Transcript 国内政治サブセクション
国内政治サブセクション
表層のアメリカ
阿比留 顕徳・小竹 梨瑛
深層のアメリカ
小林 敦・枇杷田 理恵
国内政治サブセクションとは
戦後復興がままならないのならば、
イラク戦争自体を問うべき
→アメリカを建て直す必要
他のサブセクとの互換性
-内(政)面を補完
サブセク構成
1.表層のアメリカ
a)政治思想とその派閥ブッシュ政権
b)国民の政治参加としての
「インナー・サークル」
2.深層のアメリカ
c)宗教
d)多文化主義
政治思想の潮流図
①伝統保守派(保守本流)「自然法」派
②現実保守派 「自然権」派(J.ロック主義)
③現代リベラル派 「人権」派(福祉推進)
④急進リベラル派 (環境保護派など)
⑤「人定法」派(J.ベンサム主義)
⑥ネオコン<派>(新保守主義)
共和党内部の派閥図
①共和党エスタブリッシュメント
(エリート層中心のビジネス・リアリスト)
②伝統主義者
(敬虔、社会秩序重視、外交は孤立主義的
←911以前のブッシュ政権)
③リバータリアン(内政は「小さな政府」
④ネオコン (ユダヤ系知識人中心)
⑤キリスト教右派 (イスラエル右派と連携)
ブッシュ政権の構造
政権内分裂の推移
インナー・サークル
役員兼任制度がシンクタンクや評議委に
まで及び、一握りの選ばれたエリートが政
府と民間企業を頻繁に出入り(回転ドア)
大企業による産業集中+役員兼任制度を
基盤とする階級原理→全体の利益を代弁
し政治的リーダーシップを発揮
インナーサークルの例
ブッシュ政権の中心人物
国防系企業
シンクタンク
(政策研究所)
チェイニー副大統領
ハリバートンCEO
AEI、PNACなど
ラムズフェルド国防長官
ABB取締役
PNAC、CSP、
ランド研究所
ウォルフォウィッツ
副国防長官
ノースロップ・
グラマン
PNAC、CSP
ライス補佐官
シェブロン取締役
ランド研究所
インナー・サークルの問題点
取締役会の多国籍化が欧米に比べ
大幅に遅れる
「仲間内資本主義」
(CEOが友人、知人で構成)
がアメリカの方向性を見失わせている
今後の研究
グローバル・ビジネス・リアリスト達は
経営的側面から世界秩序を安定させなけ
ればならない
→国際経済組織(TLCなど)やビルダーバー
グ会議の働きかけが2期目のブッシュ政権
を変えるのでは?
深層のアメリカにおける
問題設定
アメリカという国家の根底に流れるもの、人々が
自らをアメリカ国民として帰属させるアイデンティ
ティは一体何なのか
異質な他者である移民を受け入れていくことで成
長していかざるを得なかった新生国家アメリカ
だったからこそ、その人々を統合し、教化していく
ためのアイデンティティの創造は、より切実な問
題だったのではないだろうか
深層のアメリカにおける目的
アメリカにおけるそのアイデンティティの内
実とはいかなるものなのかについて、分析、
考察を加えていくことで、現在アメリカで起
きている現象を読み解き、また今後起きる
であろう事態を推察するための、ひとつの
視点を獲得していこうというのが本章の目
的である
アメリカにおけるナショナルなアイデンティティの
中で重要な位置を占めている宗教
96年度教派別成人人口比率(%)
キリスト教総計
1965年
1996年
87.6
80.4
60.7
55.1
主流派
27.2
22.1
福音派
23.9
25.4
9.6
7.6
23.9
21.8
・東方教会
0.4
0.4
・その他キリスト教徒
2.6
3.1
2.4
2
・プロテスタント
黒人各派
・ローマンカトリック
ユダヤ教
イスラム教
無選択
-
0.5
9.6
15.3
歴史からみる
ナショナル・アイデンティティとしての
宗教の変容
ピューリタニズムを中心とした宗教も、アメリ
カにおけるナショナルなアイデンティティの一
翼を担ってきたとするならば、それは歴史上
において、どのような形で立ち現れてきたの
であろうか。このような観点からアメリカ史の
部分部分を紐解いていきたい
1、独立以前
→各地域の政教致体制
2、独立と合衆国憲法
→政教分離への歩み
3、WASP支配体制の成立
→教派を超えた統合形態の模索
4、WASP支配体制の解体と
市民宗教の台頭
→産業社会とカトリック移民の流入
5、リベラル台頭と市民宗教の衰退
→ポスト工業化社会における
多様化の加速
6、福音派の勢力拡大
→認識された道徳の危機
7、宗教と道徳の復権
→国民規模での支持獲得の困難さ
アメリカにおける多文化主義
歴史的にみた
アメリカの多文化による変化
→公民権運動
多文化主義の理想、分断の危機
アメリカにおける
ナショナルなアイデンティティとは
建国の精神に由来する「自由・平等・幸福」
という普遍的価値
プロテスタンティズムに代表される宗教や
伝統を中心としたアイデンティティ
この二本柱が、アメリカという国家の屋台
骨だったように思われる
移民の流入による多民族、
多文化国家への道程と危機
移民の流入による多民族、多文化国家へのアメ
リカの歴史の歩みは、二本柱の片方である宗教
や伝統を中心としたアイデンティティを次第に歪
ませた
その結果、普遍的価値というアメリカ統合の理念
は、アメリカ国民のアイデンティティに占める比重
を、宗教に反比例して増大させていく。しかし冷
戦崩壊後、近代的理念は国内においては分裂
の危機、国外で反米テロリズムの惹起という、根
深い問題に直面することになってしまった
アメリカの険しい道
アメリカ国家は、近代的理念がつくりだす
外部の敵対者や分裂を抑制し、もはや強
力な統合を発揮しないにしても、多くの
人々が支持し、志向する伝統や宗教を中
心としたアイデンティティを、そのためにい
かに運用し、相互の均衡を図っていくかと
いう、困難な舵取りを要求されている
今後の方向性
本章
伝統や理念がアメリカ国民のアイデンティティや
国家の統合に、いかなる作用を及ぼしてきたか
今後
もうひとつ重要な側面である、階級文化や貧困、
大衆消費社会が及ぼしてきた影響への分析
→経済構造がいかにアメリカ人のアイデンティ
ティに影響を及ぼしたか
総括
同時多発テロ以降も
横たわったままの問題
同時多発テロ以来のアメリカ
国内においての人々の恐怖を利用した管理
国外での「野蛮との戦い」という形で正統化され
た世界のアメリカ化のさらなる進行
→限界を露呈
■表層のアメリカでも述べられているように、政府
内も対策を講じようともしているが、打開策はい
まだ見つからないようだ
■深層のアメリカ、章のまとめで指摘したような問
題は、いまだ大きく横たわったまま
隠蔽された構造の噴出
2004年アメリカ大統領選挙
大統領選における、世論を完全に二分した支持
率の推移→アメリカ国民、そして指導者層の苦
悩と迷いの表出では?
揺らぎが続く時代
■あらゆる政策や理念を押しのけた、大衆の無
意識の願望が露骨化
■いかに自分の誇りへと還元できる、強く尊厳に
満ちたアメリカを演出してくれる人物であるか
自らの願望の純粋な鏡たりうるか
→大統領候補の選定基準へ
今後の展望
このように考えていくと、イラク戦争に見ら
れるような強いアメリカの演出は、形を変
えつつも続いていきそうだ。アメリカ単独主
義の行く手が、暗澹としている今現在にお
いては、国連への接近を中心とした国際協
調路線への転換は、もっともリアリティのあ
る方向かもしれない。しかし、アメリカに
とって、それはあくまでも国連尊重ではなく、
国連利用でなければならないように思われ
るのである