Transcript io_(ch07).

産業組織論
第7章 寡占企業の理論(2)
シュタッケルベルク・モデル
その1
先導者と追随者
1
第7章の目次
先導者と追随者
シュタッケルベルクの複占モデルシュタッケルベルクの複占モデル
企業2の反応曲線企業2の反応曲線を求める
企業1の等利潤線図7.1
../../___uzawa_WWW/cal-economics/144_00reactionOne-iso-s103d(86-156)jpg480.html
企業2の反応曲面で企業1の利潤曲面を切断する
企業2の反応曲面で 企業1の利潤曲面を切断する
シュタッケルベルク均衡企業1が先導者のときの シュタッケルベルク均衡
クールノー均衡との比較前の図を上から見る
シュタッケルベルク均衡はパレート効率的ではない
シュタッケルベルク均衡は パレート効率的な利潤配分ではない
2
追随者とは
相手企業の生産量に応じて自分の企業
の利潤を最大にする(すなわち、最適な)
生産量を選ぶ企業を追随者(follower)と
いう。
3
先導者とは
相手企業が追随者であることを知って、
自分の企業の利潤を最大にする(すなわ
ち、最適な)生産量を選ぶ企業を先導者
(leader)という。
4
シュタッケルベルクの複占モデル
シュタッケルベルク(Heinrich von
Stackelberg, 1905-1946)の研究した、
先導者と追随者とからなる複占モデル
先導者と追随者という、
2つの企業の間において、意思決定の
順序があらかじめ決まっているケース
5
展開型ゲームを考える
企業1(先導者)がゲームの第1段階で生
産量Q1を決定し、
企業2(追随者)がゲームの第2段階で生
産量Q2を決定する。
6
先導者である
企業1と追随
者である企業
2の戦略を展
開型ゲームで
表現する
1
企業1の選択
Q1
2
企業2の選択
Q2
7
ゲームをtree(木)で表現する
starting node
1
L戦略
decision
node
2
branch
H戦略
L戦略
terminal
node
H戦略
decision
node
2
L戦略
H戦略
π1=1
π1=5
π1=0
π1=3
π2=1
π2=0
π2=5
π2=3
terminal
node
terminal
node
terminal
node
8
部分ゲームとは
• 部分ゲームとは、オリジナル・ゲームにお
ける、ある decision node から出発し、それ
以後の (もしあれば)decision nodeを経由
し、terminal node にいたるものをいう。
• オリジナル・ゲームとは異なる、部分ゲー
ムを proper subgame という。
• オリジナル・ゲームは部分ゲームである。
9
部分ゲームについて(1)
1
部分ゲーム
1
L戦略
H戦略
2
L戦略
部分ゲーム
2
2
H戦略
L戦略
H戦略
π1=1
π1=5
π1=0
π1=3
π2=1
π2=0
π2=5
π2=3
10
部分ゲームについて(2)
部分ゲーム3
(オリジナル・ゲーム)
1
L戦略
H戦略
2
L戦略
2
H戦略
L戦略
H戦略
π1=1
π1=5
π1=0
π1=3
π2=1
π2=0
π2=5
π2=3
11
部分ゲームはない
1
L戦略
H戦略
2
2
H戦略
L戦略
L戦略
H戦略
π1=1
π1=5
π1=0
π1=3
π2=1
π2=0
π2=5
π2=3
企業2が左側の②にいるか、
右側の②にいるか知らない場合
12
部分ゲーム完全均衡とは
ある戦略の組が部分ゲーム完全均
衡であるとは、
そのゲームのすべての部分ゲーム
において、その戦略の組(が指定す
る部分ゲーム上での戦略)がナッ
シュ均衡になっているとき、をいう。
13
部分ゲーム完全均衡
1
部分ゲーム
1
L戦略
H戦略
2
L戦略
部分ゲーム
2
2
H戦略
L戦略
H戦略
π1=1
π1=5
π1=0
π1=3
π2=1
π2=0
π2=5
π2=3
基本ゲーム
14
後ろ向き帰納法
部分ゲーム完全均衡を求める方法として
後ろ向き帰納法(backward induction)を用
いる。
すなわち、第2段階のナッシュ均衡を最初
に求める。その結果を利用して第1段階
のナッシュ均衡を求める。
15
後ろ向き帰納法の適用
第2段階の解が企業2(追随者)の反応
関数(反応曲線)であり、
この反応曲線を考慮して企業1(先導
者)は第1段階で最適な生産量を決め
る。
16
Stackelberg-equilibrium(S1).xls
企業2の反応曲線を考慮する
企業1は先導者であるので企業2の反
応関数を知っている。
このことを考慮し、企業1は企業1の利
潤を最大にする。
17
企業1の等利潤線の特徴
図7.1において、企業1の等利潤線の
上では、定義により、企業1の利潤は
同じである。
下方にある企業1の等利潤線のほうが
利潤水準は大きい。
18
図7.1
19
離散数値例の場合はここをクリック
図7.2
20
先導者であることの意味
「企業1は先導者であるので、企業2の
反応関数を知っている」という意味は、
企業2の最適な生産量として、必ず企業
2の反応曲線状の点に対応した生産量
を選ぶことを企業1は前もって知ってい
るということである。
21
企業1の利潤が最大となる点
企業1の利潤が最大化される点は、
企業1の等利潤線が企業2の反応曲線
(反応関数をグラフに表したもの)に接
する点S1で実現される。
Sはシュタッケルベルクに由来し、1は企
業1が先導者であることを示す。
22
..\..\___uzawa_WWW\cal-economics\paiOneSliced-c114(16-28)jpg480.html
pai1cut800x600.html
企業1の利潤曲面
23
../../___uzawa_WWW/cal-economics/pai2-sliced&rotation-305a(5-28)jpg480.html
企業2の利潤曲面
24
C:\___uzawa_WWW\cal-economics\reactionTwo-c114(176-200)jpg480.html
企業2の反応曲線を求める
25
企業2の反応曲線と反応曲面
26
企業1(黄赤青)と企業2(黄緑
色)の利潤曲面
27
企業2の反応曲面で
企業1の利潤曲面を切断する
28
../../___uzawa_WWW/cal-economics/findStackelbergOne-305a(52-102)jpg480.html
企業1の利潤最大点を探す
29
企業1が先導者のときの
シュタッケルベルク均衡
Firm 2’s
Stackelberg
Equilibrium
Stackelberg
Equilibrium
30
前の図を上から見る
Cournot
Equilibrium
Stackelberg
Equilibrium
31
図7.2
32
別の図1
Cournot
Equilibrium
Stackelberg
Equilibrium
33
別の図2
Cournot
Equilibrium
Stackelberg
Equilibrium
34
Stackelberg
Equilibrium
Cournot
Equilibrium
シュタッケルベルク均衡と
クールノー均衡
35
../../___uzawa_WWW/cal-economics/floodOne-c114(522-594)jpg480.html
..\..\___uzawa_WWW\cal-economics\flood-cournot&stackelberg-s300w(590-666)jpg480.html
シュタッケルベルク均衡
36
../../___uzawa_WWW/cal-economics/findStackelbergOne-305a(52-102)jpg480.html
企業1の利潤曲面を企業2の反
応曲面で切断した切り口
37
モデルの前提条件
シュタッケルベルクの複占モデルは
企業の意思決定の順序以外の経済的
与件(費用関数と需要関数)は第6章の
クールノーの複占モデルと同一を仮定
する。
38
利潤,反応関数,および,価格
39
企業1が先導者の場合
企業1が先導者で企業2が追随者の場
合を最初に検討する。
40
企業1の利潤
41
企業1の選択
42
企業2の選択
43
シュタッケルベルク均衡
44
シュタッケルベルク均衡の
利潤の組
45
クールノー均衡と
シュタッケルベルク均衡を比べる
46
均衡の比較
47
比較の結果をまとめると
表1.1から、
シュタッケルベルク均衡(S1)において
先導者の企業1の生産量と利潤は、
クールノー均衡(C)のときよりも、とも
に多くなる。
追随者の企業2の生産量と利潤は、
クールノー均衡(C)のときよりも、とも
に小さくなっている。
48
価格を比べると
シュタッケルベルク均衡(S1)のときの
市場均衡価格はクールノー均衡(C)の
市場均衡価格よりも下がっている。
49
グラフで均衡を比較する
表7.2、および図7.2より、
クールノー均衡(C)とシュタッケルベル
ク均衡(S1)の違いを見る。
50
グラフで2つの均衡を比較する
51
シュタッケルベルク均衡の位置
シュタッケルベルク均衡(S1)を通る企
業1の等利潤線(利潤水準は72)と企
業2の等利潤線(利潤水準は36)とが
囲む領域が点S1の左下方にレンズ状
に存在している。
52
シュタッケルベルク均衡は
パレート効率的な利潤配分ではない
シュタッケルベルク均衡(S1)を通る2つの
企業の等利潤線は互いに共通接線を持
たない。
シュタッケルベルク均衡(S1)は、パレート
効率的な利潤配分の点ではない。
53
計算で確かめよう
54
実行可能な利潤の組
55
シュタッケルベルク均衡は
パレート効率的な利潤配分ではない
シュタッケルベルク均衡(S1)はクールノー
均衡(C)と同様に、パレート効率的な利潤
配分の点ではない。
56
参考文献(1)
[1] パウンドストーン、W.、松浦俊輔訳 (1995) 『囚人の
ジレンマ』(青土社)
[2] ディキシット、A.、B. ネイルバフ、菅野隆・嶋津祐一
訳 (1991) 『戦略的思考とは何か』(TBSブリタニカ)
[3] マクミラン、J.、伊藤秀史・林田修訳 (1995) 『経営
戦略のゲーム理論』(有斐閣)
[4] 中山幹夫 (1997) 『はじめてのゲーム理論』(有斐
閣)
57
io_(ch08)-v2.ppt
参考文献(2)
[5]岡田章 (1996)『ゲーム理論』(有斐閣)
[6]Shy, Oz (1996), Industrial Organizations: Theory
and Applications, The MIT Press, Cambridge,
Massachusetts. 最新版は第6刷。
[7] Stackelberg, H. von (1952), The theory of the
market economy, translation and Introduction by A.T.
Peacock, London: William Hodge. ドイツ語の原本は
1934年に発行された。
58