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A Study of Low Energy Spectrum in Acceleratorbased Neutrino Oscillation Experiment
K2K実験における
低エネルギー・スペクトルについての研究
’05 12/19 田窪洋介
• ニュートリノ振動
• K2K実験と低エネルギー・スペクトル
• SciBar検出器による低エネルギー・スペクトル解析
• 振動解析
• まとめ
ニュートリノ振動
nm
nx の2世代間混合の場合
nm = n1 cosq + n2 sinq
nx = - n1 sinq + n2 cosq
質量二乗差(eV2)
(Dm2 = m12 – m22)
• nm, nx : 弱い相互作用の固有状態
• n1, n2 : 質量固有状態
• q : 固有状態の混合角
飛行距離(km)
振動確率 =
振動条件
• n1, n2が異なる質量を持つ
• 混合角が0でない
飛行距離Lを進んだ後にnmの数
の増減が起こる
nm
t=0
nx
飛行距離 : L
t=T
ニュートリノ・エネルギー (GeV)
SKの大気nの測定で発見
確かな方法で確認した
K2K実験
MRD(Muon
SciBar
Range Detector)(LG)
SciFi
1kt
nm
~106n/2.2sec 250km
~1event/2days
Super-Kamiokande
ダンプ
(100m
)
nm
~1011n/2.2sec
崩壊トンネル
(200m)
m
nm
mモニター
ターゲット
p
電磁ホーン
pモニター
前置検出器
• 世界初の加速器を用いた長基線ニュートリノ振動実験
• SKでの大気n振動の結果を検証
• KEK 12GeV P.S. を使用しニュートリノを生成
• 98%の純度のnmビームを使用
• 前置検出器とSKでnmを観測しニュートリノ振動を測定
p
KEK 12GeV P.S.
K2K実験
K2K実験におけるn振動
実験原理
前置検出器でn事象数とEn分布を測定
• SKでのn事象数とEn分布が予測可能
• SKの観測結果と比較し、n振動を検証
振動がある場合
SKでの振動確率とFlux分布(MC)
振動確率 =
飛行距離が一定(250km)
振動なし
SKでの振動の効果
nm事象数が減少する
スペクトル分布に歪が生じる


振動あり
K2K実験におけるEnの測定
CC事象
準弾性散乱反応
m
n
q
p
m
非弾性散乱反応
n
p
p
NC事象
n
p
p
エネルギーの再構成 :
• 準弾性散乱反応(CCQE)を用いる
終状態が2体なのでmの角度と
運動量からEnの再構成が可能
Enrec
mnEm  m2m / 2

mn  Em  Pm cos q m
• 非弾性散乱反応(nonQE)がバック
グラウンドとなる
スペクトルの測定にはnonQEの
混入量の見積もりが必要
mとpの両方を捕らえる事が必須


低エネルギー事象の重要性
• En ~ 0.6 GeV で振動の効果が最大
• 前置検出器とSKでの(Near/Far)フラックス比
En>1GeV : pモニターでMCの妥当性を確認
En<1GeV : MCだのみ 前置検出器での1GeV以下の低エネ


前置検出器の比較
ルギー領域のスペクトル測定が重
要!
• 1kt検出器
低エネルギーに感度有り
mしか見えない
CCQEとnonQEの見積もりはMCだのみ
• SciFi検出器
低エネルギーに弱い(En>0.6GeV)
• SciBar検出器
SciBarでの低エネルギーの観測は
低エネルギーに感度有り
他の検出器とのチェックにも重要
mとpが両方見える






SciBar検出器
Extruded
• 押し出しシンチレータ
n
scintillator
1.3x2.5x300 cm3
(15t)
15000本
• シンチレータ自身がニュートリ
ノ・ターゲット
Multi-anode
不感領域がない
PMT (64 ch.)
• 10 cm のトラックまで検出可能
低エネルギーに感度有り
• dE/dx によってpとpを識別
CCQE に対して高感度
non-QEバックグラウンドを識別 Wave-length
shifting fiber
• 電磁カロリー・メーター (~ 11X0)


3m


1kt 水チェレ
ンコフ検出器
1.7m
MRD
n振動測定の流れ
前置検出器によるスペクトル測定
• データ・サンプルの作成
SciBar
低エネルギー・サンプル
SciFi
1KT
• スペクトル・フィッティング
フィッティング・サンプルの定義
各サンプル間の系統誤差の評価
(pm,qm)分布をMCテンプレートでc2フィッティング






• Near/Farフラックス比の算出
• SKでのイベント数の予測
振動解析
• Maximum likelihood method
SciBarデータ・サンプルの作成
SciBarイベント選択
MRD
SciBar EC
MRD事象
• トラックがMRDで止まっている
• これまでの解析に用いられてきた
• En>0.5GeV
新しいイベント・カテゴ
リー
MRD
低エネルギー事象を増やすために、新たに
SciBar EC
2つのイベント・カテゴリーを作成した。
SciBar EC
MRD
ECストップ事象
• トラックがECで止まっている
• En>0.4GeV
SciBarストップ事象
• トラックがSciBar内で止まっている
• En>0.3GeV
イベント・ディスプレイ
SciBarストップ事象
MRD事象
EC MRD
SciBar
SciBar
m
n
m
ECストップ事象
p
SciBar
EC MRD
n p
n
m
EC MRD
SciBarストップ事象
SciBarタイミング分布
SciBarストップ事象
• 加速器起源のバックグラウンド
中性子起源のpとp0からのg
p : dE/dx情報で識別可
g : 100cm以下のトラックに混入

データ取得
バックグラウンド


2
0
4
msec
6
SciBar内トラック長分布
Data
NC
CCmp
CC1p
CCQE
0
100
200
cm
• NC事象の混入
全体の30%がNC事象
 100cm以下のトラックに混入
K2KでのNCの誤差は~30%
MRD事象では2%のみの混入



SciBarストップ事象ではNCの
理解が必要
SciBarストップNC事象
NC事象
CCQEからのmの
mとして再構成した
NCからのpの運動量 再構成運動量
• 1GeV以上のニュートリノ反応
MC
MC
• SciBar内でのトラック
p : 35%
p0からのg : 37%
NC1p
CCQE
NCmp
• NC事象からのpとgはCCQEから
のmと運動量分布がかぶる。
GeV/c
GeV/c
• 1GeV以上のNC事象は低エネル
ギーCCQE事象として再構成される。
SciBarストップ事象のpm, qm分布
100cm以上のトラックを用
pm
qm
いてNC事象とB.G.を除去


pm, qm分布はフィット前でデータ
とMCでよく合っている。
EC ストップ事象
ECストップ事象
• NC事象の混入
全体の25%がNC
100cm以下のトラックに混入
pA, p0からのgがトラックとなる
1GeV以上のニュートリノ反応

SciBar内トラック長分布
Data
NC
CCmp
CC1p
CCQE


cm
100cm以上のトラックを用
いることでNC事象を除去
pm, qm分布はフィット前でデータ
とMCで概ね合っている。
qm
pm
GeV/c
degree
SciBarデータ・サンプルのまとめ
データ・サンプルのまとめ
• MRD事象 : 11,562 (CCQE : 54%,CC1p
: 35%, CCmp : 9%, NC : 2%)
• ECストップ事象 : 203 ( CCQE : 34%, CC1p : 46%, CCmp : 13%, NC : 7%)
• SBストップ事象 : 821 (CCQE : 37%, CC1p : 43%, CCmp : 12%, NC : 8%)
CCQEのEfficiency(MC)
Efficiency
CCQEのtrueEn (MC)
ECストップ
SciBarストップ
MRD
0
低エネルギーCCQEの
Efficiency(MC)
1
Total
0.5
1
2
MRD +
SciBarストップ
3
MRDのみ
0
0.5
1 En (GeV)
MRDサンプルのみに比べ、1GeV以下のCCQEの数は30%増加した。
スペクトル解析
フィッティング・サンプル
2トラックDqp分布 (MRDサンプル)
QE豊富 nonQE豊富
SciBar
Data
• MRD+ECストップ・サンプル
m
CC coherent p
- 1-track
CCmp
観測された方向
CC1p
- 2-track QE豊富
CCQE
Dqp
- 2-track nonQE豊富
QEで予想される方向
• SBストップ・サンプル
deg.
SciFi
• K2K-I MRD
• K2K-II LGストップ
• K2K-II MRD
- 1-track
- 2-track QE豊富
- 2-track nonQE豊富
1KT
• Fully-contained 1-ring m-like
14のサンプルでスペクトル・
フィッティングを行う
スペクトル・フィッティング
データ(SB 1-track)
MCテンプレート(SB 1-track)
nonQEサンプル
CCQEサンプル
3.0- GeV
3.0- GeV
Ndata(i,j)
qj
F(8) x
N8,QE(i,j)
RnQEN8,nQE(i,j)
pi
Ndata(i,j)
c2 fitting
NMC(i,j) = S F(k) [Nk,QE(i,j) + RnQENk,nQE(i,j)]
k
• (pm, qm)分布でフィッティング
• MCテンプレート
F(2) x
QEサンプル
nonQEサンプル
• フィッティング・パラメータ
各Eビンの重み : F(i) F(1) x
QE/nonQE比 : RnQE
系統誤差パラメータ

0.5-0.75GeV
N2,QE(i,j
)
0.5-0.75GeV
RnQEN3,nQE(i,j
)




0-0.5GeV
N1,QE(i,j)
0-0.5GeV
RnQEN1,nQE(i,
j)
フィッテングの結果
全検出器
SciBarのみ
• F(1) : 0-0.5 GeV
• F(2) : 0.5-0.75
• F(3) : 0.75-1.0
• F(4) : 1.0-1.5
• F(5) : 1.5-2.0
• F(6) : 2.0-2.5
• F(7) : 2.5-3.0
• F(8) : 3.0• Rnqe
低エネルギー事象有り 低エネルギー事象なし

1.043 A 0.223
1.118 A 0.131

0.961 A 0.069
0.985 A 0.082
1.450 A 0.195

1.186 A 0.086
前置検出器で測定したEn分布

1.166 A 0.254
1.133 A 0.136

0.964 A 0.070
0.970 A 0.083
1.470 A 0.198

1.234 A 0.096
1.712 A 0.421
1.095 A 0.073
1.146 A 0.059
1
0.917 A 0.040
1.051 A 0.053
1.179 A 0.136
1.242 A 0.180
0.958 A 0.035
• 低エネルギー・サンプルにより0.50.75GeVの誤差が3%改善
• SciBarの低エネルギー領域の誤差は
統計で決まっている
• SciBarの低エネルギー領域のスペクトルは
他検出器と矛盾なし
• スペクトルは振動解析に用いられる。
振動解析
振動解析の方法
ニュートリノ事象数とスペクトルの形を用い
たmaximum likelihoodフィッティング
Ltotal = Lnorm. x Lshape x Lsyst.
nm事象数の
loglikelihood
SKでの事象数
(112)
Poisson統計
予想事象数
(振動なし : 156)
スペクトルの形を
決めるlikelihood
SKでrecEnを観測する
確率分布を用いて計算
系統誤差パラメータに
制限をかけるlikelihood
ガウス分布を仮定して
誤差内で制限
フィッティング・パラメータ
• (sin22q, Dm2)
• スペクトル・パラメータ (F(i))
• QE/nonQE比 (RnQE)
• 系統誤差パラメータ
振動解析の結果
The best fit :
(sin22q, Dm2) = (1.0, 2.8 x 10-3)
データ
振動無しのbest fit
振動有りのbest fit
振動なしの場合にこの結果を観測
する確率は0.003%以下 (4.2 s)
振動パラメータの可能領域
Dm2 [eV2]
SKでのrecEn分布
SKでの大気nの結果と矛盾なく一致
1.5x10-3 < Dm2 < 3.4x10-3 eV2
sin22q > 0.92
(90% C.L.)
sin22q
まとめ
• K2K実験では~0.6GeVの低エネルギー領域で振動の
効果が最大となる
– 前置検出器での低エネルギー・スペクトルの測定が重要
• SciBar低エネルギー事象サンプルを作成した
– 1GeV以下のCCQE事象が30%増加
• SciBar低エネルギー・サンプルを用いてスペクトル解
析を行った。
– SciBarにおける0.5-0.75 GeVの誤差が3%改善した
– 現在、SciBarの低エネルギーの誤差は統計が決めている。
– 低エネルギー領域のスペクトルが他検出器と矛盾のないこ
とを確認
• 振動解析により大気n振動の結果との一致を確認した。
– 4.2sで振動無しを棄却
おまけ
SciBarストップ事象のvertex分布
フィット前
vertex分布もフィット前でデータ
とMCでよく合っている。
Data
NC
CCmp
CC1p
CCQE
SciBar
n
y
x
z
SciBarのフィッティング・パラメータ
共通のフリー・パラメータ
• 8 bins of En
Free parameters
• nonQE
系統誤差パラメータ
MRD+EC サンプル
• MRDの運動量スケール : s=2.7%
• 1-track/2-track比 : 4.1, -5.9%

1-track事象と2-track事象間の行き来
• 2-track nonQE/QE比 : 5.1, -5.8%

2-track QE事象とnonQE事象間の行き来
誤差行列
0.0035 0.0003
0.0003 0.0034
SBストップ・サンプル
• SciBarの運動量スケール : s=1.0%

ビーム・テストにて確認
• SBストップ/MRD事象比 : 6.6 %

MRD事象によるデータとMCの事象数の規格化の誤差
フィッティング条件によるRnqeのずれ
フラックス・パラメータをMergedフィットのベスト・フィット値
に固定して各フィット条件でのRnqeの値を確認
0.96
0.76
0.96
1.07
A20%
Rnqeに20%の系統誤差を追加
Sky-shine background
g-like
Proton-like
SB (MRD+EC)のpm, qm, q2分布
(フィッティング前)
SciFiのpm, qm, q2分布 (フィッティング前)
1KTのpm, qm, q2分布 (フィッティング前)
RCNT/MRDの系統誤差
Physics (+4.2, -4.2)
• MA(CCQE) (MA=1.01, 1.21)
• MA(CC1p) (MA=1.01, 1.21)
• p int. out of nucleus (A10%)
• p inel.
(A30%)
• p abs.
(A30%)
• p re-scat.
(A10%)
• s(NC)
(A30%)
Detector (+4.4, -5.1)
• PMT resolution
(120%)
• X-talk
(1.6%, 4.0%)
• Threshold
(+15%)
• PID stability
(A0.03)
• MuCL distirubution
• Scintillator quenching (A0.0023)
• MRD matching efficiency
+0.2
+1.6
+0.5
+2.2
+1.2
+1.6
+2.4
+1.2
+0.5
+1.6
+3.3
+2.0
-0.5
-2.1
-1.3
-1.7
-1.7
-0.0
-2.4
-2.8
-1.2
-1.0
-0.7
-1.6
-3.0
-2.0
物理と検出器において非常に優位な系統誤差はない.
c2フィッティングの確認
SB (MRD+EC)のpm, qm, q2分布
(フィッティング後)
MRD+EC
SBCNT
SciFiのpm, qm, q2分布 (フィッティング後)
1KTのpm, qm, q2分布 (フィッティング後)
振動パラメータに対する制限