スライド - NPO法人 放射線教育フォーラム

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放射線教育PPTシリーズ6
原子力事故から
何を学ぶか
放射線教育フォーラム
次
第2部
原発事故は防げるか
次
運転中の原発は地震の揺れを感知し
すべて自動停止した。 が、
なぜ、 福島第1原発だけが
レベル7の事故になったのか。
事故前の福島第1原子力発電所
次
原子力発電の安全確保
緊急時に
止める
自動的に制御棒を入れ
停止させる
制御棒
冷やす
放射能を
閉じ込める
次
原子力発電の安全確保
止める
制御棒を入れて核分裂を止め、
新たな核分裂を起こさせないこと、
冷やす
核分裂生成物が放射線を
出し続けることによる熱を水で冷やす操作
閉じ込める
五重の壁による多重防護
五重の壁とは?
次
放射能・放射線を閉じ込める5重の防壁
第1の壁 核燃料ペレット
陶磁器のように
焼き固めたもの
第2の壁
ペレット被覆管
5重の壁は
原子炉建屋
原子炉
圧力容器
原子炉圧力容器
役に立たなかった
► 第3の壁
► 第4の壁
原子炉格納容器
► 第5の壁 原子炉建屋
なぜか?
原子炉格納容器
燃料集合体
次
原子炉は地震の揺れを感じて
自動停止した。
しばらくは
冷却用循環装置が
作動していたが
その後14mを超える
津波に襲われた
次
津波によって非常用電源が失われ
冷却用海水をくみ上げる
ポンプも津波にさらわれた
津波前のポンプ室
津波によってポンプ室は流された
次
「自動停止」した原子炉を
「冷やす」ことも「閉じ込める」ことも
できなかったのは
電源もポンプも失われて
冷却用循環装置が作動しなかったため
次
原子炉の炉心を
冷やせない状態になったので
核燃料の温度が上がり
メルトダウンが進行し
水が分解して水素が発生し
原子炉建屋に漏れ出て水素爆発を起こし
核分裂生成物が飛散した
次
IAEA調査団が政府に提出した
福島原発事故原因報告書概要①
◇津波の想定を過小評価していた
東電は5m以上の津波を想定せず
非常用電源は
海抜6.7mのところに設置してあった
◇原子力発電の安全対策は
最大級の自然災害を想定する必要がある
次
IAEA調査団が政府に提出した
福島原発事故原因報告書概要②
◇全電源喪失後の
代替電源が確保できなかった
東京電力は緊急に各所から
69台の電源車を集めて配備したが
プラグが合わない
コードが届かない
などのトラブルが続き、 使うことができず
ようやく1台の電源車で、電源を確保したが
津波で流されたポンプは役立たなかった 次
IAEA調査団が政府に提出した
福島原発事故原因報告書概要③
◇原子炉から蒸気を放出(ベント)して、
容器内の圧力を下げるのに手間取った
圧力容器に取り付けてある排気弁を
開くことが必要
しかし、弁の開閉は電動のため
手動に切り替えなければならず
通常の訓練になかった操作のため
手間取った
次
IAEA調査団が政府に提出した
福島原発事故原因報告書概要④
◇水素爆発で
原子炉建屋が吹き飛ぶ事態は、
まったく想定していなかった
圧力容器や格納容器の圧力が高くなって
こわれることを防ぐ努力をしていた。 が、
水素爆発が原子炉建屋内で起き
原子炉建屋が吹き飛ぶことは
想定にないので対策もとっていなかった 次
その他の事故原因と対策不備①
社員一人ひとりがもっていた
PHS約1,000台は
電源喪失で使えなくなり、
事故対応が遅れた。
使用済燃料を保管していたプールが
冷却ができなくなったとき
燃料の崩壊熱で
大事故になることも想定外
次
その他の事故原因と対策不備②
「マニアルに示されていない事故は起こらない」
ことにしていたので
想定訓練は行ってなかった
たとえば
「10時間以上電源が喪失することは
想定しなくてよい」
と言われていたので
暗闇中での手作業訓練をしていなかった
次
津波などのリスク管理ができてない
過酷事故における危機管理もダメ
暴れる象を
コントロールする
術を知らない
未熟な像使い
のようなもの 次
人類は失敗によって多くの犠牲を払いながらも
乗り越え科学技術を進歩させてきた
スペースシャトル「チャレンジャー」
1986年1月28日
打ち上げ73秒後突如爆発 次
2003年2月1日「コロンビア」空中分解、
火の玉になって大気圏に突入
それでもスペースシャトルの運行を継続
次
スペースシャトルは
犠牲者を出しながらも負けずに乗り越え
「アトランティス」 最後のスペースシャトル
この打ち上げで、
スペースシャトルは任務を終えて引退し、
1981年から全部で135回
800名の宇宙飛行士、民間人を運んだ
30年の歴史に幕を閉じた。 21日無事帰還
2011年7月8日
ケネディ宇宙センターから
打ち上げられ
次
スリーマイル島原子力発電所で1979.3.29
原子炉冷却材が喪失して
炉心が溶融する過酷事故
それでも
国際原子力事象評価尺度のレベル5
原子力発電を止めずに継続し、
周辺住人に健康への影響はなかったが
オバマ大統領は34年ぶりに
避難する人々が一時パニック状態になった
原発建設再開を決めた 次
旧ソビエト連邦で1986.4.26
ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所で
国際原子力事象評価尺度レベル7の過酷事故
原子炉の出力をどこまで下げられるかを実験
原子炉が急激に出力を増し、
それでも旧ソ連は原発を止めず
冷却用の水は失われ
メルトダウン(炉心溶融)と水蒸気爆発
放射性物質の放出は約20日間続き
新しい原発を建設し、輸出している
100~200人が急性放射線症候群と診断され、
うち約30人が早期に死亡し、
その後10年間にさらに14人が死亡
次
事故を起こした原子力発電の構造は
40年以上前に作られたもので、
現在製作されている改良型は
既により安全な構造になっている
次
あってはならない事故ではあったが
貴重な体験であり、
残った原子炉の安全は
一段と向上している
全電源喪失を想定し、
消防車でくみ上げた水を
タービン建屋の送水口まで
ホースで届ける訓練
東京電力柏崎刈羽原子力発電所
次
各電力会社は、
全ての電源が断たれた場合に備えて
新たに電源車や発電機を配備した
東京電力が
柏崎刈羽原発(新潟県)に配備した電源車
4500キロワット1台、500キロワット4台
これで運転中の4基の冷却が可能
次
日本はロボット大国と言われながら
放射線の強いところに入れる
原子炉事故対策ロボットがなかった
それは、
「ロボットを投入しなければならない事故は
起こらない」と決めて開発を中止したから
事故後、放射線に強い構造に改良した
国産災害支援ロボットQuince
千葉工業大学未来ロボット研究センターなどが開発
がれきの走行や
階段や坂を上る性能など は
アメリカ製より優れている
次
原子炉を冷却するために使った海水が
放射性物質で汚染され、
原子炉建屋の地下に大量に溜まった。
わが国では
大量の放射性物質で汚染される水が出ることは
考えていなかったので
汚染水処理のためにアメリカ キュリオン社から
放射性セシウムを吸着する装置と
フランス アレバ社から
放射能汚染水処理装置を導入
次
東芝は急遽
高濃度の放射性物質汚染水浄化装置を製造し
米・仏製装置と並列に配置して処理している
サリーは2種類の吸着材で放射性セシウムを除去し
濃度を約100万分の1まで下げることが可能
放射性物質汚染水浄化装置「サリー」
次
まとめ
想定しないことが起こるのが事故
しかし、
想定したくないことは起こらないものとして
対策をしなかった。
大きな地震がきても原子炉はこわれない、
津波を被ることはない、
全電源が喪失することはない、
放射性物質を飛散させる事故は起こさない、
ヨウ素剤を配布しておく必要はない、
原子力発電は安全、安心だから信頼して 次
等々・・・
と言った手前
非常用電源が使えなくなったときに備えて
電源車を配備することも
冷却用海水ポンプが故障したときに備えて
空冷装置を設置しておくことも
放射線漏れの場所に使うロボットの配備も
原子力発電は安全、安心だから信頼して
必要がないとしか言えなくなっていた
次
専門家の反省
日本原子力学会2011秋の大会で
「専門家の過信が
安全神話を独り歩きさせた」
東京工大教授 二ノ方寿
「事故を想定できなかったのは
想像力が欠けていたから」
東大教授 岡本孝司
外部の意見を聞かない独善的体質
内部での意地の張り合いが
東京工大教授 二ノ方寿
事故につながった」
法政大客員教授 宮野 広
次
諸外国のメディアは、
事故当初の一番危険なときに、
現場に残って命がけで事故収束に当った
従業員たちの勇気を讃える報道をした。
なぜか日本のメディアは
現場の従業員の働きぶりも
諸外国で賞賛を受けていることも
報道していない
次
世界はフクシマ事故をどのように収束させ
今後のエネルギー対策をどうするか注目
何よりも1日も早く事故原因の究明と
今後の対策が重要
次
原発事故防止は
専門家に任せるしかない
しかし、原発事故が
なぜ防げなかったのかを調べることで
身の回りで起こる事故防止に役立てられる
次
宮城県石巻市の大川小学校は
大川小学校の大惨事の原因と、
東日本大震災で津波に襲われ
福島原発の過酷事故の原因に
児童108人中74人と
教職員11人中10人が
それは何か?
共通していること
死亡・行方不明となる大惨事
想定していなかった事故が起こったこと
大川小学校はそれまで
想定外のことが起きたとき
津波に襲われたことがなく
どのように行動したらよいか
安全な場所と思っていたので
避難が遅れた
考えたことがなかった
次
• 津波で亡くなられた
児童のみなさんと先生方
それに、東日本大震災全体で
亡くなられたり行方不明の
2万人余の方々の
ご冥福をお祈りします
亡くなられた尊い命を
無駄にしないため
私たちが実行することは・・・
次
日頃の訓練が緊急時に役立つ
私たちにできること
それは
避難訓練や消火訓練を
真剣に行なうこと
「後悔先に立たず」
「備えあれば憂いなし」
次
原発事故は防げるか
第2部 完