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デジタル信号処理① 2002.5.14 デジタル信号処理システムの例 アナログ 信号 A/D変換 マイク アナログ 信号 デジタル信号 デジタル信号処理 D/A変換 デジタルオーディオの信号処理 スピーカー アナログ信号をデジタル化し、必要な情報を取り出したり、 欲しいアナログ信号を作り出すための処理一般 デジタル信号処理の背景 • コンピュータ(プロセッサ)の高速化、大容 量化、小型化、低コスト化 • 洗濯機・炊飯器・自動車など、身の回りの あらゆる物にデジタル信号処理を行うプロ セッサが組み込まれる • デジタル信号処理の知識を持つことが、 技術者・工学者として必要。 デジタル信号処理の目的 1. 周波数分析 入力信号に含まれている成分を調べる 2. 波形合成 必要な周波数成分を含んだ波形を合成する処 理 3. デジタルフィルタ 入力信号を構成している成分から必要な成分 を取り出す 4. 相関 2つ以上の入力波形の類似度を調べる 講義の内容 今回の内容 1. サンプリング定理の復習 2. フーリエ変換の基礎 1. フーリエ級数 2. 周波数解析 3. 周波数解析の実際(応用事例の紹介) フーリエ変換がどのように役立つかを理解 サンプリング定理① ーまず現象からー • A/Dコンバータを使ってサンプリング(計測) したら次のようなグラフになった。元のアナ ログ信号は、どんな周波数を持つ信号だっ たか? サンプリング定理② 電圧[V] 9Hzで計測 1Hzの信号? 時間 [秒] サンプリング定理③ 電圧 [V] 今度は、10Hzでサンプリング 時間 [秒] サンプリング定理④ 実際のアナログ信号 電圧 [V] やみくもに サンプリング していなけない。 時間 [秒] 電圧 [V] サンプリング定理⑤ 時間 [秒] サンプリング定理⑥ A/D変換、D/A変換の際に注意しなければならない重要な定理 • 連続信号(アナログ信号)に含まれる周波 数を正しくサンプリングするためには、サン プリング周波数が連続信号の持つ周波数 上限の2倍以上でなければならない。 フーリエ級数① フーリエ変換で何ができるか • 周波数解析 – フーリエ変換によって、入力波形である複合 波を正弦波に分解して、どのような周波数の 正弦波がどれくらいの大きさで含まれている かが分かる。 フーリエ級数② フーリエ変換の具体例 主に、1kHzと2kHz の正弦波の合成波 であることが分かる。 FFT 時間 [秒] 高速にフーリエ変換する アルゴリズム。 時間軸から周波数軸に変換 周波数[Hz] フーリエ級数③ フーリエ級数 • 三角関数の重要な性質:直交性 – 関数f(x)とg(x)が「直交する」とは、以下の関係 が成立することである。 2 0 f ( x) g ( x)dx 0 この数学的操作をベクトルの内積 のように、「内積」と呼ぶ フーリエ級数④ 直交性を確かめる 2 0 sin( x) sin(3x)dx 2 0 1 cos(x 3x) cos(x 3x)dx 2 2 1 sin(4x) sin(2x) 0 2 4 2 0 2 0 sin(nx) sin(mx)dx n m のとき 2 0 1 cos( nx mx ) cos( nx mx ) dx 2 2 1 sin((n m) x) sin((n m) x) 0 2 nm n m 0 フーリエ級数⑤ 直交性を確かめる 2 0 sin( x) sin( x)dx 2 0 1 1 cos(2x)dx 2 2 1 sin(2x) x 2 2 0 一方、同じ周期の三角関数だと、0にはならない。 フーリエ級数⑤ フーリエ級数 • 違う周波数どうしの内積は0になる。 • 同じ周波数の波形の発見器になる。 2 0 f ( x) sin(nx)dx 2 0 2 0 f ( x) sin(x)dx f ( x) sin(2fx)dx などを計算することによって、 f(x)に含まれるsin(nx)の 強さを調べることができる。 これを行うのが、 フーリエ級数展開 フーリエ級数⑥ フーリエ級数展開 • フーリエ級数展開 周期 2 の滑らかなあらゆる関数には、以下のような関係 式が成立する。 a0 f ( x) an cos(nx) bn sin(nx) 2 n1 1 2 cos(nx)成分調査 an f ( x) cos(nx)dx 0 1 2 sin(nx)成分調査 bn f ( x) sin(nx)dx 0 a,bはフーリエ係数と呼ばれる。 フーリエ級数⑦ フーリエ級数展開 • sin(nx)とcos(nx)は同じ周波数を持つ関数 なので、周波数成分を分析したいときは、 an,bnを分けるのではなく、2乗和をとって 考えるとよい。 PowerSpectrum a b 2 n 2 n パワースペクトルと呼ばれる また、これと似たものに、 FourierSpectrum an2 bn2 振幅スペクトルがある フーリエ級数⑧ 2 0 2 周波数解析(スペクトル解析) 0 g (t ) cos(2 1000 t )dt の2乗和 FFT 時間 [秒] PowerSpectrum an2 bn2 sin(2ft) パワースペクトル g(t ) sin(nx) g (t ) sin(2 1000 t )dt 1kHz 2kHz 周波数[Hz] として、各fについて、パワースペクトル を計算するとこのグラフが書ける。 実際の周波数解析 FFTアナライザ • FFTを行う専用装置が市販されている。 信号を入力すると、フーリエ変換した 結果(スペクトル)を見せてくれる。 問題1 • 日常環境中で、呼吸音を測定したい。 – 呼吸音を調べると、生きているかが分かるだけでな く、病気に関する情報が得られる。 – 呼吸音は、どんな周波数成分をもっているか? – 日常環境には、どんなノイズがあるか? – どうすれば、呼吸音が日常環境で計測できるか? 正常呼吸音の周波数特徴 使用したマイクロフォンの有効測定レンジ 0-100[kHz] 感度-48[dB re 1V/1Pa] 環境の騒音レベル 38.5[dB(A)] • 可聴域の広い範 囲にわたる周波数 分布を持つ • 家庭用電気機器 等からの雑音は 低い周波数帯域 に集中している • S/N比が高くなる 範囲が存在 ( 5-15[kHz]の範囲) 深呼吸音、正常呼吸音、環境ノイズの比較 • 深呼吸時には、 最大周波数が 50[kHz]程度まで 及ぶ 正常呼吸音の検出実験 次回の内容 1. フーリエ変換の基礎(つづき) • • 逆フーリエ変換 畳み込み積分などいくつかの重要な性質 デジタルフィルタの基礎 →ここまで分かるとノイズ(不要な信号)が自在に消せ る • 複素フーリエ変換 フーリエ変換の拡張、 デジタルフィルタの基礎、 これをさらに拡張・応用したのがラプラス変換、Z変換 (フーリエ変換と似ている)