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生物学
第5回 生物は細胞からできている
和田 勝
遺伝という現象の捉え方
遺伝子型
(genotype)
→
これを想定した。
DNA
表現型
(phenotype)
これを観察して
→
タンパク質
現在では、遺伝子はDNA、表現型として現れるのはタ
ンパク質の働きによることが明らかになっています。
遺伝子に行く前に
遺伝子DNAのお話をする前に、細胞
について語らなければなりません。
我々の体は、60兆個といわれる細胞
で構成されています。その細胞の働
きが集まって、我々は生きていくこと
ができるのですし、遺伝子はその細
胞に染色体と不可分に存在するから
です。
物を拡大する顕微鏡
さて、すでに
肉眼
小さくて観察できない
顕微鏡
というお話をしましたが、現在使われ
ている顕微鏡にはいろいろな種類が
あります。ちょっと復習を兼ねて、、
顕微鏡の種類
光学顕微鏡
透過型電子顕微鏡
走査型電子顕微鏡
顕微鏡の原理
光線を
使う
電子線を
使う
体の中へ
これらの拡大装置を使って、体の中へ
入り込んでみましょう。
光学顕微鏡像
光学顕微鏡像
光学顕微鏡像
光学顕微鏡像
光学顕微鏡像
電子顕微鏡像
小腸微絨毛の断面 (x10,000)
撮影:川原昌彦・富山医科薬科大学実験実習機器センター
光学顕微鏡像
膵臓の細胞
電子顕微鏡像
走査型電子顕微鏡の原理
表面に金を蒸着して、
そこに電子線をあてて
はじき出された電子を
見ている。
電子線を
使う
走査型電子顕微鏡像
ツツガムシの成虫の走査型電顕像 (x86)
撮影:安達一男・新潟大学医学部第三解剖電顕室
走査型電子顕微鏡像
アリの成虫の頭部
教材としての走査型電子顕微鏡画像集、撮影:阿達 直樹
アリの複眼(x100)
イチモンジセセリの鱗粉
光学顕微鏡で見ると
マルバネカスリタテハの鱗粉
光学顕微鏡で見ると
マヒメアカタテハの鱗粉
蝶の羽の模様は、鱗粉による
点描なのですね。
いろいろな植物の花粉
顕微鏡像の違い
スギの花粉
走査型電子顕微鏡像
ラット小腸の血管鋳型の走査型電顕像
撮影:梅沢敦子・北里大学医学部電顕センター
光学顕微鏡像の
走査型電子顕微鏡像
ラット小腸の血管鋳型の走査型電顕像
撮影:梅沢敦子・北里大学医学部電顕センター
すべての生物は細胞から
光学顕微鏡と染色法が改良され、
さまざまの生物が顕微鏡で観察さ
れました。
その結果、植物でも動物でも細
胞という基本単位からできてい
ることがシュライデンとシュワン
によって観察され、細胞説が唱
えられました。
細胞説
シュライデンは、いろいろな植物を顕
微鏡で観察して、植物は細胞という
基本構造からできていることを述べま
す(1838)。
シュワンも、いろいろな動物を顕微鏡
で観察して、動物は細胞という基本構
造からできていることを述べます
(1839)。
細胞説(cell theory)
細胞説
1850年代になって、ウィルヒョ
ーが、すべての細胞は細胞か
らのみ生じる、と明確に表明し
ます。
現在ではこれも加えて、細胞説は、
1)すべての生物は細胞から構成されている
2)細胞はすでに存在する細胞からのみ生成される
3)細胞は生命の最小単位である
細胞説に触発されて
細胞説に触発されて、体細胞分裂、
減数分裂、染色体の発見など、顕微
鏡を使った、細胞の重要性に関する
発見が続いていきます。
さらに、メンデルの法則の再発見と結
びついて、遺伝子の実体や細胞の形
とはたらきの研究が盛んに行われま
す。
すべての生物は細胞から
1)ヒトは60兆個の細胞からできている
2)これらの細胞には共通した構造が
あり、同じ遺伝情報を有している
3)しかしながら、細胞は置かれた場
所に応じて異なる形と機能を示す
(分化しているという)
4)細胞によって使われている遺伝情
報が異なるためである
細胞、組織、器官、器官系
器官系
器官
個体
組織
細胞
細胞、組織、器官、器官系
具体例:
心筋細胞から
シマウマへ
組織
細胞は、次の4つの基本的な組織を構
成します
●上皮組織
(epithelial tissue)
●結合組織 (connective tissue)
●筋組織 (muscle tissue)
●神経組織 (nervous tissue)
組織は、形態と機能からさらに分類さ
れます
上皮組織
(1)上皮組織は、
●単層扁平上皮
(simple squamous ep.)
●単層立方上皮 (simple cuboidal ep.)
●単層円柱上皮 (simple columner ep.)
●重層扁平上皮 (stratified squamous ep.)
●多列上皮 (pseudostratified ep.)
結合組織
(2)結合組織は、
●疎性結合組織
(loose con.)
●密繊維性結合組織 (dense con.)
●弾性結合組織 (elastic con.)
●細網結合組織 (reticular con.)
●脂肪組織 (adipose con.)
●軟骨組織 (cartilage con.)
●骨組織 (bone con.)
●血液 (blood)
結合組織
ふつうはコラーゲンなどが
細胞外マトリックス
筋組織
(3)筋組織は、
●骨格筋
(skeletal muscle)
●心筋 (cardiac muscle)
●平滑筋 (smooth muscle)
神経組織
(4)神経組織は、
●ニューロン
(neuron)
●グリア細胞 (glia cell)
それぞれの組織は、組み合わさって器官を構成する
組織から器官へ
上皮組織
結合組織
筋組織
器官
組織が組み合わさって器官が構成さ
れる。
上皮組織
結合組織
筋組織
器官系
たとえば、消化器官系は、
食道 (esophagus)、胃 (stomach)、小腸
(small intestine)、 大腸 (large intestine)、
肝臓 (liver)、膵臓 (pancreas)、胆嚢
(gallbladder)
などの器官から構成さています。
小腸はさらに、十二指腸 (duodenum)、空腸 (jejunum)、
回腸 (ileum)よりなり、大腸は、虫垂突起 (vermiform
appendix)、盲腸 (cecum)、結腸 (colon)、直腸 (rectum)
より構成されています。
消化器官系
1.食道、2.胃 、小腸のうち3.十二指腸、4.空腸と回腸 、大腸のうち5.
盲腸、6.虫垂突起、7.結腸、8.直腸、9.肛門
器官系
●外皮系
(Integmentary system)
●骨格系 (Skeletal system)
●筋系 (Muscular system)
●消化器官系 (Digestive system)
●循環器官系 (Circulatory system)
●呼吸器官系 (Respiratory system)
●泌尿器官系 (Urinary system)
●神経系 (Nervous system)
●内分泌系 (Endocrine system)
●生殖器官系 (Reproductive system)
階層性
外皮系
骨格系
消化器官系
階層性
個体 (organism)
器官系 (organ system)
器官 (organ)
組織 (tissue)
細胞 (cell)
細胞小器官
電子顕微鏡の発明により、細胞内
にはさらに構造物が見え、膜系が
発達していることが明らかになりま
す。
これらの構造を、細胞小器官(
organella)と呼びます。
細胞より下位へ
細胞
細胞小器官
分子
原子
動物細胞の構造(模式図)
例として膵臓の外分泌細胞を
この細胞
では、膵
液を作っ
ています。
膵液中に
は消化酵
素(タンパ
ク質)が含
まれてい
ます。
膵臓の外分泌細胞
電子顕微鏡像
これらの
顆粒に、タ
ンパク質
の消化酵
素が含ま
れていま
す。
この細胞は
タンパク質という製品を作る生産
工場にたとえることができます。
工場に必要なものは何だろうか。
1)製品の設計図
2)原料
3)生産ライン
4)生産ラインを動かす人
5)動力
動物細胞の各パーツ
これらに該当するものが、細胞の
中には細胞小器官(パーツ)として
備わっているのです。
細胞の各パーツが、どのような構
造で、どのような働きを担っている
か見てゆきましょう。
サイトゾール
細胞小器官が浮かんでいる液体部
分をサイトゾール(cytosol)と言いま
す。
核(nucleus)
核膜
●核小体
●染色質
●
細胞分裂と染色体
前のスライドのように、ふつうの細
胞の核は核小体と染色質が見え
るだけです。
細胞が分裂するときになると、染
色質が凝集して、紐状の染色体と
いう構造が現れてきます。
細胞分裂と染色体
間期
●
後期
前期
●
終期
●
●
中期
●
ヒトの染色体
22対の常染色体と2本の性染色体
染色体-染色質-DNA
染色体
ヌクレ
オソーム
●
●
凝縮し
た染色
質
●
●
染色質
●
DNA
遺伝情報
小胞体(生産ライン)
小胞体(endoplasmic reticulum、
ER)は、よく発達した膜系。
リボソーム(合成ロボット)
リボソームは、遺伝情報の写しを
見ながら、タンパク質を合成してゆく
生産ラインのロボットのような役割を
します。
小胞体には2種ある
リボソームが結合した小胞体を、
粗面小胞体(rough ER)といいます。
リボソームが結合していない管状
の小胞体を、滑面小胞体(smooth
ER)といいます。
ゴルジ装置
ゴルジ装置(Golgi apparatus)は、
分泌タンパク質の配送センターのよ
うな役割です。
ミトコンドリア(パワープラント)
ミトコンドリア(mitochondria)は、エ
ネルギー供給装置です。
ミトコンドリア
内膜
膜間腔
基質
外膜
クリステ
クリステ
ミトコンドリア
ミトコンドリアは、固有のDNAを持っ
ています→過去に寄生した生物だと
考えられています。
分裂によって数を増やします。
細胞骨格
細胞の動きや細胞小器官の移動などに関
係するタンパク質で、3種類(左から微小繊維、
微小管、中間径繊維)あります。
細胞骨格
微小繊維
(actin filament)
微小管
(microtubule)
細胞膜
タンパク質
脂質の二重膜(lipid bilayer)である。
細胞小器官の膜
細胞小器官の膜も、細胞膜と同じよ
うに、脂質の二重膜を基本構造とし
て、そこにタンパク質が埋まっていま
す。
動物細胞の構造
もう一度まとめておきましょう
動物細胞の構造
もう少しリアルにDavid S. Goodsell
が描いたものは、
この細い部分
http://mgl.scripps.edu/people/goodsell/より
(molecular art)
動物細胞の構造
細胞の中を描く
David S. Goodsellのサイトを見ると
血漿
細胞骨格
骨格筋
DNAとその複製
赤血球
タンパク質を描く
David S. Goodsellのサイトを見ると
Designs for Cell Voyage
Actual Display
サイズの感覚
10倍ずつ拡大
特に重要な細胞小器官は
これからのお話に特に関係する細
胞小器官は、核、リボソームと粗面
小胞体、ゴルジ装置です。
特に重要な細胞小器官は
これらの舞台の上で何が起こってい
るか、お話はさらに続きます。
待てしばし!