環境初期化時の横流れ現象とLED光照射によるCTEの

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環境初期化時の横流れ現象と
LED光照射によるCTEの変化
京都大学 理学研究科
宇宙線研究室
乾 達也
報告内容のアウトライン
• 一度最適化を行った同じ環境条件でも、パ
フォーマンスが再現しない(特に横転送不
良)という現象が発生した
• 低温環境において、蓄積時にLED光を入
射することでdark levelを上げ、CTEの変化
を調べた(FAT0)
実験の流れ(6/10)~最適化
• PV+、PH+がPINしないレベルでクロック最適化作業(温度-80℃、
使用線源109Cd ) 最終決定クロック電圧
PV=-11/+0、PH=-12/+0、SG=-12/+0、RG=-6/+4、OG=-5、RD=-12、OD=-20 (V)
実験の流れ(6/11)~横流れ発生
• 真空槽を開け、CCDガラス窓を取り外す(55Fe照射のため)
• 冷却して(温度-80℃)、同じクロックにてイメージ取得→横流れ
PV=-11/+0、PH=-12/+0、SG=-12/+0、RG=-6/+4、OG=-5、RD=-12、OD=-20 (V)
55Feの
イメージ
横流れが
見られる
実験の流れ(6/11)~最適化時と比較
PV=-11/+0、PH=-12/+0、SG=-12/+0、RG=-6/+4、OG=-5、RD=-12、OD=-20 (V)
使用線源109Cd 温度-80℃(昨日と同条件)
6/11のイメージ
↓は昨日(6/10)取得のイメージ
6/10のイメージ
前日のパフォーマンスを再現しない!!
実験の流れ(6/12)~原因追求
•
•
•
真空槽を開け、CCDガラス窓を装着(6/10と完全に同じ)
冷却して(温度-80℃)、同じクロック電圧にてイメージ取得
相変わらず横流れが見られた。
• PH+を一度+3Vにすると改善した!(PH+=+0V→+3V→+0V)
横流れ
見かけ上なし
PV=-11/+0、PH=-12/+0、SG=-12/+0、RG=-6/+4、OG=-5、RD=-12、OD=-20 (V)
使用線源109Cd 温度-80℃(6/10と同条件)
実験の流れ(6/14)~再現性の検証
•
•
6/13は常温・電圧かけずで放置(真空継続)
冷却し始めて得た初期のイメージ(109Cd、温度-60~-70度)
PV=-11/+0、PH=-12/+0、SG=-12/+0、RG=-6/+4、OG=-5、RD=-12、OD=-20 (V)
横流れ
している
実験の流れ(6/14)~再現性の検証
•
•
PH+=+0V→+3V→+0Vと変えた
PHをPINさせた後のイメージ(109Cd、温度-80度)
PV=-11/+0、PH=-12/+0、SG=-12/+0、RG=-6/+4、OG=-5、RD=-12、OD=-20 (V)
横流れ止まる
やはりPH+を
一度PINさせると
改善するようだ
実験の流れ(6/14)~再現性の検証
• 常温に戻し、真空破る。
• CCDガラス窓を取り外し、再度冷却
• 55Feのイメージを取得(温度-80度、同クロッ
ク)すると横流れ確認
• PH+をPINさせる(PH+=+0V→+3V→+0V)と
やはり横流れが止まった
実験の流れ(6/15)~FAT0
• 6/14終了時点で常温に戻す
• 再度冷却して温度-80℃で55Feのイメージ
を取得するが、これまで(6/14まで)に見ら
れたような横流れは見られなかった
• このままFAT0の実験を開始
横流れ現象のまとめ・考察
• 横流れ現象の再現性について
– 真空槽をあけると発生する(6/10~6/14)
– 室温放置でも翌日実験すると横転送不良は
見られなかった(6/15)
– 1日放置すると横流れが見られた(6/12~
6/14)
– どの時点で確実に再現するかは不明
• 原因について
– PH+をPINすると改善されるということ以外は
よくわからない
LED光照射によるCTE変化
• 現在確認されている事象
– 低温では暗電流は小さいがCTEが悪い
– 高温ではCTEはよいが暗電流は大きい
• 低温でのCTIはBULKのトラップによる?
– CCD全面に光を照射しdark levelを押し上げて
CTEを見てみる(FAT0)
LED光照射前のイメージ
温度-81℃
PV=-11/+0、PH=-12/+0、SG=-12/+0、RG=-6/+4、OG=-5、RD=-12、OD=-20 (V)
線源:55Fe
13.1
13.2
14.5
14.5
34.7
94.5
14.6
15.1
13.8
14.0
13.4
13.0
13.7
27.5
10.7
12.8
544.7
34.3
13.2
27.7
10.7
13.2
15.2
12.9
13.2
※先に報告した横流れ現象
は起きていない
←イベント位置周囲5x5の平均
レベル(ADU)
縦に大きく流れているのがわか
る、横は見かけ上流れていない
平均イベントピクセルから
200
500
400
300
100
200
100
0
-2
-1
0
1
読み出し方向(y)
2
0
0
1
2
3
4
5
y [pixel]
本質的イベントの広がりを引いて、転送で失った電荷をプロット
トラップ電荷が再放出されるタイムスケールは縦転送一回分に
等しい
55Feのスペクトル
イベント検出、Fitting法
E=3.3 keV
N=63e-
5x5中の電荷を拾っ
ている。但し、55Fe
は広がりが小さい
ため、ほとんどが
single pixel eventで
ある。
横方向CTI
HCTI=5.2 x 10-4/transfer
イメージ上は流れてないのに非常に悪い
縦方向CTI
VCTI=6.4 x 10-4/transfer
光照射前の結果から
• 見かけ上横流れは見られないが、電荷は
確実に失っている
• 縦方向には明らかに縦流れしている
• トラップによる損失であるとすると、トラップ
電荷の再放出時間は縦転送時間程度で、
横転送時間よりも十分長いと考えられる
トラップ電荷の再放出時間と
トラップ準位の見積もり
トラップ準位は1つと仮定
Eq. (5.27), p.453,
Janesick et al, Scientific
Charge-Coupled Device
縦転送時間0.4msec、横転送時間80msec、T=200K
分母は2.8 x 1011 sec-1として
LED光照射したイメージ
(蓄積10秒中、2秒を3回、計6秒)
温度-89度、線源:55Fe
PV=-11/+0、PH=-12/+0、SG=-12/+0、RG=-6/+4、OG=-5、RD=-12、OD=-20
6.9
6.3
7.9
8.9
26.1
94.6
8.3
9.3
7.0
6.5
6.0
6.7
7.5
35.2
5.5
7.3
665.0
43.2
6.6
34.4
5.7
7.2
6.3
6.8
7.2
CCD外縁が光っているのは、最端
画素部の外側に入射した光によっ
て発生したキャリアが拡散により内
側まで入ってきたもの
←縦方向には流れている
55Feのスペクトル
E=1.5 keV
N=42ePile-up
横方向CTI
HCTI=8.7 x 10-5 /transfer
照射時間とエネルギー分解能・
読み出しノイズ
LED照射時間
(sec)
入光量
[ACTIVE-HOC]
(electron)
E
(keV)
Readout Noise
(electron)
0
2
4
6
45
331
594
874
3.3
1.5
1.5
1.5
63
42
44
44
エネルギー分解能、読み出しノイズともに改善
照射時間とCTI
LED照射時間
(sec)
入光量
(electron)
横転送CTI
(10-4/transfer)
縦転送CTI
(10-4/transfer)
0
2
4
6
45
331
594
874
5.2
1.1
0.59
0.87
6.4
4.2
3.4
2.5
縦・横転送ともに改善
FAT0のまとめ
• FAT0によりエネルギー分解能・読み出しノイズ・
CTEはすべて向上
• 2秒以上当てても大きな改善は見られない
• トラップが光により埋められることでCTEの悪化を
防いでいると考えられる
• 照射時間2秒(dark 330e)でトラップは十分埋めら
れていると考えられる
• トラップ電荷の再放出時間は縦転送時間0.4msec
程度で、横転送時間80msecより十分長い
• 計算上求められたトラップ準位は