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天文学入門講座第2回 2005/9/17
星の測り方
~「星を測る」とは?~
天文普及ボランティア 浅井 直樹


近代天文学において、星を測ることにどんな意義があったのか。
実際に、星はどのようにして測るのか?
本日の講座


第1部
 天文展示を見る (ティコ・ブラーエの大アーミラリー、
北斗七星の立体視)
 ティコ・ブラーエの観測と近代天文学の発展
 天動説と地動説
 地動説の発展
~ブラーエの観測と同心天球説からの脱却~
 ケプラーの第1法則
 地動説の検証~ケプラーの法則の意義~
第2部
 年周視差から星の距離を求める
 星座も形を変える~星の固有運動~
2005/09/17
第2回 星の測り方
星の位置と天球座標


天球:夜空に散らばる星は、夜空の円天井
のような面にあるように見える
 天球面:プラネタリウムのドームのようなもの
 星座:天球面上に投影された星を結んだもの
星の位置を表す
 天球面上での経度と緯度で表す (球面座標)
2005/09/17
第2回 星の測り方
星の位置と天球座標

赤道座標
 地球の赤道と自転軸を天球面まで延長したもの
 地球での経度→赤経、緯度→赤緯
シリウス(赤経6h45m6s、赤緯 -16°43′)

赤道儀
 天体の位置を決定できる
 天体の日周運動にあわせて
同じ天体を追う
 天体望遠鏡の架台として使われる
2005/09/17
第2回 星の測り方
ティコ・ブラーエ (本日の主役)

ティコ・ブラーエ(1546-1601)
 デンマークの天文学者
 肉眼観測時代の最も優れた観測者
 大赤道儀を使い、星の位置を正確に決定
 火星の詳細な運行データ
 ケプラーを助手としていた
ブラーエは天文学史にどのような功績を残した
のか?
2005/09/17
第2回 星の測り方
宇宙観の変遷
【 古代の宇宙観 】
・ 太陽/月の動き
・ 星の動き
・ 月の満ち欠け
・ 北極星の存在
・ 彗星/流星/新星
これだけの観測事実から、形成されたのが古代の宇宙観
2005/09/17
第2回 星の測り方
宇宙観の変遷~天動説~
【 古代ギリシャの宇宙観 】
地球は宇宙の中心にあるに違いない
プトレマイオス(2世紀)
「アルマゲスト」にて天動説を集大成
↓
その後1000年以上、宇宙観の基礎となる
2005/09/17
第2回 星の測り方
惑星の逆行現象
惑星の動きは行ったり来たりする。(逆行現象)

宇宙モデルは、この動きを説明できなければならない。

天動説で説明しようとすると・・・

周転円? なんかややこしい・・・。
2005/09/17
第2回 星の測り方
宇宙観の変遷~地動説~
【 宇宙観の大革命 】
地球が太陽の周りをまわってた方が
説明しやすいのでは?
コペルニクス(16世紀)
「天体の回転について」にて地動説を提唱
↓
地球中心の宇宙観から太陽中心へ
2005/09/17
第2回 星の測り方
惑星の逆行現象
惑星の動きは行ったり来たりする。(逆行現象)

宇宙モデルは、この動きを説明できなければならない。

地動説で説明すれば・・・

簡単に説明できる!!
2005/09/17
第2回 星の測り方
宇宙観の変遷~まとめ~

天動説 プトレマイオス(2世紀)
 星は地球を中心に回っている。
 惑星の運動を説明するためには、複雑な
モデルが必要となる。

地動説 コペルニクス(16世紀)

地球が太陽の周りを回っている。

惑星の運動をシンプルな円軌道で
説明できる
ただし、あくまでモデルであった。
観測的証拠はなかった。
2005/09/17
第2回 星の測り方
円から楕円へ~同心天球説からの脱却~


同心天球説
コペルニクスにより地動説が提唱されたが、
惑星の軌道は、天動説と同様、“円や円の
組み合わせ”だと考えていた。円形哲学
ヨハネス・ケプラー(1571- 1630)
 ドイツの天文学者
惑星の軌道は、太陽を中心と
 ティコ・ブラーエの助手
した同心円状であった。
 火星の運動を説明するために・・・
 ティコ・ブラーエの膨大な観測資料を使用
 気の遠くなるような試行錯誤の計算作業
惑星は、太陽を焦点の一つとする楕円軌道を描く
2005/09/17
第2回 星の測り方
ケプラーの法則
第1法則
「惑星は太陽を焦点とした楕円軌道を描く」

第2法則
「惑星と太陽を結ぶ線分が一定時間に描く面積は一定」

ケプラーの著書 1609年
『新天文学、ティコ・ブラーエ氏の観測結果により、
火星の運動に対する因果律、或いは、天界の物
理学に基づく天文学』
第3法則
「惑星の公転周期の2乗と軌道長半径の3乗の比は惑星によらず
一定である。」

ティコ・ブラーエの観測はケプラーの法則を生み出した!!
2005/09/17
第2回 星の測り方
ちょっと休憩


クイズ
地球の公転速度はどのくらい?
① 45 km/h
② 1700 km/h
③ 10万 km/h
正解 ③


クイズ
地球の自転速度はどのくらい?
① 40 km/h
② 1700 km/h
③ 10万 km/h
正解 ②
2005/09/17
第2回 星の測り方
年周視差~地動説の証拠を!~

ケプラーの法則は惑星の運動を説明できた。

地球が公転しているなら、恒星の年周視差が観測できるはず!

当時は年周視差を測れなかった。なぜか?
地動説が間違っている?
恒星は非常に遠くであるから視差が小さすぎて測れない?
実際、年周視差が測られるようなったのは・・・
地動説の提唱(1543年)から300年後の1838年

ちなみに、ケプラーの法則は、後にニュートンにより証明され
る。 (万有引力の法則)
2005/09/17
第2回 星の測り方
年周視差を観測しようとして

地動説(地球は太陽の周りを公転する)を観測的に
証明するために、年周視差の存在が求められた。

ジェームス・ブラッドレイ(1693-1762)
 年周視差を求めようとして、視差から予測される
周期とは違う周期を発見(1727年) 。
→年周光行差

光行差:
地球がある速度で動いているとき
に、星からの光が斜め前方から
やってくるように見えること。
見かけの星の位置
この光行差による周期は、まさに地
球の公転運動によるものだった。
→地動説の証明!!
2005/09/17
第2回 星の測り方
地球の運動
第1部のまとめ




星空の規則的な動き・・・古代から統一的な宇宙像が求めら
れていた。
天動説→地動説へ(中世~近代)
ティコ・ブラーエによる詳細な観測データ
→ケプラーの法則(地動説をもとにして惑星の運動を説明)
地動説の観測的証拠が必要
 年周視差が存在するはず(地球が公転していれば)
→なかなか測れなかった (1838年まで)
 年周光行差を発見→地球が公転運動している証拠
思いがけず、地動説の観測的証拠を見つける(1727年)
2005/09/17
第2回 星の測り方
第2部


星の距離の測り方~年周視差~
星座も変わる~固有運動から速度を求める~
2005/09/17
第2回 星の測り方
視差とは
立つ位置によって、ものの見える位置が変わる
2005/09/17
遠くにあるもの→
あまり位置は変わらない
近くにあるもの→
大きく位置が変わる
第2回 星の測り方
視差から距離を求める例
同じものを位置を変えて見れば良い!
2005/09/17
第2回 星の測り方
星の距離の測り方
見る位置が違うと、星の見える
角度がずれる。
p
このずれの角度を視差という。
年周視差
一年のうちに変化する星の
視差のこと。
地球の公転を利用する
地球の軌道
aE
E2
2005/09/17
この年周視差を使って、星の距
離を測ることができる。
aE
太陽 S
E1
第2回 星の測り方
半径d(星までの距離)を求めよう
扇形の弧
||
2p
2 d 
360
2p
d
d
a
円周= 2πd
2p
d
2005/09/17
E
第2回 星の測り方
2p
2 d 
 2aE
360
半径d(星までの距離)を求めよう
p
星までの距離(大円の半径)は
2aE  360
d
2  3.14  2 p
地球の軌道
aE
E2
2005/09/17
aE
太陽 S
E1
第2回 星の測り方
天文学で使う様々な距離の単位
1AU(1天文単位) = 149 597 870km
太陽と地球の間の距離。
地球
レーダー
金星
1AU
太陽
1pc(1パーセク) = 30 857 000 000 000km
= 206266.31 AU
年周視差が1秒になる距離。
1光年:光が1年かかって進む距離。
1光年 = 9 460 530 000 000km
1pc = 3.26 光年
2005/09/17
第2回 星の測り方
10kpcくらい
ワークシート


年周視差を用いて、太陽から一番近い星までの距離を求め
てみよう。
目標
 視差がわかっている星について、星までの距離を求める
ことができるようになる。
 一番近い星までの距離を求め、それがどのくらいの距離
なのかを実感する。(地球-太陽間の距離の何倍?)
 求めた距離を天文学で使用する色々な単位を使って表せ
るようになる。
2005/09/17
第2回 星の測り方
星座も形を変える






星の固有運動 (星の天球面上での位置の変化)
地球の運動による見かけの位置の変化ではなく、星自身が
それぞれ運動する。→ 星座の形が変わる。
一年間で角度で何秒という単位で表す。
最も大きな固有運動を持つ恒星は
へびつかい座にあるバーナード星
(1916年 バーナードが発見)
一年で約10秒角移動する
移動速度は、秒速108km(~時速40万km)
2005/09/17
第2回 星の測り方
北斗七星の変化
本日の講座のまとめ


第1部
 天文展示を見る (ティコ・ブラーエの大アーミラリー、北
斗七星の立体視)
 ティコ・ブラーエの観測と近代天文学の発展
 天動説と地動説
 地動説の発展
~ブラーエの観測と同心天球説からの脱却~
 地動説の検証~年周視差~
第2部
 年周視差から星の距離を求める
 星座も形を変える~星の固有運動~
宇宙観の変遷やケプラーの法則などの発見の裏には、観測
による詳細なデータが非常に重要な役割を与えていた。
(観測者の努力を忘れてはいけない!!)
2005/09/17
第2回 星の測り方
ご清聴ありがとう
ございました。
2005/09/17
第2回 星の測り方