X線望遠鏡(XRT)データ解析について

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X線望遠鏡(XRT)
データ解析について
JAXA 宇宙科学研究本部
成影 典之
2007/09/10
NSRO/Hinode-CDAW '07
1
もくじ
1.
XRT 解析の流れ
2.
XRT データを読む
3.
XRT FITS キーワード
4.
XRT データの中身
5.
データの補正
6.
位置合わせ
7.
温度診断
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1
データ解析の流れ
DARTS
データベース
観測データが FITS 形式で蓄積されている。
データ読み込みプログラム: read_xrt
生データ
Level 0
衛星が撮影したままのデータ。解析には要補正。
データ補正プログラム: xrt_prep
補正済データ
Level 1
X線強度情報が得られる。
温度診断プログラム: xrt_teem 準備中
温度診断
Level 2
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X線強度をもとに温度を見積もることができる。
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XRT データ (Lv.0) を読む
http://darts.isas.jaxa.jp/solarb/top.do
空間分解能
フィルターを選ぶ。
温度診断のためには
2種類必要。
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XRT データ (Lv.0) を読む
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キーワード
XRT FITSファイル
•撮像時刻
•使用フィルター
•露光時間
•領域位置情報
など

XRT画像は、FITSファイルに保存される。

FITSファイルは、キーワード部分とデータ部分
で構成されている。
 キーワード部分
データ
撮影時刻、使用フィルター、露光時間など
の撮影情報が入っている。
 データ部分
CCDカメラで撮った太陽(コロナ)の姿その
ものが入っている。

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1つのFITSファイルに1つのXRT画像が納めら
れている。
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XRT データ (Lv.0) を読む
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
読みたい FITSファイルの指定
IDL > files = ‘file_name’
複数のファイルを指定するには、
IDL > files = findfile(‘*.fits’)
IDL > files = file_search(dir, ‘*.fits’)
ファイルの指定に、ワイルドカードが使える。

read_xrt で XRT データを読み込む
IDL > read_xrt, files, index, data
index には FITS ファイルの index 情報が、data には画像が入る。
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XRT データの中身
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
help コマンドを使って、index, data の中身を確認。
IDL > help, index, data
INDEX STRUCT = -> ******** Array[10]  10枚の画像情報
DATA FLOAT = Array[512, 512, 10]  512x512 pixel の画像が10枚
index は構造体になっており、様々な情報がひとつにまとめられている。
以下の方法で中身を確認することが出来る。
IDL > help, index, /structures
DATE_OBS
TELESCOP
INSTRUME
STRING
STRING
STRING
‘2006-09-30T01:23:45.678’
‘SOLAR-B’
‘XRT’
 FITS キー
ワードに相当
する情報が
入っている
・
・
・
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XRT FITS キーワード
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
観測日時

視野



1”, 2”, 4”, 8” から選択可能。
露出時間


最大 2048” x 2048”
空間分解能


XRT
384”x384”
1msec ~ 64sec から選択。
フィルター

観測対象の温度と輝度に応じて
9つの中から選択する。

アライメント用の可視光撮像可。
画像圧縮 : 定量解析時には要
チェック

可逆圧縮(DPCM)を主に使用。

非可逆圧縮(JPEG)も使用可能。
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1024”x1024”
2048”x2048”
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XRT FITS キーワード
キーワード名 例
DATE_OBS
説明
‘2006-12-31T05:53:29.300’
観測時刻
露光時間 [sec]
EXPTIME
2.04886
※シャッターが開いていた時間
※dark 画像の場合は意味のない値
EXCCDEX
2093900
CCD が露光状態になった時間 [μsec]
EC_FW1_
‘Al_poly’
EC_FW2_
‘open’
観測フィルタ名
どちらか片方は必ず ‘open’
圧縮モード
ICMPMD
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0: 非圧縮
3: 可逆圧縮
7: 非可逆圧縮 ※温度解析には向かない
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XRT Lv.0 データの中身
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
data の各ピクセルには CCDカメラが受信した光の強度(が
圧縮されているもの)が入っている。
光子
生データ
Level 0
太陽からの光子が入射 [erg]  CCDで受光 [DN]  圧縮保存
望遠鏡の影響
太陽から放射された光子数(エネルギー)を求めるには、
補正が必要。
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データの補正 (Lv.0Lv.1)
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生データ (Level 0)
index, data
Level 0 データの index, data をインプットすると、
Level 1 データ index_out, data_out が作成される。
IDL > xrt_prep, index, data, index_out, data_out
暗電流除去
暗電流画像
撮像中と読出中に発生した暗電流と、カメラのDCオフセッ
ト値を、同一露光時間の暗電流画像を差し引くことで除去
offset 値 ~ 42 DN, 暗電流 = 0.1e- / sec / pix
ゲイン変換
カメラゲイン
電子数または入射エネルギー等に換算
1DN ~ 60 e- ~ 3.5 x 10-10 erg
位置補正
衛星姿勢データ
補正済データ (Level 1)
index_out, data_out
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衛星姿勢変化による画像位置ズレと回転ズレを補正
現段階で、 xrt_prep (US-side作成) は black box。
見栄えは良くなるが、intensity 情報を保存しているか
不明。
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データの補正 (Lv.0Lv.1)
5

intensity 情報を使う解析を行う場合のデータ補正は、直近
の dark image を差し引けば良い。
注意点
1.
dark image のファイル名は
XRT20070910_012345.6d.fits となっている。
2.
画像サイズの同じ dark を使うことが望ましい。
3.
dark と 解析データの露出時間は同じでなくてもよい。
(∵CCDがよく冷えていて(-60℃)、dark current = 0.1e- / sec / pix )
4.
HINODE が SAA (South Atlantic Anomaly) に入っていな
い時の dark image を使うこと。
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データの補正 (Lv.0Lv.1)
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画像サイズの異なる dark を
使ってデータを補正する場合
の注意点

dark の Y方向の切り出し
は、Y=0 から行うこと。

例えば、512x512 のデー
タを、2048x2048 の dark
で補正する場合、dark の
(768:1279, 0:511) の部分
を使う。
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この部分を
使う
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位置合わせ
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
HINODE の装置 (SOT, EIS) と
fits キーワードの情報を使って位置を合わせることができま
す。

HINODE 以外の装置 (SOHO, NoRH etc.) と
大まかになら、 fits キーワードの情報で合わせることができ
ます。 fits キーワードの情報に、衛星の jitter 情報が反映さ
れていないので、しっかり合わせこむ場合は、XRT の全面
画像を使って limb fit を行い、位置を合わせます。
※ jitter を補正するプログラムは、準備中。
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
フィルターの温度感度 ffilter(T)
温度感度は、各フィ
ルターによって異な
る特徴をもつ。
 厚いフィルターほど
高温成分に感度が
ある。

特定輝線に偏らない
ので、広い温度感度
範囲を持つのが特
徴的。

thin-Al-mesh の温
度感度曲線は、100
万度近辺に盛り上が
り(100万度に感度)
があることが特徴で
ある。
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温度診断: filter ratio method
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
X線強度の相対比を用いた方法
※単温度を仮定している。
I filt er1 EM  f filt er1T 

I filt er2 EM  f filt er2T 
filter1 と filter2 が同じプラズマを見ている
とすると、分子と分母の EM は約分出来る。
f filt er1T 

f filt er2T 
フィルターのペア毎に決まった関数
(前頁のフィルター感度の比)
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※通常、数種類のフィルターを用いて
観測するので、温度解析が行える。
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太陽全面温度マップ
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温度診断の注意点と対処法
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
温度診断する対象に合ったフィルターペアを選ぶ。

十分なカウント数があること
 時間方向に積分 (同じフィルターの画像を複数枚を足し
合わせる) or 空間方向に積分(ピクセルを足し合わせる)

2種類のフィルターの観測時間差を対象現象の時間スケー
ルより短くする。  内挿・外挿し、時刻を合わせる。

サチュレーションを起こしている部分、bad pixel 部分は解析
出来ない。
※見積った温度は、フィルターの感度で重みがついた
平均温度。
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太陽全面温度マップ
温度診断を行いたい場合は、成影にコンタクトしてください。
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付録:XRT性能表
X-Ray Optics
Optics
Optimized Wolter-I-like grazing incidence optics
Focal length
2708 mm
Mirror micro-roughness
6 Å expected (TBD; analysis ongoing)
Aperture size
> 340 mm
Spatial resolution
68 % of encircled energy in 2 arcsec (at 0.523 keV)
Wavelength range
6–200 Å
Effective area
> 1.0 cm2 at 0.523 keV
Visible Light Optics
Focal length
2708 mm
Wavelength
4305 Å (G-band)
Focal Plane CCD Camera
CCD device
E2V 2048×2048 back-illuminated
Pixel Size
13.5 mm = 1.0 arcsec
Field of view
34×34 arcmin (capable of covering the whole Sun)
Image readout
500 kpixel/s
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付録: 参考ホームページ・文献

参考ホームページ
 SOLAR-B衛星全般
http://hinode.nao.ac.jp/index.shtml
http://www.isas.ac.jp/j/enterp/missions/solar-b/index.shtml
 「ようこう」衛星(SOLAR-Bの前任機)
http://www.isas.jaxa.jp/home/solar/
http://www.lmsal.com/SXT/homepage.html

参考文献
 科学衛星SOLAR-B実験計画書<第3分冊>
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Enjoy XRT data!!
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