Transcript 情報化社会と 学習情報提供システム
「情報社会に参画する態 度」の育成をめざした授業 の創造
三重大学教育学部 附属教育実践総合センター 須曽野 仁志 [email protected]
情報社会の中での 私のこだわり いつでも、どこでも わかりやすく ペーパーレス 地方・郷土からの情報発信
I T
(情報技術)は 相手 が大切
本日のキーワード
「知らなかった」では 済まされない
「情報社会に参画」 から ウェビング(Webbing) 情報モラル プライバシー 情報社会に参画 著作権 コンピュータ 犯罪 出会い系サイト
新しい 情報活用能力の内容 情 報 活 用 の 実 践 力 理 解 情 報 の 科 学 的 な す る 態 度 情 報 社 会 に 参 画 「情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推 進に関する調査研究協力者会議」第1次報告(1997)より
情報社会に参画する態度 社会生活の中で情報や情報技術 が果たしている 役割 や及ぼしてい る 影響 を理解し, 情報モラル の必 要性や情報に対する 責任 につい て考え,望ましい情報社会の 創造 に 参画 しようとする態度
情報社会に参画する態度 学習範囲と して 情報技術と生活や産業 コンピュータに依存した社会の問題点 情報モラル・マナー プライバシー 著作権 コンピュータ犯罪 コンピュータセキュリティ マスメディアの社会への影響
情報社会の特徴 情報の複製(コピー)が容易 情報の電子化(デジタル化) 誰もが情報を送受信 誰もが情報豊かな生活 誰もが情報迷惑・情報犯罪に関わ る
いま、なぜ、 「情報社会へ参画する態度」 なのか? 情報活用能力の育成 コンピュータが使えるようになるだ けでは不十分 情報社会におけるトラブルへの対 処 知的所有権(特に著作権)につい て知る
「情報社会に参画する態度」 教育上の問題点 これまでの授業ではほとんど取り 上げてこなかった。 担当する教師の知識不足 家庭における認識不足 情報社会の進展急速
本日の講座では 特に 著作権 著作権は文化のバロメータ 情報モラル 情報モラルの育成は「情報社会 に参画する態度の育成」の中心と なるもの
あなたは著作権について どれくらい知っていますか?
○×クイズ 全8問
Web上での回答は http://133.67.91.200/1107/ 回答ページは期間限定です。
第1問 7歳の子どもが描いた絵 に、著作権は存在する か?
○ ×
著作権あり 著作権なし
第2問 喫茶店を営業する人がビ デオプロジェクタを使っ て購入した映画ビデオを 店内で上映している。
○ ×
問題なし 問題あり
第3問 川端康成の「雪国」を全 文ホームページ化して公 開した。著作権上の問題 は?
○ ×
問題なし 問題あり
第4問
友人がベートーベン作曲「歓喜の 歌」をフルートで吹いて録音させて もらった。それをホームページで聞 けるようにした。著作権上の問題 は? ○ ×
問題なし 問題あり
第5問
学校の研究紀要を作成する 際、参考になるホームペー ジ(他の機関作成)を数 ページ分許可無くプリント して掲載した。 ○ ×
問題なし 問題あり
第6問 Aはレポート作成の際、 Bが執筆した論文の数行 を(Bが執筆したことを 明記し)引用した。
○ ×
問題なし 問題あり
第7問 講習費を徴収する教採試 験講座で、日本国憲法お よび教育基本法を人数分 コピーして配布した。
○ ×
問題なし 問題あり
第8問 学校で生徒の作品をホー ムページする際、制作し た生徒の名前は表示せず 作品だけをページに公開 した。
○ ×
問題なし 問題あり
第1問 解答 7歳の子どもが描いた絵に、著 作権は存在するか? 答は○ 著作権は存在する 著作物 --- 思想又は感情を創作的に 表現したもの 著作者 --- 著作物を創作する者 著作の 上手下手関係なし
第2問 喫茶店を営業する人がビデオプ ロジェクタを使って購入した映 画ビデオを店内で上映している。 答は× 問題あり 映画(ビデオ含む)には特別な規定
第3問 解答 川端康成の「雪国」を全文ホー ムページ化して公開した。著作 権上の問題は? 答は× 問題あり 著作権は 著作者死後50年まで 存在 川端康成(1889年〜1972年)氏の作 品は2022年まで著作権あり 太宰治(1948年没)、夏目漱石、松尾 芭蕉等の作品はホームページ化OK
第4問 解答 友人がベートーベン作曲「歓喜 の歌」をフルートで吹いて録音 させてもらった。それをホーム ぺージで聞けるようにした。著 作権上の問題は? 答は× 問題あり 著作者が死後50年経過していても自 分以外が演奏したものであれば、実 演家(友人)の許可を得る必要あり
第5問 解答 学校の研究紀要を作成する際、 参考になるホームページ(他の 機関作成)を数ページ分許可無 くプリントして掲載した。 答は× 問題あり 公開されているホームページであっても 他の目的で使用する場合、著作者に許 可を得る必要あり
第6問 解答 Aはレポート作成の際、Bが執 筆した論文の数行を(Bが執筆 したことを明記し)引用した。 答は○ 問題なし 公表された著作物は、引用して利用す ることができる。ただし、ルールを守る必 要あり。
第7問 解答 講習費を徴収する教採試験講座 で、日本国憲法および教育基本 法を人数分コピーして配布した。 答は○ 問題なし 憲法その他の法令は、権利の目的とな らない著作物(著作権存在しない、著作 権法13条)。
第8問 解答 学校で生徒の作品をホームページ する際、制作した生徒の名前は表 示せず作品だけをページに公開し た。 答は× 問題あり 著作者人格権の中の、公表権、氏名表 示権(氏名を表示するかしないか)に留 意する必要あり
本日のプレゼン資料は こちらから
http://ravel.edu.mie-u.ac.jp/ ~susono/
知的所有権 工業所有権 – 特許権、実用新案権、意匠権、商標権と いった発明やアイデアなどを対象とする。 • 登録しなければ権利が発生しない 著作権 – 文化的な創作物を保護の対象とする • 著作物を創作した時点で自動的に権利が 発生。権利を得るための手続きは不必要
著作権とは何か 文化的な創作物を保護の対象 – 文化的な創作物 ---- 人間の思想、感情 を創作的に表現したもの – 表現したものを「著作物」といい、それを 創作した人が「著作者」という) – 文芸、学術、美術、音楽など 著作権法という法律で保護
著作物の種類 言語 音楽 舞踊、無言劇 美術 建築 地図、図形 映画 写真 プログラム
著作者の権利 著作者人格権 – 人格的な権利 財産権 – 財産的な権利複製権 • 上演権・演奏権・公衆送信権・口述権 • 展示権・上映権・頒布権・貸与権 • 翻訳権・翻案権・二次的著作物の利用権 等
著作者人格権 公表権 – 著作物を公衆に提供・提示 氏名表示権 – 実名若しくは変名を著作者名として表示 – または、著作者名を表示しない 同一性保持権 – 著作物及びその題号の同一性を保持す る
児童生徒が直面する情報社会 での問題 音楽CDからのコピー コンピュータソフトの貸し借り ホームページ閲覧中の有害情 報 ホームページ発信上の情報 電子メール・掲示板での書き込 み内容
児童生徒が直面する情報社会 での問題 (2) インターネットでの出会い系サイト 個人情報の流出 なりすまし、不正アクセス コンピュータウィルス 人間関係の希薄化 身体に与える影響
情報モラルをいかに育てるか 上からの押し付けではなく 座学ではなく、何かを進める中で 児童生徒が考え、実践できる 情報社会のマイナス面だけを強調 するのはよくない
素案1 Webページ作成上での 著作権について学ぼう 著作権で知っていることは 教材用サンプルWebページから – 提示用に有名人の写真やキャラクター、ヒッ ト曲入りの違法なページをわざと用意 サンプルWebページの問題点 著作権とは何かを詳しく知る 参考情報「情報モラル指導事例集」p80-83 情報はここから http://www.cec.or.jp/books/index.html
素案2 電子メールを使って情報発 信するときの心構え 1対1でのメールのやりとりでのマ ナー メール上で言い争っている例から 電子メールの特徴は メーリングリストの利用法とマナー 電子メールで情報発信するときの心 構え 参考情報「情報モラル指導事例集」p104-107 情報はここから http://www.cec.or.jp/books/index.html
素案3 ヴァーチャル電脳ショップ での買い物 インターネットでの買い物の便利 なところ・問題点 インターネットでの通販の模擬体 験 信頼のできるショッピングサイトの 選び方を知る 参考情報ホームページ「ネット社会の歩き方」 情報はここから http://www.net-walking.net/
素案4 情報格差(デジタ ルデバイド)は何が問題か 「情報格差」という言葉を聞いたこと があるか どうして情報格差が生じるか – 地方、高齢者、機器操作が苦手な人 情報格差が及ぼす影響 – 貧富の差の拡大、生涯学習の機会 情報格差をなくすにはどんなとり組み が必要か この素案(アイデア)は須曽野が考えました
素案5 -1 わかりやすい、見やすい情 報表示にするには 身近な所でわかりやにくい表示 はないか? – デジカメなどを利用、撮影
都道府県会館はどちら? 左か右 ? 東京都内地下鉄の駅出口で
素案5 -2 わかりやすい、見やすい情 報表示にするには 不親切な案内・地図などで困った体 験を交流 わかりやすい、見やすい表示の作成 – お絵かき、地図作成支援ソフトを用いて その発表、改善 関係機関への報告 この素案(アイデア)は須曽野が考えました
おわりに できるところから情報社会のこ と学ぶ 学校全体でとり組んでいく必要 情報社会でいかに生きていくか
参考Webページ ネット社会の歩き方 http://www.net walking.net/ – 学習指導資料 http://www.net walking.net/pub/001228/sidou-mokuji.htm
– オンライン文献(リンク)集 http://www.net walking.net/pub/001228/20001214ink.html
「インターネット活用のための情報モラル 指導事例集」コンピュータ教育開発セン ター http://www.cec.or.jp/books/index.html
連絡先 須曽野 仁志 http://ravel.edu.mie-u.ac.jp/~susono/ susono @ edu.mie-u.ac.jp
〒 514-8507 三重県津市上浜町 1515 三重大学教育学部 附属教育実践総合センター TEL 059-231-9341 FAX 059-231-9343