心理測定法

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心理測定法
4月14日~21日
感覚の測定
内容予定
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閾値の測定(感度の測定)

感覚量の測定
閾値
1.絶対閾
・・・ある感覚が生じるための最低限の物
理的刺激強度
2.弁別閾
・・・2つの刺激が「違う」とわかるための
最低限の物理的強度差
絶対閾

例 ・・・ 視覚の絶対閾
「1kmの暗闇の先にともるロウソクの火」
見えた!
(出典:「心理学への招待」)
見えない・・・
光の強度
弁別閾

例 ・・・ この2つの円は同じ色ですか?
緑250
緑255
(※Microsoft PowerPointの表記による)

閾値 ・・・ カンタンに言うと、感覚の敏感
さ、感度の尺度
じゃあ「感度」って言ったほうがいいんじゃ
ないの?
⇒「感度」には色々な意味があって厳密な定
義が難しい。「閾値」なら厳密な定義が比
較的楽。
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閾値の測定
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
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ヒトや動物の感覚における重要な側面
「何を測定しているか」が分かりやすい
感覚研究やその現実生活への応用におい
て多分最もよく使われている測定値
近代の実験心理学は、各感覚器官の閾値に関する生理
学者たちの研究から生まれたとも言える
「基礎研究」の観点から言うと・・・



その人が感じている「感覚そのもの」を測
定することはできない
でも、例えばある2つの刺激をその人が区
別できるための最低限の物理量=弁別閾
なら物理的に測定できる。
なのでこれを元にして、感覚の世界にせま
る
例:視感度曲線(プルキンエ現
象)
例:等ラウドネス曲線
どうやって閾値を測定するか?

立ちはだかる壁はとりあえず3つ
2.
被験者がウソをついていたら?
個人差はどうする?
3.
感覚の「敏感さ」は一定でない
1.
1.被実者がウソをついていたらどうする?
⇒反応の首尾一貫性から何となく分かること
もあるが、分からないこともある
じゃあどうするか?
①被験者を信用する
②多くの人からデータをとる
(ちなみに動物はまずウソをつかない)
2.個人差はどうする?
⇒研究の目的による
⇒たいていは、「ごく普通の平均的な人々」を対象と
するので、大勢のデータの平均をとる
⇒特殊な人々を研究する場合にも、その「平均的な
人々」のデータとの比較によって理解が深まる
3.感覚の「敏感さ」は一定でない
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大抵は、何回も何回も測定して、
「見えた」反応が50%の確率で出るような
刺激値を、その反応の閾値とする
例:どれだけ周波数の低い音まで聞こえる?
18ヘルツ ・・・ 40%の確率で聞こえる
20ヘルツ ・・・ 50%の確率で聞こえる
22ヘルツ ・・・ 60%の確率で聞こえる
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例:どれだけ周波数の低い音まで聞こえ
る?
18ヘルツ ・・・ 40%の確率で聞こえる
20ヘルツ ・・・ 50%の確率で
22ヘルツ ・・・ 60%の確率で
これを刺激閾ということにしておこう


では測ってみよう!
・・・ということで測り始めてみると、さらに別
の問題があることが分かってきた
例: 音の大きさ
 被験者にボリューム調節つまみを操作してもらい、
絶対閾を測る(「調整法」と呼ばれる方法)
⇒ 調節のうまい被験者と下手な被験者がいる!
⇒ そもそも感覚の測定自体に誤差がある上に、さ
らに「調節の出来・不出来」という誤差まで重なっ
てしまう!
(一言で言えば、「データが乱れまくる」)
ではどうするか?
⇒ 「極限法」と呼ばれる方法
刺激は、プログラムに従って機械的に出てくる。
出方はおもに2つ

上昇系列 ・・・ 明らかに聞こえない音から出発して、
段々強くしていく
下降系列 ・・・ 明らかに聞こえる音から出発して
段々弱くしていく

こうすれば、どの被験者に対しても刺激の
提示のされ方が一定になるので、被験者
の「調節の上手・下手」という要因を排除で
きる
⇒純粋に感覚の要因だけを測定できる
⇒しかしこれでもまだ問題が・・・
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極限法の問題点
「段々強く」あるいは「段々弱く」なっていく
ので、「そろそろ来るかな?」「そろそろ聞こ
えないかな?」と被験者が予測を立ててし
まい、それによって反応が乱れてしまう
⇒ではどうするか?
⇒「恒常法」と呼ばれる方法へ
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恒常法
色々な強さの刺激をランダムに提示する
例
15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25Hzの音を用
意しておいて、それらをランダムに提示する。
そして、各音で「聞こえた」という反応が何%の確
率で出たかを計算する。
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ひとまずここで一段落つくが・・・
恒常法の問題点
・・・測定に時間がかかる
まとめ
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調整法
長所:①手続きが自然 ②測定が簡単かつ早い
短所:被験者の腕次第
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極限法
長所:①機械的 ②恒常法よりは早い
短所:被験者に予測が生じてしまいデータが乱れる
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恒常法
長所:調整法、極限法の短所を克服している
短所:測定に時間がかかる
精神物理学的測定法
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調整法、極限法、恒常法は、まとめて
「精神物理学的測定法」と呼ばれる
実は他にもあるが、基本は上の3つ。
感覚・知覚の研究は、大半がこの測定法
に基づいて行われている
(つまり閾値の測定はそれほど重要であるということ)