Transcript グループ11発表
革新的商品とResponsiveSCM 発表者 尾形 圭 官野 景太 革新的商品とResponsiveSCM 概要1/2 効率的なサプライチェーン戦略の構築 商品特性 サプライチェーン(SC)の類型 機能的商品 革新的商品 効率的サプライチェーン(Efficient SC) 市場対応型サプライチェーン(Responsive SC) サプライチェーンと商品特性のミスマッチからの脱却 機能的商品の場合 革新的商品の場合 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 2 革新的商品とResponsiveSCM 概要2/2 機能的商品を効率的なS.C.に乗せるプロセス 現在の認識 キャンベル社の事例 キャンベル社の事例から分かった事 革新的商品を市場対応型のS.C.に乗せるプロセス 革新的商品の問題点 市場対応型S.C.を創るための4つのステップ ナショナル自転車工業の事例 スポーツ・オーバーメイヤー社の事例 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 3 革新的商品とResponsiveSCM 効率的なサプライチェーン戦略の構築 自らの企業の商品に対する需要の本質の把握が必要 プロダクト・ライフサイクル 利益率 商品の多様性 需要の予測ミスの確率 機会損失の確率 価格の季節変動 リードタイム サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 4 革新的商品とResponsiveSCM 商品特性 機能的商品 予測可能な商品(日用品) 革新的商品 予測不可能な商品(趣向品) サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 5 革新的商品とResponsiveSCM 商品特性 機能的商品 革新的商品 プロダクト・ライフサイクル 2年以上 3ヶ月から1年 貢献利益* 5% ~ 20% 20% ~ 60% 多様性 少ない 非常に多い 生産決定時の予測ミスの許容範囲 10% 40% ~ 100% 平均在庫不足率 1% ~ 2% 10% ~ 40% 商戦末期の平均値引率 0% 10% ~ 25% オーダーメイド対応商品のリードタイム 6ヶ月 ~ 1年 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 1日 ~ 2週間 6 革新的商品とResponsiveSCM サプライチェーン(SC)の類型 効率的サプライチェーン(Efficient SC) 機能的商品を流通させる為に適したサプライチェーン 市場対応型サプライチェーン(Responsive SC) 革新的商品を流通させる為に適したサプライチェーン サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 7 革新的商品とResponsiveSCM サプライチェーン(SC)の類型 効率的SC 市場対応型SC 基本的目的 最低コストで効率的に 製品を供給をする 迅速に対応し、在庫不足をなくし、 値引きを避け、在庫の陳腐化を防ぐ 製造段階の考慮点 高い稼働率 余剰生産力を活用 在庫戦略 回転率を高め、在庫量 を最少化する 余剰の部品と完成品を活用 リードタイムの考慮点 コスト優先でリードタイ ムを短縮する リードタイム短縮を優先させる サプライヤーの選択方法 低コスト、高品質 速さ、柔軟さ、品質 商品企画戦略 最高性能、最低コスト モジュール化、製品の差別化を 先延ばし サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 8 機能的商品を効率的なS.C.に乗せるプロセス i. 現在の認識 ii. キャンベル社の事例 iii. キャンベル社の事例から分かった事 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 9 現在の認識 一企業内でのコスト削減は限界に達した 企業の枠を越えた協力関係に活路を見出す (電子ネットワークの発達がこれを可能に) サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 10 機能的商品を効率的なS.C.に乗せるプロセス i. 現在の認識 ii. キャンベル社の事例 iii. キャンベル社の事例から分かった事 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 11 キャンベル社の事例 『継続的商品補充プログラム』の導入 1991年に最も先進的な小売店をいくつか選びこ のプログラムを導入した。 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 12 キャンベル社の事例 継続的商品補充プログラムとは? • • • • EDIを小売店との間に構築 小売店はEDIで毎朝キャンベル側に本日の需要見 込と現在の在庫量を連絡 キャンベル社はこの情報を元に今後の需要を予測 し、どの商品を補充するかを決定 午後にはトラックがキャンベル社を出発しその日の うちに小売店に納品 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 13 キャンベル社の事例 継続的商品補充プログラムの成果 参加した4つの小売店の在庫量が 約4週間分 → 2週間分 【要因】 キャンベル社が発送のリードタイムを大幅に短縮し、 各店の各商品について最適な供給を展開できたた め サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 14 機能的商品を効率的なS.C.に乗せるプロセス i. 現在の認識 ii. キャンベル社の事例 iii. キャンベル社の事例から分かった事 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 15 キャンベル社の事例から分かった事 値引きによる過度の販売促進は、 サプライチェーンの物理的効率性に 悪影響を与える サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 16 キャンベル社の事例から分かった事 それまでのキャンベルスープ • • • 毎年1月になるとキャンベル社が卸価格の大幅な 値引きを行っていた この時、チキン・ヌードル・スープの出荷量が突出し て多かった 小売各社はこの値引きに対応してこの時期に在庫 を増やそうとしていた サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 17 キャンベル社の事例から分かった事 1月の卸価格値引きの影響 • 小売各社 在庫を増やすための出費を迫られた • キャンベル社 大量出荷は物流システムのコスト増に繋がった 誰の利益にもなっていない サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 18 キャンベル社の事例から分かった事 これを受けて(キャンベル社) キャンベル社は『継続的商品補充プログラム』の参加 小売各社に協力を求め、割引価格での「先物買い」を 廃止した。 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 19 キャンベル社の事例から分かった事 これを受けて(小売店) キャンベルスープを値引き価格(今まではこの価格で 通常時も売っていた)で販売するには 販売促進用卸価格を利用していたときの平均卸価格を、キャ ンベル社へ毎回の卸価格として払う キャンベル社の純粋な売上げ増分に対しての割引をキャン ベル社からもらう のどちらか。 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 20 キャンベル社の事例から分かった事 まとめ スープは機能的商品であり、キャンベル社が物理 的効率性を追及したのは正しかった 小売店での在庫が減ったことで稼働率が上がり、 小売店の利益は50%増となった このプログラムの導入で、小売店にキャンベル社製 品をこれまで以上に扱いたいというインセンティブ が働いた。 更に、需要の予測がし易くなった サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 21 キャンベル社の事例から分かった事 値引きによる販売促進の悪影響 割引を行っても、それはただ来期の需要を今期に 引き寄せているだけである。 予想し易かったはずの需要が複雑なものへ サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 22 キャンベル社の事例から分かった事 結論 より高い利益を上げるにはサプライチェーン上の各 社が新たな協力関係を築くことが必要 サプライチェーン上のコストが固定されている上で 卸値交渉を行ってもゼロ・サムゲームを行っている だけで意味が無い 同じパイの争奪戦をするのではなく、利益のパイ自 体を大きくすることが重要である サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 23 革新的商品を市場対応型のS.C.に乗せるプロセス i. 革新的商品の問題点 ii. 市場対応型S.C.を創るための4つのステッ プ iii. ナショナル自転車工業の事例 iv. スポーツ・オーバーメイヤー社の事例 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 24 革新的商品の問題点 革新的商品は需要の予測が難しい。 市場対応型の供給プロセスを構築するためには この問題をどうクリアするかが根本的な問題で ある。 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 25 革新的商品を市場対応型のS.C.に乗せるプロセス i. 革新的商品の問題点 ii. 市場対応型S.C.を創るための4つのステッ プ iii. ナショナル自転車工業の事例 iv. スポーツ・オーバーメイヤー社の事例 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 26 市場対応型S.C.を創るための4つのステップ 1. 2. 3. 4. 予測し難い需要がついてくることをただ「受け 入れる」 不確実さを「低減」させる 不確実さを「回避」する 残る不確実さを「ヘッジ」する サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 27 革新的商品を市場対応型のS.C.に乗せるプロセス i. 革新的商品の問題点 ii. 市場対応型S.C.を創るための4つのステッ プ iii. ナショナル自転車工業の事例 iv. スポーツ・オーバーメイヤー社の事例 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 28 ナショナル自転車工業の事例 ナショナル自転車工業 過去数十年間にわたって規模は小さいが十分に利益 を出していたが1980年代半ばで経営が行き詰った。 1986年に松下電器は、まったく異なる部門から自転車 については何の経験も無い経営者を新社長として送 り込んだ。 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 29 ナショナル自転車工業の事例 ナショナル自転車の強み 生産やコンピューター制御においてはハイレベルの技術を 誇る 熟練労働者もいる パナソニックという強いブランドを持ち9000店もの販売網が ある マウンテンバイク等の革新的商品のセグメントを持ち、この 部門は高い収益率を期待できる 革新的商品のセグメントに特化するしかなかった サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 30 ナショナル自転車工業の事例 新しいビジネスモデル 1. 2. 3. 4. 5. 6. 客がパナソニックの販売店を訪れる サイズ,色,部品等を組み合わせる 特別な測定器具を使ってその客に最適なフレームを選択 する 注文をFAXで工場へすぐ送る コンピューター制御の溶接装置と熟練労働者の手で自転 車を作成 2週間以内に客の元へ届く サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 31 ナショナル自転車工業の事例 新ビジネスの結果 ・この革新的なアイデアは当たった ・1991年までに日本のマウンテンバイク市場のシェア 5% → 29% ・二週間のリードタイムを99.99%の高い割合で維持し 黒字になった サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 32 ナショナル自転車工業の事例 まとめ このナショナル自転車の事例は、不確実さの「回避」を 通して市場対応型のサプライチェーンを構築した例であ る この生産方式は「マス・カスタマイゼーション」の一つとい える サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 33 ナショナル自転車工業の事例 この事例より分かること 「マス・カスタマイゼーション」は決して安く上がるも のではないのになぜ当たったのか? 需要の変化が見られる お金に余裕のある消費者は、革新的商品を求める ようになった。このため、より市場対応力のある製 造プロセスが必要になった サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 34 革新的商品を市場対応型のS.C.に乗せるプロセス i. 革新的商品の問題点 ii. 市場対応型S.C.を創るための4つのステッ プ iii. ナショナル自転車工業の事例 iv. スポーツ・オーバーメイヤー社の事例 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 35 スポーツ・オーバーメイヤー社の事例 スポーツ・オーバーメイヤー社 流行のスキーウェアのデザイン,製造を手がける 全米800店の専門店を通して販売している 毎年商品の95%が新商品のため、常に需要の不 確実さがある 不確実さの「低減」「回避」「ヘッジ」を組み合わせたプ ロジェクトを実行 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 36 スポーツ・オーバーメイヤー社の事例 不確実さの「低減」 主要な小売店に対して注文を早めるように依頼した 大手小売店25社を毎年2月に本社に招待して、新商品に ついての意見を聞いた。これらの小売店が注文を早める だけで国内需要を10%の誤差で予測できるようになった。 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 37 スポーツ・オーバーメイヤー社の事例 不確実さの「回避」 リードタイムを短くする 1日リードタイムを短くするだけで$25000のコスト削減に なるとこがわかった。全社一丸となってリードタイムの短 縮に取り掛かる事で2月にもらった注文分の生産に目処 をつけ、少なくとも半分の生産に関しては不確実さを「回 避」できた。 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 38 スポーツ・オーバーメイヤー社の事例 不確実さの「ヘッジ」 残り半分の需要の予測精度を上げる これまで需要予測担当として6人からなる委員会があった が、この委員それぞれに需要の予測を聞き、6人の平均 値を会社の予測として採用した結果、6人の予測が一致 すればその平均値は精度が高く、意見が分かれればそ の平均値も精度にかける事が分かった。 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 39 スポーツ・オーバーメイヤー社の事例 まとめ この需要予測モデルより、シーズン当初(1年後のシーズン 分)にはどのスタイルがどれぐらい必要かがわかる 2月からの生産では、早めの注文によってどれくらい生産を すれば良いのか正確にわかる 生産不足・過剰双方のコストを半減させ利益を60%増やし、 小売店側も99%以上の確率で商品を用意できた この手法は「アキュレート・レスポンス」と呼ばれている サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 40 まとめ 商品特性とサプライチェーンがマッチしている様な企 業はいまだに例外的なケースであり、多くの 企業の 経営者は、自分達のサプライチェーンが 無駄だらけ で顧客にも十分に満足してもらって いないと分かっ ていながらその問題にどう対処 していいか分からず にいる。 問題の根源は供給戦略と商品戦略とのミスマッチで ある。この二つの戦略の再統合は容易ではないが、 成し遂げなければならない。 サプライチェーンマネジメント 担当教員:曹 徳弼 41