06 - 東京工業大学

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超高速・高周波までの
電子回路・集積回路設計
松澤 昭
東京工業大学
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
1
内容
•
•
•
•
•
•
•
•
•
2006.11.06
集中定数回路
集積回路のインタフェ-スと波形品質
集積回路のノイズ
集積回路の配線問題
LCR分布定数回路
集積回路からのノイズ輻射
超高速インターフェース
まとめ
補足資料
A. Matsuzawa Tokyo Tech
2
集中定数回路
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1次の系:抵抗と容量の時間応答
通常のアナログ回路の設計ではRC 1次の回路設計で十分である
RC回路の場合応答には振動成分は出ない
Vout
1
1
 H (s) 

Vin
1  sRC 1  s
ステップ波を入力すると素直な応答になる
1
1
H (s) 
  1
s s  


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Vout
t
 

 Vin 1  e  


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1次の系:抵抗と容量の周波数応答
周波数応答も-20dB/decの穏やかな特性である。
H (s ) 
p 
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1
1
1


1  sRC 1  s 1  j
p
p
1
RC
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5
1次の系:CMOSゲートと容量
CMOSインバータも基本的にはRC 1次の系である。
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インダクタンス
自己インダクタンス
 N  N H  A
L 

I
I
I
N: 巻き線数
Φ:磁束
H:磁界強度
A:面積
相互インダクタンス
M 21 
インダクタンスはループ面積に比例する
A2(I1 )
B2(I1 )

 dA2
A
2
I1
I1
相互インダクタンスは磁束の結合度合いによる
V1  sL1I1  sMI2
V2  sMI1  sL2I 2
k
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M
1
L1L2
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インダクタンス
インダクタンスが入ると2次の系になる。
W
単位長さあたりのインダクタンス(かなりラフな表現)
L
H
0  8H W 
ln


2  W 4H 
H/W=0.1; L=0.23nH/mm
H/W= 1; L=0.4nH/mm
H/W=10; L=0.88nH/mm
導体
もしくは伝送路に関して以下の関係を用いる
L

C
配線のインダクタは凡そ0.2nH/mmから1nH/mm程度を取る
寸法依存は小さい
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インダクタンスの大きさ
P板上では 1nH/mm ~0.5nH/mm程度である
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二次の系:RLC
Lが加わると2次の系になり、振動成分が現れる。
n2
1/LC
H (s) 
 2
2
R
s 2  s  1/LC s  2 n s  n
L
n 
1
R C
,
2 L
LC
 1 
L 
2
p1,p2 
R  R 4 

2L 
C
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二次の系:RLCの応答
振動するか否かは、ダンピングファクターに依存する
ダンピングファクターが1以上では振動成分は発生しない。
R C
2 L
1
n 
LC

ダンピングファクター
C
 0.02   R  0.01
L
1
n 
 1010  f n  1.6GHz (0.6ns)
LC
抵抗が小さいほど、インダクタが大きいほど
ダンピングファクターは小さくなり振動する
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二次の系:RLCの応答の高周波成分
ダンピングファクターが小さいほど振動成分が大きくなる。
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ポールの位置と応答
ポールが複素共役根になると振動成分が発生するが
ダンピングファクタを1以上にすれば発生しない
R C

2 L
 1
複素共役根
(振動)
Im
 1
x
 1
実根(減衰)
x
x
二重根(減衰)
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p1,p2 
x
n 
 1 
L 
2
R

R

4
2L 
C 
1
LC
Re
x
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二次の系:RLCの周波数特性
2次の系であるので高域で-40dB/decの特性となり、減衰が早い
逆に高域特性を伸ばすことができる。
ダンピングファクタを1以上にすれば周波数のピークは抑えられる。
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LSIの信号伝送におけるインダクタの影響
伝送路にインダクターがあると負荷容量や寄生容量との間に二次系を作り
リンギングを発生させるが、ダンピング抵抗により低減可能である。
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LSIの信号伝送におけるインダクタの影響
出力トランジスタのドライブ能力変えることでもリンギングが低減可能である。
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集積回路のインターフェースと波形品質
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ICや電源を含めた電流パス
外部回路のドライブではICおよび電源系の電流パスを考える必要がある。
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ドライブ波形とグランドバウンス
出力波形はIC内部のGNDバウンスの影響が大きい
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電流のリターンパス
出力端を流れる電流は殆どICのGND端を経由して戻る
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電源系の電流パス
両エッジにおいて接地側の端子電流が多いが、電源側にもある程度の電流が流れる。
IC内部のパスコンには両エッジにおいてかなりの電流が流れ、
立ち上がりにおいても接地側からパスコンを通じてかなりの電流が流れる。
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GND系のインダクタと波形
IC周りの電源やグランドのインダクタが波形に影響する
GND系のインダクタを
0.1nH, 0.6nH, 1.1nH, 1.6nHと変化させた
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信号伝送におけるインダクタとリターンパス
信号は信号近傍を通るときに最もインダクタンスが
インダクタンスを減らすには
1)短い配線
L  長さ 小さくなる
→リタンパスは信号線近傍に集まる性質がある
2)幅広配線

→伝達経路の遮断やビアでリタンパスを長くしない
Lu 
Cu
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集積回路のノイズ
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IC内部動作における電源系インピーダンスの影響
IC内部のスイッチング動作によりノイズが発生する
外部に漏れる電流がEMIの主原因になる
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内部パスコンが小さいとき
内部パスコンが小さいと電源電圧が大きく揺らぎ、波形崩れを生じる
IC外部に流れる電流も大きい
チップ内パスコン= 1nF
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内部パスコンがある程度大きいとき
内部パスコンがある程度大きいと電源電圧が安定し波形崩れを生じない
IC外部に流れる電流も小さくなる
チップ内パスコン= 10nF
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内部パスコンが大きいとき
ある程度以上の大きさになると、それほどは変わらない
むしろ、等価抵抗が問題になる
チップ内パスコン= 100nF
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IC外部への電源ノイズ
内部パスコンにより外部へのノイズは減らすことができるが
容量をいくら大きくしても等価抵抗が効いてくるので限度がある。
IC外部への電源ノイズ
内部パスコン=1nH
内部パスコン=30nH
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EMIとデジタルノイズの低減
EMI対策とノイズ低減のためには内部でカップリング容量増大
と電源接続インダクタンスの低減が必要
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容量のインピーダンス特性
容量はある周波数以上ではもはや容量としては取り扱えなくなる。
また、最小の抵抗は1Ω程度と考えて良い
容量の等価回路
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内蔵パスコンの効果
ゲート容量により専用のオンチップパスコンを開発
設計検証段階で、電源波形をSimし、
FFTにより周波数特性を算出
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オンチップパスコン使用上の注意
オンチップパスコンにより低周波のノイズは 減るが、高周波ノイズはかえって増
加することがある。IC内部において共振回路ができるためと考えられる。
適切な抵抗挿入によるQの減少が必要である。
Advise and data from Dr. Sudoh from Toshiba.
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集積回路の配線問題
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スケーリング則:LSI技術の基本原理
スケーリングによりLSIの集積度と性能が向上し、コストが下がった。
寸法縮小率: 0.7
面積縮小率: 0.5
L
W
tox
Scaling
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Device/Circuit parameter
Scaling Factor
Device dimensions L, W, Tox
1/S
Doping concentration
S
Voltage
1/S
Field
1
Current
1/S
Gate Delay
1/S
Power dissipation/device
1/S2
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S 2
スケーリングにより殆ど
すべての性能を向上できる
35
テクノロジーノードと遅延時間
スケーリングによりゲートの遅延時間は下がった。しかしながら、
0.18um以降は飽和し、低リークトランジスタではむしろ増大している。
1V
1.2V
1.5V
2.5V
1.8V
5V
3V
100
Delay time (Arbitral)
Operating Voltage (V)
Low leak
(3pA/um)
50
Constant VT
10 Middle leak
(1nA/um)
Scaled VT
5
Constant
Vt/VDD
0.1
0.2
0.3
0.5
1.0
Technology node (um)
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プロセッサーの速度
スケーリングによりプロセッサの速度は向上した.
Operating frequency
21264
IBM
1GHz
Merced
High-end
700MHz
21264
21164
500MHz
400MHz
300MHz
US-3
PC
P7
R14000
P6MMX2
PPC604e
US-2
R12000
P6 P6
21164
PPC750
Embedded
R4400
Pentium MMX R10000
R10000 SA110
P6
V830R
R5000
SH4
US
SA110
V832
R4300
21164
NEC(研究)
200MHz 21064
R4400
Pentium
100MHz
V830 R4300
SH3
R4200
SH3
SuuperSparc
R3900
R3000 V810
SH2
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
(CY)
Year
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配線のスケーリング
配線のスケーリングは ローカル配線とグローバル配線に分けて考えるべき。
Scaling factor: Sc
Global Interconnection
Scaling factor: S
Block
Block
LSI chip
TR
TR
Block
Local Interconnection
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配線問題
配線は高速化・低消費電力化の大敵である。
また、微細デバイスを接続するには微細配線が必要である。
距離
配線
駆動デバイス
・配線によって生じること
・信号の遅延
・信号の減衰
・波形の変形
・電力の消費
・電磁波の輻射
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受信デバイス
高速化・低消費電力化
・配線抵抗を下げる
・誘電率を下げる
しかし、いずれも限界がある
短い配線で接続できるようにすることが重要
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配線遅延
配線遅延時間は配線のRC積に比例する
配線遅延時間は距離の2乗に比例して遅くなる
Length: X
Ro
Cin
Vs
Ru
Lu
Cu
Lu is negligible when L  R
Tpd  CuRuX 2  2.2roCin  RuXCin  roCuX 
Tpd  RC  2.2roCin
Wire delay
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Gate delay
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R  RuX
C  CuX
40
配線容量
容量は寸法比で与えられるため、微細化で縮小することは困難である。
低誘電率化が低容量化に最も効果がある。
Wire
d w
h
H
配線ピッチを縮めると線間容量が増加
配線ピッチを緩めると対地容量が増加
→最適なピッチがある
→単に横方向を微細化しても容量は減らない
Other Metal or bulk
0.22


h
h
 w  
0
.
83

0
.
07

0
.
03





  

0.22
H
H
 H  

h
 w  
Ctot  ox2.80   1.15  

1.34
H
 H 
d


 


H


容量値は寸法比で与えられ、絶対的な大きさに依存しない。
J. M. Rabaey, “Digital Integrated Circuits”, pp. 445
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配線抵抗
配線抵抗は寸法そのもので決まるので微細化により増大する
S=1.4 :1世代
L
A
R
L
配線長のスケーリングでS倍
A
同一配線長でのスケーリングでS2倍

Al : 2.7 108 (m)
Cu : 1.7 108 (m)
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配線のスケーリング
・ローカル配線:
RC遅延はスケーリングに対して一定
・グローバル配線: RC遅延はスケーリングに対してむしろ増加
更にチップサイズの増加がこれに拍車をかけている
Tdrc will increase at 2x or 3x for one generation
ローカル配線の容量は低下しているが、これは
配線長短縮の効果で、単位長さ当たりの容量は一定
Parameters
L
d
R
C
w
h
H
Local
Global
L
1/S
Sc
W, d
1/S
1/S
H, h
1/S
1/S
R
S
S2Sc
C
1/S
Sc
1
(SSc)2
Td (=RC)
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S: Device scaling factor
Sc: Chip size scaling factor
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分布RC線路
通常のLSIの配線においては分布RC回路で取り扱える。
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RC分布定数線路の応答
RC線路では、伝搬遅延時間だけでなく信号減衰が問題となる
0.13um グローバル配線のパラメータを使用
総配線長 5mm
負荷容量 1pF
負荷容量0.1pF
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ゲート遅延と配線遅延
ゲート遅延は減少しているが配線遅延は増加している。
500
Delay time (ps)
Interconnection delay
100
Gate delay
50
0.2
0.4
0.6
Design Rule (um)
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0.8
1
T. Mogami
“LP & HS LSI Circuit & Technology”
pp. 547-560, Realize Inc. 1998.
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リーピーターバッファーの挿入
配線長の2乗に比例して遅延時間が増大するので、バッファーを入れて
配線長を短くすると、ゲート遅延が増加しても全体の遅延時間を短縮できる
ro
RuX
Tpd1  RuCuX 2  2.2roCin
X2
Tpd2  RuCu
 2.2nroCin
n
Tpd1
CuX
ro
Cin
RuX/n
CuX/n
Tpd2
ro RuX/n
CuX/n
n min  x
Cin
RuCu
2.2roCin
Tpd2
2.2roCin
Gatedelay
2

2
Tpd1
RuCuX 2
Wiredely
最適数での遅延時間比
リピータバッファの挿入
n(バッファー数)
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配線遅延時間の今後の予測
グローバル配線遅延はたとえ、リピータバッファを入れても微細化とともに増大する。
Insertion of repeater
Tpdl  RuCuX2  RC
Repeater
buffer
Tpdr
RC
 Tgate 
2
Tpdr  Tpdl
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配線の課題
リピータバッファーが面積・消費電力の大きな問題になる
グローバル配線の高速化にはリピータバッファが欠かせないが
今後、それによる面積や消費電力が極端に大きくなり、非現実的になる
→このままでは高速化は困難
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配線長分布
短い配線は多く、長い配線は少ない。
階層的な多層配線技術の導入
Lower layer: high density (Hi RC)
Upper layer: low density (Lo RC)
L = (142,742)1/2 = 377 [gate pitch]
Davis, De, and Meindl, IEEE ED-45(3) 580 (1998)
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50
LSIのレイアウトと配線構造
LSIでは回路が階層化されており、これに伴って使用する配線も異なる。
ローカル配線: セル内のトランジスタノードの接続。 高密度、短い配線長
グローバル配線: マクロブロック間の接続。 低密度 低抵抗 長い配線長
LSI
Global
マクロブロック
Intermediate
ゲート
(スタセル)
ブロック
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Semi-global
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階層配線
現代のLSIの配線は階層構造になっており、下層は狭く薄く、上層は広く厚い
2x to 3x
松下 0.13umの例
Ratio: 2x
ITRS 2001 Edition, pp. 262.
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電源線のIRドロップ
電源線では電圧降下を考慮する必要がある
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53
配線の性質の比較
以下の配線パラメータで信号伝送の性質の比較をした。
注目: ピッチや厚さにより配線抵抗は数桁変化するが、容量は数倍しか変化しない。
Wire d
w
h
H
Other Metal or bulk
(from 0.13um parameters)
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54
最大動作周波数の推定
信号の減衰により、グローバル配線でも1GHzで1mmしか伝送できない
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55
最大動作周波数の推定 (バッファ挿入)
リピータを入れることで1GHzで数mmは伝送できるが、、、
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56
配線の性質の比較
• 1umm以下の配線幅、厚さの配線では遅延時間の増大よりも抵抗によ
る信号振幅減少が問題である。
• プリント板やパッケージの配線では信号振幅減少はほとんど見られず、
信号遅延が問題となる。
• 2GHzの信号を伝送できる距離はリピータ無しで
– ローカル配線: 0.1mm
– グローバル配線: 0.4mm
– 1umの幅と厚さの配線:2mm
• 2GHzの信号を伝送できる距離はリピータ挿入により
– ローカル配線: 0.3mm
– グローバル配線: 1mm
– 1umの幅と厚さの配線:10mm
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LCR分布定数線路
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58
周波数による配線の考え方
配線は周波数(電気長)により適切な取り扱いが必要である
0.35
周波数=
立ち上がり時間
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配線の取り扱い
配線長
が重要なパラメータである。 この値により取り扱い方法を変える必要がある。
Wire length (mm)
信号波長
EM irradiation
→EM analysis
Wire length > λ/4 ~λ/10 → EM irradiation
Wire length > λ/40~λ/100 →Distributed
Wire length < λ/40~λ/100 →Ramped
vc

f r  ur
3
Distributed
→Wave analysis (Reflection)
0.3
周波数が高くなるとチップ内でも
分布定数解析や輻射解析が必
要となる。
Ramped
→RC delay analysis
1
10
Frequency (GHz)
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60
インダクタを考慮した分布定数回路の影響
立ち上がり時間やクロック周期が短くなるとインダクタンスを
考慮した分布定数の取り扱いが必要となる。
L, C, R分布定数回路
配線長 l
・配線長と受端のインピーダンスによる複雑な駆動点インピーダンス
->リンギングや遅延時間の増大
・反射によるリンギングや遅延時間の増大
・クロストークの増大
・インピーダンス整合の必要性
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インダクタンス
単位長さあたりのインダクタンス(かなりラフな表現)
W
L
0  8H W 
ln


2  W 4H 
H
H/W=0.1; L=0.23nH/mm
H/W= 1; L=0.4nH/mm
H/W=10; L=0.88nH/mm
導体
もしくは伝送路に関して以下の関係を用いる
L

C
配線のインダクタは凡そ0.2nH/mmから1nH/mm程度を取る
寸法依存は小さい
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62
分布定数回路
分布定数では信号が位置(距離)の関数になる
分布定数回路
Lu
Ru
Cu
Ru
Gu
Lu
Cu
Ru
Gu
Lu
Cu
Gu
距離の効果
I0
I(x)
順方向へ進行する波
V0
V(x)
逆方向へ進行する波
0
2006.11.06
1
V 0  Z 0I 0e x  1 V 0  Z 0I 0e x
2
2
1
V 0  Z 0I 0e x  1 V 0  Z 0I 0e x
I (x ) 
2Z 0
2Z 0
V (x ) 
x
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63
分布定数回路の定数

伝播定数
Ru  jLu Gu  jCu 
   j
減衰
減衰定数
1

2
R
位相定数
1

2
R
2006.11.06
Ru  jLu, Gu  jCu
α: 減衰定数
β:位相定数
の場合
v(x,t )  e x sint  x  
信号の伝播
減衰定数
  j LuCu
2
2
振動


1/2




1

 2LC  RG 
2

 2L2 G 2  2C 2
 2L2 G 2  2C 2

1/2
1

 2LC  RG 
2


Ru Cu RuCu
R



2Zo
2 Lu 2 

vp 

位相速度
単位容量の大きな線路は減衰が大きい
RC時定数が大きいと信号は減衰する
A. Matsuzawa Tokyo Tech
64
無損失線路
無損失の場合 (R=G=0)
0
   LuCu
LC  
1
vp 
LC
1
vp 


Lu
Z
Ru  jLu
Zo 



Y
Gu  jCu
Cu
Cu
信号は減衰せずに一定の速度で伝播する
このような波動としての性質が現れるか否かは
Ru  Lu, Gu  Cu
が満たされるかどうか。
および信号波長が線路長の2.5%以上の場合である
周波数を5GHz, インダクタンスを0.5nH/mmとすると抵抗は15Ω/mmが境界である。
凡そ1um2以上の断面積の配線ではインダクタンス成分を考慮する必要がある。
2006.11.06
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65
電圧反射係数
特性インピーダンスと負荷インピーダンスに差があれば信号が反射する
2006.11.06
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66
伝送線路のインピーダンス
伝送線路のインピーダンスは負荷インピーダンスと電気長により変化する
2006.11.06
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67
終端ショートの場合
電気長によりインピーダンスが容量性にも誘導性にもなる。
また周波数により繰り返す。
2006.11.06
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68
終端オープンの場合
2006.11.06
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69
¼波長トランス
¼波長の線路を用いることでインピーダンス整合を取ることができる
2006.11.06
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70
スタブ効果
スタブにより整合を取ることもできるが、ビアなどによりスタブ
が形成されることで高周波の特性が劣化する
2006.11.06
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71
分布定数の伝送波形と取扱い条件
立ち上がり時間が遅いと反射の影響は目立たない
分布定数的取り扱いの条件: 立ち上がり時間<信号が線路を往復する時間
最初に負荷に届く波
2番目に負荷に届く波
3番目に負荷に届く波
4番目に負荷に届く波
負荷に現れる波形
2006.11.06
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72
集中定数回路と分布定数回路
分布定数回路のリンギングの大きさはインピーダンス整合により決まるため
集中定数のように高駆動が高速とは限らない。
碓井有三「分布定数回路の全て」
集中定数回路
駆動能力が大きいほど速い。
分布定数回路
駆動能力が大きいと反射パルス
の影響を受けセットリングが遅い。
最適な駆動力が存在する。
→信号の反射は駆動力ではなく
インピーダンスの整合により決まるため
リンギングの周期は線路長で決まる
2006.11.06
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73
集積回路配線でのインダクタンスの影響
グローバル配線においてはインダクタンスや基板の効果を考慮する必要がある
2006.11.06
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74
集積回路配線の分布定数扱いの境界条件
配線長が数mm以上で、立ち上がり時間が100psを切ると分布定数的扱いが必要
1) LCRのリンギング条件から
 Lu 
tr  6.7 
 Ru 
の立ち上がり時間のパルスは振動する
2)配線長と信号周波数から
l

Co

40 40 f r
Co:光の速度
f:クロック周波数
εr: 比誘電率
ただし、立ち上がり時間を周期の5%と仮定
1GHzクロックの場合は数mmの配線も
分布定数として扱わなければならない。
数100umではRCモデルで十分。
2006.11.06
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75
集積回路からのノイズ輻射
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
76
ノイズの輻射
ノイズの輻射には3つの要素がある
近傍界
高周波
ノイズ源
(LSI)
2006.11.06
遠方界
伝送路
A. Matsuzawa Tokyo Tech
アンテナ
77
コイルによる電力の伝送
近傍界では磁気結合がメインになる
数100MHz以下の周波数ではλ/2のアンテナ
を用いることは困難である。
このような場合、コイルの電磁誘導を用いる。
起電力vは信号源の電流Iと相互インダクタンスM
を用いて、
v 
d
 jM 12I
dt
結合係数kを用いると
M 12  k L1L 2
半径aの断面を持つ、巻き数n, 平均半径R
の環状線の自己インダクタンスLは、
 
8R
 
L  n R 0 log
 2  
a
 4
 
2
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
78
コイルアンテナの結合係数
コイルの結合係数は距離を離すと急激に劣化する
円形コイル1:半径: a, 巻き数:n1
円形コイル2:半径: b, 巻き数:n2
距離: d
 2

2

M 12  0n1n 2 ab   k K   E 
k

 k

4ab
2 
a  b 2  d 2
/2
d
K   
0
1  2 sin2 
E   
/2
0
1  2 sin2 d
結合係数k(上の式のkと異なることに注意)を用いると
R/Wコイル:4ターン
アンテナコイル:4ターン
カードサイズ: 85.6mm x 54 mm
M 12  k L1L 2
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
79
コイルの磁界強度
na2 I
H
2(a2  x2 )3/ 2
受信アンテナ
H:磁界強度
n:巻き数
a:半径
x:中心からの距離
送信アンテナ
磁界強度(H)は距離の3乗
(x>>a)に比例して減少
a=0.5cm x=10cmで1/10000に
横方向の磁界強度特性
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
80
近傍電磁界と遠方電磁界
ノイズ原からの距離により電磁界の性質が異なる。
近傍電磁界は波長で規格化した距離が短い場合、電界と磁界が交互結合により電
波となることができない。このため減衰が速い。
v
1
 c : 近傍電磁界
2 
v
1
距離 
 c : 遠方電磁界
2 
距離 
2006.11.06
近傍電磁界では通常は磁界が支配的となる
高い周波数=短い波長ではすぐに遠方電磁界になるので
減衰しにくい
A. Matsuzawa Tokyo Tech
81
コイルを用いた電力と情報伝送
コイルの結合により電力を伝送できるが、伝送量は結合係数kの2乗に比例する。
→距離が遠くなると急激に減少する。
負荷側からの起電力を用いて、カード側の負荷を変えることによりカード側の情報を
R/W側に伝えることができる。
R/W
Rs
(Q調整用)
I2
R1 I1
ICcard
2
k
C2
C3
C1
Vin
L1
整合回路
L2
RL
Rm
Vcard
L1
M 
Pcard    I 12 RL  k 2 I 12 RL
L2
 L2 
例えばM=0.1uH, L2=3uH, RL=1kΩ、I1=0.2Aとすると
カードが受信できる電力は44mW
2
VA  B  sMI1  jMI1
M 
Rm    RL
 L2 
(I2により発生した等価抵抗)
L2
C3
VA-B
2006.11.06
RL
カード側の負荷を変えることでR/W側の電流に影響を及ぼす。
→カード側の情報をR/W側に伝えることができる。
A. Matsuzawa Tokyo Tech
82
IDTAGのアンテナ間距離と受信電力
近傍電磁界を用いた通信では
アンテナ間距離がある程度以上になると、急激に受信電圧が低下する。
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
83
アンテナ
アンテナの基本は伝送線路である
先端開放の伝送線を広げたもの
近傍界は電界が支配的
先端短絡の伝送線を広げたもの
近傍界は磁界が支配的
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
84
アンテナのインピーダンス
放射抵抗が高いほど効率よく電波を輻射する
P I R
2
1波長程度まではダイポールでは電気長(長さを波長で規格化したもの)の2乗
ループアンテナではループ面積に依存し、周辺長が電気長の4乗に比例する
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
85
LSIからのノイズ輻射
筐体の小型化、高周波化:
セット機器の小型化、高周波化:
→筐体内アンテナへの近傍電磁界ノイズ →筐体での共振問題
→筐体外への遠方電磁界ノイズ
(-120dBm以下に抑える必要あり)
電源
LSI
LSI
LSI
LSIの大電流化(di/dtの増加):
→LSIがシステムの最大のノイズ源に!
LSIの低電圧化:
→電源ノイズ干渉による誤動作
2006.11.06
対策
これらが勘と経験により、
対策されているのが現状!
電界シールド
電磁シールド
筐体寸法設計
各部品の配置
電源/信号の配線パターン
パスコン配置位置/種類選択
A. Matsuzawa Tokyo Tech
86
基板からのノイズ輻射
基板がLSIの電源ノイズにより励振されノイズ輻射が起こる
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
和田修己氏(京都大)の資料より
87
多層PCBの電源-GND面共振によるEMI
たとえベタアース基板を用いても基板自体が高周波で共振特性を有し、
高インピーダンスになる周波数で電磁輻射をおこす。
Resonance
(Impedance)
Far-field
Emissions
和田修己氏(京都大)の資料より
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
88
電源線のインピーダンスマッチング
電源線もインピーダンスマッチングが必要になってきた。
JEITA, Japan Jisso Technology Roadmap 2003, pp. 516
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
89
超高速インターフェース
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
90
高速チップ間インターフェース
はじめは低振幅化とインピーダンス整合(終端)技術がポイント
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
91
パラレルからシリアルへ
各チャネル間のタイミングがばらつき伝送速度が伸びにくくなったことや、実装面積、
ケーブル品質などの問題によりパラレル伝送から超高速シリアル伝送へ技術が転換。
超高速SerDesやCDRが基本技術になった。
中村和之
2001.
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
第5回システムLSI WS,
92
クロストーク
容量結合:相互容量を減らすのはもちろんだが抵抗を下げるのが効果的
磁界結合:抵抗値には無関係。配線を直交させる。
距離を離しても効果が無くなる
「デジタル回路のEMC」
山崎他 オーム社
容量結合
C12 

cosh1D /d 
Vn  jRC12V1
磁気結合
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
Vn  jMI1  M
dI1
dt
93
クロストーク
電界・磁界の結合によりクロストークが発生する
From K. Young, UCLA
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
94
クロストークの測定例
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
95
シングル伝送、差動伝送
差動伝送は信号線がリターンパスとなり、同相信号しかシールド線やグランド
プレーンを流れないため電磁輻射を起こしにくい。
From K. Young, UCLA
(アンバランスにより差動・同相変換が起こる)
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
96
差動伝送とノイズ
差動伝送においてもインピーダンスの不整合があると同相・差動変換によりノイズが
発生する。
コモンモードチョーク
差動モード Vd  I d r  jL1  L2  2M   Z L 
Vd  I d r  Z L  @ L1  L2  M
差動モード
チョークがないのと同じ伝送特性
同相モード
Vd  I1Z L 
r2
Vc
r2  jLr1
 jL
ZL
チョークにより減衰
同相モード
 1 1 

CMRR  20 logr


 Z 2 Z1 
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
97
超高速伝送による波形劣化
表皮効果・誘電損などによる高域信号減衰が避けられない。
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
98
表皮効果
高周波信号では表皮効果により導体内部を電流が流れず、抵抗が高くなる。
電磁波強度
z
z 
B(z )  B 0 exp




表皮効果:周波数が高いと電流は表面を流れる
20c 2
2




表皮の深さ (Skin depth)

:導電率
t: 導体の厚さ
t 
 
t


R()  RDC 
 RDC   RDC  t 

2
 t
1  exp  
 
高周波では導体の抵抗は周波数の平方根に比例する
0.028m2 sec1 2.1


(m / GHz ) Cuの場合

f
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
99
誘電損
数GHzでは誘電損も問題になる。
誘電体の誘電率は虚数を含むしたがって容量に漏れコンダクタンスが並列に接続される
tan 
G
C
G  tan  C
tan : 0.02  0.005
誘電損は周波数に比例する
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
100
スタブ効果
貫通ビア・接続ピンなどの開放端が接続されると特定周波数でインピーダン
スが変化し、波形劣化を起こす。
From K. Young, UCLA
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
101
基板上での信号減衰
ボード上では数GHzの信号は相当減衰する。
最上層配線がスタブ効果などにより減衰が大きい。
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
102
貫通ビアの問題
基板の貫通ビアがスタブとなって周波数特性を劣化させるほか、
アンテナとなって電磁波を放射する。
上田千寿
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
Design Wave Magazine, 2004, March
103
シンボル間干渉
高域減衰やスタブなどによる周波数特性の劣化などにより、パルス波形
の劣化によりシンボル間干渉 (ISI)が発生する。
From K. Young, UCLA
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
104
ISIの例
From K. Young, UCLA
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
105
プリエンファシス技術
減衰の激しい高域信号を送信側で強調してやることにより受信部での波形劣化を防ぐ。
中村和之
2001.
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
第5回システムLSI WS,
106
イコライズによるISIの改善例
From K. Young, UCLA
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
107
多値伝送
信号の転送周波数が下げられる多値伝送が有利であるが、、、、
しかし、つまりは転送周波数が限界に達したということ。
また、これ以上の多値化もマージンが取れなさそう、、、、
。
N. Naono, J. Zerbe, 日経エレクトロニクス
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
2003.8.4
108
高速伝送の課題のまとめ
N. Naono, J. Zerbe,
日経エレクトロニクス
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
2003.8.4
109
高速伝送の課題への対策のまとめ
N. Naono, J. Zerbe,
日経エレクトロニクス
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
2003.8.4
110
まとめ 1
• 集中定数
– 波形歪みやノイズの原因はインダクタ
– ダンピングファクタを1以下にする
– インダクタンスを減らす
• 短く太い配線
• リターンパスを短く、ループ面積を小さく
• リタンパスは信号線と併走させ、スリットを入れない
– 集積回路ノイズを減らすにはチップ内パスコンを増やす
– パスコンのインピーダンス特性に注意
– 配線や端子が短くないと必ずインダクタが増える
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
111
まとめ 2
• 分布定数回路
– 波長が線路長の1/40を超えると分布定数回路の扱いが不可欠
– 立ち上がり時間が信号の跳ね返り時間よりも長いと影響は弱い
– リンギングはインピーダンス整合により決まり、ドライブ能力とは直接関
係ない
– インピーダンス整合と線路長の短縮がポイント
– ビアによるスタブ形成や配線幅変化などにより特性インピーダンスが変
化し高周波特性を劣化
– スキンエフェクトや誘電損により高域減衰
– 高域減衰とスタブ形成、インピーダンスの不整合などによりISIが発生、
アイが開かなくなる
• プリエンファシスやイコライザーが有効
– コモンモードノイズを減らし、波形品質を上げるため差動伝送を用いる
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
112
まとめ 3
• ノイズの輻射
– 集積回路からのノイズ電流励振
• 内蔵パスコンを増やす
• 外部パスコンを増やし、インダクタと抵抗を下げる
– 基板からの輻射
• プリント板の共振
• 配線長を短くする
• 差動伝送を用いてコモンモード輻射を抑制
• クロストーク
– 容量性結合の場合はインピーダンスを下げるのが効果的
– 誘導性結合ではインピーダンスに無関係
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
113
まとめ 4
• 集積回路の配線問題
–
–
–
–
–
2006.11.06
理論上も微細化とともに配線遅延が増大
RC分布定数回路による遅延が支配的
通常配線では遅延時間とともに信号減衰が問題
リピータにより改善可能だが限界に達している
配線抵抗が減少し、パルスが高速になるとイン
ダクタの考慮が必要
A. Matsuzawa Tokyo Tech
114
補足資料
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
115
S parameter
電力と整合を取り扱うにはSパラメータを用いる
ポート1: Z0
入力波
反射波
a1
b1
Vn
入力波: an 
 in Z0
Z0
出力波: bn 
2006.11.06
Vn
 in Z0
Z0
S21
S12
S11
S22
ポート2:
Z0
a2
入力波
b2
b1  S11 S12  a1 
b   S



 2   21 S22  a2 
A. Matsuzawa Tokyo Tech
116
S parameterの意味
S11 
S22 
b1
a1 a
b2
a2
b2
S21 
a1
S12
2006.11.06
b2

a2
2 0
ポート2をZ0で終端し、ポート1に波を入力したときに反射して戻ってくる割合
反射係数:小さいほど良い
ポート1をZ0で終端し、ポート2に波を入力したときに反射して戻ってくる割合
反射係数:小さいほど良い
a1 0
ポート2をZ0で終端し、ポート1に波を入力したときにポート2に伝達される割合
順方向の伝達係数:通常大きいほど良い
a2 0
ポート1をZ0で終端し、ポート2に波を入力したときにポート1に伝達される割合
逆方向の伝達係数:通常小さいほど良い
a1 0
A. Matsuzawa Tokyo Tech
117
スミスチャートとアドミッタンスチャート
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech 広畑敦「高周波技術センスアップ101」 CQ出版 118
インピーダンスからアドミッタンスへの変換
中心に対して等距離対称点を取る
広畑敦「高周波技術センスアップ101」 CQ出版
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
119
反射係数と定在波比
反射係数:
 
VR Zload  Z0

VF Zload  Z0
定在波比:
S
1 
Z
Z
 0 or load  1
1 
Zload
Z0
広畑敦「高周波技術センスアップ101」 CQ出版
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
120
部品追加の場合のインピーダンス変化
R直列:リアクタンスが一定で、抵抗が変化
C直列:抵抗が一定で容量性方向(半時計周り)
にリアクタンスが変化
L直列:抵抗が一定で誘導性方向(時計周り)
にリアクタンスが変化
R並列:サセプタンスが一定で、コンダクタンスが変化
C並列:コンダクタンスが一定で
容量性方向(時計回り)にサセプタンスが変化
L並列:コンダクタンスが一定で
誘導性方向(反時計回り)にサセプタンスが変化
広畑敦「高周波技術センスアップ101」 CQ出版
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
121
インピーダンス整合
広畑敦「高周波技術センスアップ101」 CQ出版
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
122
インピーダンス整合
広畑敦「高周波技術センスアップ101」 CQ出版
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
123
インピーダンス整合
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
124
インピーダンス整合
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
125
容量の電力ロス
容量は電力を消費しないが、寄生の抵抗成分が電力を消費する
最大の電力ロスは容量のインピーダンスが寄生抵抗と等しくなった周波数において生じ
RF-CMOSにおいては寄生容量から基板に抜ける高周波電力が電力ロスを生じさせる。
V2
Pd 
4R p
1
p 
R pC p
C
Gp
Rp
Cp
電力ロスのピーク
金属
Equivalent


減少
減少
高比抵抗基板
2
1 R pC p
G p ( ) 
R p 1  R pC p 2
C'p (  )  C p
p 
2006.11.06
1
R pC p

1
1  R pC p



Gp(mS)
1
2
MOS: 10Ωcm
GaAs: 1GΩcm
Cp(pF)
1
10
100
Rp(Ω)
A. Matsuzawa Tokyo Tech
0.1
1K
10K
126
インダクタの形状とインダクタンス
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
127
インダクタのQ
低い周波数では配線抵抗が支配的
高い周波数では寄生容量を通じて発生するロスが支配的
2006.11.06
A. Matsuzawa Tokyo Tech
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