修士論文最終発表

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修士論文最終発表
- インターネット自動車におけるポリシ経路制御を
用いた複数リンク活用技術の研究 主査:村井純
副査:中村修、砂原秀樹
政策・メディア研究科 CIプログラム
学籍番号:80331413
岡田 耕司
研究概要
• 背景 - マルチホーム通信環境の広がり – インターネット自動車プロジェクト
• 常時接続形態の実現
– 第4世代移動体通信環境
• さまざまな無線通信メディアの登場
• 目的
– 自動車間で通信を行う際、車車間通信路の通信
路評価を行ったうえで、既存の通信路選択技術と
統合
マルチホーム通信環境
通信相手
インターネット
車車間通信路
車内ネットワーク
各通信技術の特徴
• 通信メディア
– 狭域通信メディア
• 狭い通信範囲、広帯域、低遅延、低コスト、不安定
– 広域通信メディア
• 広い通信範囲、狭帯域、高遅延、高コスト、安定
• 通信形態
– インフラストラクチャ接続
• メディア切り替え時に通信品質が変化
– マルチホップ通信
• 時間の経過とともに通信品質が変化
MANET(Mobile Ad-hoc Networks)
•
•
•
•
エンドノード同士によるデータ転送により、無線セルの境界を越えて通信
アドホックネットワークを形成することで、移動体同士のショートカット経路を作成
経路制御プロトコルタイプ
– プロアクティブ型
• あらかじめ経路を取得
– リアクティブ型
• 必要時に動的に経路を取得
想定アプリケーション
– ビデオチャット
– 渋滞情報、交通情報配布
要求事項
• 経路管理
– 複数通信路からの経路を管理
– 複数経路制御プロトコルの協調
• ポリシ経路制御
– 複数通信路をアプリケーションの要求に応じ
て使い分け
– 通信路評価を行ったうえで送出ネットワークを
決定
• 動的なポリシ経路制御のルール変更
MANET経路制御プロトコルと
自動車環境
リアクティブ型経路制御プロトコルにより
反対車線を走行する自動車を探索
プロアクティブ型経路制御プロトコルによる網形成
状況に応じた自動車・定点間通信
経路管理
• 複数の経路制御機構からの情報を管理
– インターネット接続性とMANET網
– 複数経路制御プロトコルによるMANET網
• 整合性のとられた経路情報を経路表に挿入
• 経路変化を経路制御プロトコル間で相互共有
• 経路管理機構
– GNU Zebra
MANET通信路の動的品質変化
- 物理層 自動車間の距離により
電波強度/通信品質は変化
自動車A
http://buffalo.melcoinc.co.jp/products/new/2002/064_2.html
弱
自動車B
強
自動車Aからの電波強度
自動車C
http://www.keyman.or.jp/search/a_30000062_2.html
MANET通信路の動的品質変化
- ネットワーク層 –
自動車Cの移動に伴い、
自動車Aから自動車Cへの通信は
自動車B経由になる
自動車B
自動車C
自動車A
通信路品質評価
本研究における
通信路品質評価ドメイン
インターネット
既存技術における
通信路品質評価ドメイン
通信路品質評価手法
• MANET経路制御プロトコルのメッセージ拡張に
より通信路品質評価
– プロアクティブ型経路制御プロトコル
• HELLOメッセージの交換によりリンクの品質を評価
• トポロジ情報配布メッセージにより、評価したリンク品質を
MANET網に配布
– リアクティブ型経路制御プロトコル
• 経路応答メッセージの拡張
• 新メッセージの定義
本研究における
MANET網のリンク品質項目
• 帯域
– リンクの距離
– リンク接続ノード数
• 遅延
– RTT
• 通信安定性
– ホップカウント
システム構成
OLSR
OSPF, RIP
インターネット接続側の
経路情報
通信路帯域品質測定
MANET側の
経路情報
経路管理システム
通信路評価情報
経路情報
ポリシ管理機構
ポリシ経路制御設定
経路表
ポリシ経路制御テーブル
MANET経路制御プロトコルの選択
• OLSR(Optimized Link State Routing Protocol)
– プロアクティブ型経路制御プロトコル
• 同一方向車線を対象
– ネットワーク経路のサポート
– ノードの重み付け
– IPv6サポート
• 将来的に、複数MANET経路制御プロトコルを用
いることが予想される
OLSRの拡張
• IPv6サポート
– メッセージング用マルチキャストアドレスの検討
• リンクローカルオールノードマルチキャスト
– HNAメッセージの拡張
• プレフィクス長対応メッセージフォーマット
• 通信路品質評価
– 新メッセージの定義
• HELLOメッセージの拡張による位置情報交換
– 各隣接ノードへの距離を計算
• TC(Topology Control)メッセージの拡張によりリンクの距離を配布
– 配布されたリンク情報を基に各宛て先までの帯域を評価
ポリシ管理サーバ
• OLSRデーモンから受け取った情報を基に
宛て先までの帯域を評価
• 各宛て先までの遅延を計測
• 動的ポリシ経路制御ルール設定
実装
• OLSR実装
– FreeBSD-5.3-Release, FreeBSD-5.2.1Release, FreeBSD-4.9-Release, NetBSD1.6.1-Release
– Zebra-0.95-pre2
• ポリシ管理サーバ
– Netbsd-1.6.2-Release
– IPFilter
実験概要
• アプリケーションの要求に応じた通信路切り替えが
行えることを実験
– 帯域優先アプリケーションを想定
– MANETにおける想定無線デバイスの通信距離は3000M
– インターネット接続はCDMA 1X EVDOを想定
• HAKONIWAによる車両走行環境エミュレーション
– HAKONIWA
• 車両環境エミュレーションソフトウェア
• 交通流シミュレータ、車両情報シミュレータ、簡易気象シミュレー
タ
• IDを指定することで各自動車情報を取得可能
– HAKONIWAから自動車の位置情報を取得
実験環境
Default gateway
インターネット
Hakoniwa server
700kbpsに設定
インターネット接続網
2001:6::2
2001:7::2
carid: 3
2001:3::1
仮想位置情報
carid: 4
2001:4::1
仮想位置情報
Dummynet Bridge
MANET網
Dummynetによる
動的通信品質変化
評価(経路制御プロトコルのみ)
4.5
4
3
2.5
距離(Km)
実効帯域(Mbps)
2
1.5
インターネット接続網との品質逆転地点
1
インターネット接続網の
実効帯域700Kbps
0.5
経過時間(秒)
1496
1408
1320
1232
1144
1056
968
880
792
704
616
528
440
352
264
176
88
0
0
距離(Km)、実効帯域(Mbps)
3.5
評価(ポリシ経路制御導入)
4.5
4
3
2.5
距離(Km)
実効帯域(Mbps)
2
1.5
1
インターネット接続網の
実効帯域700Kbps
0.5
経過時間(秒)
1280
1200
1120
1040
960
880
800
720
640
560
480
400
320
240
160
80
0
0
距離(Km)、実効帯域(Mbps)
3.5
まとめ
• 結論
– 動的に通信品質が変化する通信路をインターネット自動
車環境において使い分けるモデルの構築
• 経路制御プロトコルの拡張により、リンク情報のネットワークへの
配布
• 通信路品質評価に基づいた動的ポリシ経路制御
– 車両エミュレーション環境による評価によりシステムの有
効性を評価
• 動的に変動する通信路品質を評価した上で、アプリケーションの
要求に応じた通信路選択を実現
• 今後の課題
– 帯域評価変数/評価式の議論
– 簡易ポリシ設定インターフェース