Transcript PHITS
PHITS
Multi-Purpose Particle and Heavy Ion Transport code System
PHITS 応用実習4:
多種多様な線源の設定方法2
2015年2月改訂
Title
1
本実習の目標
Dump dataを線源とした粒子輸送シミュ
レーションを実行できるようになる。
60Co線源より放出された光子をz=20cmの位置でdump
dataとして蓄積し、
それらを線源として鉛の遮へい体に照射したシミュレーション
Purpose
2
Source-5.inpの確認
基本計算条件
入射粒子: 60Co線源を模した1.173と1.333MeVの光子
体系: 円柱状の水(半径10cm, 厚さ20cm)と真空のみ
タリー: [t-track]によるフルエンス空間分布
[t-cross]による水領域へ入射する光子のエネル
ギー分布
60Co線源
Water
計算体系
track_xz.eps
Check Input File
cross_eng.eps
3
実習内容
1. Dump dataを用いた線源
2. まとめと宿題
Table of Contents
4
Dump dataを用いた線源
指定した領域に入射した放射線の情報を蓄え、
それを線源とした2段階計算をすることができる
水の部分を通過した位置に遮へい体を置き、
その厚さを変えながら遮へい効果を調べたい
60Co線源
水
鉛
2段階目の計算の線源
鉛の厚さを変えて、
2段階目の計算を何度
も行うことが可能
1段階目の計算で、
鉛に入射する光子の情報を記録する
Dump data
5
使用方法
1.
2.
3.
4.
5.
[t-cross], [t-product], [t-time]タリーにおいて、dumpパラメー
ターを加える
PHITSを実行し、1段階目の計算を行う
タリーで指定したファイル名に_dmpが付いたファイルが作成さ
れます。これに線源データが書き出されるので、 そのデータを
線源とする[source]セクションを作成する(s-type=17を使う)
古い[source]セクションとdumpパラメーターを加えたタリーのセ
クションはoffで無効にする
PHITSを実行し、2段階目の計算を行う
タリー中のdumpパラ
メーターの入力形式
dumpデータを用いた[source]
セクションの入力形式
[T-Cross]
・・・・・・
file = ******.out
dump = -9
1 2 3 4 5 6 7 8 9
同
じ
[Source]
totfact = ***
s-type = 17
file = ******_dmp.out
dump = -9
1 2 3 4 5 6 7 8 9
規格化定数:
dumpした粒子数
/sourceの値を入
れる
データの個数を指定
(正ならバイナリで、負ならアスキー形式で出力)
Dump data
6
Dump定義文
Dump定義文によって、dump dataとして出力するデータの種類
と並びを指定できます
dump = -9
1 2 3 4 5 6 7 8 9
番号
10
順番を変えることもできる
1
2
3
4
5
6
7
8
9
物理量 kf
粒
子
の
種
類
x
空
間
座
標
の
x
成
分
y
空
間
座
標
の
y
成
分
z
空
間
座
標
の
z
成
分
u
速
度
の
x
成
分
v
速
度
の
y
成
分
w
速
度
の
z
成
分
e
エ
ネ
ル
ギ
wt time c1 c2
ウ 時 カ カ
エ 間 ウ ウ
イ
ン ン
ト
タ タ
1 2
の の
値 値
Dump data
11 12 13 14 15 16
c3
カ
ウ
ン
タ
3
の
値
sx
ス
ピ
ン
の
x
成
分
sy
ス
ピ
ン
の
y
成
分
sz
ス
ピ
ン
の
z
成
分
17
name
粒
子
の
衝
突
回
数
7
使用する際の注意
(1段階目)エネルギー分布等を同時にタリーし、dump dataと
して蓄えた結果が線源として十分な量であるかどうかを確認
する
(1段階目)指定した領域を粒子が複数回通過することによる
ダブルカウントを避けるために、dumpする領域はouter region
とする
(2段階目)Dump dataの粒子数を考慮し、規格化を適切に行
う(file=で指定したファイルから規格化定数を求める)
(2段階目)Dump dataを線源とする計算は局所的な結果しか
与えないことに気をつける
(2段階目)Dump dataに蓄えた粒子数以上のヒストリー数
(maxcas*maxbch)を設定しない
Dump data
8
課題5
60Coを起源とするガンマ線が水の部分を通過した
場合の状態を、dump dataとして蓄えてみましょう
水の後ろ側(z軸の正の側)に半径10cm, 厚さ5cmの円柱状の領域を
outer regionとして定義する(セル番号は102とする)
[t-cross]セクションをコピー&ペーストし、dumpパラメーターを加えた
セクションを作成する(蓄積するデータは番号1から9までの9種類)
Dumpパラメーターを加えた[t-cross]において、neを1にし、出力ファ
イル名をcross_photon.outなどに変更する
コピー元の[t-cross]において、セル番号101から102に移動する粒子
をタリーできるよう条件を加える(areaは1.0とする)
Dump領域
(outer regionとして定義)
Dump data
9
課題5の答え合わせ1
60Coを起源とするガンマ線が水の部分を通過した
場合の状態を、dump dataとして蓄えてみましょう
source.inp
track_xz.eps
[Surface]
10 so
500.
11 cz
10.
12 pz
0.
13 pz
20.
14 pz
25.
[Cell]
100 -1
10
101
1 -1. -11 12 -13
102 -1
-11 13 -14
110
0
-10 #101 #102
Dump data
outer regionでは粒子の
輸送が行われない
10
課題5の答え合わせ2
60Coを起源とするガンマ線が水の部分を通過した
場合の状態を、dump dataとして蓄えてみましょう
source.inp
[T-Cross]
・・・・・・
reg = 2
non
r-in r-out
1
110
101
2
101
102
e-type = 2
・・・・・・
cross_eng.eps(2ページ目)
area
1.000000
1.000000
[T-Cross]
・・・・・・
ne = 1
unit = 1
axis = eng
file = cross_photon.out
output = flux
part = photon
epsout = 1
dump = -9
1 2 3 4 5 6 7 8 9
Dump data
連続スペクトルとなるべき
部分がまばらで、線源と
して十分ではない
11
課題6
線源として十分な量のdump dataを求めましょう
maxcasを増やしてdump data量を大きくする
cross_eng.eps(2ページ目)
maxcas=1000の結果
maxcas=10000の結果
まだ隙間がある
Dump data
12
課題6の答え合わせ
線源として十分な量のdump dataを求めましょう
cross_eng.eps(2ページ目)
maxcas=100000の結果
隙間もなくなっており、線源として使用可能
(ただし、相対誤差は10~20%)
Dump data
13
課題7
Dump dataを線源とした輸送計算を実行させましょう
s-type=17を用いる新しい[source]セクションを作成する(60Coを線源とする
方はoffにする)
Dump dataによる[source]の規格化を適切に行う(totfactを調整する。
cross_photon.outファイルの40行目のcurrentの値を使う)
セル番号102の領域をvoidにする
Dumpパラメーターを含んだ[t-cross]はoffにする
maxcasは1000に戻す(なお、dumpした粒子数=(currentの値)*(1段階目の計算
のmaxcas*maxbch/totfact)=29442が2段階目で設定できるヒストリー数の上限)
dumpデータを用いた[source]
セクションの入力形式
cross_photon.out
・・・・・・
・・・・・・
h: x
n
y(photon ),l3 n
# num
area
current r.err
1
1.0000E+00 2.9442E-02 0.0082
[Source]
totfact = ***
規格化定数
s-type = 17
file = ******_dmp.out
dump = -9
1 2 3 4 5 6 7 8 9
# sum
Dump data
1.0000E+00 2.9442E-02
14
課題7の答え合わせ
Dump dataを線源とした輸送計算を実行させましょう
source.inp
[ S o u r c e ] off
totfact = 2.0
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
[Source]
totfact = 2.9442E-02
s-type = 17
file = cross_photon_dmp.out
dump = -9
1 2 3 4 5 6 7 8 9
[Cell]
100 -1
10
101
1 -1. -11 12 -13
102
0
-11 13 -14
110
0
-10 #101 #102
[ T - C r o s s ] off
・・・・・・
dump = -9
1 2 3 4 5 6 7 8 9
track_xz.eps
水の後ろ側からdump dataにある
粒子が放出されている
Dump data
15
課題8
水の後ろ側に鉛の遮へい体を置きましょう
セル番号102の領域中の物質を鉛(密度11.34g/cm3,
同位体比は右表を参照)に変える([material]と[cell]
セクションを書き換える)
遮へい効果を調べるために、セル番号102の後ろ側
(z軸の正の側)にセル番号103の領域(円柱状で半
径は10cm, 厚さは1cmとする)を定義する
セル番号102と103の境界を簡単に変更できるよう鉛
部分の厚さを変数c1を使って表現する([surface]セ
クションを書き換える)
セル番号102から103に移動する粒子をタリーできる
ように[t-cross]に条件を加える(areaは1.0とする)
1cm
水
Dump data
鉛の同位体比
204Pb 0.014
206Pb 0.241
207Pb 0.221
208Pb 0.524
領域103
(真空)
鉛
16
課題8の答え合わせ
水の後ろ側に鉛の遮へい体を置きましょう
source.inp
[Material]
mat[1] 1H 2 16O 1
mat[2] 204Pb 0.014
206Pb 0.241
207Pb 0.221
208Pb 0.524
[Surface]
・・・・・・
13 pz
20.
set:c1[5.0]
14 pz
20.+c1
15 pz
20.+c1+1.0
[T-Cross]
・・・・・・
reg = 3
non
r-in r-out
1
110
101
2
101
102
3
102
103
・・・・・・
area
1.000000
1.000000
1.000000
track_xz.eps
[Cell]
100 -1
10
101
1 -1. -11 12 -13
102
2 -11.34 -11 13 -14
103
0
-11 14 -15
110
0
-10 #101 #102 #103
鉛の領域で粒子フルエンスが減少
Dump data
17
課題9
鉛の部分の厚さを変えて遮へい効果を調べましょう
鉛の厚さに対応する変数c1の値を変えて、セル番号103
の領域に入る粒子フルエンスの強度の変化を調べる
Dump dataでは1.173MeVと1.333MeVのスペクトルの強度
は10-2[1/cm2/source]程度であった(課題6の結果参照)
ので、領域103においてこれの1/1000程度になるような
鉛の厚さを求める
水
鉛
鉛の厚さを変えて、
PHITSを実行
Dump data
18
課題9の答え合わせ
鉛の部分の厚さを変えて遮へい効果を調べましょう
source.inp
[Surface]
・・・・・・
13 pz
20.
set:c1[10.0]
14 pz
20.+c1
15 pz
20.+c1+1.0
cross_eng.eps(3ページ目)
およそ10cmで1/1000となる
Dump data
19
実習内容
1. Dump dataを用いた線源
2. まとめと宿題
Table of Contents
20
まとめ
Dump機能を用いることで、dump dataとして蓄えた2次
粒子を線源とするシミュレーションが効率よく行えるよ
うになった
Summary
21
宿題
1辺10cmの正方形の形状をもつ134Cs線源をz=-0.5cmの面上に
x=0,y=0の点を中心として配置し、鉛を越えた領域の実効線量を
求めよ
134Cs線源
(s-type=5を用いる)
光子のエネルギー
[MeV]と放出割合[%]
0.563 8.4
0.569 15.4
0.605 97.6
0.796 85.5
0.802 8.7
1.365 3.0
(割合は1壊変あたり)
水
鉛
この領域の実効線量はどのく
らいか?(PHITSに内蔵の実
効線量換算係数を用いる。
[recommendationにある
H10multiplier.inpを参照])
ただし、光子の換算係数に2
次電子の寄与が含まれてい
るため、電子・陽電子の輸
送は行わない(eminを調整)
Homework
22
宿題(解答例)
実効線量の空間分布
(鉛の厚さを6.5cmとした場合)
1段階目(maxcas=500000)
2段階目(maxcas=100000)
なお、この実効線量の換算係数はAP(前方-後方)
の照射条件で評価されたものです。
Homework
23