N - 東北大学電気・情報系

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コミュニケーション工学B
Communication Systems Engineering B
2013年 1/8, 1/15, 1/23講義分
光ファイバー通信入門
講義日時: 第1回 1/8(火)5講時、第2回 1/15(火)5講時、第3回 1/23(水)5講時
場所:いずれもプレ2B講義室
山田 博仁
講義資料のダウンロード
http://www5a.biglobe.ne.jp/~babe
1/8、1/15、1/23 3回分の講義内容
1. 講義の目的: 光ファイバー通信のしくみを理解する
2. 講義内容
1日目
・ インターネットを支える光ネットワークと、適用範囲が広がりつつある光通信
・ 光通信とは?、光通信の歴史、光通信の特長、光通信の要素デバイス
・ レーザーとコヒーレント光、何故コヒーレント光が望ましいのか?
2日目
・ 光ファイバーにおける光伝搬、導波モード、分散、伝送帯域
・ 光ファイバー伝送における信号波形歪の発生と補償技術
・ 光変調方式、光伝送方式、デジタルコヒーレント光伝送システム
3日目
・ 光通信における信号多重化方式
・ 光ネットワークとフォトニックネットワーク
・ 光通信の将来展望
3. 成績評価
毎回の講義に関するレポート点の合計 (20点満点)
4. 参考書
末松安晴、伊賀健一共著、光ファイバ通信入門、オーム社
伊藤弘昌 編著、フォトニクス基礎、朝倉書店
5. 質問等 E-mail: [email protected]、電気系2号館203号室
本日(1/8)のレポート問題
以下について述べよ。(本日の講義後に提出) (6点満点)
1. スマートフォンなどの携帯情報端末の普及により、今国内のネット
ワークにどんな問題が起きているのか?定量的に述べよ。
2. 電気通信と光ファイバー通信との構成上の違いについて述べよ。
3. 光ファイバー通信用の光源としては、発光ダイオード(LED)よりも
レーザーを用いる方が望ましい。それは何故か?
3問で、A4レポート用紙1枚程度を目安
身近になった光ファイバー通信
FTTH(Fiber To The Home): フレッツ光(NTT), auひかり(KDDI)などがサービスを
出展: http://premium.nikkeibp.co.jp/ftth/part2/top_f.html
光回線終端装置(左)
とルーター(右)
AV機器のデジタル入出力ケーブル
AV機器のデジタル入出力ケーブルとコネクタ
身近になった光ファイバー通信
マンションなどの集合住宅では、共有部分まで光ファイバーを敷設し、ONUで光から
電気信号に変換した後、その先の各住戸までは電話回線を利用するVDSL方式が
用いられている
NTT東日本 フレッツ光HPより
集合住宅などのVDSL(Very high speed Digital Subscriber Line)方式
国内におけるブロードバンド契約者数の推移
2011年末のブロードバンド・インターネット回線の契約数は、3,953万契約
そのうちFTTH(光回線加入者)は2,230万契約で、前年比10.3%増
FWA(Fixed Wireless Access): 固定無線アクセスまたは加入者系無線アクセスシステム
BWA(Broadband Wireless Access): 広帯域移動無線アクセスシステム、WiMAXなど
3.9G(第3.9世代移動通信システム): LTE、モバイルWiMAX、UMBなど
※) VDSLはFTTHの分類に含まれる
出典: H24年度版情報通信白書
海底光ケーブル網
出展 http://www1.alcatel-lucent.com/submarine/refs/index.htm
適用範囲が広がりつつある光通信
光通信は今や、サーバーの筺体間データ通信から、パソコンにまで
Active Optical Cable(AOC)によ
るStorage Area Network(SAN)
Light Peakによる Universal Bus Interface
AOCとサーバーのBackplane
SONY VAIO Zに搭載されたLight Peak
ボード間光伝送用パラレル光モジュール
スーパーコンピューターのボード間データ通信にも光通信が
IBM Power775 スパコンに搭載
10Gbps, 12ch(120Gbps)
リボン光ファイバー
パラレル光モジュール
Avago製 MicroPODTM
Power775のシステムボード
国内のネットワーク トラフィックの推移
国内のインターネット ダウンロード トラフィックの総量は、2011年末で1.7Tbps
現在もなお、年率40%で増加
出典: H24年度版情報通信白書
ネットワーク機器の電力消費の予測
国内のインターネット トラフィックは年率40%で増加
ネットワーク機器の消費電力もそれに伴い増加すると仮定すると、
2020年頃には、2007年の年間総発電量を超える見通し
http://www.aist-victories.org/jp/about/outline.html
通信とは
情報を送り手から受け手に伝えること
Alice
Bob
情報の搬送媒体
情報の送り手
情報の受け手
搬送媒体を送る
情報を搬送媒体に載せる
手紙を書く
マイクロフォン
搬送媒体
送る手段
便箋、はがき 郵便システム
電流、電波
電話
搬送媒体から情報を取り出す
手紙を読む
イヤフォン、スピーカ
各種波動を用いる通信方式
導波機構の有無
有線
(導波機構有)
情報搬送媒体
(carrier)
通信方式
用途
音波
伝声管
船内、潜水艦内通信
機械振動
糸電話
教材
電流(電磁波)
電気通信
電話、インターフォン
光(電磁波)
光ファイバー通信
音波
会話
電波(電磁波)
無線通信
携帯電話 航空・船舶無線
アマチュア無線 衛星通信
光(電磁波)
光通信
狼煙 腕木通信 手旗信号
衛星間光通信
デジタルAV機器 FTTH
海底光ケーブル
無線
(導波機構無、
自由空間伝搬)
重力波
重力波通信
腕木通信塔
自由空間伝搬による光通信
http://www.icsa.gr.jp/system/index_03.htm
ビル間光通信
レーザ光通信システム (Canon)
大学キャンパス内
衛星間光通信
実験衛星「きらり」による衛星間光通信実験に成功 (H18年3月)
NICT 小金井本部の光地上局
衛星間光通信
ガウスビーム波
2
2
強度分布 I (r)  I (0) exp(r / w0 )
w0: ビームウエストサイズ
ガウスビーム波の広がり角
2w0
λ: 光の波長
 

2w0
r
rad
2Δθ
Ex.) 波長1μmのレーザー光を、直径1mのビームにして月に送った
場合、月面でのビーム径はどのくらいになるか?
ただし、月までの距離は約38万kmである 答 直径約 240m
電気通信のしくみ
搬送波: 情報搬送の担い手
搬送波
を作る
発振器
搬送波に情
報を載せる
変調
電気信号
搬送波から情
報を取り出す
伝送路
電線
同軸ケーブル
情報の受け手
情報の送り手
復調
光ファイバー通信の構成
電気信号
xxxx 光デバイス
光信号
伝送路
搬送波は光
LN変調器
EA変調器
光源
光変調
レーザー
LED、電球
情報の送り手
xxxx 電子デバイス
/回路
フォトダイオード(PD)
APD
光検出器
光ファイバー
情報の受け手
復調 電子回路
電磁波の波長
光ファイバー通信には、波長 1μm前後の近赤外域を使用
可視光域
光ファイバー通信の特長
1.広帯域 (高速、大容量通信が可能)
1本の石英光ファイバーで、1Pbps(Pbpsは1015bit/secのこと)以上の
高速伝送が可能。最近、1.01Pbpsの光伝送に成功 (NTT, Fujikura,
北大, デンマーク工科大の共同)
参考) 同軸ケーブルの帯域:最大でも10GHz程度
2.長距離伝送が可能
中継間隔
同軸ケーブル:数km ~ 10km
光ファイバー:2,000km以上の無中継伝送も可能
3.漏話が少ない、電磁誘導の影響を受けない
光ファイバーは非導電性であるため、外部からの電磁誘導ノイズ
の影響を受けない。また、光ファイバー自体からの電磁波の放射も
無いので、近接光ファイバー間の信号干渉が少ない。
4.多重化が容易
光ファイバーが細く軽量のため、多芯化、長尺化が可能
光ファイバー通信の歴史
年 代
人または機関
1930年代
Lamb(独)、関(日本)
Townes(米), Schawlow (米),
Basov(ソ)ら
石英ファイバー(ロッド)による光伝送
1957年
渡辺, 西澤(東北大)
半導体による超短波増幅・発振のアイデア
1960年
Maiman(米), Javan(米)
1962年
IBM, GE, MIT(米)
半導体レーザの発振
1966年
Kao, Hockham(英)
低損失シリカ光ファイバーの可能性示唆
1968年
川上,西澤(東北大)
Graded-index型光ファイバーの発明
1970年
林, Panishら(米)
AlGaAs半導体レーザ室温連続発振
1970年代
NEC, 電電公社, 日立, 三菱
(日), Bell研(米), STL(英)
半導体レーザの長寿命化、発振安定化
1976~79年
電電公社, 藤倉電線(日)
シリカ光ファイバー伝送損失が0.2dB/kmに
1955年
事
項
光メーザーの着想
ルビーレーザ, He-Neの発振
1980年代 NEC, 富士通, 日立, 東工大他
通信用半導体レーザの開発と高性能化
1990年代 Southampton大(英), NTT(日)
光ファイバー増幅器の発明と実用化
光ファイバー通信の要素デバイス
デバイス
役 割
光ファイバー
光信号を導く伝送路
半導体レーザー
搬送波としてのコヒーレントな
光を発生させる。さらに、搬送
波に情報を載せるための光
変調も可能
光検出器(PD, APD)
搬送波に載っている情報を
電気信号として取り出す
光増幅器
伝送中に減衰などで弱くなっ
た光信号を光のまま増幅する
光合分波器
光スイッチなど
光信号を分配したり、光の経
路を切り換えたりするもの
イメージ
光ファイバー
通信用シリカ光ファイバー
伝搬損失 < 0.2dB/km @ λ=1.55 μm
光ファイバーの伝送損失
住友電工http://www.sei.co.jp/news/press/02/prs221_s.html
光ファイバー低損失化の歴史
光ファイバーの構造
石英ガラス or
プラスチック
ナイロン繊維で被覆
1本
光ファイバー芯線
3000心光ケーブル
シリコン樹脂で被覆
コア
クラッド
光ファイバー
n2
n1 >n2
光ファイバー素線
コア
クラッド
n1
屈折率分布
光ファイバー
レーザーとコヒーレント光
光搬送波になるべく多くの情報を乗せるためには、コヒーレントな光が望ましい
コヒーレントとは、波の位相が揃った状態。高スペクトル純度、良好な収束性を有する
時間的コヒーレンス 空間的コヒーレンス
光
の
電
界
t
光
の
強
度
f 又は λ
光
の
強
度
光
の
電
界
コヒーレント光
t
f 又は λ
インコヒーレント光
(コヒーレントでない)
自然界に存在する光は全てインコヒーレント光
例: 太陽光、炎から出る光、蛍の光、白熱電球、蛍光灯、LED
コヒーレントな光を人工的に発生させる装置がレーザー
何故コヒーレント光が望ましいのか
インコヒーレントな電磁波を用いた初期の通信 電磁ノイズによる通信
1887年ヘルツは誘導コイルによる火花放電式電磁波発生器を発明
1896年マルコーニ(Marconi)は、ヘルツの電磁波発生器にアンテナとアースを
付けて2.5kmの無線電信に成功
出展: http://www.geocities.jp/hiroyuki0620785/intercomp/wireless/transatrananticexp.htm
1905年日本海海戦において、ロシア・バルチック艦隊の発見が「敵艦見ユ」と無線
電信で通報され、日露戦争の勝利を導く糸口となった
軍艦三笠に搭載の三六式無線電信機は、明治36年(1903)旧制二高の木村駿吉
教授が開発。送信機は火花放電、受信機はコヒラー検波器を使ってコイル駆動で
記録紙に出力するもので、80海里(約150km)以上の通信到達距離を達成
出展: http://blog.zaq.ne.jp/rootakashi/article/163/
その後真空管が発明されて、コヒーレントで強力な電磁波が発生できるようになり、
通信距離が比較的に延びることとなる
何故コヒーレント光が望ましいのか
コヒーレントな電磁波を用いる利点
コヒーレントな電磁波はスペクトル純度が高い(つまり、単一周波数)ので、受信
機において、周波数同調(選択)を行い、狭帯域に高利得の信号増幅を行うこと
により、微弱な信号でも受信できる。(長距離伝送が可能)
スペクトル純度が高い(単一周波数)ので、狭帯域の指向性アンテナなどを用い
ることができ、特定の方向にのみ強く信号を送ることができる。つまり、伝送の指
向性が高い。(長距離伝送が可能)
スペクトル純度が高く搬送波の位相が揃っている(位相雑音が少ない)ので、より
速い速度での変調が可能。また、位相や周波数を変調することも可能となり、高
い伝送レートでの信号伝送が可能。(送れる情報量が多い)
スペクトル純度が高く、占有スペクトル幅が不必要に広がらないので、同一周波
数帯を多くのチャンネルで共用できる。(周波数利用効率が高い)
このように、コヒーレントな電磁波を用いる通信は、インコヒーレントな電磁波を用い
る場合に比べて多くの利点を有している。従って、白熱電球やLEDのようなインコ
ヒーレント光を用いるよりも、レーザーのようにコヒーレント光を用いる方が望ましい。
レーザー
レーザーとは、光の発振器
正帰還回路
光の正帰還回路
光増幅媒体
+ Amp.
鏡
電気の発振器
レーザー
光増幅媒体とはどのようなものか?
物質(原子系)と光との相互作用 以下の3つの課程が同時に起きている
電子など
E2
減衰
入射光
出射光
増幅
入射光
発光
出射光
E1
二準位系
(原子など)
光の吸収
誘導放出
自然放出
熱平衡状態
Maxwell-Boltzmann分布
E
E2
k: ボルツマン定数
T: 媒質の温度
P( E)  e

n2: 励起状態の原子数
E
kT
誘導放出
正味では減衰
E1
吸収
P(E)
熱平衡状態では、励起準位の原子数
は基底準位の原子数よりも少ない n1> n2
吸収
吸収
n1: 基底状態の原子数
自然放出の起きる確率 = An2
A: アインシュタインのA係数
吸収の起きる確率 = Bn1 I
B: アインシュタインのB係数
誘導放出の起きる確率 = Bn2 I
I: 入射光の強度
Bn1 I > Bn2 I
熱平衡状態では、吸収の確率 > 誘導放出の確率となり、入射光は減衰して出てくる
反転分布
反転分布
Tが負(負温度状態)
E
n2: 励起状態の原子数
E2
P( E)  e

E
kT
誘導放出 誘導放出
E1
P(E)
励起準位の原子数が基底準位の原
子数よりも多い状態を反転分布という
n1< n2
誘導放出
吸収
正味では増幅
n1: 基底状態の原子数
Bn1 I < Bn2 I
反転分布では、誘導放出の確率 > 吸収の確率となり、入射光は増幅されて出てくる
レーザーとは、何らかの方法で反転分布を作り出し、放射の誘導放出(Stimulated
emission)を用いて光を増幅する装置
半導体レーザー
半導体レーザー (Laser Diode: LD) 光を増幅する媒体が半導体からなり、
pn接合への電流注入により、電子の反転分布状態を作り出せる
特徴: ・ コンパクト (チップ本体は0.3mm角程度)
・ 取り扱い容易 (乾電池2本程度で動作可能)
・ 直接変調で数Gbpsの高速変調が可能
・ 高信頼性 (通信用のInGaAsPレーザは100万時間以上の寿命に)
・ 安価 (FTTH用LDはチップコストで数百円、CD用LDは数十円に)
電子
へき開面(鏡面)
ホール
n型
p型
チップの構造
出展: www.phlab.ecl.ntt.co.jp/master/04_module/002.html
半導体レーザの発振特性
Fabry-Perot (FP)共振器レーザー
2枚の平行に向き合った鏡によるFP型光共振器
によって正帰還が得られ発振するレーザー
発振波長間隔
 
20
縦多モード発振
Δλ
2neff L
λ0 : 発振波長の中心値
neff : 実効屈折率
L : 素子長
λ0
発振スペクトル

へき開面(鏡面)
FPレーザーの構造
回折格子
分布帰還(DFB)型レーザー
回折格子によるBragg反射により、光の分布帰還
が得られ、 Bragg波長近傍の単一波長で発振
発振波長
単一縦モード発振
  2neff 
Λ : 回折格子の周期
neff : 実効屈折率
発振スペクトル

DFBレーザーの構造
出展: www.matsuoka-lab.imr.tohoku.ac.jp/purposes.html
光変調器
光変調器
電界吸収(EA)型光変調器
半導体レーザの直接変調
光信号
光
出
力
電流
変調信号(電気)
半導体レーザの電流-光出力(I-L)特性
化合物半導体などの
pn接合に逆バイアス
を印加すると、印加電
界によって光吸収特
性が変化し、これを利
用して光の強度変調
を行うもの
40GbpsEA変調器(沖電気)
LiNbO3 (LN)によるMZI型光変調器
LNは、電圧を印加すると屈折率が変化する
電気光学(E-O)効果を有している。 LNによ
る光導波路によってMach-Zehnder(MZ)型
の光干渉計を構成
し、屈折率変化によ
る光の位相変化を
強度変化に変換し
て光変調を行うもの LiNbO3(LN)光変調器
(住友大阪セメント)
光検出器
PINフォトダイオード(PIN-PD)
逆バイアスされたpn接合に光が照射される
と強度に比例した光電流が取り出せる
光
光電流
i
光
電子
電極
p+
i
ホール
p+
n+
n+
電極
逆バイアス状態の半導体pin接合
アバランシェ フォトダイオード(APD)
基本的にはPINフォトダイオードと同じであるが、アバランシェ効果により、
光電流を増倍するしくみを有している (高感度)
光増幅器
半導体光増幅器
無反射加工
半導体レーザーの両端面に無反射膜
を形成するなどして、光共振器をなく
したもの (光の正帰還がかからなくな
るのでレーザー発振はしない)
無反射加工
半導体レーザーチップ
光ファイバー増幅器
Er添加光ファイバー増幅器
コアに、エルビウム(Er3+)などの希土類を添加
波長980nmなどの光で励起すると
波長1.54 μm付近に光増幅利得発生
Er3+の準位
光増幅器の構成
ラマン増幅器
光ファイバに非常に強い励起光を入射すると、石英ガラスの分子振動エネルギー
に対応して、励起光波長より100 nm程度長い波長域に光利得が得られる
光合分波器
光を波長によって分ける (分光器あるいは分波器)/異なる波長の光を束ねる(合波器)
クラッド
コア
0.5 mm
この一本一本が
このような光導
波路からなる
Arrayed Waveguide Grating
0.5 mm
Si 基板
石英光導波路
50 mm
Arrayed Waveguide Grating (AWG)
スラブ
導波路   
12
N
AWGの動作原理
光スイッチ
電気制御-光スイッチ (光の経路を切り換えるが、ON-OFFの制御は電気で行う)
スイッチング機構
特 徴
出力ファイバー
メカニカル
(MEMS)
Port1
Port2
入力ファイバー
入力1
熱光学(T-O)効果
電気光学(E-O)効果
出力1
mS~mSオーダーの切換え速度
比較的安価
ヒーター
入力2
+
mSオーダーの遅い切換え速度
安価
出力2
-
電界印加
nSオーダーの高速切換え
高価
その他に、磁気光学(M-O)型、音響光学(A-O)型などもある
光制御-光スイッチ (光-光スイッチ or All光スイッチ)
ON-OFF制御も光でやる
現在研究開発中 将来の全光信号処理システムに使われるかも?
光導波路の構造
コア
n2
n1> n2
クラッド
n1
屈折率分布
n2
光ファイバー
n1> n2
n1
屈折率分布
コア
クラッド
スラブ導波路
光導波路が光を導くメカニズム
n1< n2の場合
n1> n2の場合
入射波
反射波
φ1
入射波
φ1
φ1
n1
n1
n2
Snellの法則
2
屈折波
n2
2θmax
n2
sin 1 n2

sin 2 n1
全反射
φ1
全反射
c
φ2
屈折波
 n2 

n
 1
臨界角 c  cos1 
放射モード
c
n1
n2
反射波
全反射
全反射
n1> n2
光が伝搬可能な入射角度の範囲
開口数: NA= sin(θmax)
全反射角
 n2 
コアとクラッド界面での全反射角θcは、前スライドの臨界角より c  cos  
 n1 
1
2
 n2 
n12  n22
2
sin c  1  cos c  1    
 2
2
n1
 n1 
で与えられるが、
n12  n22
ここで、  
と置いたが、Δは比屈折率差と呼ばれている
2n12
従って、n1と n2との差が小さい時、全反射角 θcは以下の式で与えられる
c  sin 1 2  2 [rad]
さらに、導波路が受け入れることのできる受光角(2θmax)は、
2max  2 sin 1 (n1 sin c )  2 sin 1 n1 2  2n1 2
また特に、 NA  sin max  2n1 を開口数 (Numerical Aperture)という
導波路内での光伝搬
クラッドへの光の浸み出し
a
ϕ
n2
n2
ϕ
k0n1sinθ
n1
コア
-a
ϕ: Goos-Hänchen Shift
n1> n2
ϕ
k0n1
θ
k0n1cosθ
真空中での伝搬定数: k0=2π / λ (λ: 波長)、媒質中では k0n1
光の伝搬方向の伝搬定数成分 βは、 β = k0n1cosθ
c
光が伝搬方向に伝わる速度は、 vg  cos であり、vgを群速度(Group
n1
Velocity)という (c は光速度)
光の伝搬と垂直方向の伝搬定数成分 (k0n1sinθ)に対して、以下の式が成り
立つ時、光伝搬と垂直方向に定在波ができる
  4k0an1 sin   2  2 N
N: モード番号 (0, 1, 2 ‥‥)
導波モードと定在波
E
N=0
Δϕ = 0
E
N=1
2π
E
N=2
4π
モード番号N は、横方向の強度分布における節の数を表す
入射角度
光伝搬と垂直方向での定在波条件の式より、モード番号Nに対する入射角度θNは、
4k0an1 sin  N  2N  2 N
ここで、 Goos-Hänchen Shiftの値 ϕN は一般的には入射角度 θN の関数になるが、
θN が全反射角 θc よりも十分に小さい場合には、 N   と近似できる。
従って、モード番号 N に対する入射角度 θN は、
 N  sin  N 

2n1k0a
( N  1)
( N  0, 1, 2, ) [rad]
モード番号がある値よりも大きくなると、全反射条件が満たされなくなり、伝搬でき
なくなる。つまり、伝搬可能なモードは、以下の条件を満たす。
 N  c
従って、導波路内を伝搬可能なモード番号の最大値 Nmaxが存在し、以下の条件
を満たす。
N  c
m ax
モードの数
導波路内を伝搬可能なモード番号の最大値 Nmaxは以下の式で与えられる。
Nmax 1 
V
V  k0a n12  n22  k0an1 2
 (1)
( 2)
ここで V は、Vパラメータ或いは規格化周波数と呼ばれている
Nmaxよりも大きなモード番号のモードは伝搬できないので、カットオフにあると言う
N=3
カットオフ領域
(放射モード)
ω/c
(k0)
N=2
1/n2
群速度 vg 


曲線の傾きはvg /cで 、群速度に対応
N=0
N=1
1/n1
モードによって群速度の値は異なる
β
導波路の分散関係
単一モード条件: V < π /2
光ファイバーにおける導波モード
2a
n2
n1
Step Index型多モード光ファイバー
Vパラメータ
導波モードの数
V  k0an1 2
M
8

2
V2
n12  n22

2n12
V≦2.4 単一モード条件
ファイバー内の基本モード(HE11)パターン
出典: 末松安晴、伊賀健一共著、光ファイバ通信入門、オーム社
光ファイバーの種類
モード数
屈折率分布
材 料
コア: 屈折率n1
5~10μm
単一モード
n2
Step Index型
コア: 屈折率n1
約50μm
n2
多モード
Step Index型
特 徴、用 途
光ファイバー通信網に幅広く使用
(海底、幹線、メトロ、加入者系)
コア: 石英ガラス
クラッド: 石英ガラス 様々な光部品(光スイッチ、光合
分波器、光増幅器など)に加工さ
れて使用
短距離の光伝送、光インターコネ
コア: 石英ガラス
クション(コンピュータ、ストレージ
クラッド: 石英ガラス
筐体間データ通信)、接続容易
コア: プラスチック
接続や取り扱いが容易なので、
クラッド: プラスチック AV機器用データ通信に利用
コア径約50μm
屈折率分布
Graded Index型
コア: 石英ガラス
クラッド: 石英ガラス
一部の光ファイバー通信網で使用
(接続が容易なので主にLAN用)
比較的高価
光ファイバーの分散
多モード光ファイバーにおける分散
モード分散 (Mode Dispersion) 伝搬モードによって群速度 vg が異なる
モード3: vg3 モード2: vg2
モード1: vg1
vg1 > vg2 > vg3
モード1を伝搬し
てきた光パルス
モード2
入射光パルスは複数のモードに分配されて伝搬していく モード3
伝搬モードによって群速度が異なるため、光パルスの出射時刻が異なる
光パルスの幅が広がるため、符号間干渉が起こり、符号識別誤りが起こる
光ファイバーの分散
単一モード光ファイバーにも存在する分散
波長分散 Chromatic Dispersion
石英ガラスの材料分散
導波路の構造分散
1: vg1
2: vg2
母材の石英ガラスの屈折率が波長に依存
導波路の伝搬定数が波長に依存
3: vg3
vg1 < vg2 < vg3
入射光パルスが多波長成分を有すると
波長によって群速度が異なるため、出射光パルスの時間幅が広がる
偏波モード分散 Polarization Mode Dispersion
ファイバーにねじれなどがあると、直交する2つの偏波モードの縮退が解け、
2つのモード間で群速度に違いが生じるようになる
光ファイバーの波長分散
通常のSMFでは、波長約1.31μmにおいて、材料
分散と構造分散が打ち消し合いゼロ分散となる
単一モード光ファイバー(SMF)の波長分散
光ファイバーの伝搬損失と分散特性
出典: 末松安晴、伊賀健一共著、光ファイバ通信入門、オーム社
通常のSMFは、波長約1.31μmにおいてゼロ分散となるが、
伝搬損失は波長1.55μm付近で最小となる
分散補償技術
光学的分散補償
原理: 伝送路としての光ファイバーとは逆の分散特性を有するデバイスを接続するこ
とにより、伝送路である光ファイバーの分散を打ち消すもの。(アナログ的手法)
分散補償デバイスとしては、以下のものがある
・分散補償光ファイバー (Dispersion Compensation Fiber)
単一モード光ファイバー(SMF)とは逆符号の大きな分散を有する光ファイバーで、
(長さに応じて)大きな分散でも広帯域に補償できる。補償可能分散量は光ファイ
バーの長さで決まり、固定。波長分散の補償のみに対して有効。(偏波モード分
散には効果無し)
・分散補償素子
様々なタイプのものが有るが、比較的小さな分散を補償可能。補償する分
散量を可変できるものも有る。ただし、応答速度は比較的遅い。
電気的分散補償 (Electronic Dispersion Compensation)
経路の切り替えなどによって伝送路の分散量が変化しても、電気的信号処理により
伝送路の分散量をリアルタイムに推定し、伝送路の逆伝達関数を受信信号に乗じて
分散を補償する方法。偏波モード分散にも効果が有り、近年ではこの方法が主流と
なってきている。(デジタル的手法)
伝送帯域
同軸ケーブルによる伝送
出展: http://www.hitachi-cable.co.jp
Loss2/B = 一定
Loss: 伝搬損失(dB/m), B: 伝送帯域(Hz)
同軸ケーブルの場合、伝搬損失によって帯域が制限される
光ファイバーによる伝送
多モード光ファイバー
BL 
c
n1
主にモード間の群速度差によるモード分散によって制限
B: 帯域(Hz), L: 長さ(m)
単一モード光ファイバー
Δ = 0.005とすると、BL = 40MHz・km
波長分散と偏波モード分散によって制限
単一モード光ファイバーの伝送帯域
波長分散による帯域制限(分散補償を行わない場合)
i) 光源の波長スペクトル幅 Δλsが広い(FP-LDやLEDを使用の)場合
BL  5 10 
s
13
B: 帯域(Hz)、L: 長さ(m)、Δλs: 光源のスペクトル幅 (nm)
例えば、Δλs = 1nm、L = 50kmの時、B = 1GHz
ii) 光源の波長スペクトル幅 Δλs が狭い(DFB-LDを使用の)場合
B L  2.151012
B: 帯域(Hz)、L: 長さ(m)
従って、L = 100kmに対して、B = 6.8 GHz
光ファイバーの場合、伝搬損失は通常0.2dB/kmと同軸ケーブルに比べて遥か
に小さいので、分散による信号波形の歪が伝送帯域を制限している。
分散による光パルスの広がりは、多モード光ファイバーの場合はモード分散に
よって制限される。一方、単一モード光ファイバーでは、モード分散はないが波
長分散などによって制限される。
ただし、分散補償を行う場合は、上の制限には依らない
伝送中継技術
光-電気変換 OE/EOによる3R (Reamplification、Reshaping、Retiming)再生
送信機
OE/EO
中継器
OE/EO
中継器
OE/EO
中継器
光中継器の構成
受信機
出典: 末松安晴、伊賀健一共著、
光ファイバ通信入門、オーム社
光増幅器による2R (Reamplification、Reshaping)再生
光信号を一旦電気信号に変えることなく、光のまま増幅、等化を繰り返して中継
送信機
光増幅器
光増幅器
光増幅器
受信機
3R再生とは
振幅増幅 (Reamplification) 弱くなった信号強度を増幅して強くする
ファイバー
1 0 1 1 0
減衰
増幅
1 0 1 1 0
1 0 1 1 0
t
t
t
波形整形 (Reshaping) 分散などの影響で劣化した波形を整える
波形劣化
ファイバー
1 0 1 1 0
1 0 1 1 0
波形整形
1 0 1 1 0
t
t
タイミング再生 (Retiming) 符号のビットタイミングがズレたのを修正する
タイミングのズレ
タイミング 1 0 1 1 0
1 0 1 1 0
1 0 1
10
ファイバー
修正
t
t
t
電気的分散補償
コヒーレント検波方式においては、光領域における位相情報が検波後の電気信号
においても保存される。そのため、波長分散や偏波モード分散による信号波形歪
をデジタルフィルターによって補償できる。
波長分散は線形現象であり、従って波長分散による線形な波形歪は、トランスバー
サルフィルターでモデル化できる。
送信信号系列を {Sn}、伝送路のインパルス応答を {h0, h1, ‥, hL}とすると、受信信号
系列 {rn}は、線形畳込み演算
L
rn   hi Sni
i 0
ただし、インパルス応答の長さ L は、分散の時間広がりに対応
によって与えられる。
そこで、伝送路の分散量を推定し、伝送路の逆伝達関数のインパルス応答と受信信
号との畳込み演算処理を行う。畳込み処理には、有限インパルス応答フィルタ(FIR)
や周波数領域等化(FDE)が用いられる。
また、伝送路の分散量の推定には、送信信号にパイロットトーンを重畳して位相差を
検出する方法や、情報系列に既知のトレーニングシンボルを埋め込む方法などがある。
各種光伝送方式
強度変調-直接検波 (Intensity Modulation - Direct Detection: IM-DD)方式
初期の光通信から用いられている方式で、現在でも最も広く用いられている方式で
あるが、光のコヒーレンス性はあまり利用していない。従って、低ビットレートであれ
ば発光ダイオード(LED)などを光源に用いることもあり、赤外線リモコンなどの伝送
方式がこれにあたる。
コヒーレント光伝送方式
光のコヒーレンスをより積極的に利用する先進的光伝送方式。光の振幅、周波数、
位相などに情報を載せるASK, FSK, PSKなどがある。IM-DD方式に比べて受信感
度が改善されたり、周波数利用効率に優れたり、多くのメリットがあり、今後、主流
になっていくものと思われる。光源としては特に位相雑音の少ない(スペクトル線幅
の狭い)レーザー光が求められる。
アナログ伝送方式(サブキャリヤ伝送方式)
CATVによる映像のアナログ伝送や、マイクロ波の光伝送、リモートアンテナなど、
ごく限られた用途で用いられている
強度変調-直接検波光通信方式
強度変調-直接検波 (Intensity Modulation - Direct Detection: IM-DD)方式
現在の光通信で広く用いられている方式。光のコヒーレンス性はあまり利用していない
変調信号
(電気)
LD
PD
光ファイバー
検波出力信号(電気)
PDによる直接検波
LDのI-L特性
光
出
力
光信号
電流
変調信号(電気)
LDの強度変調
PDによる直接検波では、入射光強
度に比例(従って光電界の2乗に比
例)した光電流出力が得られるので、
二乗(自乗)検波と呼ばれている。
従って、入力光信号の電界の位相
情報は失われてしまう。
強度(振幅)変調と位相変調
出典: NTT Tech. Rev., vol. 9, no. 3, 2011
光変調方式
光ファイバー通信で用いられる変調方式
変調対象
デジタル変調
アナログ変調
多値
二値 (バイナリ)
AM (IM)
Q
ASK (OOK)
振幅変調
I
1
0
FM
1
QASK
0
FSK
Q
01
11
周波数変調
I
00
0
1
PM
0
1
10
QPSK
Q
PSK
位相変調
I
y
0
1
0
0
1
0
y
偏波変調
x
x
16QAM
Q
デジタル変調方式
OOKの場合、
I 位相は関係無い
つまり、コヒーレントでなくても良い
Q
OOK : on-off keying
ASK : amplitude-shift keying
e e(t) = Em sin (t + )
Q
t

I
t
I 0
o
constellation map
Em
-Em
Q
QASK : quadrature amplitude-shift keying
I
FSK : frequency-shift keying
QASK
PSK : phase-shift keying
Q
Q
QPSK : quadrature phase-shift keying
1
I
DPSK : differential phase-shift keying
10
001
000
110
I
00
101
100
11
01
0
Q
I
010
111
011
BPSK
QAM : quadrature amplitude modulation
QPSK
Q
8PSK
Q
I
4QAM
(QPSK)
I
16QAM
搬送波(光源)の位相雑音の影響
コヒーレント光伝送には特に狭スペクトル線幅の光源(レーザー)が求められる理由
出典: NTT Tech. Rev., vol. 9, no. 3, 2011
光ヘテロダイン検波
コヒーレント光伝送方式では、光ヘテロダイン/ホモダイン検波などの光検波方式が
用いられる
合波器(BS)
信号光
fS
受光器(PD)
IFアンプ/
フィルター
fIF=fS-fLO
ベースバンド
復調器
局部発振光
fLO
周波数弁別器
LD
光ヘテロダイン検波回路のブロック図
信号光は局部発振光と混合(合波)されて共に受光器(PD)に入る。従って信号光の
電界の位相情報がPDの検波出力電流に保存される。
通常、LDの発振波長(周波数)は揺らいでいるため、LDからの局部発振光と信号
光との周波数差(中間周波数)をモニターし、局部発振LDの駆動電流にフィードバッ
クをかけることにより、局部発振光LDの発振波長を信号光にロックする光PLLなど
の手法が用いられる
デジタルコヒーレント光伝送
デジタルコヒーレント方式の概要
出典: 信学会誌H24年12月、号 総合報告
本日(1/15)のレポート問題
以下の中から、いずれか2つを選んで述べよ。1問について、A4レ
ポート用紙1枚程度を目安とする。 (7点満点)
1. 光ファイバーの中を光が伝搬するメカニズムについて述べよ。特
に、導波モードとは何かについては詳しく記述せよ。
2. 光ファイバー伝送中に光信号波形に歪が生じる要因について述
べ、またそれを補正する方法について述べよ。
3. コヒーレント光伝送方式について、その違いを従来の光伝送方式
と対比しながら述べよ。
提出期限: 1/23(水)の講義開始前
信号の多重化伝送
複数の信号を1本の伝送路に乗せる手法
多重化方式
時分割多重 Time Division Multiplexing (TDM)
多重化を行う領域
電気信号の時間
周波数多重 Frequency Division Multiplexing (FDM)
電気信号の周波数
サブキャリヤ多重 Subcarrier Multiplexing (SCM)
電気信号の周波数
符号分割多重 Code Division Multiplexing (CDM)
電気信号の符号
光時分割多重 Optical Time Division Multiplexing (OTDM)
波長分割多重 Wavelength Division Multiplexing (WDM)
光符号分割多重 Optical Code Division Multiplexing (OCDM)
偏波分割多重 Polarization Division Multiplexing (PDM)
空間多重 Space Division Multiplexing (SDM)
光信号の時間
光の波長
光信号の符号
光の偏波(偏光)面
空間
電気信号の多重化
t1 t2 t3
時分割多重化
t1 t2 t3
時間
1秒
一人当たりの帯域
f1 f2 f3 f4
周波数
利用可能な周波数帯域
周波数多重化
多重化の方法
制限速度15 mphの一般道路 (多重化無し)
制限速度60 mphの1車線高速道路 (時分割多重、周波数多重)
制限速度15 mphの4車線一般道路 (波長多重、空間多重)
電気によるTDMおよびFDM伝送
2.4 Gbps
光源
光変調
光検出器
復調
光ファイバー
時間領域または
周波数領域で多重化
2.4 Gbps
bps: bit per second
Multiplexer
1Gbps
2.4 Gbps
100 Mbps
64 kbps
Demultiplexer
1Gbps
100 Mbps
64 kbps
複数本の光ファイバーによる空間多重伝送
光源
光変調
1Gbps
光変調
光源
光源
光検出器
64 kbps
光変調
光検出器
100 Mbps
光ファイバー
光検出器
復調
復調
1Gbps
100 Mbps
64 kbps
1Gbps
復調
100 Mbps
64 kbps
一本の光ファイバーによる波長多重伝送
光源
光源
光源
λ1
1本の光ファイバー
光変調
λ2
λ3
1Gbps
64 kbps
光変調
100 Mbps
光変調
λ1
光検出器
λ2
光検出器
λ3
光検出器
復調
Wavelength
Multiplexer
1Gbps
100 Mbps
64 kbps
Wavelength
Demultiplexer
1Gbps
復調
復調
100 Mbps
64 kbps
光ファイバー通信における超多重化
電気通信における多重化 (時分割多重、周波数)
数~数十Gbpsの高速道路
1本の同軸ケーブル
だから光ファイバー伝送は、超ブロードバンド
光ファイバー通信における多重化
電気領域での多重化 (時分割多重、周波数多重)+光領域での波長多重化
波
長
に
よ
る
多
重
化
各々が数~数十Gbpsの高速道路
(数十~数百波長)
1本の光ファイバー
光ファイバー伝送の大容量化第三世代
デジタルコヒーレント
第一世代
TDM技術(電気)による
10,000
1,000
実験
第二世代
光増幅, WDM(光)による
商用システム
ETDM
ETDM
WDM + ETDM
WDM + ETDM
1.6T
(40G, 40波)
伝送容量 (Gbit/s)
OTDM
100
WDM + OTDM
FA-10G
10
F-1.6G
F-2.4G FSA-2.4G FA-2.4G
F-1.8G
WDM System
F-600M new F-600M
F-400M FS-400M
光増幅器使用
1
0.1
0.01
25年間で4桁向上
SDH System
F-100M
F-32M
1980
光ファイバー
日本縦断網完成
分散シフト光ファイバー使用
DFB-LD使用
F-6M
単一モード光ファイバー使用
1985
1990
1995
FTTHサービス開始
2000
日本における光ファイバー伝送容量の変遷
2005
年
光ファイバー伝送大容量化の歴史と展望
大容量化の方法
光ファイバ1本当たりの伝送容量
第一世代(1980 ~ 1990年代)電気による多重化
- 電気信号による時分割多重(ETDM)
- 電気信号による周波数分割多重(EFDM)
電子回路の応答速度により、
100Gbps程度が限界
第二世代(1990 ~ 2000年代)光学技術による
- 光信号による時分割多重(OTDM)
- 波長多重(WDM)
第三世代(2000 ~ 2010年代)電気信号処理による
- デジタルコヒーレント多値変調
電気による多重化と組み合わ
せることにより10Tbpsを実現
多値符号化により100Tbpsは
可能か?
第四世代(2010年 ~ )光の空間多重による
- マルチコア光ファイバー
- マルチモード光ファイバー + MIMO
1Pbps以上も可能
光ファイバー伝送の大容量化
光ファイバー1本当たりの伝送容量 (bps)
1P
第一世代
第二世代
100T
10T
1T
WDM
OTDM
第四世代
マルチコア
305T
109T
光ファイバー
(19コア)
(7コア)
+40%/year
多値変調
デジタルコヒーレント
第三世代
1.6T
1.7T (2011)
100G
10G
ETDM
EFDM
電気的多重化(実験)
電気的多重化(商用)
光学的多重化(実験)
1G
光学的多重化(商用)
100M
1980
1990
2000
年
2010
2020
光伝送大容量化の技術トレンド
デジタルコヒーレント光伝送方式
多値変調 ‥‥ QAM, DPSK/DQPSK/DP-QPSK等
コヒーレント光伝送 ‥‥ 光の振幅と位相を変調
光直交検波、光ヘテロダイン/ホモダイン検波
エレクトロニクスの活用
デジタル信号処理(DSP) ‥‥ 誤り訂正符号(FEC)
波長および偏波モード分散補償
マルチコア光ファイバー
1本の光ファイバーに複数のコア(10コア程度)を設けた光ファイバーによる空間多重
マルチコア光ファイバーを用いた1.01Pbps (456Gbps×222波長×12コア)空間
多重光伝送実験に成功 (NTT、フジクラ、北大、デンマーク工科大共同 2012年
9月)
多モード光ファイバー
Few Mode Fiber(FMF) + 無線のMIMO技術を活用
上記の方式を組み合わせることにより、1本の光ファイバーで1Pbps以上の光
伝送が可能に。
交換方式
回線交換
例) 電話
鉄道のポイント切換え
エンドユーザーによって一つの回線が専有される
回線交換器
パケット交換
例) データ通信、インターネット
宅配便
一つの回線が皆でシェアされる
パケット交換器
ラベル
データ
パケット交換器
クロスバー交換器
クロスバー交換器
回線交換
Aさん
A
B
C
D
-
Z
X
Y
W
W
Y
Z
X
Bさん
Cさん
Dさん
ノンブロッキング
非閉塞
電話のクロスバ交換器
Wさん Xさん Yさん Zさん
回線交換
回線交換のメリット
特定のエンドユーザーによって一旦回線が確保されると、通信が終了し、
回線が開放されるまでは、安定で良質の通信が可能
回線が混んできても、一旦接続されるとリアルタイムの通信が可能なため、
電話においては自然な会話が保証できる
交換器の構造がシンプル
一か所に大量のストリームデータなどを伝送する場合(長編映画のダウン
ロードなど)、伝送効率が高い
回線交換のデメリット
特定のエンドユーザーによって一旦専有された回線は、たとえデータが
全く流れていない時間があったとしても、他のユーザーがそこにデータを
流すことはできない
パケット交換
データをパケット(Ether Netではフレーム, ATMではセルと言う)という単位に
分割して送出
パケットにはデータと同時に、宛先を示す情報が書き込まれている
交換器は経路表に基づきパケットをいずれかのポートに送出する
経路表
宛先 ポート
1
①
2
②
3
③
4
④
4
⑤
4
⑥
①
②
③
1
2
3
4
パケット交換器
経路表
宛先 ポート
1
①
1
②
1
③
2
④
3
⑤
4
⑥
1
④
2
3
4
パケット交換器
⑤
⑥
パケットの構造
パケットの構造
データ
ヘッダ
データ
ヘッダ
データ
ヘッダ
データ
ヘッダ
データ
パケット
宛先アドレス 送信元アドレス
IPパケット ヘッダ部: 20バイト + α, データ部: 可変長
Ether Net ヘッダ部: 22バイト, データ部: 可変長(46~1500バイト)
ATMセル ヘッダ部: 5バイト, データ部: 48バイトの固定長
宛先アドレス IPパケット IPアドレス: 32ビット (IPv4), 128ビット (IPv6),
Ether Net MACアドレス: 48ビット
パケット交換のしくみ
宅配便との比較
パケット交換
宅配便
パケット交換器, ルーター
集配センター
データ (ペイロード)
荷物
ヘッダ (宛先アドレス)
経路表作成, 宛先検索, 経路制御
荷札 (送付先)
仕分け作業, 荷物の積込み
リンク
道路, (鉄道)
リンク障害
交通事故などによる荷物の破損
パケット交換の特徴
パケット交換の特徴
一つの回線を皆でシェアし、エンドユーザーによる回線の専有はない
データと同時に制御信号が送られる
パケット交換のデメリット
回線が混んでくると遅延が大きくなり、通信のリアルタイム性が損なわれる
電話においては会話が不自然となる。 例) IP電話などで生じる
一か所に大量のストリームデータなどを伝送する場合、伝送効率が低くなる
光ネットワーク機器(ルーター)
ノード
光リンク
(光ファイバ)
ノード
(ルーター)
ハイエンドルーター
光(O) – 電気(E) – 光(O)
受光素子
(PD)
バッファ
メモリ
ヘッダ
解析
宛先検出
ノード
(ルーター)
ノード
発光素子
光変調器
(LD)
電
子
ス
イ
ッ
チ
発光素子
光変調器
(LD)
発光素子
光変調器
(LD)
ルーター(パケット交換機)の構成
光信号
電気信号
光デバイス
電子デバイス
ノードの処理速度がボトルネック
ノード
ノード
(ルーター)
光リンク
(光ファイバ)
ノード
(ルーター)
ノード
リンク容量: 10Tbps
(40Gbps × 256波 WDM)
高速道路
ノード処理速度: 100Gbps
渋滞
料金所
フォトニックノードによるボトルネック解消
ノード
ノード
(ルーター)
光リンク
(光ファイバ)
ノード
(ルーター)
ノード
リンク容量: 10Tbps
(40Gbps × 256波 WDM)
高速道路
ノード処理速度: 100Tbps
ETCシステム
フォトニックネットワーク
光リンクを流れる光信号を一旦電気に変換することなく、光のまま交換する
次世代の光ネットワーク
- Optical Add/Drop Multiplexer(OADM)
OADM
- Optical Cross Connect(OXC)
OADM
OXC
WDM ring NW
WDM ring NW
OADM
OADM
リング型ネットワーク
- λ-MPLS, G-MPLS
(MPLS: Multi-protocol label switching)
OPS
Mesh NW
- Optical Burst Switching(OBS)
OPS
OPS
- Optical Packet Switching(OPS)
OPS
メッシュ型ネットワーク
Optical Add/Drop Multiplexer(OADM)
波長多重化された信号の中から、ある特定波長(チャンネル)の信号のみ取り出したり、
加えたりするもの
OADM
1 ‥‥ n
OADM
OADM
WDMリングNW
OADM
OADM
WDM信号
i
i
R-OADM (Reconfigurable OADM) Add/Dropする波長を任意に設定できるもの
1 ‥‥ n
OADM
OADM
WDM信号
OADM
WDMリングNW
OADM
i
i
OADM
波長合分波器(AWG)
N×N AWG 1個で N×N波長ルーターが構成可能
SiO2 クラッド
SiO2 コア
0.5 mm
λ1, λ2, λ3, …, λN
λ1, λ2, λ3, …, λN
λ1, λ2, λ3, …, λN
λ1, λ2, λ3, …, λN
λ2, λ3, λ4, …, λ1
λ3, λ4, λ5, …, λ2
λ1, λ2, λ3, …, λN
λN, λ1, λ2, …, λN-1
0.5 mm
Si 基板
このような石英光導
波路からなるAWG
シリコン光導波路を用いれば、
極微小なAWGが実現可能
50 mm
大きさ1/1000
50 mm
Arrayed Waveguide Grating (AWG)
Si細線光導波路によるAWG
波長可変レーザー
K. Nemoto, et al., Appl. Phys. Express 5, 082701 (2012)
マイクロヒーター
SOA
リング共振器
Si細線導波路
100 mm
作製したSi細線光導波路による
リング共振器型波長フィルター
120
50
100
40
80
30
60
20
40
10
20
0
1.56 1.57 1.58 1.59
1.6
Wavelength [μm]
波長可変特性
0
1.61 1.62
SMSR [dB]
リング共振器による熱光学式
波長可変レーザーの構造
Heater Power [mW]
スポットサイズ
変換
Si細線導波路による熱光学(T-O)光スイッチ
マイクロヒーター
チップサイズは僅か1.4 mm×2 mm
電極
1.4 mm
Port1
Port2
Si細線導波路
Transmission (dB)
MZ型Si細線導波路光スイッチ素子
2 mm
-20
-30
-40
250 mm
Port 1
Port 2
0
50
100
150
Heating power (mW)
スイッチング特性
Port8
200
1×8光スイッチの写真
T. Chu et al., Optics Express 13, 10109 (2005)
T. Chu et al., Proc. SPIE 6477 (2007)
四光波混合による40Gb/s波長変換
Y.-H. Kuo et al., Optics Express 14, 11721 (2006)
逆バイアスされた 8cm長 SOI pin リブ導波路による40G波長変換
波長変換効率: -8.6dB
Pump power: 450 mW
40Gbps NRZ波長変換実験系
波長変換出力スペクトル
40Gbps Eye Diagram
左: 入力信号
右: 波長変換出力信号
光による符合ラベル処理
グレーティング光ファイバーを用いる方式
1 4 3 2
2 1 3 4
データ
データ
データ
t
波長ラベル
波長ラベル
2
3
4
1
サキュレータ
グレーティング光ファイバー
グレーティングパターンとラベルが一致した場合
一致しないと
データ
データ
データ
t
光バッファ
1. 光遅延線路と光スイッチによる
光遅延線路
光遅延線路
光遅延線路
光スイッチ
光スイッチ
光スイッチ
2. Slow Lightによる
電磁誘導透過 EIT: Electromagnetically Induced Transparency
0.9μK(約−273℃) ナトリウム
300,000km/s → 28m/s
70~90K(-203~-183℃)
ルビジウムRb
300,000km/s → 1km/s
|3>
|1>
|2>
光パスネットワーク
光パスネットワークとパケットネットワークが共存した新しいネットワーク形態
将来の光ネットワークのイメージ
適用分野が広がりつつある光通信
筐体(ラック)間 → ボード間 → チップ間 → チップ内(素子間)
Active optical cable (AOC)
100mまで
Infiniband
Light Peak
DDR(20Gbps)AWG24
20mまで
出典: C. Gunn, “CMOS Photonics™ Technology Enabling Optical Interconnects” Luxtera, Inc.
LSIチップ内光配線
LSIの性能限界が近年顕在化
マルチコア化の流れ
・ クロック周波数高速化の限界
・ コア間、プロセッサ-メモリ間データ伝送
- バッファ導入による回路複雑化、
の高速化限界、多層配線の限界
消費電力増大
- クロック高速化によるノイズ問題顕在化
電気配線の限界
光配線のメリット
グローバル
電気配線層
ローカル
配線層
Tr層
LSIチップの断面 (出展: 米Intel社)
130nm 6層銅配線
・ 高速データ通信
・ 消費電力の低減
・ 電磁ノイズの低減
光配線層
光集積回路(光IC)
様々な光デバイスを小型化し、集積化することにより、
本格的な光集積回路の実現を目指す
通信用光デバイス
フォトニック結晶
Si光導波路
光スイッチ
光合分波器
Photonic
Network
Photonic node
次世代フォトニック ネットワーク
光集積回路(光IC)
電子集積回路と光集積回路の集積度の比較
109
Core2Duo
Pentium4
Tr数:4200万個
108
電子集積回路
107
ムーアの法則
(×2/1.5年)
集
積
化 106
光
素
子 105
数
74mm
Intel4004
Tr数:2300個
K. Okamoto et al.,
Electron. Lett. 32
1471 (1996)
? の法則
87mm
シリカベースPLC
光集積回路
102
1970
Siベース
光集積回路?
16 ch R-OADM
(AWG×4, TO-SW×64)
Intel286
Tr数:13.4万個
104
103
Pentium
Tr数:310万個
1980
1990
2000
年
現在
2010
2020
本日(1/23)のレポート問題
以下の中から、いずれか2つを選んで述べよ。1問について、A4レ
ポート用紙1枚程度を目安とする。(7点満点)
1. 光ファイバー通信における信号多重化方式について述べよ。
2. 将来の光ネットワークであるフォトニックネットワークについて述
べよ。
3. 本講義を聴いて皆さんが考える、光通信の将来展望について述
べよ。
提出期限: 1/30(水) 17:00
最後に、本講義に関するご要望や感想についても是非書いて下さい。
ご聴講ありがとうございました