情報通信ネットワーク

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1.4 ネットワークアーキテクチャ
1.4.1 ネットワークアーキテクチャ
[コンピュータ実用化直後]
■1台のコンピュータをスタンドアロンで使用
■同機種のホストコンピュータと端末間でのメーカ独自のプロトコル
異機種間での情報処理
すべての機種のコンピュータで共通して使える手順やデータ形式が必要
■アプリケーションと通信機能を切り離す
■階層構造としてモデル化する
ネットワークアーキテクチャ(Network architecture)
(ネットワークの設計方式)
ネットワークアーキテクチャの例
[自社製品間のネットワークが対象]
■SNA(System Network Architecture):1974年発表
IBMが自社メインフレームを中心としたネットワークを構築運用するための
ハードウェアやプロトコルの仕様を定めたもの
■DNA(Digital Network Architecture):製品群としては1975年発表
DECが提唱。DNAに基づいて1975年に発表したネットワーク製品群を
DECnetと呼ぶ。
[異機種間を接続したいという要求]
■ISO,ITU等による標準化開始
OSI基本参照モデルとプロトコル(protocol:通信上の約束事)
[用語]ISO:International Organization Standardization(国際標準化機構)
ITU:International Telecommunication Union(国際電気通信連合)
OSI:Open Systems Interconnection (開放型システム相互接続)
basic reference model(基本参照モデル)と
protocol(プロトコル:通信上の約束事)
代表的なネットワークアーキテクチャ
ネットワークアーキテクチャ
OSI
ITUプロトコル群
TCP/IP
SNA
XNS
DNA
AppleTalk
提
案
者
ISO(International Organization standardization)
ITU(International Telecommunication Unit)
IETF(Internet Engineering Task Force)
IBM 社
Xrerox 社
DEC 社(製品群の総称を DECnet と呼ぶ)
Apple Computer 社NetBIOS Microsoft 社
DNA(Digital Network Architecture)
SNA(System Network Architecture)
XNS(Xerox Network System)
「ジンス」と読もう。
米ノーベル社のIPX/SPXプロトコルの
ベース である。
AppleTalk
元はMac同士を接続するプロトコル。
イーサネットやトークンリングを使う
場合は,ネットワーク層より上層を
指す。
標準化プロトコル
階層
ISO
第7層 ISO 9534/8650/9072
ACSE, RTSE, ROSE
第6層 ISO 8822/3/4/5
ASN.1
第5層 ISO 8326/8327
ITU
X.400
TCP/IP
FTP, TELNET, NES,
DNS, SMTP 他
T.50/51
T.62
Basic Connection Oriented Session S
第4層 ISO 8072/3 T.70
TP0-TP4
第3層 ISO 8880/8473/9542/10589
ISO 8208/8881/-CLNP他
第2層 ISO 8802.LLC
ISO 8802.3 ISO8802.4 ISO8802.5
第1層 CSMA/CD Token Bus Token Ring
TCP
T.30
T.71
V.24
T.71
UDP
IP, ICMP, ARP 他
デバイスドライバ
ハードウェア
インターフェース
1.4.2 OSI基本参照モデル
[コンピュータ実用化直後]
■1台のコンピュータをスタンドアロンで使用
■同機種のホストコンピュータと端末間でのメーカ独自のプロトコル
異機種間での情報処理
すべての機種のコンピュータで共通して使える手順やデータ形式が必要
■アプリケーションと通信機能を切り離す
■階層構造としてモデル化する
ネットワークアーキテクチャ(Network architecture)
(ネットワークの設計方式)
1.4.2 OSI基本参照モデル
(1)プロトコルの階層
ユーザがコンピュータにデータを入力し,コンピュータから通信機器を通じて
データを伝送路に送る際,複数の層(レイヤ)を経てカプセル化される.
例えば,メールソフトを使う場合, SMTP, TCP, IP,イーサネットドライバの
過程を経て送信され,受信側では,逆順に処理される。
メール送信
SMTP
POP3
TCP
TCP
IP
IP
イーサネットドライバ
イーサネットドライバ
伝送路(物理媒体)
[注] SMTP, TCP, IP等は通信上の約束事でプロトコルと呼ばれる。
これらについては,インターネットプロトコルの項で説明。
メール受信
(2)OSI参照モデルの7つの層
ネットワークの階層化の概念をISOで標準化したもの。7つの層からなる。
第7層
アプリケーション層
第6層
プレゼンテーション層
第5層
セッション層
第4層
トランスポート層
第3層
ネットワーク層
伝送経路を定め,伝送や中継などの制御を行う
第2層
データリンク層
中継装置とのデータ伝送を制御
第1層
物理層
応用ソフトに対して通信機能を提供
データ通信するための表現形式にデータを変換/逆変換
データ通信のための伝送路接続/切断を制御
正確にデータを伝送するための通信制御
ビット単位の電気信号で,実際にデータを送受信する
データリンク層でのMACアドレス
製造メーカ番号
(24ビット)
製品番号
(24ビット)
第1層 物理層(Physical Layer)
データリンク層と伝送路(伝送媒体)とのインタフェース
① データリンク層からのデータ伝送要求に従って伝送路にデータを送
信,受信するレベル。
② 物理層の介在によって,伝送路の物理的な性質を
意識しないでデータ伝送ができる。
③ RS-232CインタフェースやV.24などが
この物理層の規格である。
第2層 データリンク層(Data Link Layer)
論理ネットワークの上でデータを円滑に伝送する
① データを伝送するための通信路(コネクション)をデータリンクと呼ぶ。
データリンク層の代表例にHDLC(High-level Data Link Control)手
順がある(後述)。
② 主に,データ伝送を開始する前に,相手端末との間にデータリンク
を確立し,データ伝送を行う。
③ ビットをある単位のブロック,すなわちフレーム(Frame)単位にする
のもこの層の役目である。
④ 各フレームの前後に,区切りとなる符号や誤り検出のための
チェックサム(Check Sum)等を付加する.
第3層 ネットワーク層(Network Layer)
データの透過的な転送サービスを提供
① ネットワーク層の機能によって,交換網がどのように
構成されているかを意識しないでデータ転送が可能となる。
② ネットワーク層のプロトコルの代表例には,
X.25パケット制御手順,インターネットで使われている
IP(Internet Protocol)等がある。
③ 広域ネットワークでは,ルーチング(経路の制御:Routing)を行い,
目的の到着地につくまでデータを中継する必要がある.
ネットワーク層は,このルーチングに関するプロトコルを取り扱う.
第4層 トランスポート層(Transport Layer)
通信しているシステム間で,確実にデータが転送されることを保障
① トランスポート層の代表例には,インターネットにおける
TCP(Transmission Protocol)等がある。
② トランスポート層では,上位セッション層からメッセージを受け取ると,
単一のブロック,つまりパケット(Packet)としてまとめ,
それぞれに連番をつけて送信する.
③ 受信側では,先に送信したパケットよりも先に到着することもあるので,
これを正しい順序に並べなおす。
④ ネットワークに蓄積しているパケット状況と,
これらを円滑に通過させるためのトラフィック管理に関する
フロー制御もトランスポート層の役割である。
第5層 セッション層(Session Layer)
応用プロセス間の情報送信制御(半二重,全二重,送信権など)
およびデータ授受の同期制御を行う.
① 一連のデータ交換を会話として捉え,会話単位毎のデータ転送確認,
どの集団が会話しているかを記録するログ記録等など,
様々な機能を備える。
② いわばトランスポート層の機能の枠からはみ出した部分の集合ともいえ
る。
③ ユーザは,万一クラッシュという事態が発生しても,
長時間の転送の間にチェックポイントを挿入することで,
最後のチェックポイントまで戻るだけですむ。
④ セッション層の代表例は,ITU-T勧告T.62である。
第6層 プレゼンテーション層(Presentation Layer)
情報をどのような表現形式で相手に伝えるかという
情報を取り扱う。
① 一般に,応用層プログラムでは,データ構造が
それぞれ異なっている.そこで,送信側と受信側で
共通のデータ構造になるように変換する。
② ファイル転送に必要なデータ構造の管理,
情報の安全性を高めるための暗号化処理,
音声・画像などの圧縮処理も
プレゼンテーション層の役割である.
第7層 アプリケーション層(Application Layer)
利用者およびネットワーク運用管理のためのプロトコルを実
行し,2つの利用者プログラム間の通信を可能にする.
[例]
① バンキングや座席予約など,
特定業務に共通的に使われるプロトコル
② ファイル転送プロトコル
③ 異機種端末等を見かけ上統一的に扱えるようにする
仮想端末プロトコル
(c)OSI参照モデルと接続機器
LANに接続される接続機器も7つの層に対応させることができる。
層
アプリケーション層
プレゼンテーション層
セッション層
トランスポート層
接続装置
ゲートウェイ
ネットワーク層
ルータ
データリンク層
ブリッジ
物理層
リピータ
備
考
応用層の異なったネットワーク間の
プロトコルを変換して接続.
ソフトウェアで実現することが多い.
最適経路選択機能,ネットワーク層の
異なるプロトコルの変換を行い,
LANやWANを接続する.
アクセス方式が異なるLANを接続.
送信アドレスが異なるLANへの
中継を行う.
電気信号を増幅して中継.
ケーブルやアクセスが同一の
LANを接続する.
お互い同一レベルの層同士で通信して
るかのような通信を行う。
エンド開放型システムA
(3)OSI参照モデルの概念
プロトコル
端末ディスプレイ
第7層
エンド
ユーザ
A
応用層
エンド開放型システムB
仮想端末アクセス
データ
ファイル転送/アクセス
ファイル
ファイル
ジョブ転送
ジョブカード
ジョブカード
エンド
ユーザ
B
応用層
(データの意味内容の制御)
第6層
プレゼンテーション
層
自然画
機械図形
文字
ABC
XYZ
プレゼンテーション
層
(データの表現形式の制御)
第5層
セッション層
第4層
トランスポート層
第3層
ネットワーク層
第2層
データリンク層
会話の
開始
会話
単位1
“データを送るよ”
会話
会話の
会話の
単位2
区切り
区切り
(会話単位の表現の制御)
“データを受け取ったよ”
(エンド開放型システム間のデータ転送制御)
ルーチング
データ
(中継制御)
フレーム
機能システム間のフレーム
の誤りのない伝送制御
物理層
会話の
終了
送信データ
3 ネットワーク層
2 データリンク層
波形信号
第1層
会話
単位3
ルーチング
データ
(中継制御)
フレーム
機能システム間のフレーム
の誤りのない伝送制御
セッション層
トランスポート層
ネットワーク層
データリンク層
パルス信号
1 物理層
(回線の電気・物理制御)
物理層
(回線の電気・物理制御)
中継開放型システム
用語
プロトコル : 同じレベルの層間(同位層間)で交換されるフレー
ム形式,パケット形式,メッセージ種別や折衝(ネゴ
シエーション)の規則(ルール)
サービス : 下層が上層に提供する機能。サービスは,プリミ
ティブの組(セット)で構成され,上層はサービス利
用者,下層はサービス提供者となる。
エンティティ : サービス提供のための機能モジュール。自層内と
相手の同位エンティティ(ピア)は,協調して動作し
て上位にサービスを提供する。
エンティティ
• 考え方
システムA
インターフェース
(上の層と下の層を
接続する機能)
システムB
プロトコル
機
能
モジュール
機
能
モジュール
データベース
へのアクセス,
データ伝送方
式などの機能
を持つ.
(N)
エンティティ
階層化された
プロトコル
レイヤ
バウンダリ
(N+1)
エンティティ
機
能
モジュール
機
能
モジュール
(N-1)
エンティティ
機能モジュール
= エンティティ
通信媒体
(b)
(a)
機能モジュールを層にして,N層エンティティとする.
PDUとSDU
■PDU(Protocol Data Unit)プロトコルデータ単位
同位層と通信するための形式化された転送データ単位
■SDU(Service Data Unit)サービスデータ単位
上層との間で受け渡されるデータ単位
[例]
(N)-PDU: N層の同位エンティティとの間で送受信される転送データ単位
(N)-SDU: N層とN+1層のエンティティ間で受け渡されるデータ単位
用語
PDUとSDUの関係
サービスアクセスポイント
SAP
:
インターフェースデータ単位 IDU
:
サービスデータ単位
SDU
:
プロトコルデータ単位
PDU
:
インターフェース制御情報
ICI
:
または
プロトコル制御情報
PCI
:
(ICIとPCIは同一のもので呼称が異なる)
ヘッダ
SDU
N-PDU
Service Access Point
Interface Data Unit
Service Data Unit
Protocol Data Unit
Interface Control Information
Protocol Control Information
送信側の(N+1)層では,
インターフェース制御情報(ICI/PCI)により
ヘッダを付加してN層に渡す.
受信側の(N)層では,
その層の(ICI/PCI)でヘッダを解釈して取り去り,
残りを(N+1)層に渡す.
ヘッダ付加と層間通信
A-PDU
T-PCI
データ
P-PDU
P-PCI
P-SDU(A-PDU)
第7層
第6層
S-PDU
S-PCI
第5層
T-PDU
T-PCI
第4層
N-PDU
N-PCI
第3層
第2層
第1層
D-PDU
D-PCI
S-SDU(P-PDU)
T-SDU(S-PDU)
N-SDU(T-PDU)
D-SDU(N-PDU)
ビットデータ(D-PDU)
コネクション(同一層間の論理的データ通信路)
送信側では各レイヤごとに制御に必要なヘッダ情報(PCI)を付ける.
受信側では各レイヤごとに該当ヘッダの処理をしてそのヘッダを除く.
層の番号(N)で示すときは,(N)-PDU, (N)-PCI, (N)-SDU等と表記する.
各レイヤのプロトコルは送信側と受信側の同じレイヤについて動作する.
1.4.3 TCP/IPのネットワークモデル
■インターネットアーキテクチャでは,OSI基本モデルより先行し
てモデル化された事実上の業界標準(de facto standard)の
TCP/IPが最も普及している。
■一般にインターネットアーキテクチャとも呼ばれる。
■IETF(Internet Engineering Task Force)発行のRFC(Request
For Comments:公開企画書)で規定。
(2)インターネットの階層
[4層で構成]
① インターネットにおけるデータリンク層,物理層のデータ転送は,
イーサネット,トークンリング,FDDIやフレームリレー等で行われ,
物理層,データリンク層に関する独自のプロトコルを持たない。
② IP(Internet Protocol)はネットワーク層,
TCP(Transmission Control Protocol)はトランスポート層に属す。
両者をあわせてTCP/IPと呼ぶ。
③TCP/IPという名称は,広義にはTCPとIPに,UDP,IGMP,FTPなどを加え
たTCP/IPプロトコル群(TCP/IP protocol suite)を指すこともある。
④さらに,TCP/IPプロトコル群を実現するソフトウェアの集合体を指す場合も
ある。
プロトコル構成
[OSI参照モデルとの比較]
OSI参照モデル
プロトコル構成
TCP/IPモデル
アプリケーション層
プレゼンテーション層
TELNET
FTP
SMTP
アプリケーション層
セッション層
トランスポート層
TCP
UDP
ネットワーク層
データリンク層
物 理 層
トランスポート層
IP
イーサネット
X.25
物 理 層
インターネット層
PPP
・・・・・
ネットワーク
インターフェース層
(規定しない)
IPプロトコルは,ネットワーク層の機能である通信経路や接続相手の選択制御のうち,
基本的な制御は,イーサネットやX.25等に任せているので,ネットワーク層の一部を規定
しているものとみなすことができる。
(3)代表的なプロトコル階層
TCP/IP通信 : TCPまたはUDPを用いてIP上で通信を行うこと
IP over Ethernet(LAN)
Applications
TCP/IP
IP over PPP(WAN)
Applications
TCP/IP
Ethernet
PPP
ツイストペア
ケーブル
デジタル専用線,
加入電話,ISDN
IP over ATM
Applications
TCP/IP
ATM
SONET
WDM
IP over SONET
IP over WDM
Applications
TCP/IP
WDM
Applications
TCP/IP
SONET
WDM
Internet Backbone Network
ATM :
WDM :
SONET :
PPP
:
Asynchronous Transfer Mode
Wavelength Division Multiplex
Synchronous Optical Network
Point to Point Protocol