CDF実験プラグ部電磁カロリメータ用PMTの長期安定性の研究

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CDF実験プラグ部電磁カロリメータ用
光電子増倍管の長期安定性の研究
筑波大学数理物質科学研究科 橋本就吾
受川史彦、金信弘、武内勇司、深見智代
contents
・長期安定性測定の目的
・Setup
・測定結果
・まとめ及び今後の予定
contents
・長期安定性測定の目的
・Setup
・測定結果
・まとめ及び今後の予定
CDF実験
アメリカ・シカゴ近郊のフェルミ国立加速
器研究所の加速器TEVATRONで行われ
ている高エネルギー素粒子実験。
• 陽子・反陽子衝突
粒子検出器・CDF検出器を用い、トップ
• 重心系エネルギー 1.96TeV
クォークの精密測定、B粒子の物理な
• 瞬間最高ルミノシティ 3.5x1032cm2s-1 ど様々な研究を行っている。
• 衝突断面積 50mb
• 積分ルミノシティ 6.5fb-1
CDF検出器の全体図
PEM
CDF検出器の断面図
プラグ部電磁(PEM)カロリメータ
プラグ部に設置された電磁カロリメータ
光子や電子などのエネルギーを測定
Clear fiber
PMT
Wave length
shifter fiber
WLSF発光波長:
~500nm (緑色)
22 layers
PEMはf方向に24のウェッジに分割
ウェッジは20のタワーに分割
4.5mm厚の鉛タイル
4mm厚のシンチレータタイル
22層
22層のシンチレータからの信号は
1本の光電子増倍管に入力
浜松ホトニクス社製R4125G
•
•
•
•
光電面 : バイアルカリ
ダイノード : ラインフォーカス型10段
増幅率 : ~3x105(at HV:1000V)
最大陽極電流: 100 mA
光電子増倍管の長期安定性測定の目的
Run II environment of PMTs located in PEM
典型的な衝突でPEMに入射するp0→γγがPMTに及ぼす条件
平均入射光電子(103)
入射頻度(MHz)
陽極電流(µA)
η=3.00 to 3.49
~3
0.25
3
η=1.10 to 1.20
~0.3
0.025
0.03
( Gain=2.5 x 104 , Luminosity 1032cm-2s-1で計算)
タワーによって使用条件が異なるR4125G光電子増倍管
は長期間の使用中にその応答(出力電荷)が変動する。
CDF実験での使用条件で光電子増倍管の出力の変動を調べることが必要。
目的
・長期的な使用で光電子増倍管の出力がどのように変動するかを調べる。
・入射光電子数、増幅率、陽極電流に関してどの使用条件が変動に影響を与
えやすいか、また出力の変動の再現性等を測定する。
contents
・長期安定性測定の目的
・Setup
・測定結果
・まとめ及び今後の予定
SetupおよびFPGAについて
11PMTs
R
①
④ ①
X X
X ④
R X③
X
②②③
R
・光源:緑色LED (500nm)
・最大16本の光電子増倍管を固定できる箱
・光量の調節:N.D.フィルター
・LEDの安定性:
H7195、H1161GSによりモニター
・温度・湿度:恒温槽により20℃, 60%に保つ
・DATAの取得はVMEバスを用いた。
・10Hz→0.25MHzのサイクルで出力安定性を測定する。
(500nm)
・各条件2本ずつ計8本のR4125Gを設置。
・光量モニター用のH7195,H1161GSは計3本。
(VME)
FPGAで作成
・10回に1回、ゲートのタイミングをずらすことで、
ペデスタルの測定を行っている。
#PE’s/pulse
GAIN
(104)
Anode current
(μA)
①典型的なCDF実験の状況
~500
~ 2.5
0.5
②光量5倍
~ 2500
~ 2.5
2.5
③光量5倍 Gain1/5倍
~ 2500
~ 0.5
0.5
④光量1/5倍 Gain 5倍
~ 100
~ 12.5
0.5
Conditions
Setup
PMTの写真
光量モニター用
PEM用
枠にPMTを設置した写真
Setup 11ヵ所の光量とGAINの調節
・R4125Gに対して各条件での光量に設定するために、
増幅率Gの分かっているR4125Gを用いて16箇所の光量を測定した。
・LEDに印加する電圧、フィルターを調節することにより各条件の光量に設定した。
・その後残りのR4125Gをセットし、出力電荷を測定した。
入射光電子数が分かっているので増幅率が求められる。
印加電圧を調節することで増幅率を設定した。
各PMTの入射光電子数と増幅率の調節を行った。
<調節した光量 >
REF
④
①
107
515 ~0.4
REF
~0.4
①
505
②
2974
④
110
REF
~0.4
②
2926
③
2118
③
2829
<調節したGAIN (104) >
④
①
12.0
2.3
①
2.4
②
2.2
④
11.8
②
2.1
③
0.6
③
0.4
LED発光強度のモニター
入射光電子数が0個の時の確率を測定し、その確率から入射光電子数の平均
値  を計算し、光量のモニターを行った。
モニター用の光電子増倍管には平均入射光電子数 μ=<Npe> ~0.4程度に設定した。
平均入射光電子数  の時に
光電子が入射しない確率
Pm (0)  em
測定結果から入射光電子
数が0個のときのイベント数
N0とNtotalをカウントし、P(0)
を求める。
Pm (0) 
N0
Ntotal
平均入射光電子数 μは
 N0 

 Ntotal 
m   ln
より求まる。
contents
・長期安定性測定の目的
・Setup
・測定結果
・まとめ及び今後の予定
入射光電子数
LEDの発光光量モニター
+15%
10Hz
+10%
+5%
±0%
-5%
0.25MHz
・高頻度にすると、光が~5%増加した。
・他の2本も同様の変動を示した。
・この結果をもとに入射光量を補正した。
-10%
-15%
Time [Hours]
R4125G出力電荷変動結果(condition①,②)
10Hz
0.25MHz
① 1本目
10Hz
典型的なCDF実験の状況
0.25MHz
① 2本目
典型的なCDF実験の状況
+15%
+10%
+5%
±0%
-5%
-10%
-15%
10Hz
0.25MHz
② 1本目
光量5倍
10Hz
0.25MHz
② 2本目
光量5倍
+15%
+10%
+5%
±0%
-5%
-10%
-15%
R4125G出力電荷変動結果(condition③,④)
10Hz
0.25MHz
③ 1本目
10Hz
光量5倍 , Gain 1/5倍
0.25MHz
③ 2本目
光量5倍 , Gain 1/5倍
+15%
+10%
+5%
±0%
-5%
-10%
-15%
10Hz
0.25MHz
④ 1本目
光量1/5倍 , Gain 5倍
10Hz
0.25MHz
④ 2本目
光量1/5倍 , Gain 5倍
+15%
+10%
+5%
±0%
-5%
-10%
-15%
contents
・長期安定性測定の目的
・Setup
・測定結果
・まとめ及び今後の予定
まとめ
・PEMカロリメータに用いるR4125G型光電子増倍管の出力変動を
4つの条件で465時間にわたって測定した。
・CDF実験の典型的使用条件において
・高頻度にすると、出力電荷は最大15%減少した。
・入射光電子数、増幅率を変えた条件では
・初期の変動(50~200h)の後は安定した。
・陽極電流が大きい条件では、高頻度に変えた所で5%程度の
出力電荷の増加がみられた。
・出力電荷変動の時間特性
・出力変動は、PMT内の電離したイオンによってダイノードが
帯電することで増幅率が変化するため起こると推測できる。
・複数の時定数を持つ変化があると考えられる。
今後の予定
・高頻度のまま測定をして、出力が安定するかを測定する。
・低頻度(10Hz)→ 高頻度(0.25MHz) のサイクルを繰り返し、
出力変動が可逆的なものかを測定する。
・データを蓄積し、出力変動の原因解明、定量的評価を行う。
BACKUP
PEM
endplug EM calorimeter.
24 wedges in f, and each
wedge is divided to 24 towers.
Each towers has 22 layers.
The light signal from the PEM scintillator
tile is delivered by Y-11 wave length
shifter fiber.The figure above is Emission
Spectra and Absoption Spectra of Y-11.
The model figure of
R4125G PMT.
FPGA
FPGA(Field Programmable Gate Array):現場で書き換え可能なLSI
・論理回路を記述する専用の言語(HDL)
・ソフトウェアのようにダウンロードして使用する。
・製品出荷後でも再設計が可能なため、製品のアップデートや新たなプロトコル規格
への対応もスムーズに行うことができる。
・ FPGAの柔軟性に加え、FPGAの高集積化、高性能化、低消費電力化、低コスト化
が進み、FPGAがASICやASSPと同程度の機能を持つようになったため、さまざまな
電子機器で使用されている。
・FPGA作成の手順
デザインのアイデア
開発ソフトウェア
HDL記述
FPGAデバイス
FGPAにアップロード
Oscilloscope
GAIN
光電子増倍管からの出力電荷の平均値とその分散の相関から増幅率を求める方法。
σ2
増幅率の揺らぎがないと仮定した時
出力電荷の平均値(mean)=Gain×Np.e.×素電荷
→σ2=Gain×Mean
出力電荷の標準偏差(σ)=Gain× Np.e.
×素電荷
→傾きが増幅率に相当
Mean
実際には増幅率の揺らぎ考慮し、上記の増幅率を補正した。
増幅率のゆらぎに対する補正項:δser
(δser はs.p.p.分布のσ/peakから求めた。)
GAIN
Reference PMT Npe Stability
Reference PMT GAIN
Pulse height distribution of reference PMTs
Pulse height distribution of PEM PMTs
①
②
④
③