと評価され、6例
で健常組織の5%を超える体積が耐容線量を超える影響を受
けたと推定された。
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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学ぶべき教訓
• スタッフに徹底すべきこと
• 自らが使用する装置の特性と限界を理解する
• 品質保証プログラムを取り入れる
• 装置を臨床に用いる前に他の施設と相互比較を行う。す
なわち新規の装置を独立したグループ で独立した検証
を行う(独立した装置を用いて) 。
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Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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References
• Report concerning the radiotherapy incident at the
university hospital centre (CHU) in Toulouse – Rangueil
Hospital. ASN – Autorité de Sûreté Nucléaire (2007)
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事例 4:バーチャルウエッジでの計算ミス
(仏)
IAEA
International Atomic Energy Agency
背景
• 2004年5月、フランス・エピナル のCentre
Hospitalier Jean Monnetでの事例
• …前立腺癌患者に対して静的ウエッジ
(固形ウエッジ) からダイナミックウエッジ
(ソフトウエッジ) に変更することが決定さ
れた。
• フランスでは医学物理士が数少なく、こ
の施設の物理士は一名で他施設からも
電話呼び出し体制となっていた。
IAEA
The Jean Monnet Hospital
in Epinal
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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背景
• 治療技術を変更することに備えて2回、2名の操作者 (治療計
画者?)に簡単な操作説明がなされた。
• 操作者には母国語の操作マニュアルはまったく与えられな
かった。
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背景
• バーチャルウエッジが導入された時:
• 利用可能な独立したMU値検証は誰にも出来なかった(改良
しない限り)。
• 線量検証のために用いるダイオードを正確に理解できる者
はいなかった。
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Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• バーチャルウエッジを用いた治療計画を開始
• 治療計画者すべてが治療計画装置のイン
ターフェイスを理解しているわけではなかった。
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45
DW
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Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• バーチャルウエッジを用いた治療計画を開始
• 治療計画者すべてが治療計画装置のイン
ターフェイスを理解しているわけではなかった。
• ダイナミックウエッジのつもりで幾何学的ウ
エッジの計画を選択した治療計画者がいた。
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v
30
45
DW
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何が起こったか?
• バーチャルウエッジを用いた治療計画を開始
• 治療計画者すべてが治療計画装置のイン
ターフェイスを理解しているわけではなかった。
• ダイナミックウエッジのつもりで幾何学的ウ
エッジの計画を選択した治療計画者がいた。
• 本来はダイナミックウエッジを選択するべきで
あった…
IAEA
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45
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DW
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何が起こったか?
• バーチャルウエッジを用いた治療計画を開始
• 治療計画者すべてが治療計画装置のイン
ターフェイスを理解しているわけではなかった。
• ダイナミックウエッジのつもりで幾何学的ウ
エッジの計画を選択した治療計画者がいた。
• 本来はダイナミックウエッジを選択するべきで
あった…
• …そうすれば正しい計画ツールが表示さ
れただろう。
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v
DW
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何が起こったか?
•
治療計画が終了し、線量分布が承認された。
• …パラメータは照射装置へマニュアル転送さ
れた。
• マニュアル転送されたMU値は固定ウエッジに
対して計算されたものであり。ダイナミックウ
エッジで同じ線量を投与するために必要なMU
値よりはるかに大きい値であった。
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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事故の発見
• 詳細は不明だが、しかし:ダイナミックウエッジの独立した検証
が出来るようにするためにMU値検証ソフトウエアを入れ替え、
更新した時であったかもしれない。
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Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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事故の影響
• 誤ったMU値にもとづいた治療が一年間継続された (2004年5
月6日-2005年8月1日)
• 少なくとも23例で過線量照射がなされた (目的とした線量の
20%以上)
• 2005年9月から2006年9月までの間に4例が死亡した。少なくと
も10例が重篤な放射線合併症を発症した(激しい痛み、分泌物
や瘻孔)。
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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事故後の連絡
• 2005年9月15日、施設の医師2名が地域の保健社会
保障省 (DDASS)へ情報を提供した。
• 2005年10月5日、DDASSで会議が開催された。議
事の結論は記録されておらず、残念ながら判断で
きない。
• 管轄する行政機関はこの段階で情報を得ておらず、
事故のまる一年後(2006年7月)に情報を得た。
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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事故後の情報
• 7名の患者には2005年後四半期の間に情報が伝えられた。
• 他の16名の患者は(誤って)影響を受けていないと判断された。
その内訳は …
•
•
•
•
•
•
… 3名は放射線治療士からではなく、他の医師から情報を受けた。
… 1名は第三者の人間から知った。
… 1名は報道で知った。
… 1名は医師同士の会話が耳に入って知った。
… 4名はプレス発表の2日前に経営者から知った。
… 1名は情報を得る前に死亡した。
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Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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学ぶべき教訓
• スタッフに徹底すべきこと
• 自らが使用する装置の特性と限界を理解する
• 安全面で重要な手順においては適切な訓練を行う。
• 品質保証プログラムを取り入れる
• 新規の技術と手技を導入前に検証するための正式な手順
• すべての治療計画に対する独立したMU値検証
• 体内線量測定
• 施設として以下のシステムを確立する
• 事故調査・報告
• 患者連絡を含む患者管理と追跡
• マニュアルは理解できる言語であるべき
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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References
• Summary of ASN report n° 2006 ENSTR 019 - IGAS n° RM 2007-
015P on the Epinal radiotherapy accident. G. Wack, F. Lalande, M.D.
Seligman (2007)
• Accident de radiothérapie à Épinal. P.J. Compte. Société Française
de Physique Médicale (2006)
• Lessons from Epinal. D. Ash. Clin Oncol 19:614-615 (2007)
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Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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Epinalの事故についての追記
• 記録の検討から、ひきつづいてさらに2つの事例が報告された。
• 2007年2月に報告:
• から2006年にかけての期間に線量の加算(最終線量で+8% )を考
慮に入れずにポータルイメージング装置の使用を繰り返した。 412
例の患者に対して医療調査中。
• 2007年7月に報告:
• 1989年から2000年にかけての期間に当該
施設製のTPSが治療手段の変更後も更新さ
れなかったため300例に7%過線量となる照
射がなされた可能性がある。
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Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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IAEA Training Course
事例 5: IMRT治療計画の誤り(米)
IAEA
International Atomic Energy Agency
背景
• 2005年3月、米国ニューヨーク州の某所
• ひとりの患者が頭頚部癌(中咽頭 – oropharynx -)に対してIMRTで治
療されることとなった。
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• 2005年3月4日- 3月7日
• “1 Oropharyn”というIMRT治療計画が準備された。検証のための計画
がTPSに作成され、EPIDによるポータル画像による線量測定により正確
性が確認された。
Example of an EPID (Electronic Portal Imaging Device) (Picture: P.Munro)
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• 2005年3月8日
• “1 Oropharyn”による患者に対する治療が開始された。この照射は正
確になされた。
IAEA
“Model view” of treatment plan (Picture: VMS)
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• 2005年3月9日 – 3月11日
• 2、3、4回目の照射も正確に行われた。 kVイメージング装置による照合画
像も作成され、計画に加えられた。これが“1A Oropharyn”である。
IAEA
“Model view” of treatment plan (Picture: VMS)
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• 2005年3月11日
• 医師は症例の再検討を行い、線量分布の変更を求めた(歯牙への線量を
減らす)。 “1A Oropharyn” はコピーされ、 “1B Oropharyn”としてデー
タベースに記録された。
IAEA
“Model view” of treatment plan (Picture: VMS)
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• 2005年3月14日
• ワークステーション2(WS2)で“1B Oropharyn” の再最適化作業が開
始された。
• 既存のフルーエンスは削除され、再最適化された。そして新たに最適化
されたフルーエンスがデータベースに記録された。
• 最終的な線量計算が開始され、IMRTに対するMLCの新たな動作制御
点(コントロールポイント)が作成された。正常終了した。
Multi Leaf Collimator
(MLC)
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• 2005年3月14日午前11時
• “Save all” (全部保存)が開始された。全ての新規のデータ、変更され
たデータがデータベースに記録されるはずであった。
• この過程においてはサーバーの一時保存領域にデータが転送されるが、
保存領域全てのデータ要素が受け取られない限り永久保存されない。
• この事例においては、記録されるべきデータは(1) 実際のフルーエンス
データ、 (2) DRR、 (3) MLCのコントロールポイントであった。
A Digitally Reconstructed
Radiograph (DRR) of the
patient
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• 2005年3月14日午前11時
• 実際のフルーエンスデータは正常に記録された。
• 次の情報はDRRである。 “Save all” の過程がこれを継続したが、完了
しなかった。
• DRRが記録された後、 MLCコントロールポイントデータが記録されるは
ずだったが、上記の理由のため記録は開始されなかった。
A Digitally Reconstructed
Radiograph (DRR) of the
patient
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Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• 2005年3月14日午前11時
• エラーメッセージが表示された。
• The user presses “Yes”, which begins a second, separate, save
transaction.操作者は“Yes”をクリックし、1秒後にはトランザクション処
理により別々に記録された。
• MLC control point data is moved to the holding area.MLCコント
ロールポイントデータは一時保管領域に移動された。
The transaction error message displayed
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• 2005年3月14日午前11時
• しかしながらDRRは最初に記録しようとして失敗した計画に組み込まれ
たままであった。
• これは2度目の記録は完了できていなかったことを意味している。
• ソフトウエアはフリーズしているようにみえた。
The frozen state of the second “Save All” progress indication
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Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• 2005年3月14日午前11時
• 操作者はそれから、恐らくCtrl-Alt-Del もしくはウインドウズタスクマネー
ジャーを用いてTPSをマニュアル終了させた。
• マニュアル終了の際、データベースは最も近い有効な状況へと一時保管
領域にデータの“ロールバック” を行った。
• その際、治療計画は(1) 実際のフルーエンスデータ、 (2) 完全ではない
DRR情報、 (3) MLCコントロールポイントデータなしというものとなった。
Ctrl-Alt-Del
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Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• 2005年3月14日午前11時
• 12秒以内に別のワークステーション( WS1 )が当該患者の治療計画を
開くために用いられた。 :
正しいフルーエンスがすでに記
録されていた。線量分布計算
がそこで計画者によって作成さ
れ記録された。MLCコントロー
ルポイントデータは線量分布
計算には必要ではなかった。
患者の照射野と線量分布の表示がされている矢状断像
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Prevention of accidental exposure in radiotherapy
63
何が起こったか?
• 2005年3月14日午前11時
• 治療計画にはコントロールポイントのデータが含まれていない
矢状断像はMLCsがある右画像と同じように見える
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Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• 2005年3月14日午前11時
• 照合のための治療計画は検証目的として作成されなかったか、もしくは
用いられなかった(施設のQAプログラムでは施行することとなっていた)。
• 治療計画にひきつづいて治療を行う準備が行われた(治療スケジュール
作成、画像撮像スケジュールなど)。
• 治療計画は医師によっても承認された。
• QAプログラムにもとづいて、別の物理士がその際に照射部位の概略の
総括や用いられるMLC形状など治療計画を再検討すべきであった。
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Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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何が起こったか?
• 検証画面で分らなかっただろうか? :
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Prevention of accidental exposure in radiotherapy
66
何が起こったか?
• 検証画面で気づくべきであった :
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
67
何が起こったか?
• 2005年3月14日午後1時
• 患者に対して照射がなされたが、コンソール画面では治療中MLCが用
いられていないことを示していた:
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
68
何が起こったか?
• 2005年3月14日午後1時
• 本来あるべき画面:
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Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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事故の発見
• 2005年3月15日 – 3月16日
• 患者はMLC無しの状態で3回の照射をうけた。
• 3月16日に検証のための計画が作成され、治療装置で実行された。操作
者はMLCが存在しないことに気づいた。
• 第2の検証のための治療計画を作成し実行したが、同じ結果となった。
• 患者の治療計画を読み込み、実行させたが、同様の結果となった。
事故の影響
• 患者は一回あたり13 Gyの照射を3回受けた。すなわち3回の
照射で39 Gyの照射となる。
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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学ぶべき教訓
• あなたがすべきことは、あなたの施設のQAプログラムにし
たがうことである – 検証プログラム(施設の正規QA手順)
もしくは、独立した再検討により過誤が発見されうる。
• 安全面で重要なデータを取り扱っている際にコンピュータが
クラッシュしたりフリーズした場合は警戒すべきである。
• 治療スタッフとして意識して働き、機器の予期せぬ動作に十
分に注意する。
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
71
References
• [Treatment Facility] Incident Evaluation Summary, CP-2005-049
VMS. 1-12 (2005)
• ORH Information Notice 2005-01. Office of Radiological Health,
NYC Department of Health and Mental Hygien (2005)
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
72
IAEA Training Course
事例 6:詳細情報不明
IAEA
International Atomic Energy Agency
背景
• 残念ながら、 情報には専門家が教訓としてすぐには活用できないものもしば
しば存在する –
• 定位照射装置の校正の誤りによって脳腫瘍の患者77例に目標とする線
量より50%高いものとなったフロリダの事例が存在する (2004)。
• 我々はここで多くの教訓を得られたはず…
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
74
学ぶべき教訓
• ?
References
-
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
75
質問
ここ数年の間に放射線治療事故が発生していないと思いますか?
答: NO! もしYESならばもう一度考えなさい!
最先端の施設では事故は発生しにくいようになっていると思いますか?
答: NO! もしYESならばもう一度考えなさい!
IAEA
Prevention of accidental exposure in radiotherapy
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